Nanweiqing's Website

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ワインに萌える女3


日本語の習熟度も遅い方であり、まして手練手管を駆使する女でもなかった。
しかし見た目が可愛い、他人の悪口を言うのも聞くのも嫌い、口数は少ないがいつもニコニコと愛想はいい。
私は内心『愛美は1~2年後、もっと日本語が上手になれば、水商売の女として大化けするかもしれない』と思うことがあった。
お客相手にまともな会話もできない愛美であったが、歌は周囲の小姐より数段上手だった。
日本の歌はまだ2~3曲しかできないが、中国の歌は確かに上手い。
日本の歌をもっと覚えれば、お客に受け入れられるはずだ。
私は愛美にお客が好みそうな日本の歌、特にデュエット曲を教えた。
同じマンションに住む愛美を含めて4人の小姐はそれぞれ別々の店に勤めていた。
普段の生活ではお互い助け合って仲がいい。別々な店で働いているのが、女同士絶妙な距離感があって良好な関係を維持できているのかもしれない。
私は中国語を正式に学んだことはなく中国へ行ったこともない。
小姐達との会話の中、中国曲の歌詞で何となく覚えた程度で、この時点で私の中国語と愛美の日本語は同じレベルだった。
愛美の得意な日本語は「バカヤロー!コノヤロー!殺すぞー!」だった。それも凄く早口で言う。
多分、同郷の小姐が教えたのだろう。この言葉をいろいろ場面で使うので思わず失笑してしまう。
例えば、愛美が別なお客を相手にしているとき、ヘルプで付いた小姐と仲よく話していると、戻ってくるなり「ずいぶん仲いいね、バカヤロー!コノヤロー!殺すぞー!」と怒る。
男言葉だし時と場所を考えないと大変失礼な言葉になる。愛美が訳も解らず言うから「可愛い」で許されるのだと思う。
私は中国の歌を一曲一曲覚えて完璧に歌うことに快感を覚えた。
それは若い頃、次々と英語の歌を覚えて味わった達成感と同じであった。
私が歌う中国曲の発音や歌唱力はある程度の評価を受けていた。
愛美は店では他のお客とは話題を作って喋っていたが、私の側では手はしっかり握っているもののほとんど話さない。
店で何も話すことがない理由は後述するとして、私はウーロン茶、愛美は好きなワインを飲みながらカラオケに興じた。
私と愛美は共通する点が多かったせいか、相性が良かったせいか、急速に仲が深まっていった。
私と愛美の出会いは店の中であったが、それ以降は必ず同伴して一緒に店に入り、閉店まで一緒に過ごし、店を一緒に出るパターンはずっと変わらない。
閉店まで一緒に過ごす、とはおかしな表現だか、愛美は私の側にいるときはほとんど仕事はせず、私に密着して、ワインを飲み、歌っているだけ…
愛美は実にワインが好きであった。調子がいいとボトル2本をほとんど一人で飲み干すほど。(ママやヘルプの小姐が挨拶に来てそれぞれ2杯程度は飲むが…)
私はいつも車だったのでウーロン茶をチビチビ飲むだけ。はた目にはどちらがお客か判らない。
しかしワイン2本も空けるとさすがに酔いが回り、愛美はある行動に出る。それは私にとって、時には歓迎すべきことであり、時には迷惑なことであった。

4に続く



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