第5章

運命との邂逅









 北が各国にもたらした、FT関連組織・貴族への手掛かりとなりそうな“キリン”と“レジン”という単語ではあったが、調査は遅々として進まず、ただただ時間のみが過ぎ、西王の凱旋から既に3カ月が立ち、森は白の季節を越え、緑の季節を迎えていた。
 この間にもFT関連の事件は東で4件、北で2件、南で1件発生し、国民の不安は日々高まっていっていた。
 東では厳格に商業ギルドへの立ち入り調査が行われたり、国境に検問を設置したりしたが、確たる効果を発揮せず、一体誰が製造し、流通しているのか、いよいよもって謎に満ちあふれてきていた。北でも諜報部が全力を挙げてことに当たっているが、確たる証拠は見つかっていない。ただ1つ、諜報部団長であるシレン・フーラーには予想している場所があったが、そこに踏み入るには幾多の手順が必要であり、容易なことではないため、手を出せないでいた。
 南では南王の苦悩が続いていた。ここまでの調査の不進行から、最早疑うべきは一か所だった。ただそこへの調査を阻む最大の障壁が、長い歴史を持つコライテッド王家の慣例法だ。先王への崇拝が慣例化されており、不文法ながら、代々ずっと適応されてきた法なのだ。先王、クルゲル・コライテッドが結んだザッカート孤児院への100年間不可侵の条約は、この慣例法の存在の前に破棄は出来ない。しかもその期限はまだ62年残っているのだ。向こう側から何かしらの尻尾を掴ませてくれないと、王国として調査に乗り出せない。他国に調査を依頼し、それが孤児院側にバレれば国際問題へも発展しかねない。最悪は重なり、相手は別名孤児強制育成収容所であり、内部にいる兵士は相当な精鋭揃いであることが予測されるのだ。この問題にどう対処するか、南王の苦悩は続いていた。
 西では3か月前のあの事件以来、FTはその姿を潜めていた。マチュアがもたらした既に流通している可能性、というのも当面発揮する様子はなく、地道に商人たちへの個別調査が行われているのが現状だった。西王の政務もすっかり安定してきており、空白であった2年間分を穴埋めするように、日々政務に熱を込める彼へ、各大臣たちも信頼の眼差しを向けていた。


 そんな日々が続く、ある日の昼過ぎ。
「そろそろ、お昼にしよっか」
 ゼロの執務室を訪れた王妃ユフィが提案する。
 今彼が読み込んでいるのは、商務大臣が作成した西の商人ギルドに所属する商人たちの情報と、取引内容についてまとめられたものだ。
「分かった」
 作業を一休みし、一度大きく伸びをしてから席を立つ。せっかくの良い天気なのだから、ということで城内の彼女の自室のテラスで食べようと提案された。つくづく気を利かせてくれる王妃に対し、西王は内心で深く感謝していた。



 一通りの食事を済まし、少しのんびりした空気が流れていた。
「一番上に立つってのは、しんどいもんだなぁ」
 2年前、南王の策略により西の王家へと祭り上げられたアリオーシュ家だったが、いま振り返れば一介の軍人として戦っていた頃はだいぶ自由だったのだなと思い返す。今となっては業務時間中はひっきりなしに誰かしらが相談・提案に来たりするものだ。政務のことを忘れ、のんびりできるのはこうした王妃とのひと時くらいか。
「2年間もほったらかして自由やってたんだから、がんばりなさい」
「そりゃそうなんだけど、な」
 彼がフォレスト・セントラルで戦っていた2年間、彼女は一人にされていたのだ。それを思うと今でも申し訳ないと思う。
「でも、今回の事件が一段落したら、昔みたいにデートいきたいなぁ」
 わがままをお願いする時の表情で、ゼロの瞳を見つめるユフィ。こういう仕草を時折してくれると、何故か安心できる自分がいるのをゼロは知っていた。
「森を出て、ヒュームの世界に行ってみるか」
「大きくでたね!」
 ゼロの提案に、予想外だったユフィが驚きを隠せずに、だが嬉しそうな表情を浮かべた。
「新婚旅行、というには時間経ちすぎたけど、まぁ悪くないだろ」
「約束だぞ?」
「もちろん」
 和やかな雰囲気で会話が進む。こんな時間がずっと続けばいいのに、そう思えるような、優しい時間だった。


 王妃の部屋を出て、国王は再び執務室へ向かう。二人でいるのはたしかに幸せだが、お互いにやらねばならないこともあるのだ。
「じゃあ、頑張ってね」
 彼女が笑顔で見送ってくれる。それに軽く手を振って答え、歩き出して、すぐだった。
 突然むせ込んで、ゼロはその場にうずくまった。
「ゼロ?!」
 口元を押さえる彼の左手の隙間から、赤い液体が滴り落ちる。その表情には苦悶の色が浮かんでいる。
「誰か! 誰かお医者様を!」
 ユフィの悲痛な叫びに、すぐさま近くにいたであろうメイドたちや警備の兵士たちがどよめきだす。城務めの医師が今日も入城していればいいが。
「……大丈夫だ」
 寄り添うユフィに、ゼロが心配するなと目でも合図を送る。だがそれは彼女の感情を逆なでするだけだった。
「吐血して大丈夫なわけないでしょっ?!」
 今にも泣き出しそうな彼女。確かにここ数カ月は安定していたが、フォレスト・セントラルにいたころは定期的にこういった吐血の発作が起こっていた。妙に落ち着いた様子のゼロの方が異常に見える光景だろう。

 王妃に肩を貸され、強制的に西王は医務室へと連れてこられた。彼の吐血と聞きつけたのか、侍女であるアーファを始め、城内で執務を行っていた大臣たちも何人か駆けつけてきた。
 ベッドに横にされたゼロは何だか見世物にされているようで、落ち着かない。
「こうやって集まってもらえると、俺って愛されてるんだなって思えるな」
 わざと軽口を叩いてみせたのだが、どうやらそれが強がりに捉えられたようで、誰ひとり笑ってくれる者はいなかった。
「今、いえ、今だけじゃなく今後もずっと、陛下に万一のことがあったら、この国は希望を失ってしまいます」
 内務大臣のネアが一際心配そうな表情で声をかけてくれた。他の者たちも頷いている。
――こうやって心配されるってのも、悪かないかもな。
 愛されているという実感から、そんな風にも考えてしまう。改めて、彼らのためにも、頑張らねばならないと思う。
「あまり病人の側に集まるものではありませんよ」
 突然響いたのはドスの効いた低音の声だった。皆が振り返るその方向には、体格の良い厳つい風貌の男が、白衣を着て立っていた。威厳ある顔立ちの右頬に大きな裂傷があり、ここまで白衣の似合わない男も珍しいだろう。鎧を着込んで戦場に立っていたならば、それだけでプレッシャーを与えられそうだ。
 その横に立つのは色白の大人しそうな女性だった。とても華奢で、美人薄命、といった言葉そのものを体現しそうな雰囲気がある。
 城内で働いていて、彼らのことを知らない者はおそらくいないであろう。彼らこそが、ホールヴァインズ城務めの医師、ヨーゼ・ケールメイラと娘のリリル・ケールメイラだ。医学の神ケールメイラの直系に当たる一族で、魔法を使わず、患者を治療するスペシャリストである。
 ヨーゼから発せられる圧力に、各大臣たちと言えどもいったんゼロの側から離れた。側に残ったのはユフィくらいか。実際にヨーゼは10年ほど前までは当時の虎狼九騎将に抜擢されるほどの猛者だったのだ。
「お久しぶりですね、陛下」
 ゼロの横たわるベッド付近の椅子に腰をかけ、丁寧に話しかける。彼の娘のリリルは緊張した面持ちでヨーゼの少し後ろから様子を伺っていた。
「ええ、母の件では、大変お世話になりました」
「ゼリレア殿のことは、2年も前のこととはいえ、今でも非常に残念です」
 ゼロの母親ゼリレア・アリオーシュは2年前にはやり病でこの世を去った。夫であったウォービルの失踪など、様々な心労もたたっていたのだろうが、あの時主治医として治療してくれていたのが、彼女にとってかつての戦友であったヨーゼであったのだ。
――先輩、敬語使ってる……。
――陛下が敬語を……。
――陛下の敬語、初めて聞いたな。
 彼らの会話を聞いて、近くで見守るものたちがまず思うことはそこだった。西を動かしている円卓のメンバーは基本的に皆若く、ヨーゼのような、ゼロたちから見たら親世代の者はいない。だから敬語を聞くことが初めてな者もいるようだった。
「しかしながら、ゼリレア殿やウォービルもそうでしたが、アリオーシュ家は武芸には長けながらも、何かと病弱なところがありますな」
 流石歴戦の戦士であり、西の医師を務めてきている男だから、その言葉には重みがあった。
「親父も?」
「ええ。ウォービルも虎狼騎士団長に就任した頃から、原因不明の吐血を繰り返すようになったものです」
「親父が、吐血……」
――知らなかったな……。
 一緒に騎士として生活していた時も、家族として生活していたときも、自分は見たことがない光景だった。ずっと気づかれないように、隠してきていたのだろうか。
「あ……」
 一つだけ、思い当たる節はあった。2年前の大戦で、クールフォルト家内で父と戦った時、最後の一撃を彼はよけなかった。攻撃を受けた彼の口元からは確かに血が滴っていた。あれが発作によるものであったと考えられなくもない。
「とりあえず、陛下の診察に入りましょう」
「分かりました。……悪いが、ユフィ以外部屋を出てもらえるか?」
 この診察で何を言われるかは分からない。その内容次第では彼らに相当な動揺を与えてしまう。そこへの配慮を含めたゼロの指示であった。
 全員の退出を見届けると、ゼロは一度ため息をついた。
「とりあえず、診察してみてください」
 ゼロの中ではこの吐血の原因は分かっている。現実的ではないが、“森の意志”、超常現象、運命とも言い換えられそうな、人の力ではどうしようもないものによって定められた呪いなのだと割り切っている。フォレスト・セントラルでの診察でそう言われたのだ。おそらくここでも同じであろう。
 ヨーゼの無骨な手が触診を始める。手際良く進められ、診察はあっという間だった。
「同じ、でしょう?」
「ええ、ウォービルの時と同じ対処法になりますが、安静にすることです。彼も発作が頻繁に起こるようになってからは、極力戦時も指揮に留まり、自身が剣を振るうことは激減したものです。今は昔と違って他国とも戦争はしていない。無理をなさらなければ、問題ないはずです」
 諦めきった乾いた笑みを浮かべるゼロに対し、ヨーゼは少しだけ、悔しそうな表情を浮かべていた。
「治せないんですか?」
 そこでユフィが割って入ってくる。
「申し訳ありませんが、現状の医学では、原因が判明できない病魔を退治することはできませ――」
「――原因と思われるものがあるとすれば、呪いらしい」
 ヨーゼの答えに割って入るように、今度はゼロが切り出した。彼の発言内容に対し、3人が理解できない言葉を聞いたような、困惑の表情を浮かべる。
「向こうで、知ったんだけどな。神々の直系に当たる者たちは、神々の力を引き継いでいる半面、特性も引き継いでいるものらしい。偽神リューゲの直系の奴は、闘神アリオーシュの直系に対して、自分の感情ではないのに、原因不明の敵意を持たされてたし、イシュタルの直系は常に最強であることを課せられていた。そういう風に考えていくと、闘神アリオーシュは死神シェジャンナの呪いを受けているらしい。……正直手に負えない話だよ」
 彼の言葉に、誰も何も言い返せなくなる。この場にいる4名ともが、全員神々の直系だ。自分にも何かしらの影響があるのだろうかと考えると、怖かった。
「だから、治すとしたらシェジャンナの血筋を絶やすくらいしかないんじゃないのかね」
「シェジャンナの、直系……」
 ユフィの表情が一瞬非常に暗くなったのに、その場では誰も気がつかなかった。諦めきったゼロと、どうしたものか対応に困るケールメイラ親子。
「とりあえず安静にしてれば、明日死ぬようなこともないんですよね? それだけ分かれば十分です。ありがとうございます」
 ゼロはベッドから起き上がり、ヨーゼたち親子に一礼した。それからユフィの頭を何回かなでてやる。
「心配するな。平和までもうちょっとなんだ。平和だったら大丈夫だろ?」
 ユフィには、見慣れたはずの彼の笑顔が、いつものように優しさにあふれながらも、何故だか今日は儚い笑顔に見えた。





 その夜。ゼロは一人城の屋上へと上がっていた。頭上には満月が輝き、その光は何か不思議な力を感じさせる。今日は色々新しく思うところが多かった。心配してくれる人の数があんなにもいるとは思わなかった。自分がこの国でどれだけ大事にされているのか、よく分かった。他にも父ウォービルも自分と同じく吐血の発作を患っていたとは知らなかった。
「怖いもんだね、死神の呪いってのは」
 屋上の床の上に無造作に座り、月を見上げながらぽつりとそう呟く。その言葉をかき消すように一瞬、風が流れた。
「お前も月見か?」
 その言葉は一体誰に投げかけたものだったのか。答えるものなどなく、静寂は続いた。
「このタイミングって考えると、出来すぎてるかもしれないが、お前がシェージェなのか?」
 風が少し、動いたか。
「アリオーシュの血は、シェージェの血ある限りむしばまれ続ける」
 綺麗な声だった。感情のない、淡々とした声音だったが、綺麗な音だった。
「お前も俺を恨んでるのかい?」
 奇妙な光景だった。男はただ月を見上げながら、言葉を投げかけ、答える女声はその姿を現さない。
「恨んでなどいない。ただ、歴史を繰り返せと声が聞こえるだけ」
「……なるほど。それがお前への“森の意志”か」
 歴史を繰り返すことにどれだけの意味があるというのだろうか。時を越え、今再び神々の子孫たちを使って神々の歴史の再現をしたところで、何が生まれるのだろうか。
「そろそろ出てきてくれてもいいんじゃないか?」
 そこで初めてゼロは視線を月から外し、自分の左側を見つめた。壁の陰から、人影が姿を現す。
 月明かりに照らされる紫色のロングヘアーが、美しく風になびいていた。強い意志を持っていそうなややつり目の瞳は、感情なくゼロを見つめていた。美しく、完成された容姿と表現しても過言ではない美女だった。
「いつから気づいていたの?」
「君が来た時から」
「だったら殺せば良かったのに」
 淡々としたテンポで答える彼女は、何の躊躇もなく、ゼロの隣に腰かけた。殺せば良かったのに、という割には無防備な姿に見える。
「素性を知らない相手を殺せるほど勇気がなくてね」
「薄々感づいているのでしょう?」
 ここで初めて、彼女が薄く笑みを浮かべてゼロの顔を見た。その美しさは、通常であれば思わずドキッとしてしまいそうで、まるで触れれば壊れてしまいそうな、美しさだ。
「君がシェジャンナの末裔でいいんだな?」
「ええ。ラッテ・シェージェ。死神シェジャンナの直系であり、シェジャンナの運命を体現する者」
 なるほどね、とでも言いたげにゼロは一度ため息をついた。
「やっぱり殺しておけば良かった?」
「殺して解決するんだったら、どうせまた新しい呪いなり運命が生まれるだろ?」
「でもいずれ私は貴方を殺すわ」
「物騒だねぇ」
「歴史は繰り返すの」
「じゃあ、お前が俺を殺すためには、まずナターシャがいなくならなきゃいけないし、お前が俺の子を産むってとこも条件なのか?」
「ええ」
「シェジャンナは、一体何考えてるんだかなぁ」
 段々現実味が欠けてきたように感じ、ゼロの口調に諦めの色が含まれていく。見上げる月は何も答えてくれない。
「シェジャンナの残す記憶は、ぬくもりへの欲求」
「ぬくもり?」
 隣に座るラッテがぽつりぽつりと話しだす。相変わらず何を考えているのか分からないが、自発的に話しだしてくれた内容に、ゼロは興味を持った。
「彼女は愛されたかった。本当の愛が欲しかった。寂しかった」
「それで、何故アリオーシュを選んだ?」
「彼は分け隔てなかった。傷だらけのシェジャンナを、包んでくれた」
 きっとお互いに戦場で生きてきた部分から、シェジャンナと共感するところもあったのだろう。アリオーシュのことを自分なりに考えてみると、そんな風に思えてくる。彼としては戦友として思っていたのだが、彼女にとってはそれ以上だったのだろう。
「だがアリオーシュの中にはいつまでもナターシャが居続けた、と」
「きっと、そういうこと」
「せつない話だな」
 一番になりたいのに、なれない。憎みたいのに、憎むべき相手はもういない。その感情が狂気の愛へと走らせたのだとしたら、悲しすぎた。
――リューゲのアノンへ対する感情と同じ、か。
 愛しいから、自分だけのものにしたいから、殺す。自分には考え付かないが、何件かの事例を見てくると、現実なのだなと実感する。
 今は亡き戦友、ミリエラ・スフェリアに対し、元虎狼九騎将クウェイラート・ウェブモートがもった感情も同様だったのであろう。
「殺される側からしたら、たまったもんじゃないな」
「死は理不尽なものよ」
「それもごもっともだがね……」
 戦場で生きてきた身分だ。殺す側だったが、殺される側の気持ちを考えたことがないわけではない。幾多の仲間が戦場で散ってきた。それを思うと、理不尽だということは真理に近い。
「君自身の意志はどう考えている?」
「私の意志は関係ないわ」
「自分の人生、好きにやればいいじゃないか」
「興味無いもの」
 あくまでも淡々と話す彼女は、どこか憂いを帯びた表情だった。これが本心なのかどうか、判断はつかない。夜空を見上げる姿はあるが、手を伸ばしても触れられなさそうな儚さ。
 彼女の考えを崩すことは、相当な困難を伴うのだろう。
「俺自身簡単に死んでやるつもりもないし、ユフィを死なせるつもりもないんだがな」
 こう言ったところで諦めてくれるとは思えないが、ゼロ自身の本音を漏らす。だが彼女へ個人的な恨みや敵意もあるわけではない。
 彼が憎むのは、“森の意志”という名の理不尽な血の因果だ。
「精々足掻いてみなさい。再び始まる戦いの中、貴方に何が出来るかしらね」
「おい、どういうこと――」
 不敵な言葉を残し、気づくとラッテの姿はもうなかった。まるで初めから誰もいなかったように、風は変わらず流れている。
「やれやれ……」
 また戦いが始まるのは避けられないだろう。そんな予感はずっとあった。FTが流行している段階で、“キリン”という組織が動いている段階で。
 ラッテ・シェージェ、また一人厄介な相手が現れたと実感する。気配を消し接近し、気配なく消えることが出来るのだ。剣を交えて確実に勝てる相手かどうかは、やってみなければわからない。それほどの手練であることは間違いない。
「ザッカート孤児院を相手にするってなったら、ちょっと手札が足りないねぇ……」
 フォレスト・セントラルの戦友たちを呼べたら、と思うがそれは叶わない願いだ。
 一つため息をつき、西王はまた夜空を眺めていた。






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