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2021.03.27
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北山猛邦『つめたい転校生』
~角川文庫、 2016 年~

 北山猛邦さんによるノンシリーズの短編集です。(ノンシリーズですがコンセプトは統一されています。)
 それでは、簡単にそれぞれの内容紹介と感想を。

―――
「かわいい狙撃手」 大学生のわたしは、大学の屋上に向かった謎の青年に恋をしてしまった。後日、たまたま再開できてから、彼とケーキを食べに行くようになる。ある日、彼がボーガンのようなものをいつも持っていることを知ってしまい…。

「つめたい転校生」 僕の隣のクラスに転校生がきた。きれいな女子で、男子たちは声をかけていくが、あまりに冷たく拒絶され、みな撃沈。彼女を見ていて、僕は 10 年前に出会ったふしぎな少女を思い出す。そして、彼女が密室状況の体育倉庫から消えてしまうという事件も発生してしまい…。

「うるさい双子」 大切な人を失い意欲をなくしていた大学生のわたしは、夏休みのあいだ、旅館で住み込みのアルバイトをすることになった。指導係は自分より年下と思われるおしゃべりで高圧的な言い方をする男だった。また、女将からは、離れで何を見ても決して気にしてはいけないという気がかりな命令も出される。そして私は、奇妙な夢を見るようになる。

「いとしいくねくね」 売れない漫画家の俺に、出版社から電話がかかってくる。新連載を予定していた作家が急死したため、選考に漏れた俺が繰り上がりで連載をもつことになったのだった。同じころ、マンション1階の住民が奇妙なものをみたといった翌日、その住民は死亡した。俺はこどもの頃にあった「くねくね」のことを思い出し、なんとか事態を抑えようとするが…。

「ちいさいピアニスト」 わたしは、無人のはずの洋館の窓の一つが、内側から分厚く封鎖されはじめたことから、洋館に興味を抱く。ママからは近づかないよう言われたが、何度も訪問するうちに、誰かがピアノを弾いていることを知る。わたしはその人物に近づこうと試みるが…。
―――

 ミステリ的な要素が特に強いのは、「はかない薔薇」ですが、その他の作品もミステリ的要素はあります。が、千街晶之さんの秀逸な解説にあるように、それよりもはかない恋などの方に主眼がおかれた、少し不思議な物語となっています。
 千街さんも、冒頭の「かわいい狙撃手」だけは解説を読む前に読んでほしいと書かれていますが、私も全く先入観や予備知識のないままに読んだこともあってか、この短編が一番好みでした。
 「うるさい双子」や「いとしいくねくね」のようにやや重たい(つらい)作品もありますが、全体的に楽しく読めた一冊です。

2020.11.15 読了)

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Last updated  2021.03.27 22:57:36
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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