ちいさなお月様

ちいさなお月様

誕生


 その後1~2回陣痛の波を乗り越えて、先生に「じゃ、いくよ~。ハイ、いきんで~!!」と言われ、いきんだのと同時に先生がググッ!!と吸引器のカップを引っ張った。その瞬間私の中で大きな物体が移動した。で「もういい。いきまなくていい。」と言われ、今度は婦長さんが私の顔に自分の顔を思いっきり近づけて「次は『ハッ。ハッ。ハッ。』よ。」と言われ短促呼吸に入った。先生を除いてそこにいた助産師さん2人、看護師さん1人のみんなが「ハッ。ハッ。ハッ。」と言い出した。それに合わせて私も必死でついていく。婦長さんが「もっと大きな声で!私の声に負けないくらい!!目を見て!私の目を見て!大きく見開いて!!!」と黒々とした大きな目を近づけて叫んでくるので、私も『この人には負けられん!!』という気持ちで思いっきり目を見開き、「ハッ。ハッ。ハッ!!!」と大声で叫んでいた。

その後ちょっとして先生が赤ちゃんを外に引っ張り出した。この瞬間、私は気を失うかと思った。それくらい痛かった。目が白黒なっていたと思う。多分、大声で「ハッ。ハッ。ハッ!!!」というのと、婦長さんと目の見開きっこ(笑)をしてなかったら多分気を失ってたと思う。よく柔道してる人がオチルとかいうけどあんな感じ。

それから「んぎゃーーー!!!んぎゃーー!!」と聞こえた。

すぐに赤ちゃんに対する感動とか愛情は湧いてくる余裕はなかった。ただ「終わった…、私にも産めた…」ってことが最初で、次に湧いた感情は助産師さんや看護師さん、先生に「ありがとうございます。ありがとうございます。」っていう『感謝』でいっぱいの気持ちだった。




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