貨物船最後の日


朝フォードッサーの元気のよい声で見がさめた。
「着きましたよ。着きましたよ!」
ぐっすり眠っていた。6時半だ。
急いで飛び起きて正装してブリッジ駆け上った。
オークランドの町が横に長く見える。
徳和丸は今まさに入港するところだ。
船長以下チーオフィサー、サードッサー等のキリッとした帽子そして
彼らの紺の正装服は今までの人とは違う高貴な人格を作り上げている。
赤い屋根、が点々と見える。くすんだ暗い町の風はまったく無い。
パイロットの船が近づいてきた。
もうじき生まれて初めて外国の地をこの足で踏みしめるのだ、
この感激は航海の18日の長さから来るものではない。
20歳のとき大阪駅前で無銭旅行のスイスの若者に会って
それから3年の準備とすべてを打ち込んだ末の結果から来るものだった。
徳和丸岸壁
クィーンズウォルフに着いた我が貨物船
空は青い、空気は澄んでいる。
でも明日からどこで寝起きするのだろう?

まずはタウランガに行こう。
スポンサーとは名ばかりだが何かよいアイデアでも授けてくれるだろう。
こうしてオークランドのクィーンズウォルフ岸壁に船は着いた。
リュックサックふたつみっつ担いで天を仰いで、
「なんとかなるさ」




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