鉄格子




あたしがまだ君を愛してやまなかったとき。
それでも君は戻ってこなくて泣いていたとき。

あたしは左腕にあの人の名前を彫りました。
やっぱり痛くて血はいっぱい出ました。
それでも彫りました。なきながら彫りました。
一緒に居るような錯覚という夢がみれました。
それですこし安心していたりしました。

しばらくして傷跡は茶色くなって跡を残しました。
あの人の名前は残っていました。
あたしは満足でした。それで少し収まっていました。
だけど
このままじゃいけないって、思い立ったんです。

其の日の夜。
部屋で腕に彫った君の名前を消すために
格子状のキズをたくさん君の名前に覆いかぶせました。
君の名前を彫ったときより血は出ました。
クロスになったところが痛そうでした。

次の日、其れを見て少し寂しくなりました。

しばらくして傷はまた茶色くなって、君の名前は薄れていました。
何日か放っておいたら、君の名前はマタよく見えるようになっていました。
格子の角が少し広すぎたんだろうな。
そう思ってまた格子を作りました。今度は角の小さいのにしました。
君の名前はボロボロになってよく見えなくなりました。

これでよかったんだって言い聞かせて
君の名前がなくって
もう2年半。
君は元気にしていますか。
まだ、人の顔色を伺ってしまっているんじゃないだろうか。
少し、心配です。







© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: