読書の部屋からこんにちは!

読書の部屋からこんにちは!

2007.03.07
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カテゴリ: 童話
この物語は、5人の中の良い兄弟が大都会ロンドンから田舎の白い家に引っ越してくるところから始まります。


その家は丘の頂上の、チョーク掘り場や砂利掘り場のあいだにありました。
「ロンドンにはお店や劇場はたくさんあるけれど、子どもたちが壊したり、けがをしたりしないでおもしろく遊べるもの、木だの、砂だの、森だの、川だのってものがちっともないのです。」
あらあら、この本は今から130年も前に書かれたにもかかわらず、子どもたちの遊び場の状況は、今と変わらないんですね。
子どもたちは、もちろんこの家がいっぺんに好きになりました。

新しい家の近くにある砂利堀り場の穴から出てきた、おかしなかっこうの生き物。
それが砂の妖精です。
ほら、みんなも覚えがあるでしょう。
小さな子どもだった頃、大人の知らない大きな木の下とか、
大人はきっと禁止するお尻で滑り降りる山の斜面とか、
潅木に囲まれて座ればすっぽりと隠れてしまうような、秘密の遊び場所。
そんな場所でみつけた砂の妖精「サミアド」は、
子どもたちに一日にひとつ、日暮れまでのあいだだけ願い事をかなえてくれるというのです。

子どもたちは何を頼んだと思いますか?
「花のように美しくなりたい」「金貨がどっさり欲しい」「翼が欲しい」「手のかかる末っ子が、いますぐ大人になったらいいなあ」
そう。その願い事は、私たちがかつて子どもだったときに、
きっと一人残らず願ったでしょう、子どもらしい願いばかりです。
その願い事はサミアドによって忠実にかなえられますが、結果はいつもうまくいかなくて、
子どもたちは必ずひどい目にあいます。
年長の子どもたちはいろいろ考えて解決しようとするものの、夕方が来てやっとのことで助かるのです。
この辺は、ドラえもんとのび太くんに近いものもあって、ますますおもしろいです。


国が違い時代が違っても、子どもの願いはいつも同じで、懐かしく、いとおしい。
だけど、魔法によって願いがかなえられても、幸せにはなれない。
自分の子ども時代を思いながら、とても楽しく読みました。

砂の中に住んでいるけむくじゃらのサミアド。
怒りっぽくて人嫌いで、プライドの高いサミアド。
おだてにのりやすいサミアド。
だけど大好き。サミアドに会いに行こう。
この本を読んだら、子どもも大人もみんな、きっとそう思いますよ。





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Last updated  2007.03.07 12:01:22
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