一歩

一歩

ペンションの事



最初に主人から会社を辞めたいと聞いたときには、反対しました。

娘は1歳になったばかりの頃でまだまだ手のかかる時期だったし、私自身も、料理が得意ではなかったのでそういう仕事をやりたいとも思っていなかったからです。

何日か話し合いましたが、お互いに悶々としているときに、ある朝主人が「行って来るよ」といって家を出ていくときの顔色がとても悪かったのです。

その顔を見たときに、私は主人の希望を受け入れようと決心し、ペンションを始めることにしました。

仕事でストレスを溜めて、それこそ鬱やまたは脳の障害になったら大変だと思ったからです。

それまで娘の躾のことばかりを考えて、0歳児教育というものもやっていました。でも、こうして娘を利口な子に育てるよりも、3人で明るく力を合わせて楽しく生活できたらそれていいと思いました。

それまでずっと一緒にいた娘のめんどうもみてあげられなくなり、テレビばかりを見せていました。

そばにいてあげられなくて、泣かせてばかりいました。

いま、娘が人一倍寂しがりやなのも、成績が今いちなのも、このときの影響は多分にあると思います。

そして私はストレスから鬱になりました。

私は主人にもうやめようと何度も頼みましたが、やめれば借金ばかりが残ってその後どうしたらいいかわからないと言って絶対にやめません。

私も主人の言っていることは理解できますが、やはり辛いです。

主人は私の分もいろいろ手伝ってくれるようになりました。

今、娘にピアノを習わせているけれど、これだってこんな恵まれた環境の中でやらせてあげられるのは、ペンションだからです。

でも、娘の成績不振はどうしようもありません。

これから先、どうしたらいいのか、頭が痛いです。


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