第8章

告白










「っくしょう……!!」
 気持ちを堪えられず、ルフィールが壁を叩いた。現在“エルフ十天使”の砦には、ある二人を除くメンバー全員が集結していた。
ダイフォルガーがゴーストを退けた後、ムレミックとミュアン、バンディアル、ルフィールがやってきて、またしばらくしてからゼロが砦へやってきたにもかかわらずいつまでたっても砦に来ないセルナスとシューベルクを不安に思い、探しに出たルフィールとムレミックが連れて帰ってきたのは、既に事切れた二人だった。
メンバーの誰もが俯き悲しみに嘆く中、ゼロは集団から離れ一人壁にもたれていた。確かに悲しみを感じないわけではないが、きっと自分が他のメンバーほど悲しんでいないということを分かっていたのだ。“十天使発足からの2年、ずっと共に戦ってきた仲間の死”と“仲間になってからまだ半年にも満たない上に、まともに会話もしたことのない仲間の死”は天秤にかけても釣り合わないことを、彼は重々承知していた。
だから、彼はあえて自分以外の十天使のメンバーの中に入ろうとしなかった。今回ばかりはいつもゼロに突っ掛かってくるルフィールも、それを察知してか何も言ってこなかった。
腕を組み、目を閉じ、顔を下に向ける。何も言う資格を持たないゼロは黙ってレリムが何か切り出すのを待っていたが、ふと左肩に重みを感じゼロは目を開けた。ちらっと一瞥し、青い髪が目に入った。彼は小さく「泣きたいだけ泣いていいぞ」と、すぐ側にいる人物に呟き、彼女の身体を引き寄せた。
こういうときは、人の温もりが何より悲しむ心を沈めてくれるものだ。ゼロは彼女の背中に腕を回し、優しくぽんぽんと叩いてやった。震える彼女の肩が、次第に落ち着きを取り戻していった。
その日はもうどうするでもなく解散となり、ゼロはミュアンを彼女の家まで送り、足早に自分の家へと戻っていった。

家に着いた時はまだ夕方の5時くらいだったが、脳が休息を欲していた。久々の実戦を繰り広げても身体が悲鳴を上げるようなことはなかったが、死と隣り合わせの戦いに脳が疲れ果てたようだった。
ゼロは倒れるようにベッドに横になる。
「ユフィ……」
 手を虚空へと伸ばし、何気なく呟くのは、西でゼロの帰りを待つ大事な人の名前。
「“ユフィ”さんって、誰のこと?」
 疲れていたからか、ゼロは全く声の主に気付いていなかった。
 慌てて起き上がり、扉の方を見るといつものような、いや、どこか興味津々そうな笑顔を浮かべるレイの姿があった。
「い、いたのか……」
 先日の夜の些細な口論以来二人とも忙しかったためまともに会話していなかったので、どこか彼の笑顔が新鮮に感じられた。
「そりゃいるで。ここ一応俺が借りてる家やさかい」
 そう言われれば言い返す言葉もない。
「で、“ユフィ”さんって誰やねん? ハッ! まさかゼロ、俺というものがありながら女が出来たっていうんか?!」
 大げさな身振り手振り付きで嘆くマネをするレイ。
「……そういう誤解を招くような発言はやめろ」
 その彼に対しゼロは怒るマネをした。そしてどちらともなく声を上げて笑い出した。
 するすると疲れや緊張の糸がほどけていく。
「聞いたこと無いのも無理ないか……。東には伝えてないことだしな」
「だから何やねん?」
「先に言っておくが女が出来るどうこう言われる前に、俺はもう結婚してるぞ」
「な?!」
 そんな重要なことをさらっと言われ、レイは絶句した。素直な子どものような驚きの表情だ。
「ユフィ・ナターシャ。南の魔法三家の一つ、名門ナターシャ家の令嬢だよ」
「あ~、噂は聞いたことあるで。すっごい美人さんなんやろ?」
 にやにやした表情を浮かべ尋ねるレイに、ゼロは照れくさそうに頷いた。
「俺には勿体ないくらいな」
「そりゃないやろ~」
 レイが笑いながら反論する。
「だってゼロだってものすっごい美人さんやん? それで勿体ない言うたらそのユフィさんてなんぼ美人やいうねん?」
 その言葉を聞いて、ゼロはどこか釈然としなかったのか軽くレイの頭を小突いた。
「ま、この戦いが終わって、俺が西に帰る時着いて来るなら紹介するよ」
「楽しみやな」
 自然と二人の間に出来かかっていた溝は埋められていた。



 襲撃の後、ゼロは決められた日以外砦に顔を出さず、しばしば中央市場の方にある中央図書館へと足を運ぶようになっていた。ゼロ曰く「智は力なり」らしい。
 正直な所学問に興味のないレイにとっては、あまり面白いことではなかった。
 そしてそんなある日、レイが特にすることも無く家でのんびりしているところに尋ねてきた人物がいた。
 玄関の呼び鈴が鳴らされたことに気付き、レイは足早にそちらへ向かった。
「はいは~い」
 玄関の扉を開け、レイは冷や汗をかいたような気がした。
「あ……」
 来客の方も思わず言葉を失ってしまう。
「あ、あれ……? ここ、ゼロの住んでる家なんじゃ……?」
「そ、それはそうやけど、一応名義は俺の名前やで」
 来客――ミュアンは幸いにもレイの顔を知っていなかったのか、すぐさま敵対心を持たれたりすることがなかったのは救いだった。
―――あ~……そういや十天使に青い髪の娘がおるって言っとったな……。
「もしかして十天使のミュアンちゃんっていうん?」
 初対面の相手にちゃん付けされたことに対して少しだけ不思議そうな表情を見せたミュアンだったが、レイの次の一言で彼女の表情が明るくなった。
「十天使の中で一番頼れるとか、ゼロからよく話は聞いとるで?」
「そ、そうなの?」
 “一番頼れる”という言葉に、食いついた金魚の如く反応するミュアンを見てレイは即座にあることに気付いた。
―――うわ……話からなんとなくそんな気はしとったけど、こりゃずばりやな……。
 そう、当事者の二人以外はほぼ100%気付くであろう、ミュアンのゼロに対する恋心だ。
「まぁ、立ち話もなんやしちょっと上がらへん?」
 これはレイのちょっとした親切心だったのだが、思いもよらぬ方向へと進むことになるなど、彼には到底予想も出来なかった。

 言われるままに家の中へとお邪魔したミュアンに対し、思いの外レイは丁重に扱ってくれた。あまり家事を得意としないミュアンから見ても分かるほどにお茶の淹れかたは不器用だったが、その姿は見るものに対し自然と笑顔を作らせるような、そんな雰囲気があった。
 同等の美形でありながら、自然と人の心を惹きつけるレイと、人の目を引きつけるゼロ、その違いはやはり普段の表情なのであろうか。
「あのさ、ちょっと気になっとったんやけど」
 向かい側の椅子に座り、レイはミュアンを正面から覗き込んだ。
「俺が誰だか知ってるん?」
 その質問の意味が上手く理解できず、ミュアンはきょとんとした表情を見せた。
「ゼロの……お友達?」
 小首を傾げながらそう尋ねる彼女を見て、レイは軽くため息をついた。ほんの一瞬、ミュアンの腰に吊られている鞘入りのレイピアに目を配る。
―――ここも一応中央市場ん中やし、非戦闘区域で抜刀っちゅうことはないやろうけど……、ゼロに迷惑かかるかなぁ……。
「まぁ、それはそうやけどな」
―――……言わへんでもええか。
 依然として理解できていないミュアンは頭の上にはてなを浮かべていたが、あえて気にしないでレイは進めた。
 しばらく他愛もない――主にゼロのこと――を話したあと、話のネタも尽きたのか、レイは意を決して核心を突いた質問をした。
「なぁ」
「ん?」
「ミュアンちゃんて、ゼロのこと好きなん?」
 レイの――半ば確信を持った――質問を耳にし、ミュアンは顔を真っ赤にして慌てふためいた。
―――いまどきこないに嘘が下手な娘もおるんやなぁ……。
「そ、そんなことないよ!」
 苦笑いを浮かべるレイの考えなど露知らず、ミュアンは力いっぱい否定してみせた。
「いや、そんな力いっぱい否定せんでもなぁ……」
「う~……やっぱり、分かるのかな……?」
 ため息をつきながら尋ねたミュアンにレイは苦笑いのまま頷いた。
―――気付いてへんのは本人くらいやろなぁ……。
 嘘や演技、世渡り上手なレイはどう励ませばいいか分からず必死に言葉を探していた。



「何かお探しの文献でもお有りですか?」
 ふと声をかけられそちらの方を一瞥した瞬間、ゼロの表情が一変した。信じられない光景を見たような表情。
「そんな幽霊を見たような表情をしないでください」
 最初に声をかけた女性は変わらぬ無表情のまま言葉を突きつけた。
 ゼロは周りを見回し、声のトーンを落とした。
「しかし、いくらお前でもここにいるとは思わないよ」
 美しい茶髪を白いリボンで束ね、“相変わらずの”メイド服に身を包むクールな美人に苦笑交じりで答える。
「誰の命令だ? マリメル」
 そう、彼女は表向きアリオーシュ家やホールヴァインズ城でメイド長を務める者であり、裏向きでは西の諜報部でも指折りで数えられるほど有能な“影”なのである。
「ベイト宰相の命でゼロ様の捜索を行っておりましたが、中央へも足を踏み入れたのは私の独断です」
 淡々と答えた言葉だが、その言葉の内から彼女もゼロのことを相当心配していたのが理解できた。東西南北の者は、基本として中央へ足を踏み入れるのを禁忌としている。その禁忌を破ってまで彼を探しにきたというのだから、正直ゼロは恐れ多かった。
「そうか。……悪いが、俺がここにいることは他言無用にできないか?」
 少し迷ってから、ゼロは思い立ったようにそう告げた。
「それは“命令”ですか?」
 折角彼を見つけたのに、それを報告しないというのは職務怠慢に当たる。しかし、それが西王の命令ならば見方は一変する。
「いや、アリオーシュ家の家長としての“お願い”だ」
 マリメルが僅かばかり口元に笑みを浮かべた。
 基本的に感情を表に出さない彼女にしては、些細だが大きな表情の変化だ。
「いつまでたっても、アリオーシュ家の“坊ちゃん”でいらっしゃるおつもりですか?」
 さしもの彼女もゼロの言葉に呆れてしまったようだ。マリメルは苦笑交じりで逆に質問し返した。
「お前の前だけだよ」
「それだけでも多すぎます」
 二人ともついに笑いを洩らした。場所が場所なだけに声を上げて笑うことはできないが、ゼロは生まれて初めてマリメルの笑顔を見たような気がした。
 彼女はゼロが5歳の時、11歳のメイド見習いとしてアリオーシュ家にやってきた。その時から今と変わらない無表情だったのだ。セシリアと協力して幾度と無く笑わせようとしたが、結局彼女を笑わせることはできず、ずるずると諦める結果となったのだ。
「とりあえず、坊ちゃんの言葉は胸に留めておきます」
「悪いな」
「いえ。手の掛かる坊ちゃんの世話もメイドの仕事ですから」
「おいおい」
 再び無表情になり皮肉気に告げられた言葉に対し、ゼロは呆れてしまった。
「何か、聞きたいことはございますか?」
 一拍の間を置いてマリメルがゼロに尋ねた。
 聞きたいことは山ほどある。東西南北のこと。西の内政のこと。戦乱で傷ついた民のこと。虎狼騎士のこと。妹のこと。そしてなにより、ユフィのこと。
「いや、いいよ」
 だが、ゼロはそれら全てにふたをした。中央での役目が終わるまで知りたくても知ることのできない情報を知るチャンスを、自ら潰そうとする。
「西の話を聞いたら、懐かしくなって帰りたくなっちまう。もう少しガマンするさ」
 その言葉にマリメルは小さく頷いた。
「分かりました。では私は失礼させていただきます」
 そう言いゼロに一礼する。
「帰るまでまだかかりそうでな、その間の西のこと、任せたぞ」
「御意」
 彼女は静かにゼロの前から姿を消していった。
 そしてゼロは何事もなかったかのように再び書物を手に取り読み始めた。



 日も暮れ始め、レイがミュアンと話すことがすっかり無くなった頃、ようやくゼロが帰ってきた。
「おかえり~!」
「あ、お邪魔、してます」
 レイは待ってましたと言わんばかりにゼロを歓迎し、ミュアンはおどおどしながら挨拶をする。
 ゼロは特に何を言うわけでもなく、それに応えた。
「しっかしゼロ! 帰ってくるの遅すぎやで!」
 ぱっとと態度を変え、レイはゼロに文句を言った。
「遅いって、最近はずっとこの時間に帰ってきてるだろうが」
 彼の怒る理由も知らず答えるゼロに対し、レイは小さく耳打ちした。
(ミュアンちゃんが来たの昼過ぎなんやで!)
 その言葉から、ゼロは彼の言いたいことを察した。
(あぁ……それは悪かったな)
 二人の会話が聞こえないミュアンは、少しだけ緊張した面持ちで二人を見ていた。
「いや、待たせて悪かったな。で、俺に何の用なんだ?」
 あまり感情のこもった謝罪ではなかったが、ミュアンは慌てて首を振った。
「ううん、大した用じゃないし、いいよ」
―――こいつら……素でこんな関係なんか……。
 レイは呆れながら二人の会話を聞いていた。
「なぁ、ユフィさんのこと、ミュアンちゃんは知ってるん?」
 突如何気ない気持ちでレイが切り出した話題で、一瞬場の空気が止まった。
 その名を耳にした瞬間、ゼロと楽しげに話をしていたミュアンの表情に影が生まれる。
「レリムが知ってたから、知ってるんじゃないのか?」
 ゼロの無遠慮な言い方に、レイは自分の余計な言葉に後悔した。
―――ほんまに全然気付いてないんか?!
「え? あ、うん。ゼロの奥さん……だよね?」
遠慮がちに答えたミュアンに、ゼロは小さく頷いてみせた。
そのゼロの態度に、ついにレイはいてもたってもいられなくなった。
「なぁ、ゼロ」
 いつになく低い声音に、ゼロは怪訝そうに彼の方を振り向き、ミュアンは何故か嫌な予感がした。
「お前のその態度は、幾らなんでもひどないか?」
 レイはゼロの目に対し正面から睨みをきかせた。
「……何が言いたい?」
 彼の怒りに便乗せず、ゼロは落ち着いた声音で聞き返した。
「あ、あの……ちょっと!」
 ミュアンはそこでレイの名前を聞いていなかったことを思い出した。止めようとしたが、彼の名前が分からず言葉が詰まる。
「ミュアンちゃんの気持ちも考えんで、よぉそんなことが言えるもんやな」
 その気持ちは同情からのものだったのかもしれないが、ミュアンにとっては少しだけ嬉しくも感じられた。
「……レイ、ちょっと席を外してくれるか?」
 ため息をつきながら、ゼロはそう告げた。不満げにだが、言われたとおりに彼は部屋から出て行った。
「ミュアン」
 レイが扉から出て行くのはおどおどしながら見ていた彼女に、ゼロは静かに呼びかけた。
「な、なに?」
「傷つけてたなら謝るよ」
 ゼロは下を向いて首を振った。その言葉に、ミュアンの鼓動が一気に高鳴った。
「え? ど、どういう意味で?」
 その反応にゼロは苦笑いをして彼女の頭をポンと叩いた。
「お前の好意を俺の態度が無碍にしてたんなら、ってことさ」
「あ……」
 不意にミュアンの瞳から涙が溢れる。
 ゼロには彼女の気持ちなど筒抜けだったのだ。だがあえて気付かない振りをして、彼なりに極力彼女を傷つけないようにしていたのだ。その彼の思いに気付き、彼女は恥ずかしい思いで胸がいっぱいになった。
 ゼロは無言のまま泣き出したミュアンの頭を撫で続ける。
「いくら俺でも、お前くらいストレートに感情を表してくれれば分かっちまうさ」
 しばらくして、ゼロが慰めるように、納得させるようにそう言葉を発した。
「私、最近泣いてばっかだね」
 顔を赤くし、涙で目を腫らした顔でミュアンはゼロに向かってそう言った。
「気にすんな」
「ゼロ?」
 ミュアンが真っ直ぐに彼の瞳を覗き込むと、ゼロは優しい目でその瞳に応えた。
「好きです」
 突然の告白にもゼロは一分の動揺も見せなかった。
「ありがとう――でも、ごめん」
 少しだけ悲しそうな声で、だがはっきりとゼロはそう答えた。
「ううん、私こそ、ごめんね」
 ゼロの言葉に、ミュアンは出来る限りの笑顔で応えた。悲しくも、美しい笑顔。
 その彼女の細いからだを、ゼロはそっと抱きしめた。そして彼女の髪にキスをする。
「これからもよろしくな」
「うん……」
 その後、すっかり照れたミュアンは足早に自宅へと帰っていった。

「というわけだ」
 ひそかに会話に耳を立てていたレイは、ゼロのにやりとした表情を見てしばし言葉を失った。
「モテる男は違うのぉ」
 彼に対して怒りを覚えていた自分が馬鹿らしくなる。以前ゼロに対し演技が下手と言った言葉は、撤回しなければいけないのかもしれない――レイはふとそう感じた。
「そんな甲斐性はないだけだよ」
 モテる男については否定しないのが気に食わなかったのか、レイはゼロの頭を小突いた。
「なんかその余裕そうな言葉ムカつくで」
「ひがむなひがむな」
「ゼローッ!」
 自由気ままにおちょくってくるゼロに対し、レイは軽く彼の首に腕を回し絞めた。笑いながらゼロが「ギブギブ」と言いながらレイの腕を叩く。
「俺にはユフィがいれば十分すぎるくらいだからな」
「はぁ、俺もゼロみたいに一度でええからモテてみたいわ」
「お前の行い次第だろ?」
「なら当分先になってまうで」
「自業自得じゃないか?」
 どうやら今日のゼロはいつもより言葉が巧い気がする。レイは諦めて話題を変えることにした。
「ミュアンちゃん、いい子やな」
「あぁ。だからこそ、傷つけたくなかったんだよ」
 しばし無言の時が流れる。
「もしよかったら、俺らが独立した時、一緒に仲良くできへんかな」
「それはアイツの意思だろ」
 レイの提案に対し、ゼロはすぐさまそう答えた。
 その言葉に、レイは少し思うところがあった。
「ん? ゼロ、独立のこと賛成してくれるん?」
「お前がリーダーならな。多分に、そっちの方が動きやすいだろうし」
 レイがまじまじとゼロの顔を覗きこんでくる。
「なんだよ?」
「ゼロ、ホントに理由はそんだけか?」
 何か納得のいかない部分があるらしく、レイはゼロに問い詰めた。
「……流石だな」
 ゼロは呆れたように頭を振った。
「調べ物した甲斐があってな、思わぬ収穫があったんだよ」
「あれ? 歴史を調べ取ったんとちゃうん?」
「残念ながら、それに関しては翁から聞いた程度しか分からなかったよ」
―――ま、そうだろうとは思っていたんだけどな。
「とりあえずこれからはまず同盟に向けて動いていくぞ」
 少しだけ雰囲気が明るくなったゼロを感じ、自然とレイは笑みを浮かべていた。
「よっしゃ! ガンバっていこか!」







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