Nanweiqing's Website

Nanweiqing's Website

13 愛の証が欲しい

13 愛の証が欲しい
novel05

子供を両親に預ける前に離婚を実現しようと思った麗子は、何度も輝男に話し合いを求めた。しかし離婚される理由がはっきりわからない輝男は取り合ってくれない。結論の出ないまま子供を中国の両親の許へ送った。

別居した麗子の心の支えは無邪気に遊び回る子供たちの天真爛漫な姿であった。何度麗子の疲れた心を癒してくれたか知れない。しかし子供との生活を引き裂かれる羽目になった麗子は、しばらくの間、夢遊病者のような生活を送っていた。土門はその心情を痛いほどわかっていたが、慰める方策が見つからない。

「君の望みを言ってごらん」

「あなたと暮らせなくていい。あなたの子供が欲しい。私に愛の証を下さい。子供が授かったら故郷に帰って育てる。そうしたらあなたのこと忘れて上げる」

「………………………」

土門は返す言葉が見つからなかった。

「あなたの分身を私に下さい。あなたと思ってその子と暮らします」

「………………………」

土門は麗子の奥深い情愛に感動した。そして家庭を捨て実りのない愛に生きようとする麗子のしたたかさに驚愕した。

「無茶なこと考えるな。君は二人の子供がいないから寂しいだけ」

土門は麗子の情愛に負けまいと冷徹な言葉を返した。

麗子は土門を欺いて子供を作ろうとした、今まで避妊の失敗は一度もなかった土門であったが、子供欲しさから出た『今夜は安全な日だから』を信じて避妊を怠り辛酸を舐めることになった。麗子の作戦はまんまと成功し念願の懐妊を手に入れた。土門は妊娠という現実に直面すると目の前が真っ暗になった。妊娠が判明した日から説得を試みるが、麗子の固い決心は難攻不落の揺るぎない牙城であった。

「私の胎内に宿ったこの子は私のもの。この子を奪うことは誰も出来ない」

「今二人の子供を抱えて四苦八苦しているのに、これ以上増やしてどうするんだ。自分勝手な欲望のために父親のいない不幸な子供を作るのは罪なことだよ」

「あなたには一切迷惑をかけない。これからの生活がどんなに苦しくとも乗り切って見せる。父親のいない子供はかわいそう。でもいつか必ず私の選んだ人生が間違いでないこと理解してくれると思う」

麗子の決意に土門は一言もなかった。男の欲望が麗子の家庭を崩壊させ人生に重荷を背負わせたことに罪悪感を抱く土門であった。

「気にしなくっていいのよ。私が離婚するのはあなたが好きだから。他に愛する人がいるから夫とは生活出来ないだけで、決してあなたのせいじゃない」

「君はなぜあなたも離婚してと言わないんだ」

「前にも話したでしょ。あなたの奥さんや子供たちが大好きだから。あなただって離婚するつもりはないでしょ」

「子供を産むということは僕や妻子に仕返しをするということだろう」

「そんなこと考えもしなかった。奥さんや子供からあなたを奪うつもりはない。ただあなたの大事なもの、愛するものを一つだけ独占したい。あなたと私の体と魂が合体して出来た愛の結晶を生涯愛し続けたいだけ。あなたが何と言おうと私は産みます」

麗子の決意は変わらなかった。これからの人生をこの子供と歩んで行こうと決意した麗子は出産のため中国へ帰ろうと思った。

14 妹「愛子」の影響力



© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: