にゃんでんかんでん

著者名 は行




アンフェアな月-刑事雪平夏見-(秦建日子)
 生後わずか3カ月の赤ん坊が誘拐された。不自然な母親の言動、謎の脅迫電話、掘り起こされる大量の死体…。ドラマ「アンフェア」原作のベストセラー「 推理小説 」に続く、異色の女性刑事・雪平夏見シリーズの第2弾。
 「推理小説」とドラマ&スペシャルドラマとで頭の中がごちゃごちゃに。安藤が生きてる!なぜ?・・・って、小説とドラマは別世界で、この本は、単純に推理小説殺人の犯人を射殺した直後の話だったのですね。本の中で、雪平と林堂が、「そうか。これはそういう事件だったのか・・・」と納得する場面が出てくるのですが、私にはどういう事件だったのか犯人が誰だかがわかるまで、さっぱり読めず、おいてけぼりな気分でした。あやしい人間はいるのだけれど、つながりが見えず、確証がつかめない。なので最後まで興味深く読むことができました。(2007/2/25)



推理小説 推理小説 ←文庫も出ました
推理小説(秦建日子)
 42歳の会社員と17歳の高校生、大手出版社の編集者…全く面識のない人々が相次いで惨殺された。事件をつなぐのは「アンフェアなのは、誰か」と書かれた本の栞のみ。そんな中、警察と主要出版社に『推理小説・上巻』という原稿が届く。書かれていたのは犯人しか知ることの出来ない事件の詳細と殺人の予告、そして「事件を防ぎたければ、この小説の続きを落札せよ」という前代未聞の要求…ミステリの既成概念を破壊し、リアリティの迷宮へと誘う超問題作。最注目の脚本家が贈るデビュー小説。
 著者・秦建日子氏は脚本家で、この『推理小説』もテレビドラマ化されました。(見ていませんけど)。そういった事を知っていたため、映像を浮かべながら、まるで脚本を読むように読んでしまいました。場面がころころと変わる、いままでにない書き方はテンポが良くて、心地良く感じました。殺人犯が自ら書いた小説通りに殺人事件を起こしていくという設定や、主人公・雪平夏見の破天荒なキャラクター、怪し気な登場人物たち、ととても面白かったです。ミステリにおけるリアリティとは何か。考えさせられる小説です。「アンフェアなのは、誰か」、私なりの答えは見つかりました。(内緒です)(2006/5/4)



世界の日本人ジョーク集(早坂隆)
 世界から憧憬の眼差しが注がれる経済大国か、物真似上手の会社人間か。地球各地で収集したジョークの数々を紹介しつつ、真の日本人像を描き出す。笑って、知って、1冊で2度おいしい本。
 世界の人たちが日本人をどのようなイメージでとらえているかよくわかります。描かれているのは一昔前の日本人、という気もしますが、それでも自分にも心当たりがあったりして 楽しく読めました。(2006/4/16)



叫(さけび)(林巧)
 奇妙な連続殺人事件が発生した。東京湾岸埋め立て地で発生した死体遺棄事件を担当する刑事・吉岡は捜査の過程で自分の記憶が曖昧なことに気付く。現場に残されたボタン、遺体の手首に残るロープの跡、すべてが奇妙な既視感を伴っている。吉岡刑事は自分が犯人ではないのかという感情に揺れ始める…。世界中で熱狂的な支持を得る巨匠黒沢清監督作品を林巧が完全ノベライズ!
 どんなに怖い話かと興味を持って読んだのですが・・・これは本で読むより音と映像で感じたほうが良いと思いました。映画を観るべきでした。(2007/3/30)


 ←文庫
ミルキー(林真理子)
 みんな普通の人だから、愛はこんなに奥深い。手に入らない女は美しい。別れたいときの女は恐ろしく、別れられないときには、女はずるい。「人妻とのつき合いは、いろいろな味をそのつど男に与える」。産休明けで諸橋陽子が職場復帰した。広告代理店に勤める奥村裕一は、妊娠前の陽子と数回関係をもっていた。子どもを産んで、以前より美しくなった彼女を、裕一は誘うが…。表題作「ミルキー」を含む、女の秘密がぎっしり詰まった12作の短篇集。前夜祭/聖夜/鈴木君のこと/夢/ミルキー/見て、見て/ドミノ倒し/うなぎ/ワインの話/器量よし/仲よしこよし/たそがれて
 それなりの経験は積んできた筈だけど・・・いまひとつピンときませんでした。わかる部分もあり、わからない部分もあり。『仲よしこよし』はこういう一卵性親娘っているよな~と思いながら読みましたが。(2007/5/16)


赤い指
赤い指(東野圭吾)
 「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼ら自身によって明かされなければならない」。犯罪を超えたその先に、本当の闇がある。身内の起こした殺人事件に直面した家族の、醜く、愚かな嘘に練馬署の名刑事、加賀恭一郎が立ち向かう。ひとつの事件を中心に描き出されるさまざまな親子像。2日間の悪夢と、孤独な愛情の物語。直木賞受賞後第1作。
 東野氏の作品は読みやすく、1日で読んでしまいました。『構想6年の後に書きあげられた書き下ろし』の割には内容がいまひとつ・・・ダメ親っぷりには呆れるというか、怒りさえ覚え・・・でしたが、『隠されている真実』が最後に明らかになった時は【そうだったのか!やられた~!】という感じでした。(2006/10/23)



悪意(東野圭吾)
 人はなぜ人を殺すのか。東野文学の最高峰。人気作家が仕事場で殺された。第一発見者は、その妻と昔からの友人だった。逮捕された犯人が決して語らない「動機」とはなんなのか。
 作家ならでは考え付く事件だと思いました。犯人はすぐに明かされるのに、その動機が謎になっているあたりが普通の小説にない面白さでした。猫に関する記述にすっかり騙されました。(2007/4/23)


怪しい人びと
怪しい人びと-傑作推理小説-(東野圭吾)
 俺は同僚の片岡に部屋を貸してあげた。ホワイト・デーに恋人とのデートに、ホテル代を浮かせたいという。その相手は部下の広江だということも知っている。片岡はその後何度か俺の部屋を借りていたが、別の二人とも同じようなことになってしまった。まるで「アパートの鍵貸します」だ。三カ月後のある日、いつものように車のなかから、自分の部屋に戻った。見知らぬ女が寝ていた。女は居座りを決め込んだ。俺は動転して…。(「寝ていた女」)。斬新なトリックに散りばめられた傑作推理集。寝ていた女 もう一度コールしてくれ 死んだら働けない 甘いはずなのに 灯台にて 結婚報告 コスタリカの雨は冷たい の全7編
 短編集。それなりに楽しめました。『灯台にて』がドキドキしました。(2007/4/25)


さいえんす?
さいえんす?(東野圭吾)
 「こいつ、俺に気があるんじゃないか」―女性が隣に座っただけで、男はなぜこんな誤解をしてしまうのか?男女の恋愛問題から、ダイエットブームへの提言、野球人気を復活させるための画期的な改革案、さらには図書館利用者へのお願いまで。俗物作家ヒガシノが独自の視点で綴る、最新エッセイ集。
 手軽に読めて面白いです。理系出身の東野氏ならではの着眼点もいいです。『図書館利用者へのお願い』はちょっと耳が(目が?)痛かったですけどね。(2006/6/10)



使命と魂のリミット(東野圭吾)
 笑顔で手術室に入った父は、冷たい骸となって戻って来た。誰も予想していなかった、術中死。さっきまで、あんなに元気だったのに-。それをきっかけに心臓外科医を目指した夕紀は、実は誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。父の術死に対する疑念を抱え続けて十年。念願の研修医となった夕紀は、当時の執刀医だった教授に指導を受けることに…。十数年前のあの日、手術室で何があったのか?その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う!閉鎖空間、タイムリミット、隣り合わせの生死。心の限界に挑む医学サスペンス。
 面白かった!恋人の恨みを晴らそうと病院を脅迫する犯人。この手のお話はあと一歩というところで犯行を成し遂げられず、犯人に感情移入していた私は『チェッ』と思うことが多いのですが、この話はこの結末で良かったと思えるし、夕紀の物語も、真相が明らかにされて ほっとできたという感じ。ある意味、ハッピーエンドで終えたので、読後感も良いです。(2007/1/6)




宿命(東野圭吾)
 初恋の人・美佐子に別れをつげ、和倉勇作は苦労を重ねて警察官となった。その勇作の前に殺人容疑者として現われたのは、学生時代どうしても勝てなかった宿敵の瓜生晃彦だった。しかも美佐子の夫として。宿命を背負った二人が対決を果すとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。
 いろいろな伏線が緻密に盛り込まれていて、読みやすく、上手にできた小説ではあるのですが、いまいち×でした。事件そのものよりも怪しげなレンガ病院の事件の方に気持ちがいってしまったり、どうも ぐいぐい引き込まれるような面白さはありませんでした。ラストでタイトルの「宿命」の意味がわかるのも、この本の初版本発行当時は新鮮だったのかもしれませんが今となってはありきたり。期待していた分ちょっとがっかりでした。(2007/3/4)




変身(東野圭吾)
 画家を夢見、この世にかけがえのない存在として恋人を愛していた青年、成瀬純一を不慮の事故が襲った。そして世界初の脳移植手術。彼のなかに他人の脳の一部が生きているのだ。やがて―彼の心に違和感が生じ初める。自分は一体何者?迫りくる自己崩壊の恐怖。君を愛したいのに愛する気持ちが消えてゆく…。
  世界初の脳移植を施された主人公。でもその人格が日に日に変わっていきます。僕から俺へ、不気味に“変身”してゆく主人公の性格・行動がリアルに描かれていて緊張感がありドキドキさせられます。自分が純一の立場なら、徐々にドナーにのっとられていく感覚は怖いと思います。 果たしてドナーは誰なのか。すぐにそのオチに気づいてしまうのは残念ですが、それでも面白く読めました。(2007/3/22)



独白するユニバーサル横メルカトル-平山夢明短編集-(平山夢明)
 怪談実話のスーパースター平山夢明の恐るべき結実。生理的嫌悪と暴力の果てに名状しがたい感動が待つ異形の物語群。地図が独白する異色スタイルで犯罪小説としても鮮やかに成立し、好評を博して本年度推理作家協会賞を受賞した表題作を含む8編を収めた、絢爛たる第1短編集。
 表題作は連続殺人を繰り返す男の携帯する地図が独白するという、ちょっと変わった手法を用いていておもしろかったのですが、最後の作品の拷問の描写がとても気持ちが悪くなるもので、後味が悪いです。怖いもの見たさで読んだのですが、怖さより気持ち悪さが残ってしまいました。(2007/5/28)


Op.(オペレーション)ローズダスト(上) Op.(オペレーション)ローズダスト(下)
Op.(オペレーション)ローズダスト 上・下 (福井晴敏)
 2006年秋、ネット財閥アクト・グループを標的とする企業テロ・・・実行犯は入江一功をはじめ『ローズダスト』を名乗る5人グループ・・・は、公安警察と防衛庁の思惑を巻き込み、その真の目的を明らかにしてゆく。 警視庁の並河警部補は防衛庁情報本部の丹原朋希と捜査にあたるうちに、朋希と一功の因縁を知る。かつて2人は防衛庁の非公開組織『ダイス』に所属、従事した作戦が失敗し、2人が想いを寄せた少女が死んだ……。互いを理解しながら憎しみあう2人の若者を通して、壮大なスケールで描く超大作。
 悲しい過去によって心を閉ざした若き工作員と、くたびれた中年刑事のコンビ。おなじみのパターンではありますが、元は仲間であった者たちが敵、味方に別れて戦わねばならない悲しさ。泣かせどころではしっかり泣かされました。『ローズダスト』のしかけた爆弾によって東京お台場が壊滅的な被害を受けるシーンはものすごい迫力がありました。映像化は無理と帯にもかかれていましたが、確かにこの迫力を出すのは難しいと思います。現在、危うい立場にある日本という国がいつこのような状態に陥っても不思議ではなく、危機感すら感じました。読み応えあり。お勧めです!!(2006/5/10)



川の深さは 川の深さは ←文庫もあります   
川の深さは(福井晴敏)
 「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。少女を守るため、世界を敵に戦う少年の姿が、失意の男を蘇らせた…彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。
 福井氏の原点ともいえる作品。若き工作員とくたびれた中年の(元)刑事・警官という取り合わせも もう馴染みとなっていますが、この作品から既に形になっていたようです。『Op.(オペレーション)ローズダスト』(下記参照)を読んだ後だったので物足りなく感じましたが、最後まで元警官の桃山と一緒に工作員・保に嵌められっぱなしで、なかなか面白かったです。(2006/5/22)



TwelveY.O. Twelve Y.O. ←文庫もあります   
Twelve Y.O.(福井晴敏)
 人生の意義を見失い、日々をただ過ごしていただけの自衛官募集員・平貫太郎は、かつての命の恩人・東馬修一に偶然出会ったことから、想像もつかない日本の地下組織の闇に呑み込まれてゆく。最強のコンピュータ・ウィルス『アポトーシスII』と謎の兵器『ウルマ』を使って、米国防総省を相手にたった1人で脅迫劇を仕掛け続ける電子テロリスト・『トゥエルブ』とは何者か。彼の最終的な目的は何なのか?絶望感と閉塞感が渦巻く現代を吹き抜ける一大スペクタクル・サスペンス!第44回江戸川乱歩賞受賞作。
 福井氏の作品は、一貫して日本の防衛や日米安保、外交などについて もっと我々一人一人が真剣に考えなければならないと訴えています。しかし臨場感にあふれる戦闘シーンばかりではなく、根底にある『人間愛』、愛を求めて苦しむ『人間そのもの』の姿が描かれており作品に深みを増しています。読み応えのある良い作品だと思います。(2006/5/24)



削除ボーイズ0326(方波見大志)
 直都が手に入れたのは、出来事を「削除」できる装置だった。仲間たちとともに、次々不都合な事件を削除していく直都。しかしこの装置には、重大な副作用があった。ついに引き起こされる大きな事件。そこには、一年前の悲劇が暗く尾を引いていた。削除したいのは深爪の傷、息苦しい現実、それとも忘れられない過ちか…。まったく新しいリアル・エンターテインメント。第1回ポプラ社小説大賞受賞作。
 自分に不都合な過去を削除する という発想は面白いと思いました。でも、いまひとつ説明不足で、理解しづらいところがありました。最終的に『この過去を消すんだろうな~』と早くからわかってしまうような内容でしたが、ありきたりな終わり方にはしなかったところが良かったです。作品としては『まあまあ』だったと思います。(2007/8/31)


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