ぐりっちのいるところ

ぐりっちのいるところ

ぐりの生まれた日

ぐりの原風景

*ぐり 生まれる*

ぐりのお母さんは、いわゆる野良ハムだった。 捨てられたのか、逃げ出したのか、もはや知る術はないけれど ともあれポテポテとさ迷っていた春の宵、会社帰りの 親切なOLさんに拾われた。 彼女がハム好きだったのも幸い。 ただ、いくらハム好きとはいえ、 ネズミ嫌いの家族に遠慮してたOLさんのお部屋に 唐突にやってきたぐり母の快適なお住まいが用意されているはずもなく、 空いたプラ製のダストBOXの仮住まい。 OLさんが思わぬめぐり合わせにわくわくを抱きしめて眠った夜、 ぐりは生まれた。4匹の兄弟といっしょに。
ときに2000年5月1日。 青天霹靂の天使たちは、彼らを目にした途端に宗旨変えした家族の あったかい眼差しの中ですくすくと育ち、やがて、ひと月。 巣立ちの時を前に我関知せぬ天使たちのなかで、 一番くいしんぼなお転婆さんが、誰あろうのちのぐりだったという。

*ハムスターがやってくる?!*

その電話は、朝だった。
当時年中さんだったゆかちをママちゃりダッシュモードで送り届け、 やれやれと帰宅して、まもなく。 「姉貴、ハムスターいる?」おはようも無しかい?実妹よ。 「いる!」あれ?
自分の二つ返事に驚いてる私に、
「友だちがハムスター拾ったら、次の朝増えてたんだって。 始めはうちにってことだったんだけど、 うちの息子ども(3歳・1歳)はまだ”怪獣”だし。 ゆかちならもう大丈夫でしょ?欲しがってたんだし。だから、受けといたよ。」
おいおい。事後承諾やん。
「何?いらんの?」
「・・・いる。」
「じゃ、明日連れてくわ♪」
「え~~~!?」
がしゃん。と切れた受話器を持って、しばし呆然。 すごく大事なこと、軽く決めちゃったような気がするんですけど・・・

考えてる時間はない。 早速、ゆかちの母友に電話。 実は偶然にも、お引越しにつき「ケージ他ハム飼いグッズ一式譲ります」と、 2~3日前お迎え時間に話していたヒトがいたのだ。 以前は飼っていたのだけど、年子のチビどもにオモチャにされては 早死にするハム達が見るに忍びなくて、しばらく飼う気はないという。 その上の子とゆかちは同級生なんだけどな。
「ゆかちちゃんなら、大丈夫だよ。あれで(?)けっこう慎重だから^^」
幸い、まだ貰い手はついてなかったようだ。 「今日、(お迎えの)ついでに持ってくわ。」 助かります。
あれ?でも、ハムスターって何食べるんだっけ?

次の朝、別の母友から1冊の本を渡された。 ハムの飼育本だった。
「子ども向けだから、わかりやすく書いてあるの。 『ハム研(ハムスターの研究レポート)』だけじゃ、あかんよ。」 図星。
彼女は多頭飼いの猛者であった。

お昼。アパートの前に妹運転のノア到着。
下のチビ君を連れている。 開口一番。
「ハムスターやっぱ、うちはムリだわ~^^;」 さっき貰い受けに行ったらば、危うく1匹握りつぶすとこだったらしい。
「このコだよ。メスだと思うけど・・・」 お酒の空き箱、新聞紙のわさわさから、ピンク色の鼻がクフクフ覗いた。
「・・・小さい。」 「そりゃ、ジャンガリアンだもの。」
そっか。色んな種類のコがいるんだなぁ。 と、呑気な1人と1匹を残して、ノアは走りさった。
とりあえず、この新聞紙を敷いておけばいいかな。 灰色に縦じまのおチビさんは、珍しそうにケージを行ったり来たり走り回る。
切ってあげたカボチャを躊躇いもなくカジカジして、 コロンと丸くなって眠ってしまった。 好奇心旺盛な天使は、するっと私の中に入りこんできた。

それが、ぐりとのなれ初めだった。ちーず♪


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