小渡樹(おどたつき)の部屋

小渡樹(おどたつき)の部屋

愛しのVシネマ達



 “東映のテイストは海を渡ってタランティ-ノに受け継がれたのかもしれない”と書いた。

 だが、日本にも東映のテイストが受け継がれている世界がある。

 それがVシネマだ。

 Vシネマ、それはレンタルビデオ屋さんでお客さんに借りて観て貰う為に製作されるビデオ撮影の映像作品達。

 最近実録ヤクザ抗争作品にハマっている私の独断と偏見で、鑑賞した作品を紹介していきたい。

 「実録・日本やくざ列伝 義戦 昇華編」
 「実録・日本やくざ列伝 義戦 昇龍編」

 広島尾道市を中心に勢力を張る侠道会の森田幸吉会長の波乱の生涯を描いた作品。

 あの「仁義なき戦い」で有名な広島抗争の第三次抗争の一方の当事者だった人物でもある。

 自身の勢力拡大のためではなく、兄弟分の義理のために抗争に次ぐ抗争を突き進む生き方は、ドライな見方をすれば「アホ」の一言で片付けられても仕方はない。

 だが、その損を承知で突き進む彼とついていく子分達の姿を観ていると、アホと突っ込みたくなるのを通り越して不思議な感動を覚えてしまう。

 やっぱり今の世の中、自分本位なのだと思う。だから逆に感動を呼ぶのだと思う。

 そしてその損を承知で突き進む人間は10年位前まで生きていた。

 この作品のところどころに森田氏の写真、抗争手打ちの儀式の写真、昭和60年に行われた兄弟分杯事の儀式を映像が挟み込まれる。これだけでも見る価値はありだと思う。

 そしてこれらの貴重な写真や映像がVシネマにありがちな低予算という短所を十分に補っているのである。


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