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スリランカでは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」関連で巨額のインフラ投資が行われ、それに伴って対中債務が増大。スリランカの対中債務は33億8千万ドル(約3900億円)。 親中スリランカで非常事態宣言経済危機2022年4月2日 iZa インド洋のスリランカは1日、経済危機に反発する市民の抗議活動が拡大していることを受け、全土に非常事態を宣言した。対中債務返済に苦しむスリランカは外貨が急激に減少し、物資不足が深刻化。市民の不満が拡大している。 ラジャパクサ大統領は宣言について「公共の秩序を守り、必要な物資やサービスを維持するために必要」と主張した。 スリランカ経済は新型コロナウイルス流行による観光業の打撃や無計画な減税などにより、急速に悪化している。輸入代金の決済や対外債務支払いに使う外貨準備高は1月末時点で約23億ドル(約2800億円)で2年間で7割落ち込んだ。 国内では発電用の燃料が足らず、3月31日には13時間の計画停電を実施した。医療品不足も拡大している。同日には最大都市コロンボで不満を抱いた市民が大統領官邸を襲撃し、約50人が逮捕された。 スリランカ政府は国際通貨基金(IMF)の支援要請に向けた調整を進めているが、事態の好転につながるかは不明だ。 ― 引用終わり ― 貸出資金不足で中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)の出番はないのだろう。 中国政府が赤字の担保物件としてスリランカのインフラを引き取ったとしても、経済の混乱は収まらない。 アジアーインドーアフリカに不良債権化したインフラを抱えて、中国共産党は嬉しいのだろうか。 アジア開発銀行(ADB)が発表した2021年版の報告書によれば、アジアの新興経済は成長を維持するには今後10年間でインフラ投資を最大26兆ドル(約2,930兆円)必要としている。 あまりにも莫大な金額で、ADB(アジア開発銀行)とAIIBを足しても全く足りない規模の資金需要だ。採算のとれないスリランカのインフラに回す金はなさそうだ。
2022年04月12日
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3月5日、中国で全国人民代表大会(全人代)が、北京で開始された。 李克強首相は今年の経済成長率目標を「5.5%前後」に設定すると表明した。国内外の情勢から「リスクは著しく増加している」としつつ、今年秋の共産党大会に向けて政権基盤を安定させるため、事前の市場予想よりやや高い強気の数字を提示した。 2021年は6%以上としており、中国経済の減速は明らかになった。 李克強氏が危機感中国経済には「三重の圧力」…全人代で「施政方針演説」2022/3/5 讀賣新聞オンライン【北京=小川直樹、大木聖馬】 中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が5日午前、北京で開幕した。 李克強(リークォーチャン)首相は施政方針演説にあたる政府活動報告で、2022年の実質国内総生産(GDP)の成長率目標を「5.5%前後」にすると表明し、21年の「6%以上」から引き下げた。新型コロナウイルスの感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策や不動産市場の低迷による景気減速を考慮したとみられる。 21年の成長率は8.1%だったが、コロナ禍で20年が2.2%にとどまった反動が大きかった。今年後半の中国共産党大会で習近平(シージンピン)国家主席が異例の3期目政権を順調に発足させるため、経済の安定を最優先する姿勢が浮き彫りになった。 李氏は政府活動報告で、中国経済は需要の縮小とサプライチェーン(供給網)の目詰まりといった供給ショック、経済の先行きに対する市場の期待の後退という「三重の圧力にさらされている」と危機感を示した。 その上で、経済対策として、2兆5000億元(約45兆円)規模の増値税(付加価値税)還付を含む巨額減税など企業負担の軽減策を打ち出した。 地方政府がインフラ(社会基盤)投資などに充てる地方特別債の発行額は3兆6500億元(約66兆円)と前年並みとした。 GDPに対する財政赤字の比率は2.8%前後とした。李氏は新たな下押し圧力を受けているとして、「今年はあくまで安定を最優先とする」と述べた。 ― 引用終り ― 経済が減速する一方、中国の2022年の国防予算案が前年比7.1%増の1兆4504億5千万元(約26兆3400億円)と過去最大規模とされた。 国民の内政の不満の目を台湾、南シナ海、東シナ海など外交に向けようとする政策は続く。 習近平主席は、「違法な米英の制裁下にあるロシアを経済・貿易面で支援する」よう指示した2月27日に報じられており、中国はロシア、北朝鮮とともに世界経済からの孤立化の道を歩もうとしている。
2022年03月22日
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恒大集団のデフォルトに続く、中国不動産大手のデフォルトが発生しそうだ。 上海証券取引所に上場している不動産開発大手の華夏幸福基業股フェンの2021年12月期の純損失が、300億円を超す見込みであることが報じられた。 不動産所有の市民は保護されるようだが、政府による企業の延命策はとられないのだろう。 不動産開発大手の華夏幸福基業股フェン2021年12月期の純損失が300億元を超える見込み2022-02-01 サーチナ 上海証券取引所メインボードに上場している不動産開発大手の華夏幸福基業股フェン(華夏幸福)(600340/上海)は、2021年12月期の純損失が300億円を超す見込みであることを明らかにした。 同社が1月28日に発表した2021年12月期の業績予告によれば、純損失は331億~391億元に達する見込み。 2020年12月期は純利益36億6500万元だった。同社は2021年2月以降債務不履行を繰り返しており、大幅な純損失となった理由について「マクロ経済環境、業界環境、信用環境に新型コロナの影響が重なり、会社の流動性が2020年10~12月期より段階的に逼迫する用になり、債務を期限までに償還できない状況が発生、融資業務はほぼ停滞し、会社の経営に深刻な影響を与えた」と説明し、2021年12月現在で期日通りに償還できていない借款が1078億元に上っており、これに違約金や遅延利息が加わって損失が一層増加したとしている。 また、主業務である産業ニュータウン建設事業では地方政府のプロジェクト凍結、資金投入の遅滞に伴う着工や生産開始の遅れが相次いで収入が大きく減ったとした上で、2021年12月に債務の株式化(DES)計画を立ち上げ、合意締結に向けた作業を進めており、同社の持続的な契約履行能力に対する各地方政府の信用回復に努めていると伝えた。 さらに、同社が3億ドルあまりを投資していた資金運用会社の中科創資本と連絡が取れなくなり、昨年12月に警察に通報したトラブルについても損失見込みに組み込んでいることを明らかにした。 ― 引用終り ―
2022年02月14日
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中国企業がデフォルト(債務不履行)になったらどうなるのか? 中国恒大集団 事実上のデフォルトか2021/12/7 テレ朝ニュース 経営危機にある中国の不動産大手「恒大集団」を巡り、複数の債権者が期限を迎えた利払いを受けていないと報道されました。事実上のデフォルト(債務不履行)に陥った可能性があります。 ロイター通信は関係者の話として、複数の債権者が7日に猶予期限を迎えた利払いを受けられなかったと報じました。 巨額の負債を抱える恒大集団は経営危機が報じられて以降、期限ギリギリでの利払いを繰り返していましたが、今回初めてデフォルトに陥った可能性があります。 ― 引用終り ― 12月9日、格付け会社フィッチ・レーティングスは、米ドル債の利払いを確認できなかったため、中国・恒大集団の格付けを部分的なデフォルトに認定したと発表した。 12月17日、S&Pが恒大集団をデフォルトと判定し、格付けを下げた。 S&P、中国恒大をデフォルト判定ドル建て債の利払い不履行2021年12月17日 REUTERS 大手格付け会社S&Pグローバルは17日、中国の不動産開発大手、中国恒大集団を正式にデフォルト(債務不履行)したと判定した。 S&Pは声明で「中国恒大集団とオフショア金融部門の天基控股は米ドル建てシニア債の利払いを実行しなかったとみなす」と表明。 また格付けを「一部不履行(SD)」に引き下げた後、中国恒大から格付けの撤回要請があったと明らかにした。 ― 引用終り ― 世界の金融市場は恒大集団のデフォルトを「織り込み済み」ということなのか、動揺を全くみせていない。
2021年12月25日
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中国共産党以外の権力を認めない政策が続いてる中国で、金融引き締め等の政策により不動産大手の恒大集団の米ドル建て社債が債務不履行となろうとしている。 12月3日、中国恒大集団は、2・6億ドル(約290億円)の債務保証の履行ができない可能性があることを明らかにし、債権者と協議して海外の債務再編案を策定すると発表した。 これをうけ、12月6日、中国恒大集団は経営危機に対処するため「リスク管理委員会」の設置を決めたと発表した。 メンバーに恒大が本社を置く広東省の政府系投資会社の幹部らが加わる。 香港株式市場で12月6日、デフォルト(債務不履行)が懸念される恒大集団の終値が前週末比19・56%安の1・81香港ドルとなり、2009年11月の上場以来、最低を記録し、下落率は一時20%に達した。 中国恒大、初のデフォルトか「投資家、利払い受けられず」報道2021/12/07 毎日新聞 経営危機に陥っている中国不動産大手、中国恒大集団は7日、米ドル建て社債の利払い期限を迎えた。ロイター通信は、複数の投資家が利払いを受けられなかったと報じており、初の債務不履行(デフォルト)になった可能性がある。恒大の負債総額は6月末時点で1兆9665億元(約35兆円)。地元広東省政府の関与の下、海外の債権者との債務再編協議を目指しており、事業は当面継続される見通しだが、先行きは予断を許さない。 今回、利払い期限を迎えたのは8249万ドル(約90億円)分。11月6日の期日までに支払うことができず、30日間の猶予期間に入っていた。恒大は9月下旬以降、ドル建て社債の利払い期日が相次いで到来。これまでは支払期日を過ぎても、30日間の猶予期間以内に支払いを済ませて債務不履行を回避していた。 しかし、同社は今月3日夜、新たに2・6億ドル分の債務保証を求められていることを明らかにした上で、債務再編に向けて海外の債権者と協議に入ると発表。今回の利払いだけを優先すると、他の債権者の理解が得られなくなるため、恒大の判断が注目されている。 債務再編協議では、返済期限の延長や債権カットなどが話し合われる見通しだ。だが、中国当局は国内の取引先や住宅購入者の保護を優先する姿勢を示しているため、海外の債権者がこれに反発して協議が難航する可能性もある。 ― 引用終り ― 12月6日のドル建て社債利子は8249万ドル。 続いて28日、2億4300万ドル、2022年1月4億1500万ドルの利払いが予定されている。 中国金融通貨当局は恒大集団の問題は金融システム問題に拡散はしないだろうと説明した。 中国の中央銀行である人民銀行は声明で「不動産会社(恒大グループ)の短期的な危険が中長期的に市場の正常融資機能に影響を及ぼさないだろう」という立場を明らかにした。 中国銀行監督管理委員会は「恒大グループの負債のうち金融圏が占める割合は3分の1ほどにとどまる。(恒大グループの負債は)構造的に分散している」と伝えた。 中国の中央政府は、恒大集団のデフォルトをやむなしとみている。
2021年12月14日
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不動産バブル潰しは現在の中国政府の優先事項だ。 不動産大手の恒大集団がいよいよデフォルトとなろうとも方針を貫くかと思われたが、中国政府は、当初から海外債券については慎重であった。 12月4日、恒大集団が広東省政府や中国人民銀行(中央銀行)など政府の全面的な監督・指導のもとで、外貨建て債務の再編を目指すことになったと報じられた。 中国政府は金融システム不安への波及や市場の動揺、取引先の連鎖破綻などを回避すたい意向とみられている。 どのようにハードランディングを避けるのか成り行きに注目したい。 中国恒大、海外債権者と協議へ…広東省政府はリスク処理作業チーム派遣2021/12/04 読売新聞 経営危機に陥った中国不動産大手、中国恒大集団は3日夜、外貨建て債務の再編案づくりに向け、海外の債権者と協議に入ると発表した。広東省政府など中国の関連当局も、事態の深刻化を抑えるために動き出した。 発表によると、恒大は巨額債務の返済を続ける資金が十分にあるか「不確定」とし、債権者から新たに2億6000万ドル(約300億円)の債務保証を求められたことを明らかにした。返済期限の延長や債務の削減といった返済条件の見直しを求める考えとみられるが、難航が予想される。 恒大が本社を置く広東省政府は3日夜、恒大の許家印会長を呼び出して事情を聞き、リスク処理や内部管理体制の強化を担う作業チームを派遣すると発表した。中国人民銀行(中央銀行)などの金融当局も、広東省政府をはじめ関連当局と協力して対応にあたる方針を示した。 ― 引用終わり ―
2021年12月14日
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中国では政府による不動産業界の締め付け強化に伴い、多くの不動産会社が経営難に直面している。 不動産業界全体の資金繰りが悪化するなか、中国政府は民営不動産会社の支援には消極的だ。不動産大手の恒大集団に世界の注目が集まっているが、中堅以下の不動産会社は資金供給を絶たれ破綻している。 中国不動産会社の「資金繰り」国有と民営で明暗政府の指導で貸し渋りは緩和しつつあるが…2021年12月3日 東洋経済オンライン 中国では不動産大手の恒大集団(エバーグランデ)の経営危機をきっかけに、金融機関がリスク回避のために不動産会社への融資を一斉に絞ったことから、不動産業界全体の資金繰りが急速に悪化した。 この問題に対し、中国政府は不動産会社の合理的な資金需要に応えるよう金融機関への指導を重ね、ここに来て資金調達環境は改善の兆しを見せている。調査会社の中指研究院によれば、11月1日から23日までに中国の不動産会社が発行した無担保社債の総額は425億元(約7646億円)と、10月の発行総額の3倍を超えた。 しかしその内訳を見ると、国有不動産会社と民営不動産会社で明暗がはっきりと分かれている。財新記者の調べによれば、11月に社債を発行した20社余りの不動産会社のうち民営企業は1社だけで、その他はすべて中央政府または地方政府の傘下の国有企業だった。 「現時点では、不動産市場の景気はまだ下り坂の途中にある。不動産会社のリスク抵抗力が全体的に低下するなか、(政府の後ろ盾がある)国有企業のほうが金融機関の支援を得やすい状況だ」。中指研究院のレポートはそう分析する。 ■身を切る「自助努力」が支援の前提 逆に言えば、民営不動産会社の資金繰りは依然、改善されていないということだ。不動産市場の冷え込みが強まるなか、民営不動産会社の多くは保有資産の売却、株主からの借り入れ、既存債務の返済繰り延べなどの(痛みを伴う)「自助努力」により、債務削減と投資資金の早期回収に奔走しているのが実情だ。 ― 引用終り ― こうした国有と民営の落差の裏には、政府の意向も働いているとみられる。広東省政府系の住宅政策シンクタンクの主任研究員を務める李宇嘉氏は、経営危機に陥った民営不動産会社を「経営管理がずさんで、盲目的な借り入れ拡大と業務多角化に走っていた。まずは(政府に頼らず)自分の資産を処分してツケを払うべきだ」と突き放す。そして、身を切ることが金融機関の信任を得るための前提条件だと指摘する。 大手証券会社の申万宏源証券が11月22日に発表した調査レポートは、今後の見通しについて次のように分析した。 ― 引用終り ― 不動産会社の破たんで大きな影響を受けるのは、富裕層の投資家。 深刻な影響を受けるのは居住用として購入した市民。 富裕層を撲滅して細民を住宅難から救済するため、国有と民営の資金供給は使い分けられている。経済、社会の安定は、十分ではないかもしれないが、考慮されている。 中国政府は意図的に経済を失速させることで、沸騰した経済のソフトランディングと、共産党の反対勢力の削減をすすめている。 中国・習近平主席の統制強化策の行く末 不動産市場は“地獄の1丁目”に2021年12月7日 マネーポストWEB … (略) … 中国共産党は11月11日の「第6回全体会議(6中全会)」で、結党100年を迎えた党の歴史を総括する「歴史決議」を採択した。中国でこれまでに同決議が採択されたのは毛沢東時代の1945年と鄧小平時代の1981年の2回だけであり、40年ぶりの決議採択によって習近平国家主席は「核心」としての地位を盤石とし、来年秋の党大会における異例の3期目続投を確実にして“終身統治(永久皇帝)”も視野に入れたと報じられている。 だが、このところ習政権が矢継ぎ早に繰り出している統制強化策は、非常に近視眼的で了見が狭い“歴史に残る愚策”ばかりだ。 一例は不動産規制である。過熱した不動産市場を抑制するため、夏頃から需要抑制策として住宅ローン総量規制や住宅購入規制を行ない、供給抑制策として不動産企業の資金調達条件を厳格化した。その結果、急速に不動産市場が冷え込んで不動産企業の信用不安が深刻化し、恒大集団や花様年、新力などが経営破綻の危機に直面している。日本も1990年以降、似たような総量規制や窓口規制を行なってバブル崩壊への道を辿ったが、いま中国は同じ轍を踏もうとしているのだ。 あるいは、巨大IT企業に対する締め付け。たとえば、昨年11月に電子商取引大手アリババグループ傘下のフィンテック企業アント・フィナンシャル(現アントグループ)の新規株式公開(IPO)が中止に追い込まれた。同グループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が中国の金融制度を批判したことに当局が激怒して介入したとされる。 さらに、パソコン大手のレノボグループ(聯想集団)が今年10月、上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」に中国預託証券(CDR)の上場を申請した後、すぐに撤回した。理由は明らかにされていないが、レノボ創業者の柳伝志氏はアリババの馬氏の支援者として知られ、柳氏の娘の柳青氏が総裁を務める配車アプリ大手の滴滴出行(ディディ)が6月にアメリカで上場した際は中国政府に「国家安全法」に基づいてスマホアプリのダウンロード停止などを命じられているから、今回もアントと同じく当局が介入したことは想像に難くない。 ― 引用終り ―
2021年12月12日
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CDP世界第2位となった中国の経済成長の減速は、人民解放軍の海外でのプレゼンスの強化とともに、世界の政治経済の不安定要因となっている。 中国経済が“四重苦”で減速、習近平の「経済より政治優先」が原因真壁昭夫:法政大学大学院教授2021.11.9 DIAMOND online 習近平主席は、来年の党大会で3期続投を確実にすることを目指している。そこで貧富の差をなくすために「共同富裕」の政策を打ち出した。当面、(1)不動産市況の悪化、(2)不安定な電力供給、(3)コロナ感染再拡大、(4)経済よりも政治を優先する政策という4つの重しによって、中国経済はさらに減速するだろう。それは、わが国をはじめ世界経済にとって無視できないマイナス要因だ。(法政大学大学院教授 真壁昭夫) … (略) …共産党政権は3回目の“パラダイムシフト”を迎えた 中国の政治も経済を圧迫している。22年秋の党大会が近づく中、習政権は経済環境の安定を急いでいるようだ。同氏は国全体で豊かになる考えを世論に示し、求心力を維持強化したい。その考えが不動産企業への規制やIT先端企業への締め付け強化につながった。 別の見方をすれば、中国は国家運営の大きな変革期を迎えつつある。中国政治の専門家の一人は、「共産党政権は3回目の“パラダイムシフト”を迎えた」と指摘していた。 一つ目の変革期は1966~76年の「文化大革命」の時代だ。当時、毛沢東は政治面での失地回復を目指して言論を弾圧し、自らの思想を国全体に徹底的に浸透させた。その結果、経済は疲弊した。 二つ目の変革が78年に始まった「改革開放」だ。文化大革命後、政治基盤の安定を手に入れた鄧小平は、経済成長をより重視した。重厚長大分野では経済特区が設けられて外資からの技術移転が進み、国営・国有企業が成長した。IT関連を中心に民間企業の設立も認められた。民間企業はその後30数年間の中国経済の成長を支えた。 現在、中国は3回目の変革期を迎えたといえる。 習氏は改革開放によって拡大した貧富の格差を是正するために、民間企業の創業経営者への締め付けを強めている。不動産業界では主要先進国が行うような公的資金の注入など本格的な救済とは異なり、主に各社が資産を切り売りして債務削減が進む。 それによって、共産党のテクノクラート(技術官僚)は経済の安定を実現し、その上で半導体やAIなどの先端分野に生産要素を再配分し、新しい需要を創出しようとしていると考えられる。 ― 引用終り ― ITテクノロジーの活用で多数の国民を管理・統制する仕組みを作った中国共産党は、全能感を味わい、世界の中国化を進めているようだ。逆らう者たち、中国共産党の方針に従わないものを教化、「更生」させる活動を含めて、ジョージ・オーウェルが『1984年』で描いたディストピアが実現しつつある。 習主席は『1984年』に登場する「ビッグ・ブラザー(=偉大なる同志)」となることを目指しているのだろう。 人類が実現したことがない、中国共産党による「理想社会」の実現のためには、経済成長率の低下など些細な事なのだ。
2021年12月03日
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不動産価格の過熱を冷却しようと取り組んでいる中国政府は、恒大集団の破綻を避けようとしていないようだ。 恒大集団の創業者は許家印氏。 中国当局が債務削減のために個人資産を使うよう許氏に求めたことが報じられた。また、米国のブリンケン国務長官が10月上旬、恒大問題の悪影響が世界経済全体に波及しないよう「責任ある行動」を中国政府に求めたこともあり、中国当局は許氏や恒大集団への圧力を強めているとみられる。 中国恒大、必死の資金繰り創業者豪邸、美術品も売却2021/11/16 産経新聞 巨額債務で経営危機に陥った中国不動産大手、中国恒大(こうだい)集団が、債務不履行(デフォルト)回避へ保有資産の切り売りを急いでいる。創業者の豪邸を抵当に入れたほか、美術品やプライベートジェット機の売却も伝えられる。6月末時点で1兆9665億元(約35兆円)という負債総額からすると焼け石に水と指摘され、デフォルトはすんでのところで免れているが綱渡りの資金繰りが続く。 ― 引用終り ― 投資、経済の過熱を冷ますことの政府の優先順位は高く、多少の経済の不振はやむを得ないとしている。 このことは日本経済のコロナ禍からの回復に影響するとの見方がある。 どうやら投資の過熱=過剰債務問題であることに気付いた政府が、実態経済への影響を最小限とすべく、できる限りのソフトランディングをはかっているようだ。 不動産投資の規制強化、融資規制の強化は、不動産業界にとってはハードランディングにつながる直撃弾だ。 コラム:中国・欧州経済に暗雲日本の輸出に「80兆円の壁」田巻一彦2021年11月15日 REUTERS 日本経済のけん引役である輸出の先行きに不透明感が漂い出した。欧州で新型コロナウイルスの感染拡大が顕著になり、数カ月先の景気スローダウンが確実視されているほか、日本にとって最大の貿易相手国である中国経済も、資源高・コロナ感染・不動産関連の混乱などで調整局面を脱し切れていない。このままでは年間輸出額がこの20年間で3回しか突破していない「80兆円の壁」を超えることは難しそうだ。 … (略) … <中国にのしかかる不動産減速とコロナ規制> 中国は、今年7─9月期のGDP伸び率が前年比4.9%増と今年1─3月期の同18.3%と比べると、大幅な「減速感」に見舞われている。15日に発表された10月鉱工業生産が、前年同月比プラス3.5%と前月の3.1%から加速し、10月小売売上高はプラス4.9%と9月の同4.4%から加速した。とは言え、今年初めの伸び率と比べればⅤ字回復には程遠く、調整局面から脱し切れていない。 そのことを端的に示すのが、新築住宅価格の動向だ。中国国家統計局が15日発表したデータに基づきロイターが算出した10月の主要70都市の新築住宅平均価格は、前月比0.2%下落。2015年2月以降で最大の落ち込みとなった。 また、北京市は、陸路の通関手続所がある国境地域を最近訪れた人は首都への往来を避けるよう勧告した。 中国では1カ月にわたり新型コロナウイルス感染拡大が続いており、中国当局は海外からのウイルス流入を懸念。症状が確認された国内感染者は1200人を超えている。 コマツの小川啓之社長は15日朝のテレビ東京の番組に出演し、同社の建機の稼働状況を見ると、中国だけが世界の他の地域と比べて稼働状況が低いとの見解を示していた。この点も中国経済の需要が供給能力に比べて弱いことを示していると解釈できる。 筆者は、足元でのコロナ感染拡大の兆しや中国不動産開発大手、中国恒大集団の不良債権問題に端を発した中国における過剰債務問題の表面化が、中国経済の成長力をじわじわと「浸食」していくと予想する。日本からの対中輸出が勢いを回復するのは年明け以降、かなり時間が経過してからではないとみている。 ― 引用終り ―
2021年11月28日
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中国政府は不動産価格の高騰を止めることを優先している。 不動産価格の上昇、市場拡大を前提に事業を拡大してきた恒大集団の存続は、極めて難しい環境となっている。 10月6日、中国恒大集団の子会社は米ドル建ての利払いを停止した。 中国政府はデフォルトの影響が海外に及んでも致し方なしとしたのか。 11月9日、恒大集団のEV部門が、EV量産を当局に届け出た。本業の住宅事業が厳しさを増す中、方向転換を示し時間稼ぎをするつもりのようだ。 中国EV市場は競争が激しく、新規参入者が成功できる見通しは暗い。 恒大集団は11月に入り、傘下のインターネットサービス会社を売却、英国のEV関連会社も売却を決めるなど、債務不履行回避のための資金捻出を急いでいる。 中国恒大子会社6日期限のドル債利払い履行せず=関係筋ロイター編集2021年11月8日 ロイター 中国不動産開発大手、中国恒大集団の子会社「SceneryJourney」が発行した米ドル建て債について、一部の債券保有者が6日に期限を迎えた利払いをアジア時間8日午前までに受け取れていないことが分かった。事情に詳しい関係筋2人が明らかにした。 同社は半年ごとの利払いを6日に実行することになっていた。30日間の猶予期間に入ることになる。利払い総額は2022年11月償還債(クーポン13%)と23年11月償還債(同13.75%)にかかる8249万ドル。 中国恒大はこれまで、同様の社債利払いを巡り、猶予期間が切れる直前に履行することでかろうじてデフォルト(債務不履行)を回避してきた。 今月10日には、先月11日に期日を迎えた1億4800万ドル超の利払いが猶予期間切れを迎える。 中国恒大の広報担当者からは今のところコメントを得られていない。 同社の株価は8日前場に0.9%下落。年初からは85%近く下げている。デュレーション・ファイナンスによると、同社のドル建て社債は額面を約75%下回る水準で取引されている。 ― 引用終り ― 中国国内では居住用不動産価格の上昇が続いていることなどから、不動産開発の新規参入は続き、完成前の居住用不動産購入が多数となっている。 一方、資金不足などによる不動産開発業者が破綻し建設途中で放棄された鬼城(ゴーストタウン)も増えている。 失うものが少ない国民が増えると、治安を中心に国は不安定化する。 住むところのなくなった住人たちの問題が多発しているようで、中国政府は不動産の負のスパイラルをとめようと懸命になっている。 【日本国内の不動産への影響】 国内の不動産が投資対象として不適となり、中国の資産家の不動産投資は国外に向かっているという。 一時的には不動産価格の上昇となるのだが、使用されない不動産は固定資産税の未納、空き家問題となって、日本国内に影響する。 北海道のニセコや第二のニセコとよばれている富良野のように、多数の不動産が外国人に所有される地域もある。 非居住者(外国人)の不動産取得・保有について、街づくりの観点からの法的な制限が必要と考える。
2021年11月15日
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東西冷戦時代、「鉄のカーテン」という東西両陣営の緊張状態を表す、英首相・ウインストン・チャーチルが語った言葉があった。 それにならって、アジアの社会主義国と資本主義国と境界をしめす「竹のカーテン」という言葉があった。 鉄のカーテンの中心的存在はソ連で、竹のカーテンの中心的存在は中国。 10月18日、中国海軍とロシア海軍の艦艇計10隻が、津軽海峡を東に進み、日本海から太平洋に抜けたと、防衛省が発表した。中露の艦艇が同時に津軽海峡を通過するのを防衛省が確認したのは初めて。 津軽海峡は国際海峡のため、国際法上の問題はない。 中ソは長い間仲違いしていたが、中ロの時代となり、米帝と新たな対立軸をなしている。 国際紛争の観点では比較的静かな東アジアに波風を立てないで欲しいものだ。 中露艦艇、計10隻が津軽海峡を同時に通過2021/10/19 日テレNEWS24 防衛省によりますと、中国海軍とロシア海軍の艦艇、あわせて10隻が18日、津軽海峡を同時に通過しました。 防衛省によりますと18日、津軽海峡を通過したのは、中国海軍のミサイル駆逐艦など5隻とロシア海軍の駆逐艦など5隻のあわせて10隻です。 津軽海峡は、国際的な航行に利用されており、通過は認められていますが、中露の艦艇が一体となって日本の周辺海域を通過するのは異例で、津軽海峡を同時に通過するのも今回が初めてです。 中国軍は17日、アメリカ軍とカナダ軍の艦艇が台湾海峡を通過したことを批判した上で、「あらゆる脅威や挑発に断固対抗する」と対決姿勢を見せていました。 ― 引用終り ― 中国とロシアとはどちらも陸軍国であり、米英日が組むと脅威を感じざるを得ないのだろう。 海軍艦艇の連携は訓練が必要で、艦艇が一体となり船団となっても、艦隊として戦うことは難しい。 合同パトロールで中ロ連携は第一歩を歩み始めた。 中国は欧州への北極海航路の確立にも熱心なので、引き続き中ロ関係は進展していくと思われる。
2021年11月06日
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10月18日、津軽海峡を抜けた中ロの艦隊10隻が23日に大隅海峡を抜け、日本列島を半周した。 防衛省統合幕僚監部は、津軽海峡を抜け太平洋を南下した中国とロシアの海軍艦艇計10隻が、鹿児島県の大隅半島と種子島の間の大隅海峡を通過し、東シナ海に入ったと発表した。 防衛省が、中ロの艦艇が同時に大隅海峡を通過するのを確認したのは初めて。 中ロ艦が大隅海峡同時通過津軽海峡から日本半周―防衛省2021年10月23日 JIJI.COM … (略) … 同省統合幕僚監部によると、10隻は22日午後、高知県足摺岬の南約180キロの海域をを航行し、同日夜、大隅半島と種子島の間の大隅海峡を通過した。その後、東シナ海に進み、23日朝、長崎県男女群島の南南東約130キロの海域で艦載ヘリの発着などを実施。 ― 引用終り ― 10隻はミサイル駆逐艦などで構成される。 話題の中国・国産空母2隻(遼寧、山東)は飛行甲板の修理などでドック入りしているとされる。 米英の空母のように、人民解放軍は空母打撃艦隊で示威行動をとりたかったことだろう。 管轄海域情報~日本の領海~ > 特定海域 >特定海域
2021年11月05日
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中国の習政権がついに言論統制に踏み切った。 孫文先生の三民主義のかけらも感じられない行為。 民間企業の報道事業禁止へ=言論統制強化―中国2021年10月9日 時事通信 中国政府は8日、民間企業が報道事業を行うことを禁止する方針を示した。国家発展改革委員会が、市場参入を制限する分野を列挙した2021年版「ネガティブリスト」案に盛り込んだ。 共産党・政府が直接コントロールできる国営メディアにだけ報道を認め、言論統制をさらに強化する狙いがあるとみられる。 ネガティブリスト案では、民間企業(非公有資本)が新聞社、通信社、出版社、テレビ局、ネットニュース運営会社を設立し、取材、編集、放送業務に従事することを禁じる。 また、政治、経済、軍事、外交、重大な社会問題、文化、科学技術などさまざまな分野で世論を誘導する活動や実況中継を禁止。海外メディアのニュースの引用やフォーラムの開催も認めない。 同案に対する意見募集手続きを今月14日まで行う。 ― 引用終り ― 意見募集を行うのは民主的な手続きのように見えるがもちろん異論がある者を取り締まるための罠。 たとえ賛成意見であっても、慎重に述べねばならない。 1957年2月27日、毛沢東が呼びかけた中国共産党に対する批判の声の募集は、反右派闘争から文化大革命(1966~1976年)につながる毛沢東に反対する者たちの粛清の始まりだった。 1986年5月、中国国家での言論の自由化浸透を望んでいた胡耀邦総書記により、百花斉放の再提唱が試みられた。 同年9月に開催された六中全会にて、反発した保守派、長老グループにより棚上げされ、翌1987年1月16日の政治局拡大会議で胡総書記は失脚し、実現しなかった。 百花斉放、百家争鳴出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 百花斉放百家争鳴とは、1956年から1957年に中華人民共和国で行われた政治運動。 中国語では百花運動とも呼ばれる。「例え中国共産党に対する批判が含まれようと、人民からのありとあらゆる主張の発露を歓迎する」という主旨の内容であり、これを受けて国民は様々な意見を発表したものの、百花運動の方針は間もなく撤回され、結局この運動に釣られて共産党を批判した者はその後の反右派闘争で激しく弾圧された。 その後、共産党は「この運動は毛主席の共産党に反発する不満分子をあぶり出し、刈り取るための名策であった」と強弁した。 ― 引用終り ―
2021年11月05日
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大昔、米ソの覇権主義に第三世界の雄、中国が異を唱えた。 米中2大国家となり、世界最大の覇権主義国家は中国となった。 他国をインフラの建設で借金漬けにし、インフラと財政面から国の中枢を乗っ取る姿は、新しい帝国主義の出現を思わせる。 中国に孫文、毛沢東はいるが、マルクス、エンゲルスやレーニンはいない。 そして習近平主席がいる。 米軍、台湾軍を1年以上訓練か米紙報道 2021年10月8日 AFPBB News 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は7日、米国の特殊作戦部隊や海兵隊が、1年以上にわたって台湾軍を秘密裏に訓練していると報じた。中国の反発を招く可能性がある。 同紙が匿名の関係者の話として伝えたところによると、中国が米国と同盟関係にある台湾に対する威嚇を強める中、二十数人の米軍人が「少なくとも1年間」にわたり台湾の地上および海上部隊を訓練してきた。 この報道について、台湾国防部(国防省)はコメントを控えた。米国防総省のジョン・サプル(John Supple)報道官は肯定も否定もせず、米国は台湾の防衛上の必要性に基づいて台湾軍を支援していると述べた。 台湾メディアは昨年11月、台湾海軍司令部からの情報として、米軍が台湾の海兵隊や特殊部隊に小型艦艇や水陸両用作戦の訓練を行うために台湾入りしたと報道。WSJによる今回の報道は、この内容を裏付けるものとみられる。 当時、米国と台湾の政府関係者は台湾メディアの報道を否定し、米台が行っているのは双方間の軍事交流・協力だと強調していた。 ― 引用終り ― 香港の民主勢力をほぼ制圧した習主席は、台湾併合を宣言。 チベット、ウイグル、香港の次は台湾ということか。 習氏、台湾統一は「きっと実現」辛亥革命110年で演説2021年10月9日 AFPBB News 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は9日、辛亥革命(Xinhai Revolution)110年記念大会で演説し、台湾との「平和的統一」は「きっと実現されるだろうし、実現できる」と述べた。 習氏は、「国家の平和的な統一は、台湾の同胞を含めた国民全体の利益に最も合致する」として、「台湾の独立は、祖国統一の最大の障害で、深刻で隠れた危険だ」と警告。 「中国の完全統一はきっと実現されるだろうし、実現できる」と語った。 また、米国の特殊作戦部隊が1年以上にわたって台湾軍を秘密裏に訓練していることが関係者の話で明らかになったのを受け、習氏は「台湾問題は中国の内政にほかならず、いかなる外部からの干渉も許さない」と、他国の介入をけん制した。 ― 引用終り ― 国力の向上を背景に将来の統一への意欲と自信を強調したもので、台湾や米国などを強く牽制する発言。 1993年オーストリア・ウィーンで開かれた世界人権会議で採択されたウィーン宣言および行動計画で、「すべての人権の伸長及び保護は国際社会の正当な関心事項である。」と文書で確認された。 これは基本的人権の侵害にかんする見解の主張・批判的指摘が、内政干渉にあたらないことを示している。 習主席の中国はチベット、ウイグル、香港問題で人権問題に関する主張を「内政干渉」の一言で時間稼ぎを繰り返し、その間にも中国共産党の侵略主義はどんどん増強されていく。 統一派の台湾・国民党の苦悩は増すばかりだ。 内政不干渉の原則出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 内政不干渉の原則(ないせいふかんしょうのげんそく)とは、国家は国際法に反しない限り、一定の事項について自由に処理することができる権利をもち、逆に他国はその事項に関して干渉してはならない義務があるという、国家主権から導出される原則をさす。 そして、こういった国家が自由に処理できる事項のことを、国内管轄事項または国内問題という。 ― 引用終り ―
2021年10月26日
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中国は貧富の格差是正に動いている。 企業の体力が低下しようと、情報の独占を規制し、脱炭素への取組を推進している。 不動産市況の是正もその一つとなっている。 恒大集団の経営危機、デフォルトは、中国の不動産市況、不動産投資家に冷水を浴びせる絶好の機会とも考えられる。 恒大危機、世界市場にリスク中国政府に対応促す―IMF報告2021年10月12日 JIJI.COM 国際通貨基金(IMF)は12日、世界の金融システムの安定度を分析した報告書を発表した。 経営危機に直面している中国不動産開発大手・中国恒大集団について「デフォルト(債務不履行)への懸念が市場で高まっている」と指摘。中国経済をけん引してきた不動産業界全体に危機が波及すれば「世界の資本市場に影響を及ぼす」と警告した。 恒大は多額の借り入れと積極的な投資で急成長したが、住宅価格の高騰を受けて中国政府が不動産業界への融資引き締めを強化したために資金繰りが悪化。IMFは報告書で、恒大の負債総額が約3040億ドル(約34兆円)に達し、今年半ば以降に株価が7割以上下落したと説明した。 ― 引用終り ― 10月22日、中国メディアは、恒大集団が、23日に期限を迎える米ドル建て債の約8350万ドル(約95億円)の利払いを実行すると報じた。デフォルト(債務不履行)の懸念が高まっていたが、ひとまず回避。 同日、恒大集団のトップ、許家印主席は、不動産業を大幅に縮小し、新エネルギー車事業を強化して会社を存続させる考えを示したと、中国メディアが報じた。 依然として同社は巨額の負債を抱えており先行きは不透明。 恒大集団が社会主義経済の中国にとって「大き過ぎてつぶせない」企業、規模であるか不明。 大きな企業がデフォルトになり、経済に甚大な影響を与えるようであれば公営企業にすればよい。 債務は国内の至る所にあり、中国では一社のデフォルトで金融機能が目詰まりを起こすこともなさそうだ。 不動産市況が暴落することは、中国政府に歓迎される事態。 国際金融市場で社債を発行しているが、機関投資家が多額を占めており、今のところ大きなリスクにならないとされている。 ホワイトナイトが表れない限り、恒大集団が消滅若しくは解体の危機にあることは確かなようだ。
2021年10月23日
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不正続出の三菱電機の内部統制強化がすすんでいるかどうかは分からないが、中国共産党の統制強化は、習近平体制の強化、共産党独裁体制の強化とともに着々とすすんでいる。 共産党内部の不正摘発、統制強化は習近平体制初期から始まった。 司法部門の不正摘発強化は、統制強化が仕上げに近づきつつある証左のようだ。 中国、前司法相を規律違反で調査来年の党大会控え、締め付け強化か北京=高田正幸2021年10月2日 朝日新聞 DIGITAL 中国共産党の中央規律検査委員会と国家監察委員会は2日、傅政華・前司法相(66)に重大な規律、法律違反の疑いがあるとして、調査を行っていると発表した。習近平(シーチンピン)指導部では警察や司法を担う政法部門への取り締まりを強めており、傅氏の調査もこうした統制強化の一環とみられる。 どのような行為が調査の対象になっているかは明らかにされていない。傅氏は北京市の公安局長や公安次官などを経て2018年3月~20年4月、司法相を務めた。後任には、習氏の浙江省時代の部下だった唐一軍氏が就いている。 共産党は昨年以降、政法部門につらなる幹部を相次いで摘発。昨年7月には、政法部門を対象にした反腐敗教育を展開すると決定した。 規律検査委は9月30日にも、孫力軍・元公安次官に重大な規律違反があったとして、党籍の剥奪(はくだつ)を決めたと発表していた。 ― 引用終り ― 高齢化社会が近づき、高度の経済成長の限界が見えてきた中で、香港の統制強化、台湾独立への威嚇、軍事面のプレゼンス強化は、全て中国共産党独裁体制を盤石とするための政策と思われる。 おそらく習近平は残された時間があまりないと感じ、今後も経済を損なうような荒療治が続くと思われる。
2021年10月20日
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2021年9月、台湾のTPP正式加入申請に中国が猛反発し、戦闘機など24機が台湾の防空識別圏に進入した。中国はここ数か月、自国戦闘機を台湾空域付近に前例のないペースで出動させている。 政治・軍事的な威圧的姿勢で、中国のTPP加入はさらに困難になるとされる。 10月2日、台湾国防部は、中国軍機延べ13機が1日夜に相次いで台湾の防空識別圏に一時侵入したと発表した。 10月1日昼に中国軍機25機が識別圏を飛行したことを確認済みで、24時間で延べ38機が侵入した。 2020年8月に台湾が米国製戦闘機、最新型のF-16Vの66機調達が確実となって以来、台湾に対する、中国・人民解放軍の反発は強い。 2021年8月26日、台湾の行政院(内閣)は、2022年の防衛費を総額4717億台湾ドル(約1兆8600億円)とする予算案を閣議決定した。F-16の購入に401億台湾ドルを充てる。 中国軍機25機、台湾識別圏に=戦闘機「殲16」など侵入2021年10月1日 時事通信 台湾国防部(国防省)によると、中国軍機延べ25機が1日、相次いで台湾の防空識別圏に一時侵入した。 20機を超える中国軍機が侵入するのは、9月23日以来。 侵入が確認されたのは、戦闘機「殲16」18機と「スホイ30」4機、爆撃機「H6」2機、対潜哨戒機「運8」1機。[時事通信社] ― 引用終り ― 殲撃機とは日本語で言う戦闘機を指す中国・人民解放軍の用語。 J-16(殲撃十六型) J-16は、中国・瀋陽飛機工業集団が開発した戦闘爆撃機。 2014年1月、中国海軍で運用開始。2014年4月、中国空軍で運用開始。 J-16はロシアのSu-27SKを元に独自に改良したJ-11Bの複座型であるJ-11BSをベースにSu-30MK2と同仕様に改修された。 航続距離の延長、空中給油装置の追加、アビオニクスの更新などがはかられた。 1760型アクティブフェーズドアレイレーダーの搭載、電波吸収体と複合材の使用範囲拡大、搭載能力強化のための機体構造強化、ミサイル警報装置、ECM装置の更新、WS-10Aエンジン、新型電子機器の搭載などが行われた。空対艦ミサイルYJ-91の運用も可能。 2基搭載された国産WS-10A ターボファンエンジンは、米国より入手したCFM56-3をベースにし、Su-27のAL-31Fエンジンを参考に開発された。 ドライ推力89.17 kN(20,000 lbf) × 2、アフターバーナー使用時推力 132 kN(29,700 lbf)× 2。 各種ミサイル、誘導爆弾の運用が可能で、固定武装 としてGSh-30-1 30 mm機関砲(150発) × 1を搭載。 F-16V F-16Vは、2015年10月16日に初飛行。 最新のレーダーやコックピットなどを採用し、機体を長寿命化した発展型。 F-22やF-35に搭載されているAESA(アクティブ電子走査アレイ)レーダーをベースに、ハードウェアとソフトウェアの共通性を持たせたAPG-83レーダーを搭載する。 グラスコックピットの改良、最新のモジュラーミッションコンピューターやアビオニクスを採用、オートパイロットやオートスロットルを強化したデジタルフライトコントロールコンピューターを搭載する。
2021年10月12日
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恒大集団は、不動産事業、飲食事業、テーマパークなど様々な事業をてがける企業集団。 2010年には、「広州恒大」の名称で知られるサッカーチームを買収した。 日本のバブル期のありさまを彷彿とさせる事業展開だ。 世界の投資家が恒大集団の行く末、いつ、どう破綻するかに注目している。 また、日本では公的年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)はが恒大集団に対し、2021年3月末時点で96.7億円を投資している。恒大集団の今後は気になるところ。 GPIFは、中国恒大への投資が年金運用全体に「大きな影響を与えることはない」としている。 瀬戸際に立つ中国の企業帝国恒大集団について知るべき5つのこと2021.09.21 CNN.co.jp 香港(CNN Business) 中国の巨大複合企業「恒大集団」が資金の行き詰まりによる債務不履行(デフォルト)の可能性について改めて警告したことを受け、同社の問題がメディアで大きく報じられている。 専門家は、同社の苦境は中国政府にとって大きな試練になると指摘。この問題が「中国版リーマン・ショック」に発展して、世界第2位の経済大国に衝撃が広がるリスクを指摘している。 恒大集団にとっては今週が正念場になりそうだ。米ブルームバーグ通信によると、20日は一部の銀行融資の利払い予定日だった。同通信は、中国当局が主要行に対して支払いは受けられないと伝えたと報じた。 … (略) … 恒大集団とはどんな企業か? 恒大集団は中国最大級の不動産開発会社の一つ。米誌フォーチュンが選ぶ世界企業番付「グローバル500」に名を連ねており、売り上げベースで世界最大の企業の一つとなっている。 香港に上場し中国南部・深センに本社を置く同社は、約20万人の従業員を抱える。これ以外にも、年間380万人以上の雇用の維持に貢献している。 同集団を設立した中国人富豪、許家印氏は一時、中国で最も裕福な人物となっていた。 … (略) … 同社が問題を抱えた経緯 恒大集団は多様な取り組みの資金を借り入れで調達しており、近年は債務が膨れ上がっていた。 同集団は中国で最も債務を抱えた不動産開発業者として有名で、負債総額は米ドル換算で3000億ドル(約33兆円)を超える。この数週間、同社は早急に資金調達できなければ債務不履行に陥る可能性があるとして、投資家に資金繰りの問題を警告してきた。 … (略) …恒大集団は今後どう進む? … (略) …投資家の反応は? … (略) … 米ウォールストリートは海外まで影響が及ぶリスクについて、より楽観的に見ているようだ。 ムーディーズ・アナリティクスの主任エコノミスト、マーク・ザンディ氏は先週、CNN Businessに対し「恒大集団の破たんや、より広く言えば中国の不動産企業の財務問題が米国の経済や市場に跳ね返ってくるとは思わない」と発言した。 … (略) …次に何が起きうる? アナリストらは、もし恒大集団がデフォルトに陥ったら、中国政府がその余波を抑えるために介入すると見ている。当局が監視を強めているのは明らかだ。 中国国営メディアによれば、同国の国家統計局の付凌暉報道官は先週「いくつかの大きな不動産企業」の苦境を認識していると述べた。 付氏は恒大集団には直接言及しなかったが、中国の不動産市場は安定しているものの、業界全体の発展に関する最近の出来事の影響は「監視が必要だ」と発言した。 前述のキャピタル・エコノミクスのウィリアムズ氏は、もし大きなデフォルトのへの不安が強まれば、中国の中央銀行が流動性の支援で介入するだろうと予測する。 … (略) … 中国メディアは恒大集団の財務問題を「巨大なブラックホール」になぞらえて広く報道し、どんな量の資金もこの問題を解決できないと暗示してきた。 前述のベキンク氏は「究極的には、政府が恒大集団の件に介入すると予想する。同社のデフォルトが銀行システムへと波及するのを許さないためだ」との見方を示し、「恒大集団による大きなデフォルトの影響は特筆に値する」とも語った。 ― 引用終り ― 中華人民共和国は、資本主義経済の下部構造に「民主的」と称する王政に似た一党独裁の政治体制の上部構造を接ぎ木して「社会主義」を名乗っている。 このような実態をマルクス主義の観点から批判する、マルクス主義政治学者・経済学者はいるのだろうか? それともマルクス主義は元来選良(エリート≒共産党)による独裁を内蔵した哲学であるというのだろうか? 倒産と失業の危機溢れ、「共産主義からかけ離れた」社会主義の行方を見守りたい。 中国恒大は破産回避する公算大当局が再編模索へ-フィデリティDexter Low2021年9月21日 ブルームバーグ→ 当局が潤沢な資金持つ戦略的投資家と共に債務再編を模索するだろう→ 規制変更とマクロ環境の軟化でセンチメントが悪化している 中国の不動産開発大手、中国恒大集団は破産を回避する可能性が高いとの見方をフィディリティ・インターナショナルの投資ディレクター、キャサリン・イェン氏が示した。中国当局が潤沢な資金を持つ戦略的投資家と共に債務再編のシナリオを模索するだろうと指摘した。 同氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、規制変更が一斉に行われ、同時に中国のマクロ環境が弱まっていることが、センチメントを悪化させていると分析した。 ― 引用終り ―
2021年10月12日
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中国で深刻な電力不足が起きている。 中国当局が環境対策として石炭を主燃料とする火力発電所の発電抑制に動いたことが要因と報じられている。 中国メディアは全国の約3分の2の地域で電力供給を制限したと報じた。 中国、電力不足が産業に打撃経済成長に悪影響との見方2021/9/27 ロイター 中国では、政府が環境政策を重視する影響で深刻な電力不足が起きている。一部地域で重工産業が低迷し、中国の経済成長に悪影響が及ぶとアナリストは指摘する。 中国は、二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに減少に転じさせ、60年までに実質ゼロにする目標を掲げる。この目標達成に向け、2021年のエネルギー強度(一定の国内総生産を創出するのに必要なエネルギー量)を3%削減する目標を設定したが、今年前半に目標を達成したのは30の省・地域のうち10省・地域にとどまった。このため地方政府は最近、CO2排出削減措置を強化している。 中国の電源構成は石炭火力の比率が圧倒的に大きい。しかし石炭の価格上昇や供給減少で、暖房需要が高まる冬を前に電力不足に陥っている。 ― 引用終り ― 深刻な資金難に陥っている不動産大手の恒大集団の経営危機で揺れる中国経済だが、追い打ちをかけるように製造業に大きな影響を及ぼす電力供給難が発生している。 中国政府による電力消費の取り締まりの影響はまず同国の巨大製造業界に及んでおり、アルミニウム精錬所から大豆加工施設まで広範な工場が稼働水準の抑制や停止に追い込まれた。 23省のうちの半分近くが中央政府が求めるエネルギー強度目標を達成できず、電力消費の抑制を迫られている。 特に状況が厳しいのは、製造業が盛んな江蘇、浙江、広東の3省。 中国政府は2008年の北京五輪のときと同様に、2022年2月の北京冬季五輪に向け青空を取り戻すべく、石炭火力発電を中心に排出ガス規制に厳しく取り組んでいるとされる。 コロナ禍からの回復途上にある景気の腰折れが懸念されている。 電力不足は、EVの普及拡大にとって当然マイナス要因。 中国政府は経済面からEVメーカーの淘汰を開始しているが、電力供給面からもhy急拡大の速度やHV規制を見直さざるを得ないかもしれない。
2021年10月09日
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中国恒大集団、2兆元(3050億ドル)近くの債務を抱え、経営破たんの危機に瀕している。 9月16日、中国国営メディア「環球時報」の胡錫進編集長は、中国恒大集団について、「大きすぎてつぶせない企業」ではないとし、政府の救済を当てにせず、市場の手段を活用して自力で立て直しを図るべきと指摘した。 リーマン以来の脅威? 中国恒大とは何者か2021年9月17日 ITmedia ビジネスオンライン … (略) …●中国恒大とは何者か 中国恒大集団は中国広東省深センに本社のある不動産デベロッパー企業だ。1996年の設立からわずか25年あまりで、一時は日本円にしておよそ5兆円の時価総額を誇った。日本の不動産デベロッパーで5兆円の時価総額といえば、ちょうど三菱地所と三井不動産を合体させたくらいの規模感である。 同社は借入金などで経営にレバレッジを効かせ、急速な土地の取得やM&Aを推進した。2000年〜10年代にかけて、中国の都市部における不動産価格の高騰をうまく捉え、16年には不動産販売額で中国内トップとなり、当時の総資産は日本円にして22.94兆円にまで達した。中国恒大の許家印会長の個人資産もこの時5兆円近くまで膨れ上がり、中国内でも指折りの富豪として名をとどろかせた。 そんな中国恒大の風向きが変わり出したのが18年だ。不動産市況の成長率鈍化と、中国恒大集団の規模が拡大することによる成長率鈍化という課題に差し掛かった同社は、事業の多角化を一層推進した。中国恒大はミネラルウォーターやサッカースクール、老人ホームにも手を出していたが、18年には電気自動車(EV)事業にも進出。21年には米フォードを時価総額で上回り、一時は9兆円の時価総額にまで達したものの、8月にその時価総額のほとんどが吹き飛んだことで話題になったことは記憶に新しいだろう。 そんな中国恒大の負債額は、20年12月時点で33.14兆円、負債比率は1327.9%と、倍率だけで見れば“FX並み”のレバレッジとなっている。 同社がここまで負債を拡大できた背景には、自社の株式や不動産を担保にした借入を行えたことがある。仮に不動産価格が上昇しそうだという観測が流れ投機によって本質的な価値を超えて値上がりすると、バランスシート上の資産額も増加する。さらに、不動産価格の高まりによって収益力も増大することから、会社の業績、ひいては時価総額も増加する。そのようなプラスの連鎖反応が同社の積極借入姿勢を後押しした。 ここに来て同社の債務がデフォルト(不履行)しそうであるという観測が流れているのは、上記の連鎖反応が逆方向に回り始めたからだ。中国では、ここ数カ月不動産市況のバブル抑制に動いており、当局が“参考価格”を提示することで中古マンションの実質的な価格統制を行うなど、不動産をめぐる投機規制の動きが著しい。 ― 引用終り ― 9月23日、米・ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、消息筋の話として、中国当局が地方政府に対し、同国不動産開発大手の中国恒大集団が経営破綻した場合に備えるよう要請したと報じた。 恒大集団が、身売りするか、解体されるか、救済者が現れるか、注目されてる。 破綻した場合、世界の金融界に及ぼす影響は限定的と思われているが、中国国内経済にどの程度の影響があるかは不明。
2021年09月25日
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1978年、現実派の鄧小平は「四つの近代化」を掲げ、経済面では市場経済体制への移行を試みた。 1989年の天安門事件を経て、1992年以降、再び改革開放が推し進められ、経済成長は一気に加速した。 中国は過去40年間、経済成長をほぼ一貫して優先し、現在GDPは世界第2位を安定的なものとしている。 2021年、中国共産党は結成100周年を迎えて、習近平国家主席は、社会的平等を一段と重視する姿勢を鮮明にしている。経済的に豊かになった中国において、共産党支配の存続に対する国民の支持を固めることが狙いだ。 現在、「共同富裕」という格差解消のスローガンが演説から国営メディア、学校まであらゆる場所で掲げられている。 共産党員の統制強化から始まり、少数民族の思想教育の強化や移住政策による民族解体がすすめられている。 現在は、IT、ネット通販、不動産などの大企業・経営者・在外資産の統制も強化されている。 コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight中国規制・統制強化の5か年計画と中国投資プレミアム木内 登英2021/08/19 NRI 中国「規制・統制強化の5か年計画」 中国政府による産業・企業への規制強化は、とどまることなく進められている(コラム「中国企業への統制拡大でチャイナリスクが急浮上」、2021年7月29日、「中国、米国双方の規制強化で進むマネー・デカップリングと高まるチャイナリスク」、2021年8月5日)。 それが、一時的な政策変更によるものではなく、中国政府が腰を据えて経済活動の再構築を図り始めたことが、次第に明らかになってきている。その底流にあるのは、共産党による統制強化と体制の安定維持、そして米国への対抗であろう。 中国国務院は11日に発表した声明で、経済の広範な分野を規制する取り組みについて、今後5年間、深く継続して進めていく考えを示した。いわば「規制・統制強化の5か年計画」である。「国を統治する上で極めて必要になる」法的枠組みを改善するために、国家安全保障や技術革新、独占禁止を含む分野での法整備に「積極的」に取り組む、と表明している。 さらに、より良い生活を希求し続ける国民の要求を満たすために、近代的な規制環境を作り上げるとも説明している。 この声明は具体的な施策を詳細に説明するものではないが、規制・統制強化の取り組みが、非常に幅広く、また時間をかけて行うという当局の意思を伝える役割を果たしている。 声明では、IT部門と教育部門で規制強化が必要であるとしているが、これについては既に実施されていることであり意外感はない。そのうえで、国民生活を改善させる観点からは、独占を取り締まる競争政策が必要であることを謳っている。これも、アント・グループやアリババグループなどに対して既に行われていることだ。 また声明は、デジタル経済、インターネット金融、人工知能(AI)、ビッグデータとクラウドコンピューティングといった分野で法的枠組みの点検に取り組むようにも求めている。 ― 引用終り ― 共産党独裁体制の権力を見せつけるように、習近平政権による拝金主義の社会体制の是正は続く。 焦点:習氏の「小革命」強大な権力で社会主義の原点目指すロイター編集2021年9月12日 REUTERS … (略) … ところが、習氏はインターネット企業や営利目的の教育産業、オンラインゲーム、不動産市場のバブルなど広範な分野で締め付けを行ったり、格差解消戦略「共同富裕」を提唱したりするなど、新しい政策を次々と打ち出し、本気で中国を社会主義の原点に回帰させるつもりだということが明らかになってきた。 毛沢東以来、最も強力な指導者となり、18年に2期10年までと定められていた任期制限を撤廃した習氏は、資本主義の行き過ぎを抑え、欧米による負の文化的影響を排除するために、小型の「革命」とも呼ばれる政策を推進している。 こうした取り組みは習氏が17年に打ち出した政治思想「中国の特色ある社会主義に関する習近平思想」の学習を新たに義務付けるといった学校のカリキュラム改変から、不動産部門の規制強化、政府が不健全と見なす娯楽の制限まで、あらゆる分野に及んでおり、投資家の間で不安が広がり、政府や国営メディアがその鎮静化を図っている。 … (略) … だが、一連の政策の意図するところは明白だと専門家は指摘する。 オックスフォード大学のラナ・ミッター教授(中国史・政治学)は「習氏は新自由主義改革による平等性の毀損(きそん)という、極めて現代的な問題に取り組み、毛沢東主義だった初期の中国を成していた使命感を取り戻したいのだ」と述べた。 ― 引用終り ― 中国はこれから急速に高齢化社会に突入し、大きな経済拡大は望めなくなる。 経済格差の是正、企業による膨大な富と権力の集中の是正、宗教やネット空間への都政強化で、旧体制と化した中国共産党への支持は回復するだろうか?
2021年09月25日
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米中関係の悪化で2018年の中国の対米直接投資は前年比83%減の48億ドル(約5200億円)と大きく落ち込んだ。 中国企業からの投資が大きく減少しているほか、不動産や娯楽ビジネスなどの資産の売却も進んでいる。 対米投資が減少した背景には、中国政府が導入した海外投資に対する規制も影響している。 米国政府は国外からの投資について規制を強化する方向で動いており、そこにコロナ禍が覆いかぶさる形となった。 中国企業は海外資産の大規模な損切を続けている。 海外情勢中国勢の「爆買い」裏目シルク・ドゥ・ソレイユなど国外資産の損失膨らむブルームバーグ2020.9.4 SankeiBiz かつて海外資産の買収を積極的に進めた中国企業が新型コロナウイルス危機で困難に直面している。国外で「爆買い」を繰り返した海航集団(HNAグループ)など中国企業の一部は危機前からすでに混乱に陥っていたが、コロナ危機で買収対象となった企業が資金難に陥ったことで、健全な買い手企業にまで打撃が及んでいる。 危機前の計画も支障 カナダのサーカス運営会社シルク・ドゥ・ソレイユ・エンターテインメント・グループは事業再生を申請。2015年に同社に投資した復星国際は出資分を全て失う可能性がある。プライベートエクイティ(未公開株、PE)投資会社のホニー・キャピタル(弘毅投資)が保有する英ピザエクスプレスは8月、経営権を債権者側に譲渡する公算が大きいことを明らかにした。 海航が15年に買収した空港サービス事業のスイスポート・インターナショナルも投資家と救済策について交渉しており、海航は手を引く可能性があるとブルームバーグ・ニュースは先に報じている。 バークレイズのアジア太平洋担当M&A(企業の合併・買収)・金融スポンサー責任者、ラース・アーガード氏(香港在勤)は電話インタビューで、「中国勢が持つ最近危うくなった国外資産の一部は、18年以前の借入金での買収ブーム時に取得したものだ」と指摘した。 危機前の投資撤退の計画も支障をきたしている。中国保険大手の安邦保険集団(現大家保険集団)は昨年に韓国の資産運用最大手ミレーアセット・グローバル・インベストメンツに58億ドル(約6120億円)の米ホテル資産を売却することで合意したが、ミレーアセットは今年に入りこの合意を破棄。ミレーアセットは理由の一つとして新型コロナによるホテルの閉鎖を挙げた。 ― 引用終り ― コロナ禍による旅行・観光関連の資産売却が続いているだけではない。 中国当局が経済のハードランディングを警戒して、債務で水膨れした国内企業の不良債権と過大な債務を締め上げている。 過去幾度も警告されてきた中国の不動産バブル崩壊の危機が現実化するかもしれない。 業界2位の中国恒大集団に債務リスクが浮上しているためだ。 中国恒大の資産売却は始まったばかり-当局からの財務改善圧力強まる2021年8月27日 Bloomberg News → 中国経済の混乱防ぐため、迅速に債務問題解決を-当局の姿勢は明確→ 恒大はこの数カ月で保有株売却進めるも1700億円の調達にとどまる 中国の金融規制当局による財務改善圧力が強まっている不動産開発大手、中国恒大集団は保有する資産の売却をさらに進める方向だ。 銀行やサプライヤー、住宅購入者への負債が計3000億ドル(約33兆円)にも上る中国恒大と同社のかじ取りを担う許家印氏にとって、残された時間は少なくなっている。 一部の主要債権者から一時的な猶予を得た中国恒大に対し、政策当局が発するメッセージは明確だ。中国経済の混乱を防ぐため、迅速に債務問題を解決せよ、ということだ。 つまり、中国恒大は大幅値引きでも早期に資産を売却し、会社として善意を示す必要がある。同社は香港本部ビルの売却交渉を進めているほか、香港の住宅プロジェクトを取得価格を下回る水準で売ることも目指している。今年3月以降、投資家の動揺で電気自動車(EV)と不動産管理部門は約780億ドル相当の時価総額を失った。両部門も売却対象に入る。 ― 引用終り ― トランプ政権からバイデン政権に交替しても、米中関係は悪化したままであり、ウイグル族の人権問題も加わり、関係改善の気配は見えない。 経済制裁により、欧米先進国は中国にとって政治的リスクが大きくなっているため、大規模な投資は避けられている。 中国企業、記録的なペースで海外資産売却進める-買収ブームから一転Vinicy Chan2021/09/07 Bloomberg News → 今年の資産売却計画、計1兆1000億円強-1998年以降で2番目の規模→ 他の海外資産への再投資は困難、外国政府が中国企業の監視強化 ほんの数年前は高級ホテルからサッカークラブまで海外のあらゆるものに惜しみなく資金を投じていた中国企業が、今では海外事業から撤退しようとしている。 ブルームバーグの集計データによると、中国企業が今年これまでに売却計画を発表した海外資産の総額は105億ドル(約1兆1500億円)と、少なくとも1998年以降で2番目の大きさ。現在のペースなら、2021年は通年で昨年の150億ドルを超える可能性がある。 中国国際金融(CICC)の中国クロスボーダーM&A(合併・買収)責任者、バグリン・アンゲロフ氏はインタビューで、「中国企業は最近、単なる買収よりも、先を見越した資産ポートフォリオの見直しを行っている。良い提案があれば、少なくともそれを精査することにオープンだ」と述べた。 処分対象となっている事業分野の1つは廃棄物処理事業で、中国天楹は6月、傘下のスペインの廃棄物処理会社ウルバセルを18億ドルで売却することで合意。北京首都創業集団と北京控股も海外資産の売却を検討している。 かつて活発な買収を行っていたものの、今では債務削減に向け資産売却を急ぐ中国恒大集団や海航集団などの複合企業とは異なり、現在の中国の売り手の大半は資金繰り難には陥っていない。そうした企業が売却しようとしている資産は力強いキャッシュフローを生み出しており、投資家が低金利環境で収益性の高い資産を探す中で、バリュエーションが上昇している。 インフラや公益事業も、中国企業が売却を検討している資産の一角だ。 国有電力会社の中国長江三峡集団は国外の再生可能エネルギー資産ポートフォリオの25%を売却することで合意に近づいており、最大20億ドルと評価される取引となり得ると事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。 ― 引用終り ― コロナ禍からのいち早い経済の復旧は、内需拡大による経済破綻回避策でもあるらしい。 全体のトーンは、中国政府の企業に対する規制強化と映る。 9月6日、北京に証券取引所を設立すると発表。 脱香港、香港後の取組であり、企業活動を国内で完結させる取り組みと思われる。 中国の習主席、北京での証券取引所設立を発表時期は未定2021.09.06 CNN.co.jp 中国が首都・北京に証券取引所を設立する方針であることがわかった。中国の習近平(シーチンピン)国家主席が明らかにした。政治の中心地である北京がビジネスや金融の世界でも影響力を高めることになる。 … (略) … 新しい証券取引所設立の発表は、中国政府が大手の民間企業に対する規制を強化するなかで行われた。中国政府は1年近くにわたり、大手民間企業の力や影響力の抑止を続けている。 中国企業はまた、米国で資金調達を行おうとする際に規制上の障害に直面している。中国当局は、慎重に扱うべき利用者のデータについて外国政府が利用できるようになるかもしれないとの懸念から、IT企業が国外で上場することにいら立ちを募らせ圧力を強めている。 一方で、米国の規制当局は、中国企業の新規株式公開(IPO)に対する調査を強化し、潜在的な危険性についてより徹底した情報公開を求めている。 ― 引用終り ― 中国不動産会社に倒産ラッシュか、1日1社ペースで倒産申請―仏メディア2021年9月8日 Record China 2021年9月7日、仏国際放送局RFIの中国語版サイトは、中国の不動産業界に逆風が吹いており、1日当たり1社のペースで不動産会社が倒産していると報じた。 記事は、中国の週刊誌・時代週報の報道を引用し、中国では9月5日現在で今年に入ってからすでに274社の不動産会社が倒産文書を発表しており、1日当たりおよそ1社が倒産していると紹介した。その背景には、中国政府が近年「家屋は住むためのものではなく、転がすものではない」との姿勢を打ち出し、特に昨年下半期に監督管理当局が不動産会社による高レバレッジ経営を規制するとともに、ローン限度額を厳格にコントロールし始めたことで、今年に入って不動産市場が急速に冷え込んだことがあると伝えた。 ― 引用終り ― 中国・恒大集団の一部理財商品(資産運用商品)の償還が9月8日に期日通りに行われず、さらに9月13日に、広東省当局が、恒大地産が行っている不動産プロジェクトに対して完成予定の不動産を抵当とする融資申請を認めない旨を通達した、との噂が流れた。 2021年9月16日、中誠信国際は恒大地産の格付けを「AA」から「A」に引き下げた。 本土部門の恒大地産は、同日、公平な情報開示を確実にするため全社債取引を停止すると発表した。取引は17日に再開される。 中国の個人投資家は、既に恒大集団の人民元建て債を購入できなくなっており、人民元建て社債の投資家は、格付けの低下により売却がさらに難しくなる。 不動産バブル退治は、習近平が掲げる社会主義初心への回帰、社会主義的「共同富裕」の目標に通じる経済構造改革の一環であり、恒大集団破綻による政府の救済策はなされないとの見方がある。
2021年09月21日
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6月12日、大規模な抗議活動に関連して禁錮10か月の実刑判決を受けて収監されていた香港の民主活動家の周庭氏が刑期を終えて、出所した。 英領時代、飛躍的な経済発展を遂げた香港は「香港に政治はいらない」と豪語していた。 中国領となり、習政権は、英国との約束を反故にし、香港は中国政治塗れになり、「自由」は窒息を強いられた。 イギリス、香港市民への特別ビザ開始30万人が申請か2021年2月1日 BBC NEWS イギリス政府は1月31日、香港市民にイギリス市民権を獲得できる道を開く、新たな特別査証(ビザ)の申請受付を開始した。約30万人が申請するとみられている。 イギリス政府は昨年6月、中国政府が香港国家安全維持法(国安法)を施行したのを受け、特別ビザの導入を発表した。 国安法は、香港での反逆や扇動、破壊行為、外国勢力との結託などを禁止するもので、違反者は最高で無期懲役が科される。すでに多くの民主派活動家などが逮捕され、実刑判決を受けている。 中国政府はかねて、イギリスに内政干渉しないよう警告していた。外交部は、今後はBNOパスポートを旅券と認めないと述べている。 ― 引用終り ― EU離脱、コロナ禍、北アイルランド問題などなど、内政面で落ち着きのない英国は、香港人の自由な魂を救うことができるだろうか。
2021年06月25日
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GDPなど統計データのつじつまの合わないさから、中国経済は「張り子の虎」とされることが多い。 中国共産党に都合の悪い部分はみせていないのだ。 不都合の隠蔽はますます徹底され、習近平政権になり、様々の権利、自由の抑圧が強まっている。 【展望 米中覇権争い】中国の弱点は「金の切れ目が縁の切れ目」の関係!?米国を凌駕する覇権国になれない「張り子の龍」である理由渡部悦和:元陸上自衛隊東部方面総監、元富士通システム統合研究所安全保障研究所長、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。2021年5月31日 夕刊フジ … (略) … しかし、ジョージ・ブッシュ米大統領(子)のスピーチライターだった、デーヴィド・フラム氏が「中国は張り子の龍だ」という論考を発表した。 フラム氏は「中国の経済(特にGDP)、金融、技術、軍事力、人口統計などの誇張されたデータを信じてはいけない」「中国は急速な人口の高齢化、巨額の国内債務、習近平体制の抑圧の悪化が問題だ」と主張している。 ― 引用終り ― 以下、中国が米国を凌駕する覇権国になれない理由の記事の抜粋。 ・同盟国や友好国があまりにも少ない 中国の友好国の大部分は経済的な利害関係を中心とした関係で、金の切れ目が縁の切れ目になる関係。 ・独裁傾向を強める体制 共産党独裁を維持するため、学問の自由を制限、ハイテク企業に対する統制を強化し社会・企業のイノベーションを阻害している。・貧弱な基礎科学研究体制、まちまちな産業技術 中国の急激な成長は、外国企業の中国への投資と米国などの先進諸国からの先端技術に負うところが大。 米・ドナルド・トランプ前政権以降、中国に技術窃取を認めない姿勢を採用。 西側の技術なくして中国のイノベーションは期待できず、経済成長も限定的になる。 ・急激な高齢化と人口減少 中国当局は5月11日、中国の人口は2010年の統計よりも7206万人増の14億1177万人だと発表。 世界の有力メディアは「中国の人口が減少に転じた」と事前に報道していて中国のデータ改ざんの可能性がある。 以上。 政府発表では人口が増加したにも関わらず中国共産党は5月31日の中央政治局会議で、1組の夫婦に子供を2人まで認める制限を3人までに緩和する方針を示した。人口データ改ざん報道に呼応するかのような緩和措置。 2016年に「一人っ子政策」を撤廃し、「二人っ子政策」を導入したが、子供の養育費が高騰などの理由で少子化の流れに歯止めはかかっていないことを示している。 記事は「フラム氏が主張するように、「張り子の龍」である中国を過度に恐れるべきではない」と結んでいるが、衰退する大国ほど恐ろしいものはない。 独裁者が権力を失う断末魔の行動は、破滅に周囲を巻き込む例が多くみられる。 「張り子」であったとしても大国が合理的ではないことをやらかすので、備えることは困難であるが常に注意を怠ってはいけない。注意するのは軍事力だけではない。
2021年06月10日
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経済の発展、生産力が増大することはは、選択肢の増大、多様化につながる。 経済発展のペースが鈍り、社会の矛盾、不公正が明らかになるにつれ、習近平の中国は政治的な多様化を疎外し共産党独裁を守るため、少数民族の自治を抑制し、一国二制度を弾圧している。 チベット仏教やウイグルのイスラム教徒と同様に、中国国内のキリスト教の弾圧も強化しているという。 ポーランドでも、ソ連でも、宗教、宗教組織は社会主義崩壊の要因の一つ、共産党独裁に反対する勢力の有力な一角だった。 一帯一路が行き詰まり、強引な海洋進出が国際的な反感を増し、海外に国民の目を逸らす施策も限界となりつつある。 習近平政権の宗教政策と中国カトリック教会の処遇上野 景文 元駐バチカン大使一財 平和政策研究所 … (略) …4.習近平政権の宗教政策 … (略) …ix)まとめ 習政権の宗教に対する管理・規制は、国際的に見て極めて厳しいものである。 ただ、宗教・宗派、地域によりその厳しさには濃淡がある。 習近平は,父親の影響があってか、宗教に対する関心が高い。 仏教はもともと外来の宗教であったが、いまや「中国化」しており、「中国化」の手本のようなものだ。その仏教を含め,儒教,道教などの宗教は、中国のアイデンティティーを表象していると言うのが、習の思想。 習政権になってから、党が宗教全般を指導すること、宗教は社会主義社会建設に向けて奉仕すべきこと(極言すれば、宗教はそのための道具にすぎないという位置づけ)、外国の影響(干渉)を減らしていくとの路線を堅持することなどが、より明確となった。 ― 引用終り ― 2018年の『宗教白書』で「宗教の社会主義社会への適応」と「宗教の中国化という方向の堅持」の2点を唱えた。 それは中国共産党の傘下・指導のもとにおいてだけ宗教活動を認める、ということ。中国共産党の共産主義以外の宗教は認められない、ということ。 習近平のキリスト教弾圧が致命傷に。中国は欧米一体の封じ込め戦略で沈む=勝又壽良2021年1月10日 MONEY VOICE 中国は、国内の反体制派を取り締まるため、キリスト教弾圧を強化している。 これが、欧米の反発を招くことに思い至らないようである。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良) …(略)…中国はまさに四面楚歌 習近平中国国家主席は、自国の国力を過大評価している。GDPを水増ししているので、実際の経済力が分からなくなっているのかも知れない。 外交戦略は、「戦狼外交」と呼ばれるように、傍若無人を貫いている。 ちょうど2200年前の紀元前221年、秦の始皇帝は中国を統一した。 今の習近平氏のような振る舞いをしていたと思える。 …(略)… EU(欧州連合)において、チェコは各国へ向け「反中国」の働きかけをしている。 中国から経済制裁されている豪州もまた、EU各国に向かって中国の危険性を訴え続けている。 同じキリスト教文明国であるから、話は、「ツーカー」だ。 共通の価値観に立って、中国警戒観は一挙に高まっている。 その引き金は、中国が香港との「一国二制度」を破棄したことである。 人権弾圧を恣(ほしいまま)に行っている中国へ、EUは新たな怒りと恐怖感を抱いている。 もはや経済優先でなく、民主主義と人権擁護という普遍的価値観に反逆する中国へ、強い警戒観を持つに至った。 キリスト教弾圧が致命傷になる 中国は、国内の反体制派を取り締まるため、キリスト教弾圧を強化している。 これが、欧米の反発を招くことに思い至らないようである。 文化大革命の終わりに推定300万人いたとされる中国のプロテスタント教徒の数は現在、1億人を超えたと考えられる(政府の発表では3,800万人)。 このほか、カトリック教徒が推定1,000万~1,200万人はいるとされる。 米外交問題評議会は、中国のプロテスタント人口について9,300万~1億1,500万人とする米パデュー大学中国宗教・社会研究センターの推計値(2018年)を引用している。 中国のキリスト教徒は、2010年以降に大幅に増加した。 中国がこうして2030年には、米国を上回って世界最大のキリスト教徒を抱えると予測する向きもあるほど。 以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2020年12月24日付)が報じた。 中華民族は、宗教に無関心であるといわれてきた。 だが、都市部では現在、生活水準の向上と高学歴化を背景に、キリスト教徒が急増している。 人口世界一の中国が、2030年には米国のキリスト教徒(約2億人)を上回るかも知れないというのだ。 キリスト教徒が、共産主義を信じるはずがない。 中国は、カトリック教会で掲げる聖母マリア像に代えて、習近平氏の肖像を掲げるように強制するところも現れている。 嗤ってはいけない、「習近平の神格化」である。 人間の心を無視する習近平 中国の指導者は、ポーランドの共産主義体制崩壊において、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がいかに寄与したかを目の当たりにした。 韓国のキリスト教徒が、軍事政権から民主政権への移行で果たした役割も知り抜いている。 香港民主化運動で、キリスト教徒が大きな役割を担ったことも周知のこと。 こうして中国は、各国の民主化過程で果たして来たキリスト教徒の役割を考えると、これから増え続けるキリスト教徒の増加は、極めて頭の痛い問題であろう。 ― 引用終り ―
2021年05月09日
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中国・チベット自治区ラサ市の自動車保有台数が26万台を突破した。 チベットの地は人権・思想信仰の自由と引き換えに富を得た。 チベット人ではなく中国人と中国化した人々が富を得た。 チベット自治区市民の自動車保有台数が増加2021/01/10 新華社【新華社ラサ1月10日】 中国チベット自治区公安庁公安交通管理局の発表によると、同自治区の自動車や二輪車などのエンジン付き車両保有台数が2020年末時点で65万6703台となった。 ドライバー数は61万3682人で、20年の車両新規登録台数は1日当たり166台だった。 同自治区では、ラサ市から林芝(ニンテイ)市や那曲(ナクチュ)市、沢当(ツェタン)からラサ・クンガ空港への高規格自動車道路が開通したほか、多くの農村道路が整備され、自治区全体の自動車道の総距離が11万6700キロに達し、移動がより便利になった。 ラサ市車両管理所の黄金竜(こう・きんりゅう)副所長は「市内の現在の戸籍人口は55万人で、2人で1台の自動車を所有している計算になる」と説明。 一般市民の所得水準が急速に向上したことが、保有台数の増加につながったと分析した。 ― 引用終り ― ウイグルの人権弾圧以前から、チベット人の信仰、人権弾圧、中国共産党支配強化政策は続いていた。 現在のチベットの状況ダライ・ラマ法王日本代表部事務所 独立国家であったチベットは、1949年に口火を切った中国の侵略で、戦闘によって人命損失の危機にさらされ、続いてすぐに、共産主義イデオロギーと文化大革命(1967- 1976)に代表されるような計画によって、普遍的な自由さえも失ってしまった。 しかし、最悪の事態は既に過ぎ去ったかのような誤った認識がまかり通っている。 現在でも、チベット固有の国民性、文化、宗教の独自性は、中国によって深刻な脅威にさらされ、翻弄され続けている。 中国の占領と弾圧の政策は、チベットの国家としての独立、文化、宗教性、自然環境の破壊を引き起こし、人々は基本的な人権まで奪われている。 再三再四、国際法を犯す中国のこれらの破壊行為は、注目はされているが、未だに罰されることなく繰り返されている。 ― 引用終り ― 自動車が増えても、所得が増加しても、チベット族の幸福は増えていないだろう。
2021年01月31日
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ジャック・マー氏は中国最大のEC企業グループ、アリババの創業者。 アリババは、2014年にニューヨーク証券取引所に上場した。 2020年9月にアリババグループの会長職を退いていた。 中国では以前から、大富豪らの「謎の失踪」が多く、「懸念」が広がっている。 中国一の富豪、アリババ経営者「行方不明」の闇習政権批判のせいなのか識者「目的はグループ解体」2021年1月7日 ZAKZAK(夕刊フジ) 中国電子商取引(EC)最大手、アリババグループ創業者で、中国一の富豪として知られる馬雲(ジャック・マー)氏(56)が「行方不明」だと欧米メディアが報じている。 中国当局を批判するかのような発言をして以来、約2カ月にわたり公の場に姿を見せていないというのだが、何が起きているのか。 ロイターは4日、馬氏が昨年10月下旬に上海で開かれた金融フォーラムに出席して以来、公の場に姿を現していないと報じた。 フォーラムで馬氏は「優れたイノベーション(技術革新)は監督を恐れないが、古い方式による監督を恐れる」と発言、中国当局を批判したと受け止められた。 11月にはアリババ傘下で電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を運営するアント・グループが上海と香港で予定していた新規株式公開(IPO)が直前に延期。 12月には中国国家市場監督管理総局がアリババグループを独占禁止法違反の疑いで調査する方針を明らかにした。 馬氏について欧米メディアは「行方不明」と積極的に報じるが、中国メディアは静観の姿勢だ。 東アジア地域の経済を研究する愛知淑徳大ビジネス学部の真田幸光教授は、「中国はデジタル人民元を普及させ、ドルの駆逐を狙っており、アリババグループを利用したかったが、馬氏が難色を示したことが背景にあるのではないか」とみる。 中国情勢に詳しい評論家の石平氏は「拘束されているかどうかは分からないが、国内を出ることができないのだろう」とした上で、「中国当局の目的はアリババグループの解体だ」と推察する。 ― 引用終り ― マー氏の消息についてソーシャルメディア上では様々な憶測が流れている。 アリババはコメントを差し控えているという。 ジャック・マーだけではない中国から「消えた富豪」たち2021/01/09 Forbes JAPAN 2021年1月20日、マー氏が教育関係者とのオンライン会議に出席した。 公の場に姿を見せるのは、アリババが中国当局の取り締まりを受けた昨年10月以来約3カ月ぶり。
2021年01月31日
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若者のクルマ離れは日本だけでなく世界に共通する傾向らしい。 クルマが移動手段であることに加えてデジタル・ガジェットとなっていることが、クルマ離れを抑制しているとの記事が下記。 内燃機関への執着が強い守旧派のモーターファン、モータージャーナリスト諸氏、エコノミスト諸氏に読んでいただきたい内容だ。 日本の自動車で遅れているのは電動化技術ではなく、デジタル・インターフェイスだという事実も上記の諸氏が知っていただくと、グローバルな見地に立った評価、評論、分析ができると思う。 中国が「若者のクルマ離れ」を阻止。日本が学ぶべきZ世代向け戦略=牧野武文 2020年12月10日 MONEY VOICE …(略)…中国の「若者のクルマ離れ」に変化の兆し このような世代ですから、自動車メーカーがいくら「速いんです」「高級なんです」「燃費がいいです」と言っても、自動車には関心を持ちません。 毎日、7.5時間もスマホを使うZ世代にとって、運転をするためにスマホが使えないなどというのはありあえない事態だからです。 車がなくても、スマホで公共交通の最適ルートはすぐに検索できますし、タクシーを呼んだり、ライドシェアを呼んだりすることができます。 そういうことから、中国でも「若者のクルマ離れ」が起きていました。 ところが、ここのところ、車に関心を持つZ世代が増え始めました。 まだ購入統計などに現れるほどではありませんが、自動車関係のネットメディアや動画配信などが好調です。 なぜ、Z世代は車に興味を持ち始めたのか。 それは車という製品が、この数年で別物と言ってもいいほど大きく変わったからです。 キーワードは「自動運転」「人工知能」「5G」です。 スマホとの親和性の高い車が登場してくるようになり、Z世代が再び車に興味を持ち始めているのです。 これは、自動車だけでなく、他の製品でも同じことが考えられるはずです。 例えば、Z世代はテレビには関心がありません。 でも、大型ディスプレイには関心があります。 Z世代はステレオ装置には関心がありません。でも、ワイヤレススピーカーやスマートスピーカー、ワイヤレスイヤホンには関心があります。 …(略)… 自動車に関心を示し始めたZ世代 中国の自動車販売が復調をしています。 世界的に同じ傾向が生まれていますが、コロナ禍により、公共交通を避けたいという気分が生まれ、個人や家族単位で移動ができる自動車に関心が集まっているからです。 もう1つの理由が新エネルギー車の売行きがようやく軌道に乗り始めたことです。 新エネルギー車とは電気自動車(EV)とハイブリッド車、水素などの次世代エネルギー車の総称です。 といっても、軌道の高度は低く、これからいくつもの促進策を必要としていますが、最悪の状況は脱した感があります。 中国工信部の目標によると、2019年は全体の8%、2020年は全体の10%の販売目標を設定していますが、2019年は4.6%で2020年も現状では4%を切っている状態です。 とても目標を達することはできません。 販売量を見てみると、2017年、2018年は順調に増加をし、2019年前半はいよいよ新エネルギー車が本格的に売れ始める勢いが見えました。 しかし、2019年後半で、前年割れどころか前々年割れすら起こしてしまったのです。 その理由は発火事故が連続したことでした。 事故を起こした時にバッテリーから発火をするだけでなく、駐車場にただ停めていただけで発火をしたという事故も報道されました。 数としては、スマートフォンの発火事故よりも少ない程度ですが、不安は大きく、買い控えが起きてしまったのです。 それが改善され、さらに満充電での航続距離も500kmクラスのEVが揃ってくるにつれ、新エネルギー車の販売に弾みがつき始めました。 今年の前半は、コロナ禍によりディーラーにいくのも避けられたため、前々年割れという苦しい状況でしたが、夏頃から記録を更新するほどの売れ行きになっています。 ― 引用終り ―
2020年12月26日
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上海協力機構(SCO)の構成国は、中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8か国。 多国間協力組織。 2001年6月、中国の上海で設立されたために「上海」の名を冠する。 事務総長は、カザフスタンのボラット・ヌルガリエフ。 事務局の所在地は北京。 SCOは「テロリズム、分離主義、過激主義」に対する共同対処の他、経済や文化など幅広い分野での協力強化を図る組織。 名目の上では特定の国を対象とした軍事同盟ではないと述べているが、発足から経過するにつれて次第に単なる国境警備やテロ対策の組織としての枠組みを越えつつある。 2018年8月、上海協力機構に加盟している中国・ロシア・インド・パキスタン・中央アジア諸国による初の合同軍事演習「平和への使命2018」を実施した。 2020年11月10日に開催された上海協力機構の首脳会議で、中国・習近平国家主席は米国・トランプ大統領の外交政策を念頭に、「多国間主義が単独主義に必ず打ち勝つことは歴史が証明してきた」と発言した。 上海協力機構が首脳会議 習近平国家主席 アメリカをけん制2020年11月11日 NHK …(略)… アメリカ大統領選挙でバイデン氏が勝利を宣言し、政権移行に向けた準備を進めていることを受けて、アメリカをけん制したものとみられています。 また、議長国・ロシアのプーチン大統領はEU=ヨーロッパ連合が今月、ベラルーシのルカシェンコ大統領らに資産凍結などの制裁措置を科したことを指摘したうえで、「われわれの国内政治に外国から干渉しようとする試みが増えている。これは重大な主権侵害だ」と述べました。 中国とロシアとしては、みずからが主導する上海協力機構の枠組みで足並みをそろえ、人権や民主化の問題でも圧力を強める欧米諸国と対抗するねらいがあるとみられます。 ― 引用終り ―
2020年12月02日
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中国共産党は経済の拡大を背景に、その不自然な政治体制を維持してきた。 経済が停滞しつある今日、新たな経済的フロンティアを求めて、世界に打って出ている。 関係国との摩擦は想定内なのだろう。 「双循環」は、人民元の機軸通貨化を諦め、米中戦争で米国市場を失いつつある中での苦肉の経済政策。 先進国すべてが「中国を嫌悪」。外需消滅で中国経済は破綻する=勝又壽良2020年10月13日 MONEY VOICE先進国との衝突は中国に大損 中国が、潤沢な資金を得られたのは先進国との貿易によるものだ。 端的に言えば、中国は先進国貿易で稼いだ資金(経常黒字)を原資にして、一帯一路参加国のインフラ工事を行い、中国の国威を守れたのである。 だが、先の米ピュー・リサーチ・センターの調査結果では、先進国がすべて中国忌避である。 これは各国が、中国との貿易を抑制し、中国からの直接投資を受け入れない、という間接的意思表示でもある。 米国は、すでに「米中デカップリング(分離)」に動き出している。 このほか、他の先進国も「中国排斥」に動き出す前兆と読むべきである。 中国は今後、どの先進国と友好関係を維持できるか。 そういう深刻な事態に直面している。 日本に擦り寄る中国 中国は、すでに日本を標的にしている。 4~7月に日本国債を前年比3.6倍と爆買いしているのだ。 逆に、米国債の保有高を年初来から減らしている。 にわか「親日・反米」を演出しているが、これで日本の対中観が緩むはずはない。 日本は、世界一の「反中国」の国である。 日本人は、声高に中国批判をしないが、心底深く中国を忌避しているのである。 ― 引用終り ― 米中戦争で中国は米国市場から締め出されつつある。 ドイツ、日本など経済成長の糧を中国市場に求めた国は、何があろうと中国から簡単に離れることはできない。 中国はそこを頼りにしているが、すり寄っているわけではない。 戦国時代の姻戚関係と同様に、日独のトラの子は敵地(中国)にあるからだ。
2020年11月12日
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電子マネーは基本的に法定通貨を代替する決済手段。 仮想通貨は、法定通貨のように特定の国家によって保証されてはいない。 仮想通貨はユーザー同士が取引の承認を行うなど、国に依存しないシステムを構築している。 国家が後ろ盾となってのデジタル通貨圏出現の可能性がIMFにより報告された。 「デジタル通貨圏」出現もIMFが報告書で将来分析2020.10.19 SankeiBiz【ワシントン=共同】 国際通貨基金(IMF)は19日、世界各地の中央銀行や民間企業などが検討を進めるデジタル通貨に関する報告書を公表した。 デジタル化の加速で国際金融市場の流動性が高まり、将来的にはドル基軸体制が崩れる可能性があると指摘。 官民によるいくつかの「デジタル通貨圏」の出現もあると分析した。 ― 引用終り ― 「一帯一路」の一環としてデジタル通貨圏の創設に中国が注力している。 中国は人民元の機軸通貨化に失敗したことを取戻そうと、法定デジタル人民元の普及拡大に取組む。 そして習近平主席は、二度失脚した父・習仲勲の名誉を回復するかのように、深セン経済特区を牽引役として展開する。 父・習仲勲の執念深セン経済特区40周年記念に習近平出席遠藤誉 | 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士2020/10/16 Newsweek 10月14日、習近平は自分の父・習仲勲が提案し建設した深セン経済特区設立40周年記念式典に出席した。 総書記就任後、最初に視察したのも深センで、グレーターベイエリア構想とデジタル人民元に力を入れている。 ◆深セン経済特区構想は習仲勲が提案し中央に決議させた 今では「中国のシリコンバレー」と呼ばれるほどハイテク企業が集中している深センを、「経済特区」として認めさせたのは習近平の父・習仲勲だ。 1962年に小説『劉志丹』を書かせて反党活動を行ったという冤罪で国務院副総理の座からいきなり罪人にされ、1978年まで捕らわれの身であった習仲勲は、習近平やその母親・斉心などの奔走により、ようやく釈放された。 釈放に尽力したのは、当時の中共中央組織部部長・胡耀邦と、全人代常務委員会委員長・葉剣英である。 1978年2月24日から人民大会堂で開催された第五回政治協商会議全国委員会第1次会議に出席し、全国政治協商会議常務委員会委員に選ばれるところから再出発が始まった。 4月5日に第二書記として広東省に派遣された。 その頃の深センはカエルが鳴いているようなあぜ道があるだけで、それも農民あるいは漁民の多くは隣接する香港に非合法的に逃亡する者が多く、農地は荒れ果てていた。 逃亡者が減らない原因は、深センが貧乏だからだ。夜ともなると、橋一つ隔てた向こうには、香港の高層ビルとネオンサインが輝いていた。 そこで習仲勲は何としても深センを豊かにしようと血みどろの努力をするのである。 文化大革命(文革)は1979年10月に終わったばかりで、庶民に商売をさせようとすると文革のスローガンの一つだった「走資派(資本主義に走る者)」という批判が来る。 それでも逃亡者を防ぐためには経済を繁栄させるしかない。 当時の習仲勲の努力は「殺出一条血路」(命懸けで闘って血路を開く)という言葉で表されている。 習仲勲等は1930年代、陝西・甘粛・寧夏などの一帯で「陝甘寧革命特区」という革命根拠地を創っていた。 そこで習仲勲は深センなど、いくつかの広東省の都市を「経済特区」と位置づけ、「特別の経済交易に関する権限を広東に欲しい」と中央に要求し、「深セン経済特区」が誕生するに至ったのである。 1979年4月に「輸出特区」として、1980年8月には「経済特区」として正式批准が国務院から下りたが、改革開放の号令がかかる1978年12月よりも前から、習仲勲は切羽詰まった形で、改革開放を先行する行動を実際に取っていたことになる。改革開放の先駆者は習仲勲であり、「経済特区」のアイディアは習仲勲が出したものである。 1980年11月、再び中央に返り咲き、1981年3月には葉剣英の尽力で中共中央書記処書記に就任した。 しかし1987年1月に胡耀邦が中共中央総書記の座から無理矢理に引きずり降ろされたのだが、そのとき机を叩いて絶対にダメだと反対したのは習仲勲一人だった。 1989年4月の胡耀邦の死によって同年6月に天安門事件が起きたわけだが、習仲勲は天安門事件においても民主を叫ぶ学生に同情したりしたため、1990年にはトウ小平により、これも全人代への出席をいきなり阻まれ、再び失脚した。◆総書記就任後、最初の視察地を深センにした習近平 2012年11月15日、第18回党大会一中全会で中共中央総書記に選ばれた習近平は、総書記就任後の最初の視察先として「深セン」を選んだ。 …(略)… ◆グレーターベイエリア、特に深センを中心に法定デジタル人民元実現を狙う習近平 習近平が深センを「先行モデル区」に指定したのは2019年8月18日で、香港デモが燃え盛る真っ只中のことである。 昨年8月19日のコラム<「こっちの水は甘いぞ!」――深センモデル地区再指定により香港懐柔>にも書いたように、香港を懐柔する目的があったのは事実だ。 人口が全中国の5%しかないのに、国家全体のGDPの12%を生み出している現実も大きい。 しかしそれ以上に習近平の狙いは中央銀行が発行する法定デジタル人民元の実現にある。 今月26日からは第19回党大会五中全会が開催され(~29日)、来年の全人代で発表される新しい第14次五ヵ年計画の内容が決定されるが、実は法定デジタル人民元構想は2016年に発表された第13次五ヵ年計画の中に「ブロックチェーン技術」という形で盛り込まれている。 2019年10月24日の中共中央政治局学習会議で、習近平は「ブロックチェーンを核心的技術の自主的なイノベーションの突破口と位置づけて、ブロックチェーン技術と産業イノベーション発展の推進を加速させよ」と述べた。 その後、法定デジタル人民元は深センなど4つの都市で試行的使用が試みられ、今年10月12日には深センで市民が参加する法定デジタル人民元の大規模な実証試験を始めた。 総額1000万元(約1億6000万円)の法定デジタル通貨を抽選で5万人の市民に「紅い封筒」を通してネットで配布するという具体的な試みだ。 中国の現行の人民元に対するデジタル支払い(キャッシュレス)は世界トップクラスで、2018年の支払い金額が39兆ドル(約4290兆円)であるのに対し、アメリカは1800ドル(約19.8兆円)でしかない。中国の0.46%だ。 中国の最終的な狙いは、現行の人民元では絶対に現在のドル基軸には勝てないので、法定デジタル人民元を用いて「米ドル覇権」を崩そうということにある。 それをグレーターベイエリア、特に深センを中心に展開していこうという狙いが、この深セン訪問に込められている。 ◆リスキーな「一帯一路」沿線国を逆利用し、法定デジタル人民元の普及を狙う 中国国内で使われたとしても、それが国際社会で流通しなければ国際通貨としての価値は生まれない。 特に通貨が流通するには、「その国家への信用度」が何よりも不可欠だ。 人権問題や香港国安法問題などで、民主的だった習仲勲とは全く逆の方向に動き、国際的信用を失っている習近平政権に、そのようなことができるはずがないと誰でもが反射的に思うだろう。 しかしコロナで人が現金を使わなくなっただけでなく、中国は一帯一路沿線国の内の発展途上国に対して、コロナ流行のために負債返還の減免を今年6月7日に宣言した。 マスク外交で一帯一路を「健康シルクロード」と名付けている。 これがやがて「法定デジタル人民元シルクロード」となるべく、習近平は虎視眈々と狙っているのだ。 隠された骨格にあるのは、実は中国が債権を持っている大多数の国は「信用格付け」(金融商品または企業・政府などの信用状態に関する評価を簡単な記号または数値で表した等級)すらされてない国がほとんどだということだ。 どの国もあまりにリスキーなために、これらの国にお金を貸さない、その危険性を押して中国はお金を貸している。 つまり信用格付けさえ成されてないような国では、自国の銀行への信用どころか、自国の貨幣をさえ信用してない。 したがってそのような国の国民は、今でも既に経済的強国である中国の人民元をキャッシュレスで使い、その方が安心だと思っているのである。 それらの国で使われている現行の人民元を中国の中央銀行が発行する法定デジタル人民元に置き換えれば、相当数の国家の流通通貨になっていく。 ― 引用終り ― インフラ投資で中国の借款に依存したアジア、アフリカの国々が中国のデジタル通貨圏の傘下に入るとする中国政府の目論見は、成功する可能性が高い。 空港、港湾、水道などのインフラと通貨発行権を中国に握られた国家が出現する可能性が推察される。 中国の米国覇権転覆の試みが継続される限り、米中対立は終わることはない。 ロシアは中国寄り、インドは中国と対立。 インドネシア、オーストラリアは中国と距離をおくようになっている。 ドイツと日本は中国の経済発展に賭けているので中国と対立しない。 世界情勢は、米ソ対立以来のきな臭さを帯びている。
2020年10月31日
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中国・習近平主席は一体何を焦っているのか? 2020年5月22日に公表された中国の2020年の国防費予算は1兆2680億元(約19兆1000億円)で前年実績比6.6%増加した。 前年の増加率(7.5%)からは伸び率が低下したが、経済の停滞が鮮明になる中で高水準を維持した。 緊迫の台湾海峡、習主席「全身全霊で戦争に備えよ」軍に指示大統領選直前、米日豪印で牽制2020年10月16日 zakzak …(略)… 「『自由で開かれたインド太平洋』への米国の関与を示す」「米海軍は国際法で許されたあらゆる場所で飛行し、航行し、作戦行動を実施する」 米太平洋艦隊報道官は14日、駆逐艦「バリー」が台湾海峡を同日通過したことを発表したうえで、その意義を語った。同艦は、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦で、イージスシステムを搭載し、対艦、対空、対潜などさまざまな任務を遂行可能だ。 台湾海峡では9月以降、中国の軍事的挑発行為が続いている。 台湾国防部は16日、中国のY8対潜哨戒機1機が15日夜に台湾の防空識別圏に入ったと発表した。 中国軍機の侵入は6日連続で、中国軍が台湾周辺で活動を活発化させた9月16日以降では、18回目となる。 習主席は今月13日、広東省の海軍陸戦隊(海兵隊)の部隊を視察し、「全身全霊で戦争に備え、高いレベルの警戒態勢を維持しなければならない」と指示した。 新華社が伝えた。陸戦隊は上陸作戦に投入される部隊で、台湾や沖縄県・尖閣諸島への作戦を念頭に置いた部隊とみられる。 中国は新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を引き起こしながら、軍事的覇権拡大を着々と進めている。 これに対し、米国中心の自由主義陣営は引かない構えだ。 ― 引用終り ― ストックホルム国際平和研究所が発表した世界の軍事費動向を集約したレポートによると、2019年の世界全体における軍事費総額は1兆9072億米ドル。 そのうち1位の米国は38.4%、2位の中国は13.7%。 両国合計で52.1%と世界の過半を占める。 賢明な中国政府が過去の轍を踏むことはないと信じたいが、米国との軍事競争を続けて経済的に立ち行かなくなったソ連を想起させる、軍事行動だ。 ソ連に止めを刺したのはアフガン紛争への介入だとされる。 【軍国化】 国家財政的に重荷となっている「一帯一路」の失敗を、政治的な巻き返し策として対外軍事行動、中国統一政策としての台湾侵略に出る可能性が考えられる。 また国内でチベット、ウイグルの弾圧、思想改造を進める姿は、大日本帝国の皇民化政策を想起させる。 2020年10月13日、中国・王毅外相は、マレーシアでの共同記者会見で「自由で開かれたインド太平洋」構想について、「東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とした地域協力の枠組みと衝突し、東アジアの平和と発展の将来を損なう」「インド太平洋版の新たなNATO(北大西洋条約機構)の構築を企てている」と語り、日本、米国、オーストラリア、インドが進める「自由で開かれたインド太平洋」構想に猛反発した。 中国が対外軍事行動(台湾侵略を含む)に出た場合、米国・トランプ大統領は政治的にも、経済的にも大歓迎する。
2020年10月25日
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新型コロナを制圧したと自慢する中国は、国内経済の回復を急いでいる。 国慶節絡みの連休に中国の観光地は行楽客で「密」な環境が多数出現した。 人と人が密着していた行列は、コロナ禍以前の日本並みの間隔が空いてはいるが。 中国の経済回復は「順調」なのではなく「必死」なものであるようだ。 「一帯一路」で返済能力の乏しい途上国に多額の資金を貸い込み対外債権が増大。 シーレーン防衛強化で海軍力に還ることのない莫大な資金を投入。 コロナ対策で多額の公的資金を投入し、公的債務を上乗せ。 急激な貿易の縮小で貿易黒字は急減、途上国への貸付けは返済不能と化しつつある。 中国の巨大債務が世界経済を脅かす可能性が日々高まっている。 中国の巨額「隠れ融資」、新興国に債務危機の足音Brian Spegele and Anna Isaac2020/03/31 THE WALL STREET JOURNAL 世界経済が停滞し、資源価格が急落する中、ひそかに積み上がった債務がここにきて新興国を脅かしつつある。 新興国は中国から推定2000億ドル(約21兆6000億円)を借り入れているもようだが、公式データにはその実態が反映されていない。 その中国マネーは、高い利回りを求めて過去10年間にリスクの高い新興国市場に約2兆ドルを投じてきた投資家の目算を狂わせかねない。 新興国の中には、足元の金融市場の混乱が発生する以前の段階ですでに、中国への返済が行き詰った国もある。 パキスタンは2018年に国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請したほか、スリランカは財政立て直しに向け、戦略的な要所である港湾施設の管轄権を中国に引き渡した。 欧米のエコノミストは、現在の状況を1980年代に発生した南米の債務危機になぞらえている。 そして世界経済がリセッション(景気後退)に陥いれば、問題はさらに深刻化すると警鐘を鳴らす。 …(略)… ハーバード大学のエコノミストで、元国際通貨基金(IMF)当局者のカーメン・ラインハート氏は、投資家は「現在の状況を非常に警戒する必要がある」と話す。 同氏が参加するチームは過去2年にわたり、中国の融資に関するデータを収集。 ラインハート氏や、同氏とともにその結果を分析したエコノミストのセバスチャン・ホーン氏、クリストフ・トレベッシュ氏の3人は、中国が手掛けた推定2000億ドル以上の対外融資(約半分がクロスボーダー)が公にされていないとの見方を示す。 また、中国からの借り入れ規模が国内総生産(GDP)の2割以上に及ぶ貧困国は10カ国以上に及ぶとみられている。 トレベッシュ氏は「問題は危機時に最も深刻になる」と警鐘を鳴らす。 中国の対外融資を押し上げているのは、広域経済圏構想「一帯一路」だ。 一帯一路に参加する国・地域は70程度に上る。このうち中国向けの輸出拡大を狙う資源国の多くは、コモディティ(商品)価格が大きく値上がりしていた時期に中国からの借り入れを行った。 だが足元では、コモディティ価格の急落により、国家財政はとりわけ大きな打撃を受けやすい状況にある。 オバマ政権時代に国務省幹部(東アジア担当)を務めたダニー・ラッセル氏は、「一帯一路による債務負担は、多くの国にとって、あっという間に持続不可能になる」と話す。「非常に恐ろしいことだ」 …(略)… トランプ米政権は、世銀総裁として中国の対外融資慣行に批判的なデービッド・マルパス氏を送り込むなど、米当局者の間では中国に厳しい目を向ける動きが強まっている。 マルパス氏は2月、IMFや世銀が途上国に対して債務状況について尋ねても、中国との間で厳しい秘密保持条項があるとして明らかにしてもらえないとの不満を表明。 世銀総裁の立場を利用して、中国に透明性の向上を引き続き求めている。 ― 引用終り ― コロナ禍の景気後退で中国は回復途上にある。 巨大な国内市場を抱える中国政府は、まず自国経済の回復をはかるため、様々な方法で公的資金を投入、需要の創出をはからなければならない。 中国の地方債が1000兆円に達し、「時限爆弾」となったによる国内経済への影響を踏まえると、中国が借り換えに応じることを渋る恐れもあり、そうなれば新興国の流動性状況は一段と悪化しかねない。2020年7月27日 VISION TIMES 中国語ラジオ放送 、「希望之声(Sound of Hope)」の7月22日の報道によると、中国政府は、経済と日々の政府運営を維持するために多額の公的借金に頼るほか、地方の金融プラットフォームでの巨額な隠れた借金があると指摘しました。 中国の信用格付機関によると、2019年末までに地方政府の隠れ債務が43兆元(約659兆円)に達しています。 公式発表された24兆元(約368兆円)の債務と合わせると67兆元(約1026兆円)に達し、中国経済と金融市場にとっては危険な時限爆弾となっています。 ― 引用終り ― 国内債務の増加のため、対外債務のモラトリアムやリスケジュールがはかれなければ対外債権は債務に転換する。 国内外合わせた巨大な債務が発生する。 いままでは巨大なGDPの成長でカバーできたが、世界経済が停滞し、中国の産品に対する需要が回復しない場合、返済する当てのないむき出しの債務と化す。 中国のバブル経済は社会主義的経済統制のため、容易に崩壊しない。 そう思ってきたが、対外債権が一挙に債務に転じるような事態は考えたことがなかった。 多分中国政府の経済関係者も想定したことがない事態だろう。
2020年10月11日
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継続される軍備増強。 東シナ海でも軍事演習の強行。 国内の少数民族(チベット、ウイグル)への締め付けと馴化政策の強化。 香港の政府による統制強化。 習近平主席の中国政府は、国家による統制の強化を急ぐことで、社会の安定と国際社会の信任を失っている。 「一帯一路」は中国の支配地域を広げたかもしれないが、国家債務の抱え込みとなって帰ってきた。 そこにコロナ禍による景気急減速と防疫対策費の支出が重なり、中国の隠れ債務は665兆円に達したという。 そこで新たな政策、経済のハードランディング回避策として「双循環」が唱えられた。 習近平が大迷走…!いよいよ追い詰められた「中国経済」のヤバい末路起死回生策の「一手」を打ち出したが… 福島 香織 ジャーナリスト2020年9月10日 現代ビジネス習近平がぶちあげた「双循環」構想の中身! 10月に開催される中国共産党中央委員会第五回全体会議(五中全会)で、第14次五か年計画(2021―2015年)と2035年遠景目標提案が制定される。 中国の中長期的経済の方向性を決めるこれら重要な政策について、おそらくキーワードとなるのは「双循環」という概念だろう。 だが、これは今年5月に初めて登場した新語で、具体的にどのようなものなのか漠然としすぎている。 特に米国が中国の人権侵害問題や南シナ海の人工島建設にかかわる企業や官僚にたいして厳しい制裁を行い、中国がグローバル経済からデカップリングされつつある中で、この「双循環」が中国経済の起死回生を導くことができるのだろうか。 そもそも双循環という言葉は今年5月14日、中央政治局常務委員会会議で提案され、その後、全人代(全国人民代表大会)と全国政協(全国政治協商会議)の両会で行われる分科会でも討論のテーマとなった。 習近平総書記は全国政協の経済界委員会の場で国際情勢を分析しながら、国内需要を満足させることを立脚点にして形成した「国内大循環」を主体とした、国内・国際の二つの循環を新たな発展スキームとするという考えを「双循環」の定義として説明。 7月30日の中央政治局会議でも同様の定義が再度強調された。 さらに習近平総書記は7月21日に企業家座談会を招集し、「大循環」と「双循環」に内在するロジックを説明。 8月に洪水被災地の安徽省を訪問したさい、合肥で開催した幹部会議で、安徽を含む長江デルタを「双循環」とリンクさせる最初地域に指定している。 …(略)… 5つの措置 元財政部財政科学研究所所長で華夏新供給経済研究院長の賈康が、中国経済ニュースサイトの財新ネットに寄せた論考によれば、「経済内循環の解釈をただ自力更生によるものだとするのは明らかに偏りのある極端な認識である。 さらに重視すべきは内循環が決して閉鎖的な鎖国経済に回帰するのではないということだ。 国内外の双循環を処理するその前提条件は、全面的な開放と改革の深化を継続することだ」と解説。 内需のポテンシャル発揮を通じて、国内市場と国際市場をさらにうまくリンクさせ、内需外需を相互に促進し総合力を発揮させるのが「双循環」だ、としている。 ちなみに賈康は内循環を促進する五つの措置として、(1)新基建(デジタルデバイスインフラなど、新型インフラ建設)などへの投資拡大と、それによる内需拡大、雇用促進、民衆の収入増とそれによる市場への期待という循環の促進、(2)富の再分配の最適化、(3)農村人口の都市民化、(4)輸出から国内消費への転換、(5)企業と政府の関係改善、市場経済を基礎としたビジネス環境の高度化、法治化を含めた全面的な改革の深化をあげた。 …(略)… 一方、工商銀行国際の主席エコノミストの程実とシニアエコノミストの銭智俊のリポートによれば、グローバル化の歴史的な難局に直面し、中国の「双循環」は「自己を守って閉じる」だけではなく、内側に向かって力を選択し、外に向かっての高いレベルでの開放とするようになった、という。 「内循環は産業のレベルアップによるアジア地域の経済一体化を進めることで、中国経済をグローバルシステムの中の新たな戦略的視点として打ち出すために、”外循環”に中国の国際分業の道を最適化する」というのだ。 ― 引用終り ― 「一帯一路」も「双循環」も、世界経済の米ドル基軸体制を脱し、部分的にせよ人民元基軸体制を構築するアプローチだ。 米国トランプ大統領の登場で、米国の覇権を維持するため、中国排除の経済体制がすすめられている。 軍備拡大に励んでも、エネルギーと食糧の安全保障が確立されないままであり、「一帯一路」の国々への投資は、経済の拡大となっておらず中国の人民元経済圏構想は潰えつつある。 そして一人っ子政策を長く続けた中国は急速な高齢社会に変容するため、残された時間は長くない。 2020年8月11日、国営新華社通信は「習主席が食料の浪費行為を減らすよう指示を出した」と報じたことは、このような文脈で理解できるようだ。
2020年09月24日
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高速鉄道は安定性と円滑性の要求が非常に高いので、その建設費は普通鉄道の建設費より2~3倍高い。 車両や軌道の維持などの費用も普通鉄道より高額となる。 高速鉄道網は膨大なインフラ建設を伴うが、旅客輸送専門なので人口の稠密な地域間で乗車率を高くしないと、採算が合わない。 利用料金は、拠点間のインフラ投資が不要の航空輸送と競合しうる設定が上限となる。 中国は世界に類を見ない短期間で、大規模な高速鉄道網を実現した。 莫大な建設コストの償還と運行コストの赤字の負担の時期がきた。 中国を脅かす巨大なリスク「中国版新幹線」のはてしない無軌道北京の著名な研究者も警鐘を鳴らした2019年2月25日 現代ビジネス …(略)…膨れ上がる債務の実態【5】中国の高速鉄道は主として融資による債務に依拠しており、大規模な高速鉄道の建設は中国鉄路の負債を2005年の4768億元(約7兆7720億円)から2016年の4.72兆元(約77兆円)まで急増させた。 中国鉄路の収支は秘密事項だが、その公表された負債と旅客運輸収入のデータから考えると、たとえ高速鉄道の運営コストを考慮しない前提で、高速鉄道の全運輸収入を高速鉄道の建設に関わる借款の利子払いに充当したとしても足りないと判断できる。 その理由はこうなる。 2016年末の中国鉄路の負債は4.72兆元だったが、その中の少なくとも3.3兆元(約53.8兆円)は高速鉄道2.2万kmの建設と動力ユニットの購入に投入されたが、これを年利4.75%で利息を計算すると、毎年支払わねばならない借款の利息は1568億元(約2兆5560億円)となる。 2016年における高速鉄道の運輸収入は1409億元と推定できるので、1568億元の利息支払いにも不足するのである。 【6】中国鉄路の旅客輸送収入は2018年上半期には1693億元(約2兆7600億円)に達したので、通年では3400億元(約5兆5400億円)が見込まれる。 しかし、2018年9月までの中国鉄路の負債総額はすでに5.28兆元(約86兆円)に達しており、目下のところデータはないが、地方政府が高速鉄道の建設で抱えている莫大な金額の債務を考えると、巨額な高速鉄道の債務はすでに形成され、国家的な金融リスクが誘発されているのかもしれない。 ― 引用終り ― 何もなくとも採算の合わない中国高速鉄道網を新型コロナ対策のロックダウンが衝撃を与えた。 人が移動しないので運賃収入は激減した。 にも関わらず景気刺激策として建設投資は継続された。 2020年の初めから年末までに高速鉄道が約2300キロメートルに達すると見込んでいる。 おそらく大半が赤字路線となることだろう。 中国国家鉄路、5兆円投資で止まらぬ新線建設4分の3を新線建設などインフラ向けに当てる財新 Biz&Tech 2020/07/16 東洋経済オンライン 中国国家鉄路集団(国鉄集団)は7月5日、2020年上半期に全国で総額3258億元(約4兆9500億円)の鉄道関連の固定資産投資(設備投資に相当)を完了し、その額が前年同期比1.2%増加したと発表した。 今年上半期の鉄道投資は新型コロナウイルス流行の影響を受け、1~3月期の投資額は前年同期比21%減の799億元(約1兆2100億円)にとどまった。 だが4月以降、国鉄集団は着工済みのプロジェクトの建設ペースを加速し、4~6月期には前年同期比11.4%増の2459億元(約3兆7400億円)を投資した。 鉄道関連の固定資産投資は、線路敷設などのインフラ向け投資と、車両などの装備向け投資の大きく2つに分けられる。 上半期にはインフラ向け投資に前年同期比3.7%増の2451億元(約3兆7300億円)が割り振られ、総投資額の4分の3を占めた。 そのうち4~6月期のインフラ向け投資は1797億元(約2兆7300億円)と、前年同期比16.4%増加した。 ― 引用終り ― 高速鉄道網はさらに巨大化。 維持費も当然より巨額となる。 そして利用者は、コロナ禍により減少。 収支はさらにさらに悪化。 中国国家鉄路、上半期に「巨額赤字」で前途多難 コロナ禍で旅客輸送の売上高が半分以下に2020年9月11日 東洋経済オンライン 中国の国有鉄道会社の中国国家鉄路集団(国鉄集団)が、新型コロナウイルスの流行がもたらした巨額の赤字にあえいでいる。 同社が8月31日に発表した2020年1~6月期決算は、売上高が前年同期比23.52%減の4039億3000万元(約6兆1800億円)に縮小し、純損失は前年同期の2億元(約30億円)から桁違いの955億4300万元(約1兆4620億円)に急膨張した。 国鉄集団は(需要の少ない地方路線など)公益的な輸送機能を担っており、毎年度の最終四半期に中国政府から公益輸送の赤字を埋める補助金が支給される。 おかげで過去数年間、同社は最終損益の黒字を維持することができた。 しかし今年は上半期の赤字があまりにも巨額であり、下半期の経営は未曾有の圧力にさらされている。 …(略)… 2020年6月末の時点で、国鉄集団は総額5兆5900億元(約85兆5270億円)に上る負債を抱えている。 同社の説明によれば、この負債は主に鉄道網の建設を急ぐための大規模投資を継続している結果として積み上がったが、あくまで(長期的には利益が投資を上回る)優良資産だという。 だが財新記者の調べによれば、国鉄集団は2020年から2022年までの3年間に650億元(約9950億円)の鉄道建設債券、1130億元(約1兆7290億円)の中期社債、1970億元(約3兆140億円)の短期借入金が続々と期限を迎える。 輸送需要の急回復が見込めないなか、これらの返済をどう乗り切るのか、プレッシャーは高まる一方だ。 ― 引用終り ― 政治により路線拡大し、赤字も拡大していく様は、日本の国鉄に通じるものを感じさせる。 2020年6月9日、香港・キャセイパシフィック航空は、香港政府が主導する総額390億香港ドル(約5460億円)の資本増強計画を発表した。 「一帯一路」に基づき海外諸国で建設されたインフラも、収支が合わないため借款の返済不能となり、中国に帰属することになる。 中国のしてきた投資の数々は債務と化し、双曲線的に増大する。 過去、国内で「投資」名目でなされた中央・地方の債務は、経済成長の陰に隠れていた。 経済成長が低下する中、増大する一方の巨額な債務を抱える中国政府は、財政を立て直す方向の政策に切り替えることができるのだろうか? 経済破綻を隠蔽すべく国外進出の度を強め、内政は独裁を強化していくのだろうか?
2020年09月24日
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世界で最初に新型コロナウイルスのパンデミックを経験した中国経済は、世界で最も速い回復を成し遂げつつある。 腫瘍先進国が経済活動が再開したのを受け、7月の中国輸出は前年同月比で大幅増加となった。 世界が引き続き世界の工場である中国からの輸出を必要としていることが分かる。 中国経済「主要国で唯一のプラス成長でも危険すぎる理由」サムスンへの影響で韓国もピンチに2020/08/24 PRESIDENT Online …(略)… BIS(国際決済銀行)によると3月末で中国の民間部門の債務残高はGDPの204.6%だ。 その水準は1980年代後半のわが国の状況に近い。 不動産バブルに加え、基礎資材分野では過剰生産能力が増している。 それを補助金などで延命するにも限度がある。 中国経済の下方リスクは上昇しているとみるべきだ。 …(略)… さらに、中国の不動産バブルだけでなく、米中対立の先鋭化によって、サムスンが中国のIT企業向けの輸出が抑えられる可能性もある。 特に、米国が締め上げ策をとっているファーウェイ向けの輸出が厳しくなることが想定される。 それは、輸出を中心に韓国経済を下押しするはずだ。 現在、世界経済の中で相対的に踏ん張っている韓国経済ではあるが、徐々に将来への不安が高まり、社会に閉塞感が広がる可能性は軽視できない。 ― 引用終り ― 記事のよると中国経済が崩壊するとGDP占めるサムスンの比率が高い韓国経済も崩壊するらしい。 中国の公式統計からはコロナ禍による失業の全容は明らかになっていない。 消費者心理の急速な持ち直しがなければ景気回復が失速する可能性がある。 米中貿易戦争が激化すれば、債券増発を主な手段とする抑制的な景気刺激策は変更を迫られる。 トランプ大統領の中国経済の兵糧攻め戦略は習近平を苛立たせ、国内の反体制派統制は強化され、国外の領土への攻勢が強められる。 ロシアンのプーチン大統領と同様に、習近平も永遠の独裁者となるしかない。 変化への対応が鈍いことから、国家による統制の強い社会の経済は、一般的に停滞する。
2020年09月07日
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2020年8月、ファーウェイ排除に始まった米中のハイテク戦争が新たな局面を迎えた。 米国・国防権限法が施行され、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)、監視カメラの杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)と浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、特定用途無線大手の海能達通信(ハイテラ)の5社が排除の対象となった。 香港の反政府勢力弾圧が米中マネー戦争の拡大に繋がる可能性を指摘される。 自ら自爆装置に手をかけた習近平…中国、世界中のドル決済システムから排除の可能性も2020年8月20日 Business Journal …(略)… こうした状況を目の当たりにして、「アメリカがどんな手段を講じてくるか、予測不能だ」とユーは続けた。「世界の決済のクリーニングをしている『CHIP』システム、あるいは国際ドル決済システムの『SWIFT』から中国が排除される可能性も否定できないだろう」 中国人民元は、香港という国際金融都市が機能を失えば、それで一巻の終わりという自覚がある。香港ドルが米ドルとペッグ制を敷いているからこそ、中国は国際取引ができるのであり、為替、ドル建て社債の起債、海外送金、貿易決済などを自由に行えた。その香港に与えてきた貿易と旅行上の特権をトランプ政権は廃止した。同時に「香港特別法」を修正し、香港ドルと米ドルの交換を停止できると条文化した。 この重大にして深刻な危機を認識できない暗愚の帝王(習近平)は香港弾圧強化に踏み切り、自ら自爆装置に手をかけてしまった。米国を怒らせるようなことばかり繰り返したのである。 ― 引用終わり ― 規模の大きいドル経済圏から排除されることは中国経済が発展の袋小路に入ることを意味する。 頼みの国内消費も、一人っ子政策による国民の急速な高齢化で失速することが確実視されている。 労働人口比率の低下により中国は「世界の工場」から脱落し、経済発展の見込みの薄い軍事大国がまた一つ出現する。
2020年09月05日
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中国では、有り余るほど食べ物を出すことで客を歓待する意図を示すという。 たくさん食べることは接待に応えるよいマナーでもある。 その中国で皇帝・習近平は大食い動画を禁止した。 大食い動画を禁止へ習主席「食べ物粗末にするな」2020年8月17日 20時36分 テレ朝news 中国で人気集めている「大食い映像」について中国政府が動画の投稿を取り締まることが決まりました。 大食い動画を禁止するのには意外なワケがありました。 若い女性は点心やハト、焼きそばを次々と胃袋に流し込みます。 華奢な女性はアワビやカニなどを黙々と頬張っています。 途中で見物人が一緒に写真を撮ってもらうほど人気者です。 今度はワンタン20杯をかき込み、食べ終われば居合わせた客から拍手喝采(かっさい)を浴びています。中国国内の若者の間では中国版「TikTok」の「ドーイン」で大食い映像を投稿するのが大流行し、収入を得ている人もいます。 しかし、ドーインの運営会社は大食い映像などの削除を発表したのです。 その背景にあるとみられるのは、11日に習近平国家主席は食べ物を粗末にしないよう求め、取り締まりを強化する指示を出しました。 北京のレストランでは早速、これまでの半分の量の料理を提供する店も。 しかし、中国では食べ物を残す文化が定着しているため…。 レストランの従業員:「半分サイズの料理を頼む客はほとんどいないですよ」 ― 引用終り ― 大食い動画の禁止は「浪費は恥であり、節約は誇り」という雰囲気づくりの一環とのこと。 中国経済の停滞に備えての方策らしい。 国民の不平不満を封じ込めようとする、香港の統制強化などとも同根の、政府・中国共産党が社会をすべて統制下におこうとする、社会主義、全体主義的取組の一つだ。 社会、情報を統制すれば経済は停滞する。 一帯一路関連の途上国の経済育成ではなく、収奪を強化する取組を続けるようでは、中国経済の先行きは明るくない。
2020年08月30日
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2020年6月16日、北朝鮮が韓国との接触窓口として南北軍事境界線沿いの開城に設置された4階建ての共同連絡事務所を爆破した。 共同連絡事務所は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて1月30日から閉鎖されていた。 6月9日、北朝鮮は韓国との4つの通信回線を遮断した。 武漢肺炎の感染拡大をおそれた北朝鮮はいち早く中国との国境を封鎖。 経済制裁下の北朝鮮の生命線ともいえる中国との経路を自ら断ち、北朝鮮は厳しい環境にあるとみられている。 韓国への厳しい態度は、唯一の活路。 南北統一推進を公約に掲げる韓国・文政権はたまったものではない。 6月17日、韓国の金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一相は、北朝鮮との関係悪化の全責任を取るとして辞意を表明した。 さりとて、国連の経済制裁を犯してまで北朝鮮の要求に応えることはできずにいる。 事態は、5月31日に韓国の脱北者団体は過去から風船などを使って北朝鮮に向けてビラ等をいつものように飛ばしたことから始まった。 今回、50万枚のビラや小冊子50冊、メモリーカード1000個などを飛ばしたことについて、北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委員会組織指導部第1副部長が強硬に抗議していた。 6月13日、金与正第1副部長が「遠からず共同連絡事務所が跡形もなく崩れる光景を見ることになる」との談話を発表していた。 金正恩委員長の怒りを代弁しているのであろう。 ビラの内容に金正恩委員長の妻、北朝鮮のファーストレディである李雪主(リ・ソルジュ)氏の写真を加工し、見るに堪えないイメージにしていたこと、差別的な言葉で辱めていること怒りをかった可能性が報じられた。 風船の送付物に、金正恩と金与正の母親が北朝鮮で「成分が悪い」と軽蔑される在日であることが、記載されていたのではないだろうか。 共同連絡事務所の爆砕は、金委員長の根深い怒りを示している。 北朝鮮は米国との非核化協議が行き詰まっていることから、危機的状況を作りだして影響力を高めようとしているのかもしれないとの見方もある。 朝鮮半島の南北関係は従来と異なる緊張関係にある。 2019年2月9日、中国政府・外交部は、「インドの指導者」が、中印両国が領有権を主張しインドが実効支配している「アルナーチャル・プラデーシュ」を訪問することに「断固として反対する」などと猛反発するコメントを発表した。 背景にインドの抗議に関わらず、中国が中印国境付近の軍事体制の拡充を続けていることがある。 中印関係も緊張している。 中印衝突で双方に死傷者背景に何が?―米華字メディアRecord China 2020年6月17日(水) 2020年6月16日、米華字メディア・多維新聞は、インド北部ラダックの国境地帯でインド軍と中国人民解放軍が衝突し、中印双方に死者が出たと伝えた。 ― 引用終り ― 香港での民主勢力の圧政で台湾では独立派の動きが活発化していた。 さらに武漢肺炎の感染拡大、中華人民共和国(中共)による情報統制への不信感を契機として、台湾では「統一」についての不審・不安が拡散している。 中共は台湾の独立派の動きに神経を尖らせている。 5月29日、中共序列第3位の栗戦書全人代常務委員長の武力行使を示唆する発言も報じられた。 中共のコロナ禍も利用する軍事的拡張の動きに米国は迅速に反応し、太平洋地域に原子力空母3隻を同時展開している。 米国の原子力空母は単なる船ではなく、軍事力レベルの高い移動する前線基地であり、抑止力の高い軍事的脅威。 紛争が続く中近東に続き、極東の軍事的緊張が高まっている。 米、原子力空母3隻で中国けん制3年ぶり、太平洋に同時展開2020年6月17日 共同通信 米軍が乗組員のコロナ感染への対応を終えたばかりの原子力空母3隻を太平洋地域に同時展開し、台湾周辺や南シナ海で活発に活動する中国軍をけん制する動きを強めている。 米メディアは太平洋への3隻派遣は北朝鮮情勢が緊迫した17年11月以来で「極めて異例の態勢」だと指摘している。 米軍によると、横須賀基地配備の空母ロナルド・レーガンとセオドア・ルーズベルトはフィリピン周辺で、ニミッツは太平洋東部で活動。 いずれも駆逐艦や戦闘機部隊を引き連れている。 中国共産党系新聞の環球時報は「中国は空母キラーの対艦弾道ミサイル東風21Dを持っている」などと反発した。 ― 引用終り ―
2020年06月29日
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経済による「帝国主義的」侵略をすすめる一方、中国人民解放軍はこの40年、本格的な対外戦争はしていない。 ベトナムとの国境紛争に手を出して、その熱さ(=実戦経験豊富なベトナム軍の反撃)のあまり、すぐに手を引っ込めたぐらいだ。 天安門事件で国内の民主化勢力鎮圧に出動したことは、中国共産党の最大の汚点となっている。 実戦を経験することなく、体制の現代化に努める日々だった。 要員を約400万人から約200万人に陸軍を中心削減、軍事費を増やしてハイテク化、装備の現代化を進めた。 労働力の創出と敷地の民需転用などで、経済の底上げをする役割を果たしてきたという。 中国軍が空母を含む陸海空軍の大規模演習を南シナ海で実施へNEWSポストセブン 2020年6月7日 中国人民解放軍は今年夏、国産第1号の航空母艦「山東」と中国軍初の空母である「遼寧」のいずれかを中心とする陸海空軍合同の大規模軍事演習を海南島沖の南シナ海で実施することを明らかにした。南シナ海の覇権をかけた、米軍との戦いを前提とした演習で、台湾侵攻作戦も演習の目的の一つとなっている。香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が北京の中国軍事筋の話として報じた。 一部には「中国軍が8月に海南島沖の南シナ海で、台湾が実効支配する東沙諸島の奪取を想定した大規模な上陸演習を計画している」と報じるメディアもある。たが、同筋はサウス紙に対して、「中国軍は南シナ海で8つの人工島を建設し、軍事基地化しており、中国軍にとって東沙諸島は地政学的な重要性はない。演習の目的はあくまでも米軍に対抗するためだ」と指摘している。 中国軍は今年5月、渤海湾で陸海空3軍の合同軍事演習を実施したが、8月の海南島沖での訓練の目的はなにか。それは戦闘機や軍艦、ミサイルなどのすべての軍事兵器の海洋での破壊力をテストし、熱帯海域での戦闘準備と戦闘能力を試すたことだという。想定しているのは台湾侵攻作戦とともに、南シナ海で遭遇した米空母打撃群との戦闘だ。 訓練に参加する中国軍部隊は南シナ海上で台湾が実効支配する東沙諸島の近海を通過するが、中国軍の狙いは東沙諸島ではないとみられる。なぜならば、東沙諸島に駐留する台湾軍はわずか200人なので、中国軍が「山東」などの空母打撃群を擁してまで、このような小さな島を奪取する意味がないからだ。 それに、同諸島の台湾軍には戦闘機すら配備しておらず、中国軍が本気で東沙諸島を攻撃しようと思えば、いつでも台湾軍を全滅に追い込むことができるからだという。 中国軍は南シナ海に8つの人工的な軍事基地を建設し、滑走路を整備して戦闘機を多数配置したり、ミサイル発射基地を建設するなど、軍事力を増強している。これは南シナ海に空母打撃群を派遣して、中国をけん制しようとする米軍の「航行の自由作戦」に対抗するためだろう。 ― 引用終り ― 人民解放軍は、中国共産党の強軍路線により経済力の拡大以上の速度で軍事力を増強させてきた。 陸軍中心から、空軍、海軍、サイバー軍の装備、体制の拡充に努めた。 今日、中国経済の低迷、軍事技術の限界、国民体力の低下などにより、軍事力の増強・拡大限界は迎えている。 それを象徴する事態が5隻目以降の空母建造計画の凍結だ。 単独で十分な防御力を有しない空母単艦では、巨大で高価な標的にしか過ぎない。 イージス艦、潜水艦を配備する空母打撃群としての艦隊運用しなければならず、巨額の費用が必要となる。 艦載機は短距離で離陸することから、比出力が高く耐久性に優れた製造に高度な技術の集積が必須のエンジンが必要となる。 そして運用する兵員は、練度が高いことはもちろん、モラルの高い技術者が必要。 これらの要素のどれが欠けても、空母の運用は、投入する費用に見合ったものとならない。 人民解放軍徴兵検査「不合格率57%」の影忍び寄る一人っ子政策と急成長の“後遺症”北村 豊2017年9月1日 ここのところの中国人民解放軍の示威的行動の数々は、内政の不満を逸らし「一帯一路」に向けさせる意図の他、米国の軍事力に到底及ばない現実を知った、人民解放軍幹部の焦りを感じる。
2020年06月20日
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亡命中国人実業家の郭文貴(かくぶんき)氏が米国で「新中国連邦国家宣言」を行った。 新中国連邦国家は現中国政府(中国共産党)を打倒、新たな中国の建国を最大目標にしている。 宣言書は「中国中共を消滅させるのは中国国民の解放、また真の世界平和を実現する唯一の道。中共が存在しない新中国連邦は、全国民と世界繁栄の為に必須」とあり、中国共産党の支配体制を厳しく批判している。 日本でもトレンド入り「新中国連邦国家」が注目された理由2020年6月8日 J-SASTニュース 「新中国連邦国家」という聞き慣れない言葉が2020年6月5日に、いきなり日本のツイッターで「トレンド」入りし、戸惑いの声が広がった。 仕掛け人は、トランプ大統領の側近だった元首席戦略官のスティーブ・バノン氏や2014年に中国から亡命した実業家の郭文貴氏。 「ヒマラヤ監督機構」を立ち上げて中国共産党を打倒し、「新中国連邦国家」を立ち上げるという内容だ。 この荒唐無稽とも言える構想自体はほとんど注目されず、世界のメディアが注目したのは、その構想の賛同者だった。 ■「新中国連邦国家おめでとう!」の バナーがニューヨーク上空に 「新中国連邦国家」の発信源はニューヨークだ。6月3日夕方(現地時間)「新中国連邦国家おめでとう!」の文字が入った旗(バナー)をつけた軽飛行機が8機ほど、マンハッタン上空を飛び、ツイッターには「何が起こっているのか」「どうこうことなんだ」といった声が相次いで投稿された。 さらに、ニューヨーク湾の船上から行われた動画配信で、郭氏とバノン氏が「新中国連邦国家」の創立を宣言。 郭氏が立ち上げたウェブサイト「Gニュース」に、宣言文が日本語を含む6か国語で掲載された。 宣言は6月4日付。1989年に天安門事件が発生した日を念頭に置いているとみられる。 日本語版の「新中国連邦宣言」によると、 「自由意志に基づく、政治的実体を持たない民間団体」の「ヒマラヤ監督機構」を立ち上げた上で、「新中国連邦のビジョン」として 「国際社会の関連する機構、及びヒマラヤ監督機構の共同監督の下、憲法を制定し、三権分立の政治体系を構築する」ことを掲げている。その前提として 「中共が存在しない新中国連邦は、全国民と世界繁栄の為に必須でもある」とも主張している。 ― 引用終り ― 軍備拡大、飛躍的な経済発展、一帯一路による展開、米中対立で中国は国際政治の舞台で勢威を誇っている。 国内では、IT活用による国民監視体制を整え、チベット族、ウイグル族の弾圧・解体、国内の民主勢力、香港の民主勢力の弾圧をすすめている。 中国共産党の汚点である天安門事件の抹殺作業も継続している。 共産党独裁体制の継続で、矛盾は蓄積・肥大していく。 新中国連邦は中国の一体化を保ちながら、民族の自治を認める国家形態。 コロナ禍、人種問題で騒然としている時期だが、世界情勢の混乱に合わせて、着々と国内の共産党以外の意見を排除し、人権弾圧をすすめている。 南京大虐殺の死者は年を経ることに増大し、六四天安門事件は「なかったこと」にされていく。 チベット族は仏教とともに消滅を迫られ、ウイグル族は民族改造と移住を強いられている。 中国は救われるのだろうか。 「新中国連邦宣言」。スティーブン・バノンは、新しい中国連邦国家宣言を読む。2020年6月5日 YouTube
2020年06月20日
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新型コロナウイルスの影響により中国市民の消費習慣に変化が起きた。 「爆買い」ではなく「爆売り」のブームが起きつつあるらしい。 コロナの影響で消費冷え込む中国で「爆買い」ならぬ「爆売り」がブームに―米メディアRecord China 2020年5月7日 2020年5月5日、ラジオ・フリー・アジアは、新型コロナウイルスの影響により中国市民の消費習慣に変化が起き、かつての「爆買い」ではなく「爆売り」のブームが起きつつあると報じた。 記事は、新型ウイルスの感染拡大に伴い企業の運営がストップし、市民の収入が減少して消費能力が低下したと紹介。 中国国家統計局のデータによると、今年1~2月の小売販売額は前年同期比20%減と落ち込んだ。 そして、この状況に中国政府は「短期間の影響はあっても、国内消費の長期的な安定や成長傾向は変わらない」という強気の姿勢を示し、各地方政府も消費喚起のために買物券を発行していると伝えた。 一方で、湖北省武漢市に住む市民が「買物券は数が限られているうえ、決まった時間にしか使えず、開始5分で売り切れてしまうので使いたくても使えない」と買物券への不満を語るとともに、働いている会社の業績も低下して失業寸前であるため、衣食の消費を引き締めざるを得ないと嘆息したことを紹介している。 ― 引用終り ― 常に気を見るに敏で頼もしい中国の人々は、感染抑制の歯止めがなくなれば、すぐに生活スタイルを変えるのだろう。 景気の回復も早いことだろう。 慎重で神経質な人が多い日本の景気回復は、遅れるはず。
2020年05月24日
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【李医師の活躍】2019年12月30日 武漢市の李文亮医師はSNSに「7人がSARS(重症急性呼吸器症候群)にかかり、私たちの病院に隔離されている」「ウイルスのタイプを調べている」と投稿。12月31日 武漢市当局は「27人に原因不明の肺炎の症状が出ている」と発表。 2020年1月3日 武漢警察は「社会秩序を乱す発言をした」として李氏を訓戒処分とした。 TV等の国営メディアはすぐに「原因不明の肺炎についてデマを流し、8人が摘発された」と繰り返し報道開始。1月12日 李氏は呼吸器のウイルスを検査とCT検査を受け、新コロナウイルスによる肺炎の可能性が高いということで入院。1月20日以降 警察から不正確な情報を流布したと認定された李氏が、今回のアウトブレイクの最前線で戦う医療関係者の一人であったということが明らかになり、人々に認識され始めた。2月1日 李氏が新型コロナウイルスに感染していたことが判明。2月6日 危篤状態。2月7日未明 死亡。 病院の門前に献花する多くの市民が集まり、早くから新型肺炎に警鐘を鳴らした”内部告発者”に哀悼の念を寄せた。 新型肺炎を武漢で真っ先に告発した医師の悲運12月に警告も、当局から処罰され本人も感染財新編集部 2020/02/07 東洋経済 ONLINE 【武漢肺炎隠蔽】3月10日 中国共産党系の月刊誌『人物』に、武漢市中心病院救急科主任のアイ・フェン(艾芬)医師のインタビュー記事が掲載された。 『人物』は発売と同時に回収。 インターネット掲載記事も2時間後に削除され、転載禁止となった。3月14日 中国外務省の趙立堅報道官は、新型コロナウイルスの問題に触れ、発生源は湖北省武漢市ではなく米軍が持ち込んだ可能性があるとする見解をツイッターに投稿した。3月19日 湖北省の武漢市公安局は、当局の公表前に新型コロナウイルスの危険性に警鐘を鳴らした李氏への訓戒処分を撤回し謝罪した。 中国共産党政府による執拗な武漢肺炎隠蔽策は今後も続く。
2020年05月06日
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米国・トランプ大統領が登場して以来、中国経済の破竹の進撃は止まったように見える。 その停滞ぶりは、いまだ国内の経済格差が大きいので、経済の成熟が原因とは思われない。 少数民族問題も無視できないレベルとなっている。 共産党独裁による国内の統制を、経済の拡大、自由を求める声が凌駕したようだ。 新型肺炎の感染拡大は中国の習政権存続に影響を与えるだろうか。 自国民大脱出へ識者「クーデターもあり得る…習氏は絶体絶命か」2020年1月28日 夕刊フジ … 略 … SARAは、全世界で8000人以上が感染し、800人を超える死者が出ている。 中国発の「パンデミック」となり、日本をはじめ世界各国で多数の感染者や死者が発生する事態となれば、トップである習氏の責任は免れない。 まず、今春の「国賓」来日は絶望的だろう。 そもそも、ウイグルやチベットでの少数民族弾圧や、香港市民のデモに対する強権的対応、中国当局による不当な日本人拘束などを受け、保守派を中心に「国賓」招聘(しょうへい)に反対する声が高まっていた。 新型肺炎で世界中に迷惑をかけておきながら、中国海警局の船3隻が26日、沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域に侵入した。 26日連続という。 日本人はお人よしだが、とても習氏を歓迎する気持ちにはなれない。 習氏の「長期政権」の野望も厳しくなりそうだ。 中国の全国人民代表大会(国会に相当)は18年3月、国家主席の任期を「2期10年」までとする規制を撤廃する憲法改正案を採択した。 これで習氏は2期目が終わる23年以降も続投できるようになった。 習氏が独裁体制を強めるとみられていたが、新型肺炎で分からなくなった。 中国事情に詳しい台湾出身の評論家、黄文雄氏は「中国では、これまでにも数々の伝染病が発生してきた。歴代王朝には『疫病』によって滅びたケースが多々ある。明朝も末期に、ペストや天然痘などが大流行して倒れた」と語る。 新型肺炎は、習政権の足元を直撃するのか。 ― 引用終り ―
2020年02月05日
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1998年、金大中政権は北朝鮮に対する「太陽政策」の取り組みを開始。 2000年に南北首脳会談が実現し6.15南北共同宣言が締結された。 これにより対北朝鮮三大経済協力事業として、金剛山観光事業、開城工業団地事業、京義線と東海線の鉄道・道路連結事業が進められた。 2019年10月23日の労働新聞が報じた金剛山を視察した金委員長が、「他人に依存する政策は過ちだ」との発言は、経済協力事業としての「金剛山観光事業」に他ならない。 国連の北朝鮮制裁決議で、韓国の文政権は身動きがとれない状態になっている。 北朝鮮経済のために韓国が動けば、韓国も制裁の対象となる可能性がる。 経済音痴の文大統領も、国連の経済制裁の対象となることがまずい事態であることは分かる。 文大統領が北朝鮮経済のために何もできないでいるので、金正恩委員長は激怒した(ふりをしている)。 北朝鮮は、核兵器・弾道ミサイルの開発とその保有に対する2006年の国際連合安全保障理事会決議1718の採択により、現在、経済制裁を受けている。 繰り返された核実験及び弾道ミサイル発射により、国連の制裁はより広範で、より具体的なものとなっている。 2017年11月29日の北朝鮮による大陸間弾道ミサイル発射に対して採択された『決議2397』では以下のような制裁が課された。・資産凍結対象として16人・1団体を追加指定。 16人は入国禁止対象にも指定された。・原油の供給上限が数値で定められ、年間400万バレルまたは52.5万トンとした。・石油精製品の供給上限が年間50万バレルまたは52.5万トンに引き下げられた。・統一システム番号72類~89類に該当する全ての品目の供給禁止。 ただし、民間航空会社の補修部品は除外。・統一システム番号、第7類「食用の野菜、根及び塊茎」、第8類「食用の果実及びナット、かんきつ類の果皮並びにメロンの皮」、第12類「採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物」、第25類「塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント」、第44類「木材及びその製品並びに木炭」、第84類「原子炉、ボイラー及び機械類並びにこれらの部分品」、第85類「電気機器及びその部分品並びに録音機、音声再生機並びにテレビジョンの映像及び音声の記録用又は再生用の機器並びにこれらの部分品及び附属品」、第89類「船舶及び浮き構造物」に該当する品目の北朝鮮からの輸出禁止。・漁業権を他国に販売等することを禁止。・加盟国の管轄内で利益を得ている北朝鮮人と海外の北朝鮮人労働者を監視する北朝鮮政府の安全監督員の24ヶ月以内の国外追放。・制裁逃れが疑われる船舶に対する保険、再保険サービスの提供禁止。・制裁逃れが疑われる船舶の船籍剥奪および再登録禁止。 日本政府は下記の独自制裁を行っている。・北朝鮮への輸出入全面禁止・北朝鮮に寄港した船舶の日本への寄港禁止・北朝鮮国籍者の入国原則禁止・大量破壊兵器や弾道ミサイルの計画などに関わる団体や個人に対し資産凍結・10万円未満の人道支援目的のものを除く北朝鮮への送金禁止
2019年11月12日
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2019年10月1日、中国建国70周年記念日を迎え、大規模な軍事パレードが北京市の天安門広場を中心に行われた。 習近平国家主席は中国の共産革命の偉大さを高らかに世界に宣言した。 2019年10月4日、デモが続く香港の林鄭月娥行政長官は、デモ参加者のマスクや覆面の着用を禁止する「覆面禁止法」を制定したと発表。 香港での抗議活動は一層激化した。 人権問題から発した抗議活動は、警察権力の横暴と共産党独裁への異議申立てへと質を変えた。 中国は世界でも有数の監視システムを整え、習主席は共産党独裁の継続、異分子の弾圧に自信を持ったのだろう。 圧倒的多数を情報と暴力で押さえこむことは、大いに経済を損なう。 経済の停滞は社会の不安定化、中国においては資本の流出(逃避)を意味する。 経済の繁栄をもとに充実強化してきた警察と軍が、経済に復讐される。 莫大な潜在需要をもつ中国を継続して発展させることはできるだろう。 発展の足かせが共産党独裁になりつつある。 中国、崩壊への警戒感高まる…共産党独裁体制が“寿命”、米国を敵に回し経済停滞が鮮明2019年9月25日 Business Journal
2019年10月23日
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アルバニア共和国の首都はティラナ。 南東欧、バルカン半島の南西部のアルバニアはアドリア海に面し、南はギリシャ、海の向こうはイタリア。 人気の観光地に挟まれているにも関わらず、日本人にあまり知られていない。 年配者は国連の「アルバニア決議」「アルバニア決議案」でアルバニアを知る人も多いことだろう。 アルバニアは、なんと1991年まで鎖国をしていた。 未知なる国、アルバニアは治安がよく物価も安い。 グルメも観光も楽しめる、貴重な国。 オスマン帝国支配等の歴史的経緯から、イスラム教徒である国民が大半を占める。 社会主義国だったためか、信仰形態は非常に世俗的とされる。 キリスト教の東方正教会やカトリックの信者も少なくない。 ヨーロッパ唯一のイスラム協力機構正規加盟国でもある。 【アルバニア決議】 アルバニア決議は、1971年10月25日に採択された第26回国際連合総会2758号決議。 「国際連合における中華人民共和国の合法的権利の回復」決議を指す。 この決議により、中華民国(台湾)は国連安保理常任理事国の座を失い、中華人民共和国が国連安保理常任理事国と見なされた。 ただし、国連憲章の記載は未だに、中華民国が国連安保理常任理事国であるため、同じく記載されているソビエト連邦の地位を継承したロシア連邦の例と同様に中華民国がもつ安保理常任理事国の権限を中華人民共和国が継承したと解釈されている。 「蒋介石の代表を国連から追放する」と掲げた本決議に抗議する形で、中華民国は国際連合を脱退した。 【ピンポン外交】 1971年、愛知県名古屋市で行われた第31回世界卓球選手権に、中華人民共和国(中国)が6年ぶりに出場した。 大会終了後に中国がアメリカ合衆国など欧米の卓球選手を自国に招待した。 この米中間を中心とした一連の外交を「ピンポン外交」と呼んだ。 これにより1949年10月1日の中華人民共和国建国以来険悪だった米中関係の緊張緩和が実現。 1971年7月、ヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官が極秘に訪中。 1971年8月、リチャード・ニクソン大統領が突然の訪中。 1972年2月には、ニクソン大統領の訪中、毛沢東主席らと会談し、米 中共同宣言を発表。 この時期、日本の「頭越し」という言葉が流行した。 1970年9月、日中文化交流協会代表団の一員として周恩来総理に招待された荻村伊智朗氏が、ピンポン外交を提案した。 萩村氏は国際卓球連盟会長となり、30回以上朝鮮半島を訪れたのち、1991年の世界選手権で南北朝鮮が分断後初めて統一チームを結成して出場することが、同年2月の南北スポーツ会談で合意された。 【日中国交正常化】 この決議を経て、1972年9月25日、田中角栄首相が現職の首相として中華人民共和国の北京を初めて訪問。 北京空港で親愛なる指導者・周恩来国務院総理と握手した後、人民大会堂で数回に渡って首脳会談を行った。 1972年9月29日、「日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明」(日中共同声明)の調印式において、田中角栄、周恩来両首相が署名。 中華人民共和国建国23年を経て両国間の正式な国交がない状態を解決し、「日中国交正常化」(「日中国交回復」)が成立した。 この日中共同声明に基づき、日本は中華人民共和国と対立関係にあり、それまで国交のあった中華民国(台湾)に断交を通告した。 この後、日本では空前の中国ブームが起こった。
2019年10月11日
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日本は「小国」である。 なぜなら日本人の多くがそう認識しているからだ。 比較の対象が米国であり、(大陸)中国であり、ロシアであるからだ。 大きな国々と比較していれば小さいに決まっている。 高度経済成長期には「狭い日本にゃ住みあきた」「狭い日本、そんなに急いでどこにいく」などの言葉が飛び交った。 島国の日本人は、大陸にばかり目が向いている。 中国メディアが「小日本」などと侮ってはいけないという記事を掲載した。 日本人の多くも気が付いていない事実だ。 日本は「小日本」と呼んで軽視できるような国ではない=中国メディア 2019-07-30 Serchina 中国では日本に対する蔑称として「小日本」という言葉がある。 この「小」という言葉は様々な意味を持ち、「取るに足らない」という意味合いのほか、中国の国土に比べて日本は「小さい」という意味合いも含まれている。 中国メディアの快資訊はこのほど、日本は中国ほど人口が多いわけでもなく、国土も小さいうえ、歴史的な問題もあるため、中国人の多くは日本について侮蔑の意味合いも込めて「小日本」と呼ぶことに慣れていると伝える一方、もし日本が欧州に存在する国だったら「とても小日本などとは呼ばなかったであろう」と論じる記事を掲載した。 記事は、中国の国土面積と比較してしまうから日本の国土が小さく見えると伝え、日本の国土面積は約38万平方キロメートルもあるため、もしも欧州にあれば日本は大きい国に見えるだろうと指摘。 なぜならドイツや英国、イタリアよりも日本の方が大きいためであり、欧州の国で日本より大きな国はフランスくらいだからだと論じた。 さらに、日本の人口は1億2600万人ほどで、欧州で最も多いドイツの8200万人を大きく上回っていると紹介。 さらに、国内総生産で見てもドイツ、英国、フランス、イタリアなど欧州の先進国より日本の経済規模の方が大きいと強調、バブル崩壊以降の日本は約30年にわたって停滞し続けているが、それでも欧州の先進国は日本に追いつくことすらできていないのだと指摘した。 また記事は、日本の防衛力についても触れ、「自衛隊の実力はアジアトップクラス」であり、日本は核兵器こそ保有していないが、通常兵器の質は世界有数であると指摘。 つまりは欧州には日本に匹敵するような強国は存在していないと主張し、日本は中国の横にあるから小さく見えるだけであって、本来は「小日本」と呼んで軽視できるような国ではないのだと伝えた。(編集担当:村山健二) ― 引用終わり ― 日本の国土は小さくないが、平野は少ない。 海、河川は多いので、伝統的に海運、舟運国だった。 道路交通が発達しなかった。 大日本帝国の海外侵略の背景に、飢饉と人口爆発がある。 米が足りない、田畑が足りない、冷害が発生するなどで、広い土地のある大陸に目が向き、移住も盛んだった。 動機は、日本では「食えない」ということ。 食えるようにするために、台湾、朝鮮で教育制度と殖産興業を充実させた。 満州ではインフラを大々的に整え、資源開発も活発におこなった。 食えないからといって他国を侵略してよいはずはない。 統一ドイツでも8200万人で日本の人口より少ないが、EU単一市場を作り、欧州はその経済的課題の大きな部分を解消した。 日本の防衛力はアジアトップクラスの金をかけている。 価格が米国より高い主力戦車、武装装甲兵員輸送車、早期警戒機などなど、枚挙に暇はない。 人員構成は幹部の比率が多く、兵が少ない特徴がある。 弾薬、燃料などを含め、正面は立派だが兵站の考慮に著しく欠け、米軍に補ってもらうことが前提のようで継戦能力に欠ける。 自衛隊はアジア最強の軍隊なのだろうか? 太平洋戦争は勝たなくて良かった戦争となり、敗因を真剣に総括しないまま、自衛隊が作られた。 バブル経済が崩壊し、日本人は日本の良さ、古来の民俗風習を見直し始めた。 経済が発展すれば全てが発展するのではない。 足元、来し方に日本人の根っ子があること、豊かさには色々な側面があることに、やっと日本人は気付き始めた。
2019年09月06日
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一帯一路の経済発展で未来が明るさ一辺倒だった中国を急速に数々の暗雲が襲っている。 まずは足元の国内経済。 中国、経済崩壊寸前へ。銀行が抱える不良債権がGDPの10%にまで拡大=勝又壽良 2019年8月8日 MONEY VOICE …(略)…ファーウェイ問題と金融不安の2大厄災で中国経済は行き詰まり米中「休戦」の間に中国経済はどんどん悪化 6月末の米中首脳会談によって、米中貿易戦争は「休戦」状態に入っています。 通商協議再開で合意しましたが、ようやく7月末に上海で開かれたという始末です。 米中は、互いに相手の出方を窺う様子見の状態です。 米国は、中国の農産物輸入が遅れていると非難しています。 中国は、ファーウェイ(華為技術)への輸出禁止の緩和を求めています。 互いに、相手国へ要求を出したまま「組み合って」います。 苛立ちを見せる米国トランプ大統領は、「中国は、自分の大統領再選が決まるまで合意を引き延ばす積もりだろう。 だが、再選後には中国への条件はさらに引き上げる。あるいは、合意しないで放置する」とまで言い放っています。 中国へ圧力を掛けていますが、中国は、「対等な条件」でなければならない、とやり返しています。 中国は、独裁政権ゆえに国内的には強い立場のはずですが、実際は「反習派」や党長老の意見も無視できません。 8月に入れば避暑を兼ねて、党幹部と長老を交えた恒例の「北戴河会議」(河北省:非公式)が始まります。 党幹部といえども、長老の前に出れば緊張します。 昨年は、米国との貿易戦争が厳しく批判され、習氏は劣勢を強いられたほどでした。 昨年の例から言えば、今年はさらに不利な状況です。 この「北戴河会議」で、今後の方針についての了解を得た後に、米国と交渉するのでしょうか。 習政権が、こうした党内手続きに時間を取られている一方、中国経済の実態は悪化しています。 市場経済の国家であれば、経済データは経済政策決定において、重要な指針になります。 中国のような統制経済国家では、悪い経済データが出て来てもさほど悩む気配は見られません。 市場機構で処理するのでなく、政治機構で強制的に措置してきた慣例上、「誰かがなんとかするだろう」という高を括っているようです。 その結果が、対GDP比で300%を超える債務総額に膨らんでおり、手の施しようがない事態を招いています。製造業PMIは50割れ 景気の実勢を示すのが、製造業PMI(購買担当者景気指数)です。 7月は49.7で、3ヶ月連続50を割り込みました。 これは、景気が縮小過程にあると判断されています。 …(略)… 146兆円の無価値資産 世界最大級の金融グループで、スイスに本拠を置くUBSグループのアナリスト、ジェーソン・ベッドフォード氏は、250行近い中国の銀行が公表する財務諸表を細かく読み込んだ結果、次のような驚くべき事実が浮かび上がったと報じました。 中国の銀行が計2兆4000億元(約38兆円)相当の資本不足に陥る可能性があると分析。 同氏の試算によると、より幅広い国内銀の「ディストレス」資産は9兆2000億元(約146兆円)と、市中銀行システムの約4%、GDPの10%近くに上る。出典:中国の銀行、38兆円の資本不足 -中小銀に警鐘のUBSアナリスト Bloomberg(2019年7月31日配信 ― 引用終り ― 単なる不況ではなく、中国金融危機が発生すると見られる。 経済の拡大は、政府で制御できる比率が低下していることを示している。 かつてのように、景気を制御することは出来ない。 しよとすれば、海外への莫大な規模の資本流出を招く。 経済成長を中国に頼っていたドイツ経済は減速。 日本から中国への輸出も減少。 中国経済の停滞ぶりが分かるが、影響は日中だけでなく、米中、欧中など世界経済に及ぶ。 中国の不良債権増大が信用収縮を起こし、個人消費を減退させる。 だが、経済の活性化につながるインフラの整備の余地があり、消費者の購買意欲が豊富な中国は、バブル崩壊後の日本のようにはならないだろう。 問題は中国の消費を成長の糧にしてきた先進国にある。 トランプ大統領は中国への追加経済制裁を延期。 自国への悪影響が大であることを認識したのだろう。 国内の景気の急減速、少数民族問題、債務返済で順調ではないアジア、アフリカ諸国との外交関係、米中貿易戦争と大きな課題は多い。 そして長老の不満を招いているに違いない香港問題がある。 秋以降の中国がどのように変わるのか、注目したい。
2019年08月25日
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米中貿易戦争の関税政策で、製造業が拠点を撤退、他の国へ変更する話は多く報じられている。 小売業の中国からの撤退は、不景気による内需不振もあるがそれだけではなさそうだ。 中途半端なブランドは、中国人に通用しない。 ミスタードーナツは「人件費と賃料高騰による収益悪化で事業継続は厳しい」とし、3月24日に上海で運営する全10店舗の営業を終了し中国から撤退。 また、こと「商売」となると中国人の熱心さは並々ならぬものがある。 中国人の商才は天性のものか、民族の特性か。 フォーエバー21の中国撤退が決定、「2度の敗北」原因は?―中国メディア2019年5月17日 Record china …(略)… 記事は、「同ブランドが中国に初めて進出したのは2008年にさかのぼる」と説明。 「江蘇省常熟市での出店をもって1度目の中国進出を果たしたが、北京、上海といった第一線の都市を避けるという差別化戦略は中国では効果を上げず、1年後には同店舗を閉店する形で中国からの撤退を表明した」と伝えた。 さらに、「同ブランドはその後も中国市場への希望を捨てきれず、11年には中国のECサイト・天猫(Tmall)への出店を通して中国へ復帰した」とし、続いて12年8月には北京・王府井のapmショッピングセンターに中国初の旗艦店を立ち上げたことを紹介。 「同ブランドはその後、上海や天津、杭州、武漢といった都市に次々と店舗を展開したが、ここ数年はそれらの店舗の閉店が相次いだ。 …(略)… 中国人の「バリューフォーマネー」の厳しい基準に合わなかったのだろう。 アマゾンは2019年7月18日をもって中国国内のネット通販プラットフォーム事業から撤退する。 中国でのネット通販大手のアリババ、京東に対し、アマゾンは自らの立ち位置を確立して浮上することができなかった。 日本の小売業でも進出先が減少している。 人口の多さと今後のGDPの拡大可能性は、小売業にとって大きな魅力。 だが日本流では必ずしも通じないことを悟って撤退したのだろう。 中国進出の日本企業が減少、小売業で特に顕著―帝国データバンク調べ2019年6月2日 Record china 帝国データバンクは2019年5月31日付で、「日本企業の中国進出動向(2019年)」を発表した。 過去最多だった12年調査の1万4394社から709社減の1万3685社だった。 特に、小売業での減少が顕著という。 中国(中華人民共和国)に進出していると判明した日本企業は19年5月時点で1万3685社で、前回調査の16年から249社減少したほか、過去の調査で最も進出社数が多かった12年の1万4394社からは709社減少した。 中国から事業を撤退した企業には、中国経済の成長に伴う人件費の上昇、為替安などによるコスト増により採算性が悪化し、国内生産への切り替えや、タイなどASEAN諸国へ生産設備を移転させたケースが多かった。 …(略)… 国内、特に名古屋では勝ち組の高島屋だが中国ではそれも通用しなかった。 2019年2月期、赤字9億円、7期連続の赤字といいところがない。高島屋が中国撤退へ=中国ネットでは「失敗した原因」指摘する声も2019年6月26日 Record China …(略)… 開業3カ月前の同年9月には、尖閣諸島を巡る日中対立の影響で中国全土で大規模な反日デモが発生。 開店当初は5年後をメドに黒字化を目指していたが、結果的に一度も黒字化を果たせず19年2月期の営業損益は7期連続の赤字となる9億円の赤字に沈んだ。 ネット通販の台頭や米中貿易摩擦による消費低迷が追い打ちをかけ、業績改善も見込めないことから撤退を決めたという。 …(略)…
2019年07月09日
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