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サンガンピュールの物語(生い立ち編)6話

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 日本の土を踏んで1ヶ月ほど経っただろうか。彼女はKの家でのんびり過ごしていた。今日の勉強は休みのようだ。Kは仕事中であった。東京へ通勤するために、彼は朝7時少し前には家を出ていなければならない。それで彼女はKが出かけた後は、彼女にとっては新鮮に見えるテレビ放送を見るなど、いつも暇で仕方がなかった。

 そんなときであった。サンガンピュールが自分の力を発揮する時が突然やってきた。彼女は暇で仕方がなかったため、見慣れない町を散歩していた。その時だった。町の大通りをパトカーが猛スピードで駆け抜けていった。疑問に思った彼女はすぐパトカーの後を追った。
 追跡してたどり着いたのは、土浦の町の中心部にある銀行であった。聞くところによると、銀行強盗による事件があったのである。犯人は銀行の店内に立てこもっており、警察の説得を無視している。彼女は直ちに現場へ急行した。
 彼女は習得したばかりのたどたどしい日本語を使って、警戒にあたっていた警官に話を聞いた。どうやら犯人は1人で、銀行員を人質に立てているようである。

 犯人は、邪魔をしたら人質を殺すと警告してきた。緊張の空気が犯行現場を支配していた。サンガンピュールはどの方法で効率的に、早く事件を解決させるかの回答を迫られた。時間の猶予はない。彼女は拳銃(グロック26)を右手に持ち、すぐに銀行内に突入できるように準備した。そして…。

 彼女はせきを切ったように銀行に突入、そして犯人に向けて2発の銃弾を放った。1発目は犯人の拳銃に、そしてもうひとつは犯人の右手首に当たった。人質の銀行員は無事であった。犯人は倒れている。そしてサンガンピュールは、
 「そこまでだよ、動くな!」
 と言ってライトセーバーを犯人に向けた。右手首をけがした犯人は「もう勝ち目はない」と判断し、降参してしまった。そして彼女によって警察に突き出されたのだ。こうして事件は解決したのである。

 当時若干10歳の少女が、自らの超能力でもって強盗事件を解決したニュースは、茨城県中に広まった。仕事中だったKも、彼女が事件を解決したと聞いて大変に驚き、そして大いに喜んだ。まるでわが子のことのように。
 彼女は勇気と大胆さが賞賛され、茨城県警察から感謝状を送られた。それだけでなく彼女は、本来ならば銃刀法により取り締まられるライトセーバーと拳銃についての特別使用許可も受けた。警察署の中で表彰を受けたサンガンピュールの隣には、彼女の保護者であるKもいた。
 その後も彼女は日本語の学習と平行して、土浦市内のいくつかの窃盗(あるいは未遂)事件を解決に導き、土浦市での評判も上々のものとなった。

 ( 第7話 に続く)


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