ハセガ座【紙粘土作品展】~レ・ミゼラブル~

ハセガ座【紙粘土作品展】~レ・ミゼラブル~

2007年4月21日昼 エリザベート



やはり、エリザベートファンなら、大阪まで行くか迷っている場合ではないぞと気づいたわけです。
二度とないチャンスになるかもしれませんからね。

ただ、思い立った時は公演が既に始まっていたというのに、正規のチケットがまだまだ残っていたので、驚いた。東宝版だとあっという間にチケットは完売。ファンクラブなどを利用してもチケットが取れないことがほとんどだ。

日本はまだまだ俳優人気が強いのでしょう。わたしもその一人ですがね・・・


感想は・・・すごくムードがあった。ドイツ語きれいだな・・・、歌はさすがにすばらしい。演出は割りとシンプルだった。照明やダンスも東宝版の方がずっと複雑だ。

レ・ミゼラブルなどでは英語よりも日本語の方が音の響き的に圧倒的に好きだったが、今回は違った。ドイツ語の合唱は面白い。

ドイツ語は全く分からないけど‘h’とか‘s’とかの発音だろうか、ドイツ語っぽい響きが心地よい。大合唱でのシュワシュワした音に引き込まれた。

エリザベート大合唱、結婚式、HASなど、そっと大合唱するところ、日本語では味わえない。

■演出については・・・ヨーロッパ・オペラ演出界で最高ランクに君臨する、ハリー・クプファー、彼の演出は斬新でひとひねり利かせたものが多いと、何かの記事で読んだ。

確かに、表現はストレートではない。

1幕、ポッセンホーフェン宮殿の前、父マックスが旅に出ようとする場面は、全く風景がない。エリザベートの横顔のシルエットに切り抜かれた白い大きな壁に覆われている。

謁見の間では、皆それぞれがオルゴール人形の一つになる。
『♪皇帝陛下は~』の部分で、オルゴールの上をスキップしたり、コミカルで楽しい。

2幕、ゾフィーのサロンで皇帝の側近たちと悪巧みを練る場面は、チェスのコマとなる。

カフェの場面も、遊園地にあるコーヒーカップのような、カートだった。

期待していた「跳ね橋」。舞台装置の要となる跳ね橋は、エリザベートが暗殺されるときに使用されるヤスリを象徴としたものであるが、この橋をトートが走りまわったり、ロープのような手すりを使って飛び跳ねたりするところは、トートがプロレスラーに見えて仕方がなかった。

ヨーロッパでは、斬新で好評なのかもしれないが、日本のミュージカルファンには必要なのか疑問。

ハプスブルク家についても、時代背景、文化をも知らない日本人に表現を一ひねり利かせられたら、ややこしくてわけが分からなくなる。

やはり小池修一郎演出が、日本に合っている。私は、好きだ。


■ナンバー・・・説明的な部分は、東宝版ではかなり追加されていることが分かった。

ルキーニ役のブルーノ・グラッシーニが、ほとんど出っぱなしの高嶋ほど活躍していない。

高嶋ルキーニは、いちいち説明してくれる。
向こうの事情を知らない私は、よく聴いて、理解していかなくてはいけなかったんだと、反省。

また、ウィーン版は、エルマーら3人の革命家の登場がない。ハンガリー訪問での、暗殺失敗はない。逮捕される場面もない。
ルドルフと絡むシーンもない。

ナンバーが少ない反面、東宝版にはないナンバーもあった。

「マダム・ヴォルフの館」の前にルキーニがちょっと歌った。メロディはお見合いのナンバー『♪バート・イシュルの夏は暑い~』の部分。

字幕がないぞと思ったら、なんと、日本語ではありませんか。

ルキーニが歌っている。


『♪貴族の殿方お好みは 清く 正しく 美しく 男を狂わせとりこにする 夜の街へくりだす

ウィーンにはさまざま劇場があるが今はオフシーズン 宮廷バレリーナにも飽きたなら、マダムヴォルフのサロン~』

<拍手喝采>

そして、マダムヴォルフの登場となる。

ここはおそらく、オリジナルではないだろう(笑)

ルキーニが日本語で歌ってくれるのだ。なんて粋な計らいだろう!
高嶋ルキーニも、博多座では、博多弁を織り交ぜてくれる。覚えていますよ!


■ 字幕・・・観劇前は、字幕を見るつもりはなかった。

東宝版は13回観ているし、CDは擦り切れるほど聴いた。全部頭に入っているから、字幕より、舞台を観ようと決めていた。

ところが、やはり目が字幕を追ってしまう。字幕の内容は、和訳では表現しきれない内容満載。

登場人物の心情についてあらたな発見の連続。

オーストリア情勢についても、東宝版より具体的に歌われている。

フランツは、ゾフィーに対して「他の女性を知り、ますます彼女(エリザベート)が愛しくなった」と歌っている。

少年ルドルフがエリザベートとの接触を禁じられ、ママに会いたいとゾフィーに願うところは、グリュンネ伯爵ではなくリヒテンシュタインがいて、エリザベートの方がルドルフと散歩がしたいと願い出ている設定であった。

・・・など、ところどころに感情がより生々しく描かれているので、より一層感情移入させられてしまう。

だから字幕が気になる。初めて観るハリー・クプファーの演出、役者の顔、衣装、ダンス、舞台セットも観たい・・・頭をフル回転させ、全集中力を使ってもとても一度では消化しきれない。東宝版もしかり。

何度観ても消化しきれないのが、エリザベートの良い所、リピーターとなってしまう所以でもある。

■プリンシパルキャスト・・・エリザベート役のマヤ・ハクフォートはさすがに良かった。少女時代のおてんばから、美しく輝きを放つ皇后から、死ぬまで、見事だった。自然に観ることができた。

トートは、元気だった。生身の男くささがあった。(フェロモン量は祐一郎に負けるが) メイクや鬘もない。マッチョな身体でぴょんぴょん駆け回っていた。
ルドルフが自殺する場面では、女装してルドルフを誘惑する。これは見ものだ。

今回、いいなと思ったのは、エリザベートの父、マックス。自己主張がなく、本当に何事にも縛られない解き放たれた人物に見えた。とっても軽く、ちょっと無責任な雰囲気がとてもよかった。歌い方も、ムードがあって、惹きつけられた。

トートダンサーには女性もいた。呼び名もトートダンサーではなく「死の天使」とプログラムに書かれていた。
東宝版ほど存在感はなかった。複雑でグロいダンスもなかった。

4月21日 12:00 in 梅田芸術劇場

エリザベート マヤ・ハクフォート
ルキーニ   ブルーノ・グラッシーニ
トート    マテ・カラマス
フランツ   マルクス・ポール
ゾフィー   クリスタ・ヴェットシュタイン
ルドルフ   ルカス・ペルマン
マックス   デニス・コゼルー
ルドヴィカ  キャロリーネ・ゾンマー
少年ルドルフ アンドレアス・ヒンターレッガー


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