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昨夕帰りのトラムで路上生活者のカルロスと出会った。
彼がコロンビア人で今は路上生活していて、随分酔っているようだったということが10分ほどの間にわかった。なぜ暖かいコロンビアから来て、ここに生活しているかはわからなかった。
オニオンの横に所帯荷物を入れた二個の大きな袋と一緒に座っていた。最初は黙っていたが、彼の方から食べる為のお金をいくらでも良いからくれという請求があった。そういう時は大抵大衆の場なので財布は出さないから、用意している場合を除いては払わないことにしている。ところが、昨日は気持ちよくコインを出して彼に渡してあげた。
あっさりとオニオンが出したので拍子抜けしたのか、大きな声で叫んでいた。。オニオンはお金を出したからというのでもないが、彼が足を向かいの座席に置いているのを注意した。まるで子供にするように、「迷惑になるから、おろしましょうね」とである。
なぜそこまでオニオンが言ってしまったのかはわからないが、彼はまたまた叫んでいた。その度に他の乗客は肩をすくめて知らん顔をするのであるが。。オニオンとて、万が一危なくなれば(酔っているはずみで暴力行為もあるだろう)自分の身を守ることくらいは心得ているから気にもしなかった。ただし、酔っている相手だと注意しないと、こけさせたりすると怪我させるかもしれないと気にはなった。
動物の様に叫んだあとは、素直に足を下ろして何かをつぶやき、オニオンの前の席にやってきた。そして最後まで彼は、オニオンに「私は路上で生活しています」というタイトルのビデオを見せてくれていた。誰か知らないが、ドイツ人の人が映っていて、おそらくカルロスのためにドイツ語でビデオを録音したのだろうか。。音はカルロスがイヤーフォンで聞いているので何を言っているのかわからなかったが、それを言うと自分の耳からオニオンへそのイヤ―フォンを渡してくれそうだったから黙って、揺れるトラムの動画を見ていたオニオンだった。
オニオンは最後まで黙っていたが、彼一人でスペイン語やフランス語や片言のドイツ語でしゃべりまくっていた。もしトラム会社の人が乗り合わせていれば、すぐに連行されて行っただろう。。でも幸い暖かいトラムでのオニオンとの出会いは無事に済んだ。途中彼がどこから来たのか、名前とかは独りでしゃべっていたのでわかったのだ。
最後にどこから来たのか聞かれたので、日本だと言うと、日本語で「OK」ってどう言うのか聞かれた。だから、同じ「OK」だよって教えてあげたら喜んでいた。そして叫びはしなかったが、人間的な言葉で他の乗客を笑わせていた。
ほんの少し、ほ~~んの少しだけ、それも酔いが覚めたら忘れているだろうが、嬉しそうだった。
夕方からずっと気温がマイナスで雪が降り出していた。夜はちゃんとした保護施設で眠ってくれていると願っている。オニオンも夜は耳カバーをして出かけた。
オニオンも表面だけの笑顔で無く、心の笑顔でなんとか応えることができた。笑顔で接すれば害されないという文章を休み時間に読んだばっかりだった。だからまるでその成果を試すように、カルロスがオニオンの前に現れたのだろう。何点くらいだったろうか。。来週はイタリア語のテストがあるが、それよりも点数の重さがあるように感じるオニオンである。
こういうのをシンクロ二ティーって言うんだわ。。やって来る時は待ったなしでどんどんやってくる。構えていてもやってこない。構えを下ろした時に、それはやってくる。