DR650ある生活

漸化式で解くコンデンサー回路

漸化式で解くコンデンサー回路@スイッチ連続操作





<問題>


SANY0337.jpg


SANY0314.jpg


(下の図は問題の図を書き直したものです)
図中の記号はそれぞれ

S1、S2はスイッチ、

C1、C2、C3はそれぞれ電気容量が

C1=C[F]
C2=2C[F]
C3=4C[F]

のコンデンサー、
Rは抵抗、

Vは電池の電圧(起電力)。

を表している。

このような電気回路において
以下の手順で
スイッチ切り替え操作を行う。

まずS1、S2が開いている状態から出発して

a.スイッチ1(S1)を閉じる

↓(十分時間がたってから)

b.S1を開き、スイッチ2(S2)を閉じる

↓(十分時間がたってから)

c.S2を開き、S1を閉じる

↓(十分時間がたってから)

d.S1を開き、S2を閉じる

↓(以下、繰り返し)

このようなスイッチ切り替えを繰り返ていくと
いずれ
スイッチを切り替えても

電荷の移動が起こらなくなってしまう(定常状態になる)

そのときの、点Aにおける電位V∞はいくらになるか?



<問題文終>


(出典:わ●わく物理●検隊)← 高校物理の参考書です。




<準備>


SANY0314.jpg



まず、十分時間が経過してコンデンサーが充電されると
電流が流れていない状態(=抵抗の電圧ゼロ)になっているので




SANY0295.jpg



抵抗を省き
道線に直した回路に書き換える。(以下、この回路を元に考察しています。)


スイッチ切り替えのカウントは



スイッチ1、2 

共に開いている状態からスタート して


SANY0295.jpg





(a)スイッチ1を閉じる。(スイッチ2は開いている)


SANY0316.jpg


十分に時間がたってから


(b)スイッチ1を開き、スイッチ2を閉じる


SANY0315.jpg


十分に時間がたってから( ここで1回カウント


(c)スイッチ2を開き、スイッチ1を閉じる


SANY0316.jpg


十分に時間がたってから


(d)スイッチ1を開き、スイッチ2を閉じる


SANY0315.jpg


十分に時間がたってから( ここで1回カウント




・  (以下無限ループ)




以上のように計りました。



ここで
「n回目」から「n+1回目」の
電荷の流れを探るために

スイッチ2を閉じて十分に時間がたった状態



SANY0315.jpg


に至ってからを
1回の作業とカウント

さらに


SANY0327.jpg


↑電荷が溜まっていく時の符号の様子

を上図のように仮定して考察を開始します。






<考察>



まず n回目 を終えた状態について。


一連の切り替えをn回終え十分に時間がたったあと

コンデンサーに囲まれた
孤立部分の点Aの電位を Vn とすると

孤立部分点Aとアースとの電圧がVnになるということだから

コンデンサーの電気量の関係式Q=CV

C1=C[F]
C2=2C[F]
C3=4C[F]より




SANY0325.jpg


C3 には

Q3n=+C3Vn= +4CVn

C2 には

Q2n=+C2Vn= +2CVn
だけの電荷がそれぞれ蓄えられることになる。


残り、C1に蓄えられる電荷ついて。

このとき(n回目測定時)スイッチ1は開いていて
電池と接続されていない状態で
C1の電荷は身動きが取れない(移動できない)
孤立部分の電荷量は一定だから
電荷の保存より、はじめの状態との保存式を作る。

左辺:電気的に孤立した部分の電気量(電荷)の総和
=右辺:始め(0回目)孤立部分の電荷も0だった状態

として

Q1n+Q2n+Q3n=0 
-Q1n=+Q2n+Q3n

よって
C1に蓄えられる電荷は
-Q1n=+Q2n+Q3n= -6CVn となる。


このあと、S2を開いてS1を閉じると
(n回目→n+1回目の電荷の流れを探っているので)



SANY0328.jpg



↑のようなC1、C2の閉回路となる。

はじめ、スイッチ1を閉じてスグの状態では
図のように

C1にQ1n=-6CVn
C2にQ2n=+2CVn

の電荷が溜まっているが

充電が完了する(十分に時間がたつ)頃には
C1、C2に溜まっている電荷も変わっている。

このときC1にX、C2にYだけの電荷が溜まるとすると



SANY0330.jpg


点線内の孤立部分では

C1にQ1n'=-X
C2にQ2n'=+Y

だけの電荷が蓄えられることになるから


はじめ(スイッチを切り替えた直後)


SANY0328.jpg




あと(切り替え後、十分に時間がたった後)


SANY0330.jpg




の点線部内の電荷保存の式が立てられる。

式を作ってみると

はじめ(スイッチを切り替えた直後)=あと(十分に時間がたった後) より

Q1n+Q2n=Q1n'+Q2n'

-6CVn+2CVn=-X+Y  …(1)

あと(切り替えして十分に時間がたった時)の状態では電圧(電位差)もまた、
V1+V2=V(電池の電圧・起電力)

と変化しているので

Q=CV⇔V=Q/Cを用いて

V1=|Q1'|/C1=X/C
V2=Q2n'/C2=Y/2C

まとめて

X/C+Y/2C=V  …(2)

ここで
(2)の左辺を整理してまとめると
(2)= 2X+Y=2CV  …(2)'

-6CVn+2CVn=-X+Y  …(1)
2X+Y=2CV  …(2)'

(1)と(2)'式を連立方程式で解くと…

・Xについて

(1)-(2)'より

-3X=-4CVn-2CV (↓両辺×-1)
3X=2CV+4CVn (↓両辺×1/3)
X=2CV/3+4CVn/3
(↓2C/3で括るとき、4C/3=2×2C/3)

X=2C/3(V+2Vn)

↑まぁ結局…使うことはありませんでしたが^^;

・Yについて

(1)×2+(2)'より

3Y=-8CVn+2CV (↓両辺×1/3)
Y=2CV/3-8CVn/3
(↓2C/3で括るとき、8C/3=4×2C/3)

Y=2C/3(V-4Vn)  …(3)

以上のように電荷X,Yが求まる。

n+1回目 の電荷の流れについても調べておく。

今一度S1を開き、その後S2を閉じて
十分に時間がたった後(つまり n+1回目 )の
点Aの電位を Vn+1 とおき、


↓S2を閉じた直後


SANY0333.jpg


C2にQ2n'=+Y
C3にQn=CVn=+4CVn

の電荷が溜まっている状態と

(C1の電荷はS1を切っている事から例の如く移動できない)

↓S2を閉じて十分に時間がたったあと(n+1回目)


SANY0334.jpg


C2にQ2n+1=+2CVn+1
C3にQn+1=CVn+1=+4CVn+1

の電荷が溜まっている状態とを

電荷の保存式で結び付けてやれば

はじめの電荷量=あとの電荷量
Q2n'+Qn=Q2n+1+Qn
Y+4CVn=2CVn+1+4CVn+1

ここで(3)のYを代入して

2/3CV-8/3CVn+4CVn=2CVn+1+4CVn+1
6CVn+1=4CVn/3+2CV/3 (↓両辺×1/6C)

Vn+1=2Vn/9+1V/9 …(4)

という漸化式が完成!

この漸化式は
An+1=PAn+q型
An+1-K=P(An-K)の
特性方程式で処理するタイプだから

まず特性方程式
An+1-K=P(An-K)
を展開し整理して出てきた
An+1=PAn+(1-p)Kの係数(1-p)Kと

与式
An+1=PAn+qの定数qを比較して
(1-p)K=q

K=q/(1-p)

を調べ出す。

次に
Kを特性方程式に当てはめて
出てきた

An+1-q/(1-p)=P{An-q/(1-p)}

という式について
左辺An+1-q/(1-p)をBn+1とおけば
右辺An-q/(1-p)はBnとまとめることができる。

整理して
Bn+1=PBn
(An+1=rAn r=公比の等比数列型漸化式)
と表せば

Bn(An-q/(1-p)のこと)は

初項B1=A1-q/(1-p)
公比P

等比数列 であることが判明した。

あとはBnの等比数列を解いて
Bn=A1-q/(1-p)・(P)^n-1
Bn=An-q/(1-p)だったからまとめて
An-q/(1-p)=A1-q/(1-p)・(P)^n-1

An=A1-q/(1-p)・(P)^n-1+q/(1-p)


…といった具合に一般項を導くのだった。

Vn+1=2Vn/9+1V/9 …(4)も同様に
特性方程式と比較すると

Vn+1-K=2/9(Vn-K)
Vn+1=2Vn/9-2K/9+K
Vn+1=2Vn/9+7K/9

K=1V/7

Kを特性方程式に入れ整理すると

Vn+1-1V/7=2/9(Vn-V/7)

ここから

Vn-V/7=Bnと一塊にして考えると
Vn+1-1V/7=Bn+1とまとまるから
Bn+1=2Bn/9

Bn(Vn-V/7のこと)は

初項V1-V/7(整理して-2V/63  ※詳細は後述
公比2/9

等比数列 であることが分かる。

よって n回目における点Aの電位を表す式
Vn-V/7=-2V/63(2/9)^n-1
Vn=-2V/63(2/9)^n-1+V/7 

-2V/63(2/9)^n-1について
-2V/63=-V/7*2/9と変形できるから
-2V/63(2/9)^n-1==-V/7*2/9*(2/9)^n-1
=-V/7(2/9)^n

Vn=-V/7(2/9)^n+V/7  …(5)

と求まった。
知りたいのは スイッチを切り替えても
電荷が移動しなくなるような点Aの電位


ある回数(例えばZ回目とする)で

電荷が流れなくなったとすると
以降は何度切り替えを繰り返しても電荷は移動しない。
電位もZ回目のまま以降は不変だから

n回目の電位の関係式(5)について極限を撮り

無限回繰り返したときの状態 を調べればいい。

よって

lim _[n→∞]Vn=-2V/63(2/9)^n-1+V/7

(lim _[n→∞]はnが無限大(∞)に近ずくということ)

ここで、公比=r=2/9は
分子より分母のほうが大きい分数

(-1<r<1)であるから
極限値lim _[n→∞]r^nにおいてnを増やしていくと
分母だけが巨大化していき、

どんどん0に近ずいていくので
∞付近では0に限りなく近くなる⇔0に収束すると扱う。

以上より、

無限大回切り替えを行ったときの点Aの電位
電荷が移動しなくなった回数以降の電位 )は

V∞=-V/7*0+V/7 

V∞=V/7

であることが分かった!!!


※初項 (Vn-V/7)について

V1=1V/9を代入して

1V/9-V/7=-2V/63

※V1=1V/9の導出について。


はじめ(0回目)→1回目にかけての

電荷の流れを追う。
0回目からスタートしてS1を閉じ、S2が閉じてから
十分に時間がたった後の点Aの電位をVxとおいたとき

C1側には電池V、C2より下は
アースによって0Vになっているからそれぞれの電圧(電位差)は

V1=(Vx-V)
V2=(Vx-0)

これと孤立部分に溜まる電荷の符号に気をつけて
電荷保存の式を作ると

あと=まえ
-C(Vx-V)+2C(Vx-0)=0
3CVx=CV (↓両辺×1/3)
Vx=1V/3

求まった電位Vxを
電圧(電位差)を示す式

V1=(Vx-V)
V2=(Vx-0)

に代入してC1、C2の電荷を求めると

Q1=-C(V/3-V)=-2V/3
Q2=C2V=2C*V/3=2V/3

ここでS1を開き、S2を閉じ
十分に時間がたったときの点Aの電位をV1とおく。

例の如くS1をきっている事で
C1に蓄えられた電荷は移動しないこと。

C2については、
はじめQ2=2CV/3の電荷がたくわえられ
あとの状態ではQ2v1=2CV1の電荷が溜まること。


C3については
はじめ電荷ゼロで
後の状態(十分時間がたってから)では
Q3v1=4CV1の電荷が溜まること。

C2とC3より下は
アースによって0Vになっているからそれぞれの電圧(電位差)は

V2=(V1-0)
V3=(V1-0)

となっている事などを考えて

C2とC3とで前後の電荷保存の式を立てると

まえ=あと
2CV/3=2CV1+4CV1
6CV1=2CV/3 (↓ 両辺×C/6)

V1=1V/9
が求まる。




<考察終わり>


自身の復習の効率を優先するばかりに
細かくなりすぎて、

だらしのない答案となってしまいましたので

怪しくヤバイ箇所も多数あると思います…。
ここまで読んで下さった方で

計算や表記ミス、もしくは
根本的な考え方の間違いに気付かれました方、
もっと要領のいい

漸化式の立て方などをご存知であられる方は

ご指摘を下さるとありがたいですm(_ _)m
でも、プギャー(^Д^)9mやら誹謗中傷は勘弁してくださいw …m(_ _)m





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