「こぶとり爺さん」
むかしむかし、あるところにおじいさんが住んでいました。
そのおじいさんは、右のほっぺたに大きなこぶがあって
まわりのみんなからは、「や~いや~い、 こぶ爺さん 」ってからかわれていましたから、
ちょっと偏屈なところもあって、村の集まりなんかにも参加しませんでした。
今日は村のお祭りの日なんですけど、
「こぶ爺さん」は山へ木を切りに出かけてしまいました。
「祭りといったって、なんもめでたくないわい」
ぶつぶつ文句を言いながら山へ登っていく「 こぶ爺さん 」
それを影からこっそり聞いてたものがおりました。
それは「山の神様」です。
「あいつはトンでもねえ奴だ!・・村の衆が年に一度、わしに感謝して祭りをするって言うだに、あいつだけはいちども祭りに出たこたぁねえ!なんか罰を与えにゃあいかんなあ!!」
そういうと雲に乗り、山のてっぺんの自分の住みかに飛んで帰り、さっそく配下の「赤鬼」を呼び、「あのこぶ爺さんの大事にしているものをとって来い!」って命令したんですよ。
頭にきたのは「赤鬼さん」・・・・
だって年に一度のお祭りの日は、配下の鬼達もお休みの日なんですから。
「あいつのおかげで、せっかくの休みが台無しだ!あいつが山に来るから・・・・・そうか、山に来るからいけないんだ・・・山に来れないようにしてやろう」
そういって、なにやらまじないを始めました。
こちらは、「 こぶ爺さん 」
赤鬼がなにやら変なまじないをしているとは知りませんでしたが、木を切るために持ってた斧が、ズンズンと重くなり、どうにも持っていられなくなりました。
「どうしたんじゃろう?」
実は赤鬼のまじない、・・・・触ったものが全て「石」になるというまじないで、斧が、刃だけでなくトッテの部分まで石になってしまって、どうにも重くて持てなくなっちゃったんです。
それからというもの、触るものがみな石になるんで、「 こぶ爺さん 」はどんどん痩せ細っていきました。
食べ物に触っても石になるんで食べられないんです。
でも、ただひとつだけ食べられるものがありました。・・・・それは「昆布」
そう、海で取れる「昆布」だけは食べることができ触ることもできるのです。
山里に住む、「 こぶ爺さん 」はもう山で暮らせないことを知り、海の村へ引っ越しました。
そして、そこではほかの魚とかは獲らずに、「昆布漁」だけの専門の漁師になりました。
それから人は彼のことを「 こんぶとり爺さん 」と呼ぶようになりました。
ある日のこと、いつものように「こんぶ」を獲っていると、「海の神様」が突然現れました。
このころは、もうすっかり懲りて、神様のお祭りをきちんとするようになった「こんぶとり爺さん」でしたが、あいかわらず食べられる物は「昆布」だけでしたから、すっかりやせ細ってしまいましたので、かわいそうに思った「海の神様」が相談に来たのです。
「おい、爺さん・・・・お前は山に戻りたいんと違うかのう?」
「はい、山の神様のお怒りに触れ、昆布しか食べられなくなってしまいましたのでこの海に住んではおりますが、実は生まれ故郷が恋しいのでございます。」
海の神様はそこで一歩のり出して来て・・・
「そこで相談じゃ・・・・わしには山の神さんの怒りを解くことは到底できんが、あいつの最近の悩みを知っている。・・・・・その悩みをお前が解決してやることじゃ・・・・・それはな?・・・・」
「海の神様」は、もう一歩のり出し「 こぶ爺さん 」の頭を触りました。
「お前の髪の毛は、毎日昆布を食べておるからふさふさして真っ黒じゃなあ・・・・じつは山の神の悩みとは・・・・髪の毛が薄くなってきたことなんじゃよ」
神様の悩みが「髪」っていうのなんなんですけど・・・・・・・
「世の中の悩みというのは"四苦八苦"といってな・・・・・4×9=36、8×9=72・・・・併せると108つあると言われておる。
そこで今日から108日の間、毎日山の神様の住みかに行って昆布をお供えしてくるのじゃ」
その話を聞いて喜んだ「 こんぶとり爺さん 」
毎日毎日、・・・・108日の間、海から昆布を採り、山の神様へお供えするということを続けました。
満願の日・・・・・山の住み家から出てきた「山の神様」は、黒々ふさふさした髪の毛に手をやりながら、
「お前のおかげで、これこの通り・・・わしの悩みは解消した。・・・ついてはお前の悩みを解消してやろう・・・・お前の願いはなんじゃ?」
「私は、このふるさとに帰って何でも食べれるようになりたいのです。」
それを聞いた「山の神様」・・・・ちょっと考えて・・・・・・
「それはお前が祭りをおろそかにしていた時のこと・・・・いまのお前なら何の咎めもないことだから、何でも食べられるようにしてやるが・・・おまえが最初、神をおろそかにしたのはその右のほっぺたのこぶのせい!・・・そのこぶを取ってやろう!」
こうして、何でも食べられるようになった「 こんぶとり爺さん 」・・・・右のほっぺたのこぶも取ってもらいましたが、どうも痩せていたのは、「このこぶが必要以上の栄養を取っていたせい」、だったようです。
それからというもの・・・どんどんどんどん太り始め
「 こぶ爺さん 」から、「 昆布取り爺さん 」・・・・・そして「 こぶとり爺さん 」になっていまは・・・・・
「 小太りじいさん 」
になったというお話し・・・・・・めでたしめでた(神はなが~~い友達)
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