Room#103

Room♯103


ショパンの独自性って。


 たくさんの作曲家達とショパンはどう違うのか。

ショパンはRoom#102で話したロマン派の時代に、ポーランドで生まれました。
ロマン派の時代はたくさんの作曲家達がひしめいていた時代です。
ロマン「派」と言われるぐらいですから、この時代の作品たちには、共通する要素がいくかあります。

この時代に始まり、この時代の特徴でもある「標題音楽」というものがあります。
標題音楽というのは、一曲一曲にタイトルがついている音楽の事です。
タイトルというのは、「ソナタ」や「ソナチネ」などのジャンルのタイトルではなく、
例えば「森のささやき」(リスト)「水の戯れ」(リスト)などのように
具体的なタイトルで、そのタイトルから演奏者も聴く側も
曲の情景を想像できるようなものがつけられています。
絵画にタイトルがついているのと同じです。
この時代の作曲家達は標題音楽をたくさん作曲しました。
しかし、ショパンは一曲も作曲していません。
この事は彼の独自性を語る上でとても大事な事です。

ショパンの独自性を一言で言うならば、自由であるという事です。
詳しく言うと、「形式」という物にはめるという事がない。
ショパンが以前からある形式の曲(ソナタ、スケルツォ、前奏曲、練習曲など)を
作曲しても以前と同じ形式、作風とはまったく違ったモノを作り出している。
ショパンには ほかのロマン派の作曲家達のように 直接的に影響を受けた作曲家がいない。(例えばリストはショパンなどに影響を受けました)
ショパンの音楽は誰の影響を受けたものでもなく、ショパン自身の心の表現である。
ショパンの音楽は 標題性を持たない(標題音楽ではない)ので、
演奏者にも観客にも枠を与えない。
すべて自由である。
標題音楽はタイトルがある事で、最初から弾き手も聴衆も枠にはめられているのです。


この様な理由から、ショパン(の音楽)は「ロマン派」に属しながらも、
「ロマン派」の時代に 一人孤立した存在でした。
(社交的な部分で孤立していたわけではありません。
彼は友達もいましたし、元気な頃にはパーティーにもきちんと出席していまた。)

すべてが(曲も演奏者も聴衆も)自由である。
これは言ってしまえば すらっと言えてしまえますが、大変な事です。
この事がショパンが天才といわれる理由でもあります。


もうひとつ。
この時代の作曲家に限らず、たいていの作曲家は色々な楽器の曲を作曲しています。
しかしショパンが作曲したのは、友達の為に作曲した少しの器楽曲などを除けば、すべてピアノ曲です。
ショパンは、「音楽とは、音で思想や感情を表現する芸術。」と語っています。
彼はまた、「それにもっともふさわしい楽器は自分にとってはピアノである。」と言っています。
ショパンにとって楽器はピアノだけで十分だったというわけです。
わざわざほかの楽器に手をつける必要はなかったんです。
それでショパンはピアノ曲ばかり作曲しました。
現在ではピアノの詩人と呼ばれていますね。


 Room#104では、ショパンの作品について書く予定です。


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