Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2012/07/18
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【おことわり】


◆カクテル ―― その誕生にまつわる逸話(2012年版:ABC順)(13)

 38. クローバー・クラブ(Clover Club)


【レシピ】
【スタイル】 シェイク   【グラス】 カクテルグラス

 日本ではあまり馴染みのないカクテルだが、古い時代のカクテルブックには必ずと言っていいほど登場する代表的なクラシック・カクテル。カクテル名は米国フィラデルフィアにあったクラブの名に由来するという(出典:Wikipedia日本語版)。

 正確な誕生の時期や経緯は不明だが、1911年の米国の新聞広告にもその名が見られることから、禁酒法以前から存在したことは間違いない(出典;同)。1917年に出版された「173 Pre-Prohibition Cocktails」(トム・ブロック著)にも紹介されている。

 よく似たレシピのカクテルに「ピンク・レディ(Pink Lady)」があるが、こちらはライム(レモン)・ジュースは入らない。禁酒法以前のカクテルには、このクローバー・クラブのように卵白を使うカクテルが結構多い。卵白の代わりに卵黄を使う場合は、「ロイヤル・クローバー・クラブ」と呼ばれる。

 日本でも1920年代にはすでに伝わっており、大正12年(1923)頃、東京・京橋でバー「アマチュア・スタンド」を開き、その後昭和4年(1929)、JBA(現NBA=日本バーテンダー協会の前身)の初代会長にもなった荻野直寿氏は得意なカクテルにしていたという。

 ただし日本ではやはり、Barでの生玉子の保存技術や卵白を使いこなす技術等が十分ではなかったため、広く普及するところまでには至らず、今日においても、卵白(または卵黄)を使うカクテルで比較的人気を得ているのは「ミリオン・ダラー」「ピンク・レディ」「エッグノッグ」くらい。欧米とは違って、現代の日本のBarでは卵白(卵黄)使用のカクテルはあまりメジャーなものにはなっていない。

【確認できる日本初出資料】 コクテール(前田米吉著、1924年刊)。

  ************************************

39. コペンハーゲン(Copenhagen)

【レシピ】 アクアヴィット(30)、クレーム・ド・マンダリン(20)、ライム・ジュース(10) ※クレーム・ド・マンダリンは、マンダリン・オレンジをブランデーに漬けてつくったリキュール。
【スタイル】 シェイク   【グラス】 カクテルグラス

 誕生の詳しい経緯は不明だが、カクテル名は、デンマークの代表的なスピリッツ「アクアヴィット」を使うことから名付けられたという。

 19世紀末、ジェリー・トーマスがカクテル「トム&ジェリー」を考案した際、最初は「コペンハーゲン」と名付けようとしたが、「すでに同名のカクテルがあるので断念した」という有名な逸話が伝わっているため、19世紀末以前には、すでに欧米では飲まれていたと思われる。

 欧米のWeb上では上記の逸話等を紹介しているサイトはいくつかあるが、現時点では、このカクテルを紹介している本(洋書)は「Complete World Bartender's Guide」(2009年刊)くらい。日本語の資料で紹介されているものもほとんどない。

 なお、上記の「コペンハーゲン」は現在では廃れて、現地では忘れられているようだ。それを裏付けるように、コペンハーゲン市は2009年、市の名前を冠したカクテルコンペを開催し、新たに以下のようなレシピの「コペンハーゲン」(優勝カクテル)が誕生している(出典:Visitcopenhagen.com)。
 ジン(ボルス・ジュネヴァ)(40)、チェリー・リキュール(Cherry Heering)(15)、ライム・ジュース(15)、シュガー・シロップ(15)、アンゴスチュラ・ビターズ1dash、オレンジ・ピールで、シェイク・スタイル。

【確認できる日本初出資料】 バーテンダー教本(銀座サントリー・カクテルスクール編、1970年刊)。

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40. コスモポリタン(Cosmopolitan) 【2016~19年改訂新版】で記述内容を更新しました。 そちらを ご覧ください。


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Last updated  2021/07/03 11:03:59 AM
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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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