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2023年12月14日
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カテゴリ: 中国、台湾
 2027年の中国政府の債務残高は地方政府の債務統計に反映されない「隠れ債務」の急増により、日本に次ぐ世界2位(GDP比149%)となるとみられている。
 中央政府による不動産バブル潰しで地方融資平台 による隠れ債務が地方政府で顕在化することが見込まれている。
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2023年07月27日 三浦有史 日本総研
 中国の政府債務残高は、地方融資平台(Local Government Financing Vehicles:LGFV) による隠れ債務の増加により、2027 年に GDP 比 149%と、日本に次ぐ水準となる見込みである。
■LGFV は隠れ債務の元凶
 地方政府に代わって都市インフラ整備のための資金調達を担う LGFV は、中国国内でも地方政府の債務統計に反映されない「隠れ債務」を増やす元凶と見なされている。LGFV は「暗黙の政府保証」のもとで、債務を急速に増やしている。国際通貨基金(IMF)は、LGFV を含む中国全体の債務を独自に推計している。それを整理すると、次のことが指摘できる。
 第 1 は、LGFV が地方政府全体の債務残高を増やす主因となっている ことである。2018 年時点で 35 兆元、GDP 比 38%であった LGFV の債務残高は 2023 年に 66 兆元、同 53%と、GDP 比で 15%ポイントの上昇となる見込みである。一方、地方政府債務残高は 18 兆元、GDP 比 20%から、40 兆元、同 32%へと増加するものの、GDP 比で 12%ポイントの上昇にとどまる。LGFV の増加幅は地方政府債務より大きく、LGFV と地方政府債務を合わせた地方政府全体の債務残高はLGFV によって押し上げられたといえる。
 第 2 は、隠れ債務がもはや「隠れ」という形容に相応しくない規模になっている ことである。2018 年の隠れ債務は 41 兆元(GDP 比 44%)で、中央政府と地方政府を合わせた政府債務 33 兆元(同 36%)との差は 8 兆元(同 8%ポイント)であったが、隠れ債務の増加ペースが政府債務を上回ったため、2023 年の隠れ債務は 82 兆元(GDP 比 66%)となり、政府債務の 69 兆元(同55%)との差は 13 兆元(同 11%ポイント)へと、一段と拡大した。
 第 3 は、LGFV が広義の企業債務残高を押し上げている ことである。ここでいう広義の企業債務とは、企業債務に LGFV 債務を加えたものを指す。経済主体別にみると、債務残高そのものは企業が最も多い。しかし、2018~23 年の企業債務残高の増加幅は GDP 比でみると 8%ポイントの上昇にとどまり、LGFV の 15%ポイントを下回る。LGFV は国有企業であるため、このことは国有企業が興隆する一方で、民営企業が衰退する「国進民退」が進んでいることを表している。
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■政府債務は 2027 年に日本に次ぐ水準に
 LGFV の債務残高の増加は、国際的にみた中国の政府債務の位置づけにも大きな影響を与える。中国の政府債務については、地方政府債務の急拡大が懸念材料であるものの、中央政府の債務増加が抑制的であるため、全体としては深刻な水準にあるとはいえない、とされてきた。IMFの世界経済見通し(2023年4月)によれば、2022 年の中国の政府債務残高は GDP 比 77%と、データの採れる 188 カ国中 57 位で、日本(261%、1 位)、イタリア(145%、5 位)、米国(122%、12 位)、スペイン(112%、18 位)、フランス(111%、19 位)を大きく下回る。
 しかし、4 兆元の景気刺激策が実行される前の2008 年から IMF が予想する 2027 年までの約20 年間の GDP 比でみた政府債務残高の増加幅と、それに伴う 2027 年の国際社会における政府債務残高の位置づけをみると、上述の評価はもはや妥当とは言えない。世界経済に与える影響が大きいG20を比較対象とすると、 中国の政府債務残高の増加幅は74%ポイントと、日本の 81%ポイントに次ぐ高さ で、英国(64%ポイント)、米国(61%ポイント)を上回る。2027年の政府債務残高は GDP 比 101%と、G20 のなかで 6 位となる。
  ―  引用終わり  ―
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 12月5日、中央・地方政府の債務増を懸念し、ムーディーズ、中国格付け見通し「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。
 中国に対する「A1」の長期格付けは据え置かれた。ムーディーズは、地方政府などへの支援に向けた財政刺激策の活用が中国経済にリスクをもたらしつつあると分析した。
 2023年は記録的な債券発行となる方向で、中国の債務水準を巡る懸念は高まっている。
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債務問題を懸念
ロイター  2023年12月5日
 格付け会社ムーディーズは5日、中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
中期的な経済成長率の低下や不動産部門の縮小が理由。
 ムーディーズは中国の成長減速・債務増加見通しを踏まえ2017年に格付けを1段階引き下げA1とした。それ以来の調整となる。
 長期自国通貨建て・外貨建て発行体格付け「A1」は据え置いたが、GDP伸び率は24年と25年に4.0%に減速し、26─30年には平均3.8%に低下すると予想した。
 見通しの変更についてムーディーズは、 中国当局が債務問題を抱える地方政府や国有企業への資金支援を迫られることが予想され、中国の財政、経済、構造的強さに広範なリスクを与えている ためと説明。
 さらに「中期的な経済成長の構造的・持続的低下や、現下の不動産部門縮小に関連したリスク」も見通しの引き下げ要因とした。
 国際通貨基金(IMF)の最新データによると、地方政府債務は22年に92兆元(12兆6000億ドル)、国内総生産(GDP)比76%で19年の62.2%から上昇した。
  ―  引用終わり  ―









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最終更新日  2023年12月14日 06時00分12秒
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