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2023年08月23日
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カテゴリ: 食事


 先日、激しく体を動かす作業をする事があり、その後、「今日は頑張ったからお腹が空いたでしょう」とたくさんの食事を用意されたのですが、「激しい運動のために食欲がなくなりました」と食事を辞退するという事がありました。子供の頃からよくあった事で、体が運動向きではないために起こる私自身の固有の事と思っていました。


 しかし、最近、米国のスタンフォード大学で激しい運動によって食欲が減少する理由が研究され、食欲の減退は私だけに限った事ではない事と、食欲減退に関するメカニズムを知る事となりました。


 「Nature」に掲載された論文によると、激しい運動を行わせたマウスの血液を採取し、検出可能なすべての成分の濃度を調べたところ、乳酸とアミノ酸の一種であるフェニルアラニンが結合した「Nーラクトイルーフェニルアラニン(NーLacーPhe)」が最も大きな変動を起こしていた事が判りました。


 過去の研究でもNーLacーPheの存在は知られていましたが、詳しい解明は行われておらず、その働きはよく判らない状態となっていました。そこで研究者たちは高容量のNーLacーPheをマウスに注射してみたところ、1時間ほどでマウスの体内から排除されてしまいましたが、その後、12時間に渡って食欲の減少が見られ、食事量も50%にまで低下する事が観察されています。


 食事の量は低下しましたが、エネルギーの消費量は変わらず、エネルギー効率は上がっている事が判り、10日ほど継続して肥満のマウスにNーLacーPheの注射を続けたところ、血糖値を下げる能力が改善し、体重も大きく低下する事が示されました。


 激しい運動を行うと大きなエネルギーが消費され、筋繊維に破損が生じます。それを回復するためにカロリーやタンパク質の摂取が必要となるので、どちらかといえば食欲を増進させなければならないのですが、NーLacーPheはその正反対の事をしているようにも思えます。


 人を使った運動後のNーLacーPheの測定では、最も多くの分泌が見られたのは短時間の全力疾走で、次に筋肉トレーニング、最も少ないのは軽度から中度の持久走となっていました。その事から激しい運動によって分泌されるNーLacーPheは、体に対して生存を脅かされる緊急事態にある事を知らせている可能性が考えられました。


 エネルギーの摂取は生存に欠かせない事ではありますが、緊急の状況下では優先度が低く、脅威を取り除く事が優先されます。短時間の全力疾走は脅威を遠ざける事に直結し、食欲を抑えてエネルギー効率を上げる事でその後の対応力が上がると考える事ができます。


 今後、研究者たちはNーLacーPheがどのようにして脳の食欲を抑えるのかについての解明を行うという事ですが、運動の後に食欲を失ってしまうという事が正常である事が判り、一安心したと同時に、あまり激しくない運動でも食欲を失いやすい私は生存に適しているのかもしれないと思ってしまいます。






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最終更新日  2023年08月23日 07時57分46秒
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