質問する前に

質問する前に、日本語と心構え

言葉の使い方は、けっこう難しいところがある。
そして、日本語は、世界で最も難しい言語であるともいわれる。

文字種の多さだけではなく、人称の多さ、主語の省略、
さらに、曖昧な表現、敬語の用法など、挙げたらきりがない。
これが、書き言葉になると、いっそう骨が折れる。

バカネコ講座は、誰にでも開放されている講座だ。
当然、パソコン関連の質問も多く舞い込む。
メール、コメント、掲示板などの媒体を問わない。

常連さんは、問題ないのだが、初めて書き込む方の中には、
ずいぶん、失礼なことを書く方も、おられる。

一例を挙げると、初めて来て、いきなり、
「○○を教えてください」とか、「○○ができません」だけとか、
あげくの果てには「めんどうなので..」とか。

道で初めて出会った人に声をかけるとしたら、
こんな失礼な口を利く人はあるまい。
文字による、ネット独特の弊害だ。


小うるさいことを言うと、「教えて下さい」というのは、
実は、「教えろ」の丁寧語である。 つまり、丁寧な命令形だ。
主人が、ゲボクに対して使う言葉なのだ(笑)
決して、謙譲語でも尊敬語でもない。

こういう場合は「お教えいただけますでしょうか」と
いったん、疑問文の形を取って、相手の承諾を求めると同時に、
明示的に敬意を表するのが、道理というものである。

それでも無視されることはあるが、少なくとも、あまり手ひどい
断られ方もしないだろうし、断られた場合、自分も引き下がりやすい
という利点がある。

さらに、前フリには、お手数ですが、とか、恐縮ですが、
とつけるのが、社会人のたしなみというものだ。

極めて常識的なことだが、これらを手抜きすると、
「あんた、誰?  なんで、教えてやらにゃならんの?」 となる。

「~してください」は一般的によく使うので、ふだんは意識もしないが、
使い方によっては、カチンと来ることがある。

どういうことかというと、相手への挨拶も、気づかいもなしに
自分の用件だけ、電報みたいに書く場合だ。
しかも、初対面というか、初めての書き込みで...。

文面というのは、意外なほど、書き手の精神状態がにじみ出る。
自己中心的、身勝手な思いは、案外、簡単に見透かされる。
何も考えずに、不用意な書き方をすると、誤解を招いたり、
想像以上に悪く受けとられてしまう。

バカネコ講座では、そんな無礼な質問は、無視することにしている。
回答するのだって、調べたり確認したり、平易な言葉に置き換えたり、
と、それなりの苦労はあるのだ。

かつて、「ちょいと面倒なので教えて」などというナメた態度の
質問があった。  回答どころか、即刻、削除した。
およそ、ひとにものを頼む態度ではないからだ。  実話である。

照れ隠しであったにしても、極めて印象が芳しくない。
他を当たるか、ご自分で、調べていただけばよろしい。
知るだけ知ったら2度と来ない輩、と、みなされてもいたしかたあるまい。
順序が逆である。

ネットを使っていると、つい、パソコンと話しているような気になるが、
相手は生身の人間であることを、忘れてはまずかろう。


一方で、本当に困って、助けを求めてくる人もおられる。
どんなに文章がつたなくても、説明や敬語がおかしくても
その心は伝わってくる。 

敬語など使わずとも、謙虚な気配は、行間に滲んでいる。
まさに、「気は心」である。

こういう場合は、初めてであろうがなかろうが、時間さえ許せば
知る限りの対処法を、お伝えしている。
それがご縁で、その後もおつきあいいただいている方もある。


文章は、その内容や用件よりも、書き手の態度の方が印象が強い。
相手を軽く見ている時は、すぐ悟られる。
文は人なりというが、その「人」とは「心」なのだ。

初めて来て、質問を書き込む男性に、この手のミスが多い。
場数を踏み足りぬ若き諸兄は、ぜひ、女性を見習っていただきたい。
彼女らは、ひとのカンにさわるような尋ね方をしない。

もちろん、確率と傾向の話であるが。








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