尾瀬の麓、片品村でのむらづくり記録

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2005年02月21日
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カテゴリ: 東田代村
9ー八人衆の到着ー

 到着した一行は、八人、みな男であった。妻子持ちもいたが、あとで迎えるという格好をとった。年齢は、一番上が50歳をちょっと越えた人で、一番下は18歳になったばかりだった。

 かなりの荷物を背負った馬を従えての歩き旅のため、到着はその日の夕暮れになってしまった。

 しかも、彼ら八人は、途中、与惣右衛門夫妻が通った高平宿(白沢村)には行かなかった。その代わり、沼田より東北の川場村を通過、花咲峠で山越えした。花咲村より御座入、須賀川村を突っ切って菅沼村に入ったのだった。花咲で農耕用の牛馬を買い付けるためだった。

 皆、疲れたに違いない。しかし、そのうちの二人は、それとはふつりあいのように、眼光がやけに鋭かった。

「よう来たなあ。ご苦労だった」
 与惣右衛門は、皆をねぎらった。

「はい、無事に到着いたしました。与惣右衛門様こそ、先陣を切っていただいて、誠にご苦労様でした」
 といって、一団の年長者がかえって頭領の率先行動をほめることを忘れなかった。

「さあ、さあ、皆さん、お疲れでしょう。あちらの小屋に来て、大した物ではないが、夕飯を食べてください」
 たえは、優しく語りかけ、顔を洗う桶をさし出した。

 食べ終わる前に、こっくりをする者もいた。その夜は、足を伸ばして眠れない環境だったが、そこに不満をいう者はいなかった。雨露を避けられるだけでも良いという思いだったからだ。城下での暮らしの常識には、こういうのは滅多になかったが、戦(いくさ)を考えればなんてこともない。

 あくる日、案の定、五時前に、鶏が鳴いた。人間様の数を眼前に見なくとも感じられるのか、いつもより鳴き声に張りがあったように佐吉は感じた。

 日が上がった。外で手を伸ばしたり、足を屈伸する者が目立ち始めた頃、与惣右衛門が召集をかけて言った。

「さあ、みなの者、今日から名実とものむらづくりが始まる。やる気...というか、覚悟はいいかな?」

「ハイ!」
 声の大半が合った。

 与惣右衛門、それにニコッとしながら、うなずくしぐさを見せた。彼の表情は、最近になく、一段ときりっとしていた。そう感じたのは、たえだけでなかった。

 いつの世も、リーダーの言行は集団に少なからず影響を与えるもの。ましてや、テキストのない東田代での歩みには尚更だ。





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Last updated  2005年03月12日 20時49分23秒
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横坂です@ Re:「東田代村」を議員が視察(07/09) はじめまして。 片品出身の者です。 こち…
乗らない騎手@ ちょっとは木馬隠せw あのー、三 角 木 馬が家にあるってどん…
ボーボー侍@ 脇コキって言うねんな(爆笑) 前に言うてた奥さんな、オレのズボン脱が…
もじゃもじゃ君@ 短小ち○こに興奮しすぎ(ワラ 優子ちゃんたら急に人気無い所で車を停め…
まさーしー@ なんぞコレなんぞぉ!! ぬオォォーーー!! w(゜д゜;w(゜д゜)w…

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