お空のあいちゃん

お空のあいちゃん

悲しみを受け入れて



あいちゃんの服やおもちゃはかたずけました。 大きな団ボールに2つにまたいつか使える日が来ますようにと願いながら、一つずつ丁寧に入れていきました。

主人も私も学校に通いはじめました。 大学で授業をとりながら、私はアルバイトを再開しました。 主人は2つあった仕事を1つにしました。

はたからみたら、私も主人も“ 普通の生活”をしていました。 でも、心のなかにああいた大きな穴は、時々、大きな不安や、悲しみを運んできました。

それでも、前に進まなくちゃと自分を励まし、主人を励まし、毎日をすごして生きました。

あいちゃんの夢は不思議とあまりみませんでした。 何度か見たあいちゃんの夢のなかにも、“あいちゃん”は出てきませんでした。 いつも、いつもあいちゃんがお空にいったあとの夢だったからです。

主人も私も、涙を流さない日はありませんでした。 いつもは泣くことが大嫌いな主人でしたが、あいちゃんのことだけは、泣いていてもなにも言わずに泣かせてくれました。

ある時主人は私に言いました。“あいちゃんがお空に行ってしまった悲しみを、乗り越えようとするのはやめよう。 乗り越えるんじゃなくって受け入れよう。”

それから、私達はお互いを差さえあって、その悲しみを受け入れる努力をしました。 だから今でもあいちゃんのことを思い出して涙を流すこともあるんです。

私は、いつまでもあいちゃんのことを思って涙を流そうと思います。 私はあいちゃんのママだから。 私が涙をながさなければ、いつかあいちゃんのために涙を流す人はいなくなってしまうでしょうから。


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