型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記

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2018.12.03
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テーマ: 作曲(9)
カテゴリ: 作曲家
今、思えば四半世紀前に経験した出来事がどのようなことであったか、
かなりはっきり検証することができます。

大学4年の頃に書いた弦楽四重奏曲が日本現代音楽協会作曲新人賞に入選した時、
N響メンバーで初演されました。
その時の審査員長は別宮貞雄氏でしたが、
講評を聞いて自分の曲はいいと思われていないということがわかりました。
その時に自分の曲を推してくれているのは間宮芳生氏でした。

次の年に木管三重奏曲で名古屋文化振興賞をとりました。
池辺晋一郎、外山雄三、三善晃という錚々たる顔ぶれの審査員の方々で、
まさか通るとは思いませんでした。
授賞式や受賞コンサートは名古屋の関係者で行われ、
今思えばその豪華さと裏腹にかなり形式的なセレモニーでした。
池辺氏からは講評の書かれた立派な冊子に、
私の曲はレパートリーとして成り立つというお言葉をいただきました。
しかし、自分の力でそれをレパートリーとして、
木管楽器の人が演奏するようにする力はありませんでした。

その翌年は日本交響楽振興財団のオーケストラのコンクールに入選しました。
お歴々の作曲家が10名以上で評価する恐ろしいコンクールでした。
チェロ協奏曲という敢えて自滅するような編成を選んだのは未熟でした。
その時の指揮者は外山雄三氏で東京交響楽団でしたが、
経験してみないとわからないようなことをたくさん学びました。

ここまでは、既知の作曲家、師であった池内友次郎、宍戸睦郎、矢代秋雄、
ジョリヴェ、ルトスワフスキ、ペンデレツキ、リゲティ、デュティユー、
メシアンなどの研究でそれらを織り交ぜたアカデミックな作風でした。
しかし、これでは自分のスタイルと言えず作風を固めたのがその翌年、
サクソフォーン協会のコンクールで優秀賞を受賞した「オブセッション」でした。
常にポルタメントを奏するサクソフォーンパートは雲井雅人氏の名演で、
審査委員長の広瀬量平氏にはスタイルの完成度を高く評価していただきました。
最優秀が出なかったのですが、その理由として協会の会長は講評で、
「曲が暗すぎる」とのことを話されました。
自分の日頃の環境で言われることはあっても、公開でこの理由を聞いた時は、
もはや今の自分のスタイルをこれ以上追求しても、
難解としか受け取られないと結論づけました。
そこで、再度何を書けば自分の環境と共に続けられるだろうと考えさせられました。
幸いなことは作編曲の仕事や新作初演の場には困らなかったことでした。

実は、人生の節々でときどき不思議な体験をするようです。
詳細は書けませんが、ある日早朝に目が覚め多摩川に呼び寄せられたことがありました。
その時に、作風を戻してさらにさまざまな作風を結びつける多様式主義が、
自分の作風であると確信した、というより告げられたようなことがあったのです。
それから4年間は、できる時にはその作風を実験的に行いました。
たいへん目立つと共に、問題定義をしているようで勇気のいることでした。

そして、4年目の1994年にオーケストラ曲「新多様式空間」を発表しました。
音楽雑誌4誌中3誌からは全否定されましたが、1誌のみ絶賛されました。
調性をあからさまに出したタブーを冒しているような新たな主義なので、
当時はなかなか公の場ではできないと、それ以降、現代音楽のみのコンサートでは、
この作風の作品の発表を自重しました。(続く)

〈最近動画に編集した「新多様式空間」の初演〉






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最終更新日  2018.12.03 23:58:20
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