文章は「一人称」で書かれているから・・・・私個人の経験したもののように捉えられるかもしれないが、これはあくまでも「小説もどき」である。
したがって事実ではないことをお含みおき願いたい。
それでは続きを・・・・・
《店頭販売(2)》
口上に依って客を呼び寄せ、そこからさらに言葉巧みに客の財布の紐を緩めさせる・・・・・それが「マネキン」である。
したがって・・・・少なくとも客が近付いてこないような店ではしゃべるだけ無駄なようなもの・・・・
しかし、いったんスーパーと契約した以上・・・・その店に6日はいなければならない。
私個人の問題ではなく、私を派遣した会社の信用問題になる。
私は覚悟を決めて、6日間遊ぶつもりでその店にいることにした。
そうなると・・・・どうやって遊ぶかである。
とりあえず目標を決めた。
売り上げの25パーセントは歩合で貰えるから、そこからホテル代だけは稼がなくてはならない。
その町のホテル代が・・・素泊まりで3500円・・・・食事は前のスーパーで稼いだ分があるからなんとかなるとして・・・・15000円の売り上げだけは確保しなければならない。
「アイディアバッグ」というナイロン製の袋物が商品で、単価は480円だから・・・32個売ればなんとかなる。
売れなければ・・・・スーパーの駐車場で寝るまでであると覚悟を決めた。
それにしても客は入らない。
そこへさっきの写真屋さんの従業員が暇を持て余して遊びに来た。
彼女も暇だから話し相手が欲しいのだ。
「ねえ、お兄さん・・・・・あたしが言った通り暇でしょ?」
「そうだね・・・・こんなに客の少ない店も初めてだよ」
「ねえ・・・お兄さん・・・・東京の人?」
「ああ・・・」
青森生まれではあるが、今は東京に住んでいるんでウソではない。
「名前はなんていうの?」
「名前?・・・・・星飛雄馬!」
「嘘ばっかし・・・・・でもいいや・・・・じゃ星さん・・・・あたしより年上?」
私は彼女の立ち姿を眺めた。
当時私は20歳・・・・彼女はそれより若干上に見える。
「そうだな・・・・俺より・・・・少しお姉さんかな?」
「幾つに見える?」
なぜか女の子はこう聞くことが多いようだが・・・まともに見た通りに応えてはいけない。
どんな若い娘でも・・・・本当の年より下に言っておけば間違いない。
「去年か一昨年・・・・高校を出たばかりで就職したとして・・・・十九歳か二十歳」
「それじゃ星さん・・・・あたしより年下って・・・・高校生ってことになるじゃない。」
彼女はキャッキャと笑いながら続けた。
「ねえ・・・お昼一緒に食べない?」
「うん、いいよ・・・・俺・・・きれいなお姉さんと話ししながらって緊張するけど・・・・一緒に食べようか。」
そう約束すると、彼女は機嫌を良くして売り場に戻った。
続く
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