お空のあいちゃん

お空のあいちゃん

夢であってほしい。。。



ほんとは、先生は、もっとくわしく病気の原因を調べたいと言っていました。でも、私達はことわりました。 自分勝手だったかもしれません。もし、了解していたら、あいちゃんと同じ病気になった子をすくう手がかりがつかめたかもしれないのです。 でも、私達はこれ以上あいちゃんの体に傷をつけるのはいやだとことわりました。もう、十分だと思っていました。ちいさな体にたくさんのはりをさしていたのだから。。。たくさんの機械にかこまれていたのだから。。。だから、DNAの検査はしてもらいましたが、それ以上の検査は了解できませんでした。

あいちゃんが部屋からでていくと、主人はタバコを吸いにそとにでました。そして私に“帰ろう”とひとこといいました。 私はひとりで受け付けに行きました。そして書類にサインするのは明日にしますという事をつたえました。 もう、私にも主人にも手続きをする気力はありませんでした。

主人のところに戻る途中、すこしおさまっていた涙が、またあふれてきました。静かな廊下を泣きながらあるいていました。 うしろから、“だいじょうぶですか?”と声をかけてくれた人がいました。あいちゃんの2つとなりのベットにいた、黒人のあかちゃんのお父さんでした。 私はなにも答える事ができずに、そのまま主人のところまでもどりました。 きっと病室にもどって、あいちゃんがお空にいってしまったことを、彼は知ったでしょう。

主人の運転するくるまで、家まで帰りました。でも、どうやって帰ったのか、記憶にありません。ふたりとも口を開く事はなかったと思います。

家につくと、なにもせず、そのままベットにもぐりこみました。なにも考えたくありませんでした。朝おきたときには、考えてもみなかったことでした。あいちゃんの手術にむけて前向きな気持ちでいました。 手術がおわったら、ベビーベットを買いに行こうと思っていました。 それなのに、それなのに。。。

夢であってほしい。。。そう思いながら、眠りにつきました。。。


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