土曜日の今夜は、高校の「むつ・下北地区同窓会」です。
役員改選があるんですけど・・・誰か立候補してくれる人はいないかな?
私もそろそろ引退したいんですよ。
総いえば・・・居は商工会議所青年部主催の「はしご酒ラリー」があるんですよね?
二次会の会場、押さえておかなくて大丈夫かな?
「魔法の木」その43
森の中でカブトムシの王様と語り合っていると、帰りが遅いことを心配したニタリが迎えに来てくれました。
「何してるんだ?・・・みんな心配しているぞ・・・もう時間もないのに」
少し怒っていたニタリでしたが、そばにカブトムシの王様がいたので怒鳴るようなことはしませんでした。
「ああ、ゴキブリ妖怪のことは、カブトムシの王様やチャバネゴキブリさんにお願いして、預かってもらうことにしたんだ。」
「預かってもらうだって!・・・・そんなことをして大丈夫なのか?」
「ああ・・もし彼が改心できなくてまた暴れだしたとしても、君がこの国にいる・・・それも大臣としてだ。・・・ゴキブリ妖怪だけなら、君一人でも大丈夫でしょ?」
「え!妖怪退治が終わったらザウラブダグ城攻撃に、俺も道案内としていくんじゃないのか?」
「君はカラバ公爵の大臣として、この国を平和にしてもらわなきゃならない・・・ザウラブダグ城までの道筋も、わざわざ君に行ってもらわなくてもマチュピチュからの入り口があるんだから大丈夫さ。」
それまで二人の話を聞いていたカブトムシの王様が口をはさみました。
「ザウラブダグ?・・・・あなた方はこれからザウラブダグと戦いをなさるのですか?」
「はい・・・・ある国のお姫様がザウラブダグの魔の手に係り、誘拐されてしまったのをお救いもうしあげるために、私たちは魔法使いの代表として送り込まれてきたのです。・・・・・お姫様は太陽の魔法使いが機転を利かせて人形に姿を変え、ザウラブダグと結婚できないようにしておいたのですが、それだけでは心配なので、もうひとつ、”魔法使いと人間は結婚できない”という呪文もかけてあります。・・・・だから一刻も早くお姫様を助け出し、その王国の幸せと繁栄を作ってやらなければ・・・・」
突然のカブトムシの王様の質問でしたが、ノブは落ち着いてそう答えました。
その言葉を聞くと、カブトムシの王様は突然泣き出したのです。
「ザウラブダグは、この昆虫の王国でもひどいことをしているのです。・・・」
カブトムシの王様は座りなおして話を続けました。
「お気づきでしょうか?・・・・・この昆虫の王国では、今、アリもミツバチもいないのです。・・・・最初、働きアリや働き蜂たちがさらわれていったのですが、彼らは女王のために働く虫たちです。・・・そうしたら次はアリの女王、蜂の女王まで誘拐していきました。・・・・女王たちは牢獄に監禁されているようですが、そのことを脅しの材料に、働きアリも働き蜂も・・・奴隷のように使われているのです。・・・どうぞ、彼らも助けてやってください。」
カブトムシの王様は振り絞るような声でそういいました。
チャバネゴキブリもあとを続けます。
「王様はアリと蜂の話しだけしましたが、実はカブトムシの王子も連れ去られています。・・・・・何百匹、何千匹もの虫たちが連れ去られて、奴隷のように使われているのです。・・・・どうぞ、この国にも平和を取り戻してください」
その話しを聞き、ノブは決意を新たにしたのです。
ノブはいったんニタリを宿営地に帰し、自分は森の中にとどまりました。
まもなく「ゴキブリ妖怪」との約束の時間・・・10時です。
ブーーーーーン・・・・・どこからともなく不気味な羽音がしてきました。
その音がぴたっとやみ、一瞬の静寂が辺りをつつみました。
「お前一人で来たのではないのか?」
どこからともなく声が聞こえてきました。
「お前は、魔法使いの力がどのようなものか知ってるはずだ・・・・お前が今一人できたのなら、僕がお前をたやすく捕らえることがわけないということを、十分承知しているはず・・・・・それともほかの妖怪も一緒に来たのかい?」
「俺様は歴戦の勇者だ・・・・ザウラブダグ城をお前たちの仲間の猫又の魔法使いが攻撃してきたときにも、俺様はあの場所にいたんだ・・・そしてあいつらをやっつけた・・・・お前一人ぐらい、俺様一人でも十分だ」
「お前はそういうが、実際はザウラブダグ一人の力ではなかったのかい?・・・妖怪の力がそれほどあるなら、スノーホワイト城での攻防のとき、冬の魔法使い一人にやられるはずはないだろう?」
「ゴキブリ妖怪」は静かになってしまいましたが、ノブの話しは続きます。
「今日、黙ってこの時間になるまでここで待っていたのは、君が昆虫としての静かで平和な暮らしを望むなら、ここで預かってもらえないかと、昆虫の王様や仲間のチャバネゴキブリ君たちにお願いしていたからなんだ」
「何をこざかしい・・・・・こんな王国、俺がその気になれば、すぐにでも一人で占領して、俺様が王様になってやる」
「本当にそれができるかな?これだけの虫の仲間を敵にできるかな?」
ノブがそういうと、森のあちらこちらから姿の見えない虫たちが、いっせいに大声を上げます。
それは大地を揺るがすほどの大喚声でした。
そのとき、チャバネゴキブリが、姿の見えないゴキブリ妖怪に話しかけました。
「君は僕たちの仲間だから、ようくわかるんだ・・・・僕たちはもともとは気の弱い優しい虫さ・・・・それが君のようになった理由もよくわかってる。・・・・でも、もうそうやって肩をいからせている姿でいるのは疲れないかい?・・・・ここで僕たちと一緒に幸せな日々をすごさないかい?・・・もとの幸せなゴキブリに戻ろうよ」
しばらくの沈黙の後・・・・・森の北のほうの暗がりからゆっくりと「ゴキブリ妖怪」が現れました。
そして、一歩、歩くごとに妖怪の姿は薄れていき・・・・、ノブのところまで来たときには一匹の「ヤマトゴキブリ」に姿の戻っていました。
またひとしきり、大喚声が沸きあがったのです。
「俺も、この姿に戻っているときが幸せだったんだよ・・・・普通の虫に戻りたい・・何度思ったか知れやしない・・・俺がしたことを許してくれるのか?」
「もちろんだよ・・・・許すどころか、さっきザウラブダグの悪事の話を聞いていたんだけど、君のような戦士がこの国には必要なんだ・・・・ぜひ、この国を守ってくれ」
ヤマトゴキブリはほろっと涙をこぼしました。
そうすると、森のあちこちからすすり泣く声が聞こえてきたのです。
「みんな、君を喜んで迎えてくれるそうだ・・・・がんばってくれよ」
ノブがそういうと、ヤマトゴキブリがうなずいてくれたのです。
「でもひとつだけお願いがあるんだ・・・・お城に残っているネズミもカエルも・・・俺と同じようなさびしい奴らなんだ・・・・あいつらも何とか救ってくれないか?」
「ああ、もちろん戦って殺すことが僕の目的じゃないんだ・・・きっと助けるように努力しよう・・・約束するよ」
その夜は森じゅう、ヤマトゴキブリを仲間に迎えることができた喜びであふれかえっていました。
つづく
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