型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記

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2019.11.02
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カテゴリ: 教育
先日のスポーツ選手へのインタビューでも聞かれましたが、
なぜ「自分たちに憧れる子供がひとりでも増えると嬉しい」意味のことを言うのでしょうか?
「自分に憧れる子供」が増えることが悪いわけではありません。
また、子供が夢を持ちそれを追うことももちろん悪いことではありません。
問題は自分からなぜそれを投げかけたり乞うのかということです。
おそらくインタビューアーがそのように答えるような質問を投げかけているような気もします。
しかし、ニュースなどではそこはカットされ答だけが報道されるので、
インタビューを受けている人が自発的に話しているように聞こえます。

もう一点、やはりスポーツ系のインタビューでよく聞くおきまりの答、
「この先の意気込みを聞かせてください」との質問に「優勝を狙います」の答です。
このインタビューも、そう答えないといけない雰囲気があるのかもしれませんが、
判で押したかのように同じように答えることが多いと思います。

メディアはニュースで使う言葉も決まっています。
例えば「カメラがその一部始終を捉えました」という台詞もとてもよく使われます。
使われる展開や語彙が決まっていてワンパターンに感じます。
つまり、インタビューでも切り取るところが同じで、
注目されている人物が皆同じキャラクターのように編集されています。
特にニュースでは構成作家の趣味や価値観が極度に反映されているように感じます。
そうすることは、幅広い共感を容易に誘えるためと思われます。

そう言えば、
即位礼正殿の儀の時に皇室を振り返るVTRのBGMに「もののけ姫」が使われていたり、
首里城の火災の際のVTRにもBGMが付いていました。
これはVTRをつくった下請け会社の仕業と思われますが、
厳かな内容や不幸な出来事に音楽で演出をする必要はありません。
演出をすることは当事者や被害に遭われた方に対して失礼で、心情を害するものだと思います。
報道に演出は必要ないのです。

さらに話が横道に逸れますが、
Twitterを職業としている人以外は、Twitterを自分の宣伝ツールとしていますが、
特に音楽関係者の宛てている対象のほとんどが子供や若者向けであることが目につきます。
具体的な音楽や演奏そのものの宣伝や講評、検証ではなく、
自分自身を執拗に良く見せるための言い回しをすることが流行っていると考えられます。
それはまさしく「自分に憧れる子供がひとりでも増えると嬉しい」という、
尊敬されたい意味の内容をツイートしていると感じます。
ただその多くがやや子供騙しや上から目線に見えても、
フォロワーはそれに「いいね」をすることによって蜜月関係をアピールする、
つまり「いいね」をする相手に「いつも気にしていますよ、よろしくね」
という自己アピールと挨拶をしていると考えられます。
自分をアピールする相手にしか挨拶をしないのは、現実的な社会でも特徴のように感じます。

話を戻して、
「夢を与える」「子供が夢を持つ」が何よりも素敵なこと、
また「自分が好きなことをすればいい」「ありのままの自分でいよう」
「自分を信じること」など、とても美しい言葉が日常的に囁やかれる世の中ですが、
これを言っていても現実とは乖離している、この先が教育だということです。

「夢を持つ」と言っても、世の中に紹介されるものが画一的であまりにも高い夢だった時、
夢が叶う確率は極めて低く、大多数の人の夢は叶わずに終わるでしょう。
総じて夢が叶えられることの絶対数はいつも少ないことが通例です。
また、夢をもっても始めから諦めを感じたすれば、それは少なからず正しいのです。
なぜなら、子供のうちから与えられている境遇にすでに格差があるのは事実であるためです。
そこで、どうしたらその夢を叶えられるのか、自分しか叶えられない夢は何かを説くこと、
さらに夢が叶わなくても挫折しない心をつくること、それが教育です。
「夢」と「憧れ」は異なるのです。
スポーツ選手やYouTuber、音楽もそうかもしれませんが、
さまざまな条件や環境がなければ成り立たないことを、
子供がなりたいと言っても向いているかどうかは示唆しなければならない局面があると思います。

さまざまな学生を見てきましたが、
大学に入る前から、あるいは入ってからさらに自分のことを知る、
自分の位置を知る、開き直る、塞ぎ込むなど、
敢えて何も言わなくても夢への険しさを本人は察知します。
では、どうするかを考えなければならないのですが、
その険しさに耐えられない者もいるわけで、
本人は後悔するか、今までどうして教えてくれなかったと思うか、騙されたと思うか、
社会や大人に対して不信感を持つこともあるかもしれません。

自分の弟子や生徒をずっとそのままにしておきたい教育者は生業ですからたくさんいますが、
その子が一人になっても続けていけることを教えるのが真の教育だと思います。
「夢」と「憧れ」の区別のつく人をつくる、
子供のままにしないで早く大人の考えを身につけさせる、
それが今の世の中に不足していないでしょうか。



このCMの「あなたには無理だ」「諦めたほうがいい」という言葉、
これらの言葉は残酷で非道に聞こえます。
昔は生徒の可能性を摘むことだけはしてはいけないと考えたこともありました。
現在では、基礎的な部分では教える側の技術や水準が上がり、
可能性を潰すことはかなり減ったと考えられます。

しかし、このCMを見た時にとても嫌気がさしました。
対象を若者に向けて善いことをいかにも言うさまはTwitterのようで時流なのです。
今時「あなたには無理だ」「諦めたほうがいい」だけを言う指導者は稀で、
実際はその前後にさまざまな状況を話した結果、意味合いとしてそうなることがあると思うのです。
方法を提示せずに長く続けさせるよりも、目標の指針を少し変えることを提案すると考えれば、
そのほうがずっとその生徒のためになるでしょう。

また、このCMの台詞は動画に登場する選手をイメージさせる演出をしていますが、
実際は「世界を信じる」「奇跡を信じる」「自分を信じる」ことで成就するのではなく、
偉人だからこその努力や才能を活かす力が結果を生むのではないでしょうか。
まして、このスポンサーとは何の関係もないと感じます。

因みに以前にも挙げましたが、このCMと対極にあるのが次のCMです。



夢が叶わなかった時にどうするのか、自分の境遇に不幸を感じたらどうするのか、
いつかは叶うと信じてずっと夢を追っていることが本当に幸せなのか、
それを教えることのほうが遥かに重要だと思うのです。





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最終更新日  2019.11.02 02:14:10
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