普通ってすばらしい!!

普通ってすばらしい!!

あなたに続く空 プロローグ

あなたに続く空~プロローグ~



「やっとできた」
あたしは全編100ページに及ぶ漫画を書き上げた。
明日これを編集部に持ち込んで松井に読ませてやる。
いつもいつもあたしのことを能無しとか疫病神とか
好き放題言っているあいつをギャフンと言わせて見せる。

この話は半分フィクション。
あたしのここ2年をつなぎ合わせてストーリーを
考えた。プロットもコマ割りも試行錯誤を繰り返した。

そして。
ついについに完成したのよ。

封筒に入れた表紙も入れたら100枚の原稿を胸に抱き、
ごろんと横になる。

目を閉じると、忘れもしないあの日が簡単に蘇ってくる。
「シャルル・・・和矢・・・」
そっと名前を呟く。

漫画を描きながら何度涙を流しただろう。涙が落ちて
ダメになった原稿用紙も何枚もあったし、ペンが進まない
日だって何日もあった。
あたしとしたことが、食べることさえできない日もあった。
もちろん、貧乏なのもあるけど・・・

でも。
完成とともに吹っ切れた気がする。
なんだか心が晴れ晴れとしている気がするもの。
涙も出なくなった。


「あたしの恋。ばいばい」
なんて普通なら照れ臭くていえないセリフを原稿に向かって
呟き、あたしは眠りに付いた。





*****************************



マリナにはどうしても辛い思いをさせたい私・・・
Sですね。確実に。しばらくシャルルも和矢も出てきません。

・・・この話、なんとなく長くなるような感じがします。
しまった、サブタイトル考えていないわ。
・・・ま、いいか。


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