俳ジャッ句　　　　　

　ツレは　お酒に酔った勢いで　課長に食ってかかった上に

　こともあろうに　ぶん殴ってしまったのよ。

　そのことは　私には一切口にしなかったから

　私が知ったのは　後になってからだった。

　その年も押し詰まってから　ツレはぽつんと言ったわ。

　「もう　宮仕えはいやだな」

　「で　どうするつもり？」

　って　私が聞くと

　「起業だな」

　と　事もなげに答えたわ。

　「何か商売でもするつもり？」

　「まあな」

　と　だけ答えて　ツレは以外に上機嫌だった。

　私は　そのツレの機嫌がいいのが　かえって気がかりだった。

　そして　私の不安は的中したのだった。

　　　　　　　　続く