ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jun 11, 2023
XML
カテゴリ: 映画、テレビ
「おじさん構文」(評価 ★★★★★ 満点五つ星)

 サッカー業界を舞台にした物語。
 このたび第三期全十二話を観終えたのでその感想を。どうやら今季が最後、完結編らしい。
 第一期と第二期を観たときの感想は ここ

 素晴らしかった。今回も見応えがあった。

 サッカー好きイギリス好きな人はいちいち「あるある」を楽しめるし、アメリカ的なお笑い感覚(例えば、わかる人だけがわかる言及で笑いをとりつつ、深追いせずさくさく強引進行)に抵抗ない人なら問題なく観られるはず。
 音楽の使い方も上手い。かなり厳選された曲が使われている。
 登場人物のキャラ設定、配役も秀逸。
 とにかく脚本が冴えてる。
 第一期、第二期に比べて脇キャラの話をさらに膨らませている。ガイジン差別、同性愛者差別などにも触れ、さらに舞台をアムステルダムにする回があったり、サッカーに興味なくて大丈夫。かと言って展開がとっちらかってるという印象はない。全体的に温かい目線で物語は進んでいく。

 主人公(ということに一応なっている)テッドラッソ監督の「愛され度」の高さが直接的間接的にこの作品の軸となっている。チャラ男に見せかけて実はいい人。
 実際にもしこのテッドさんみたいなおじさんが、あんな素っ頓狂で独りよがりな台詞を現実社会でべらべらしゃべったら、間違いなく周りはドン引きするだろうけど、主演ジェイソン・サデイキスさんの演技の加減具合なのかなんなのか、どうしても憎めない。決して単なる変人扱いはできないキャラに仕上がってるのはお見事。あざとさがない。

 そもそも、なぜテッドさんが万人から愛されうるのか、誰か真面目に考察してほしい。好かれるおじさんと嫌われるおじさんが実は紙一重ってのは何とも不思議な現象。れっきとしたおじさんの一人としてもぼく自身そのコツを知っておきたいよーな、いや、そこまで別に気合い入れて周りから好かれようと努めるのも痛々しいか。

 架空のサッカー団体の話とは言え、実在の団体や個人も登場するので娯楽性が高められている。なお、「マンチェスターシティと対戦するの巻」(第十一話)は特に気に入った。ジェイミー選手がマンチェスター出身という設定にも唸ったし、ペップ・グアルディーラ様ご本人が監督役で出演なさってて感動。ぼく自身ここ数年マンシティを応援してるというのもあって(先週末の偉業にまだ興奮冷めやらない状態)、この回は神回。

 お騒がせキャラのネイトがいきなりバイオリン弾き出す場面もあってギャフンっ。しかもなかなかお上手(アルボペルトさん作の楽曲らしい)。そんな驚きの演出にも楽しませてもらった。

 この作品、今期で完結ということで、もう観られなくなるのは悲しい。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  Jun 17, 2023 01:25:51 AM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ピカルディの三度TH

ピカルディの三度TH


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: