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2020/10/04
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雑誌&WEBマガジン「リカル(LIQUL)」連載
【カクテル・ヒストリア第13回】
「マウント・フジ」は有名なれど…



 一番有名なのは、帝国ホテルのインペリアル・バーで誕生したもの( 写真左 )で、現在でも同ホテルの看板カクテルだ。レシピは 「ジン(45ml)、レモン・ジュース(15ml)、マラスキーノ・リキュール1teaspoon(以下tspと略)、パイナップル・ジュース1tsp、シロップ1tsp、卵白(1個分)、生クリーム2tsp、マラスキーノ・チェリー(飾り)」という複雑な材料からなる。

 同ホテルのHPでは、「1924年(大正13年)、当時増えてきた日本を訪れる外国人観光客をもてなすために考案された」と紹介されているが、近年の研究で、誕生時期は少し遡り1922~23年頃で、考案者については、当時帝国ホテルの支配人から依頼されたチーフ・バーテンダーの大阪登章氏だったことが分かってきた(出典:洋酒文化の歴史的考察「帝国ホテルのマウント・フジ」=WEBマガジン「Food Watch Japan」=https://www.foodwatch.jp =での石倉一雄氏による連載)。

 もう一つの「マウント・フジ」は、1933年(昭和8年)、スペイン・マドリードで開かれた国際カクテルコンクールに、日本バーテンダー協会(当時JBA、後にNBA)が出品したもの。(レシピは細かい部分で二転三転し)現行レシピでは「ホワイト・ラム(20ml)、スイート・ベルモット(40ml)、レモン・ジュース2tsp、オレンジ・ビターズ1dash」。残念ながら現在、日本での知名度は帝国ホテル版には及ばない( 写真右 =開業した頃の帝国ホテルの絵葉書)。

 最後3つ目の「マウント・フジ」は、1937年(昭和12年)、有名な箱根・富士屋ホテル内にある「酒場」(昭和50年代からは「バー・ヴィクトリア」と改称)で生まれた。レシピは「ジン(25ml)、パイナップル・ジュース(40ml)、レモン・ジュース(10ml)、マラスキーノ・リキュール1tsp、シロップ1tsp、卵白(半個分)」というシンプルなもの。帝国ホテルとの違いは、マラスキーノ・チェリーと生クリームの有無。

 なぜ富士屋ホテルにも「マウント・フジ」というオリジナル・カクテルがあるのか? 単にホテル名に「富士」があるからなのか? その理由は、富士屋ホテルの二代目社長・山口正造の経歴に答えがある。

 山口は初代帝国ホテルの建物が火災で焼失した直後の1922年6月、帝国ホテルの臨時支配人に招聘された(すなわち「帝国ホテル版」に登場する「当時の支配人」とは、山口正造なのだ!)。

 山口はわずか10カ月で富士屋ホテルに戻るが、「帝国ホテル版マウント・フジ」考案でもリーダーシップをとったという自負もあり、「帝国ホテル版」を簡略化したレシピにアレンジして、自らのホテル・バーの看板カクテルにしたらしい( 写真左 =現在、富士屋ホテル版マウント・フジは同ホテル内のバー・ヴィクトリアで提供されている)。

 ちなみに、「マウント・フジ」は日本ではとても有名なカクテルなので、当然、欧米のカクテルブックにも紹介されているのかと思われがちだが、実はほとんどない。現時点で調べた限りでは、「コンプリート・ワールド・バーテンダー・ガイド(Complete World Bartender Guide)」(Bob Sennett編、2003年刊)くらいだ(ちなみに「帝国ホテル」レシピです。他の洋書での収録例をご存知の方はぜひご教示ください)。

 ところが、現在欧米のカクテル専門サイトでは、とても不思議な事実に出合う。「Mount Fuji Cocktail」で検索してヒットすると、そのほとんどは「Japanese Sake(日本酒)45ml、Sweet&Sour Mix【末尾注ご参照】45ml、Orange Liqueur2tsp(シェイクまたはステア)、飾り=Lemon Slice & Maraschino cherry」という日本ではまったく知られていないレシピの「Mount Fuji Cocktail」= 写真右 =である(出典:drinkmixer.com/drink9742.html ほか多数。写真は「https://www.justapinch.com/recipes/drink/cocktail/mount-fuji-cocktail.html」から)。

 この日本酒ベースの「マウント・フジ」、2010年頃から欧米の専門サイトを席巻し始めたが、考案者はJanin Sayunという素性不明の米国カリフォルニア州在住の女性。大変よくできたレシピのカクテルだとは思うが、日本人としては、やはり帝国ホテル版(または富士屋ホテル版)の「マウント・フジ」が、「名峰」と同じくらい世界中で知られる存在になってほしいと願う。そのためにも、国際的な発信力をもっと強くすることが日本のバー業界の課題かもしれない。

【注】レモン・ジュースにシロップを加えたリキュールまたはドリンク。カクテルによく利用される。欧米では一般的なリキュール(またはシロップ)として、大手のローズ社など様々な商品が販売されている。

【おことわり】この項の執筆にあたっては、洋酒ライター・石倉一雄氏のFood Watch Japanでの連載「赤くなかった“赤富士”」(2012年2~4月)「帝国ホテルのマウント・フジ」(2013年2~6月)から貴重な情報を数多く頂戴いたしました。心から感謝申し上げます。



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うらんかんろ

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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