ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

リレー企画 127

替え歌 「恋のバカンス」 by ラブ ロージーさん

ためいきの出るような
あなたのくちづけに
何度も生まれかわる
俺のすべてよ
金色に輝く
熱い砂の上で
裸で恋をしよう
映画のように

陽に焼けたほほよせて
ささやくの甘い声
夢のようなしあわせに
芯からしびれちゃう
ああ恋の歓びの
バラ色の世界を
はじめてあなたと見た
恋のバカンス

陽に焼けたほほよせて
ささやくの甘い声
夢のようなしあわせに
芯からしびれちゃう
ああ恋の歓びの
バラ色の世界を
はじめてあなたと見た
恋のバカンス


(ザ・ピーナッツ『恋のバカンス』)



イナのちょうせん  ぴかろん

「テジュン…変な事言ったね…」
「あの顔…相当焦ってたよなぁ…」
「…やっぱしおれのためにとっといてくれたんら…」
「…あ…」
「…そんなの…とっとかなくていいのにっ!ぶぁかっ!」
「「「…。はぁ…」」」

「ごめん…イナさん…」
「…『大丈夫?』って聞いたんだ…」
「…」
「んで…盛り上がって仰け反って感じたんだ…」
「…」
「そうだよラブ…盛り上がって仰け反って感じたんだね…」
「…。ギョンジン…」
「いいなぁ…」
「イナさん…」
「おれ、もりあがってのけぞってかんじたこと…あるかなぁ…」
「…」
「「「はぁ…」」」


気まずい!大変に気まずい!イナがまた沈み込んでしまわないだろうか…
僕は…『盛り上がって云々』よりも…いや、それも気になるんだが…イナがまた落ち込んだらと思うと…

「おれ…がんばる…」
「「は?」」
「らぶにおそわったやつ、やってみる!」
「…い…いなさん…」
「やってくる!じゃ、おやしゅみなしゃいっ」
「イナ!一体何を…」

イナはきりりとした顔をして…寝室に消えた

「ねぇ…イナは何をやるつもり?」
「…さあね…」

ラブはするっと立ち上がって僕達の寝室に入っていった

「えっと…僕はどうすれば…」
「ギョンジン…」
「はい?」
「…からだ洗って…」
「はい?え?」
「俺の体…洗って…」
「は?え?なに?…どどどどどうしたの?!今日なんか変だよお前…」
「洗ってくんないの?」
「…」
「じゃ、いいよ、もう!」
「あらあらあ…洗うよ…洗うけど…」

ラブは一日なんか変だった…
どうして?
どうして急に甘えるの?
いつもつれないくせに…はひん…

それにイナは一体…何するつもりなんだろ…
僕はラブの後を追って寝室のドアを開けた

「これ…隣に届けといて…」

ん?ブルガリ・ブラック…

「俺たちより、イナさんたちに必要でしょ?」
「…お…おん…」

届けるって…どうやって…

ブルガリ・ブラックを持った僕は、隣の寝室のドアをノックした
自分が野暮な男に思える

ドタンバタンいたっ!待てよテジュン!なんだよっ!
ほっといてよ僕のことなんか…

喧嘩してるみたい…
気まずい…

コンコン

「なんだよ!」

乱暴にドアが開いてイナが首を出した

「あのぅこれ…ラブが…」

イナは僕を睨んでからそのボトルを見て、無言でひったくり、ドアを閉めた

ほらっこれっ
こんなのいらないもん!どうせ僕はバカな男だもん。バカでダメな男なんだもんっ!ぶー
しゅしゅっ
あっやめろ…
はぁん…くらくらしゅる…

ひいん…いいにおいら…
…イナ…
てじゅ…
…ぼくはっぼくはっ…ダメでバカで浮気者でっ…
はひん…
イナ?
それれもしゅきら…
…い…いな…
だいしゅきら…
…あ…い……。…。


音が途切れた
なんとかおさまったみたいら…
恐るべしブルガリ・ブラック…

僕は部屋に戻った
そして…ダーリンが待っているらしい浴室に向かった…
はひんふへんどぉしよぉ…

恐るべし…僕のダーリン…ひひん…





「俺がどれぐらいお前の事好きか、知りたい?」
「え?」

イナは突然僕の体を押さえつけて僕の瞳を覗き込み、ゆっくりとキスをした
柔らかな唇が僕の唇を包み込み、やがて舌を深く滑り込ませ、僕を翻弄し始めた

イナの指が僕の体を這い出した
柔らかく、僕の全てを優しく撫でた
僕は押し寄せてくる細波を全て感じながら、イナのくちづけに痺れ始めた

何をしようというの?

イナの唇が僕の全てに落とされていく
丁寧に柔らかく…

ああ、僕を大切に扱ってくれているんだね…
僕はいつも…お前をどんな風に愛してたっけ…

「この香り嗅ぐと…おれ…おかしくなる…」
「…イナ…」
「おれも…もりあがってのけぞってかんじるようになりたいな…」
「…ごめん…イナ…」
「てじゅ…。しゅき…」
「あ…いな…」

イナは僕の中心に優しいくちづけを落とした
そして…やっぱり躊躇っていた

ごめんな、イナ…僕…勘違いして変なこと言っちゃって…またお前を傷つけたみたいだ…
だめだな…僕って…

「イナ、いいよ…そんな事しなくていい…」

イナは僕の中心をじっと見つめて口に手をやり考えている
僕はその様子が可笑しくて可愛くて…
目を閉じたままクスクスと笑ってしまった
その瞬間、イナが僕を含み、そして僕を刺激しはじめた

僕は驚いて頭をあげ、イナを見て声をかけた

「イナ!無理にしなくていいんだ!イナ、あっあっ…」

できないって言ってたのに…イナ…
できてるじゃないか!
どうして?
誰に…教わったんだよそんなこと…

ああ…あああ…イナ…
イナの唇はセクシーだ…
その唇が僕の…

本当にお前は…気持ちよすぎるよイナ…

「だめ…これ以上続けると…お前に…」

出しちゃう…あああ…

「イナ!止めてイナ!だめだ…イっちゃう…あああっあああっ」

…我慢できなかった…
イナ…


快感が治まるまで数十秒、僕は切なさと愛しさを全身で感じていた
そしてふとイナを見た

目に涙を溜めている

「イナ!大丈夫?ほら、おいで」

僕はイナを洗面所に連れて行き、僕が放ったものを吐き出させた
口を漱がせ、涙を流しているイナを抱きしめた

「しなくていいって言ったのに…バカだな…」
「だって…俺…」
「…ありがとう…」
「…うまくできた?」
「ああ…すごく上手だった…」
「…ほんと?」
「うん…だから…無理しなくていい…もう…こんなことしなくていい…」
「でもお前はしてくれたし…それに…」
「…しなくていいよ!ばか!」
「だって」
「いいんだ!僕はお前の中で…」

放ちたいから…

イナの唇を塞いだ
好きで好きでたまらない
イナ…




ああ…きぼぢわどぅがっだ…
『今度から毎回して』どがいわでだだ、どうじょうがどおぼっだ
でじゅのごど、だいじゅぎだがら、ぞういばれだら、しゅるぢゅぼりらっだげど、でぼ、でじゅびだいに『のみごめ』ないし…
ああ、じなぐでいいっでいわでで、ほっどじだだ…しょれに…しゅぐおわったぼん…よかっだぁ…ぎょんじんらっだらどーなるだどう…げげーっ
うぶぶ…
でじゅ…おでのぐぢに『ぎじゅ』じでる…
あんだごどじだ『ぐぢ』にっ…
よく『ぎじゅ』でぎるだぁ…
おでにはでぎないじょ…

こんかいはとくべつらじょ…

げーっ…はむはむはむ…

らぶぅ…おではやっだじょ…
おまえぼ、がんばでよぉぉげーっはむはむはむ…


白い車  足バンさん

午後ドンジュンの部屋を出て一度家に戻った。
着替えを済ませ少し早めに店に向かう。

店の駐車場で車を降りると
少し離れたところに停まっていた白い車から女性が降りた。
サングラスをゆっくり外し微笑む。
もう来たか。

「僕にご用ですか?ハリョンさん」
「突然申し訳ありません…少しお時間あります?」

僕は店から少し離れた紅茶専門の喫茶店に案内した。
アンティークのオークルの椅子に座り彼女はしばらく黙っていた。
微笑みながらも僕の顔を射抜くように見る目は昨日と変わらない。

「率直にお聞きしますわ。スヒョンさんはドンジュンさんの単なる上司ではありませんね?」
「恋人です」
「では今後の彼の動向に大きく関わっていかれるのね」
「そういうことになります」
「私たちは今彼の力を必要としています」
「存じています」
「彼の才能を埋もれさせるのは勿体ないと思います」
「そうかもしれませんね」
「彼を愛していらっしゃるなら何が大切かおわかりになりますでしょう?」

僕はティーカップを静かに置きたっぷりとその目を見つめた。

「言っておきますが」
「はい?」
「釘を刺しにいらっしゃったのなら時間の無駄ですよ」
「とおっしゃいますと?」
「僕は彼の意思を断つことも無理に曲げるようなこともしません。決めるのは彼だ」
「あ…ええ」
「彼がそちらの仕事に心から意義を見出せるなら喜んで背中を押します」
「……」
「僕にとって重要なのは彼の充実した人生です。その中に僕がいるかどうかは問題じゃない。
 だから僕は脅されてもすかされても動きません」
「……」
「ただしひとつだけ例外があります」
「何でしょう」
「あなた方がドンジュンを汚く利用したり傷つけたりしたら僕は許しません」
「…憶えておきます」
「どうぞ頑張ってあの頑固者を口説いてみて下さい」
「あ、はい」
「では僕はこれで」
「お手間をとらせました」
「ごゆっくり。こちらはスコーンも絶品です」

僕はスコーン代も含めて支払いを済ませその店を出た。

BHCの前まで行くとドンジュンがぶらぶらと待っていた。
僕の顔を見て顔を曇らせる。

「ハリョンの車があったでしょ。会ったの?」
「うん」
「なんか言われたの?」
「うん、おまえの才能を無駄にしたくないってさ」
「…ごめん」
「謝ることないだろう。大丈夫。僕もはっきり言っておいたから」
「なにを?」
「毎晩3回、ときに4回、休みの日にはプラス2回」
「ばっっ!」
「うそ。頑張って口説けって言っておいた」
「ばぁあっっかぁ!もう真剣に聞いてればこのおっさん!」
「言うならもうちょっとフカすなぁ」
「寝ちゃったクセしてっ!よく言うよ!」
「あ、おまえそのことギョンビンに言うつもりでしょ」
「ふんっ!」

ぶんむくれのドンジュンをひとしきりなだめて事務所に入ると
郵便物の山の中から例のプロダクションの封書を捜す。
今は通信の全てを店を通してもらうことにしていた。

中には一冊の台本。
少し早めに出勤したのはこれが目的だった。
まだ最終稿は上がっていないと言われたが、
少しでも早く僕自身の気持ちを整理するために送ってもらったものだ。

ノックと共にひょっこり覗いたのはジホさんだった。

「おや、チーフはまだですか?」
「ええ」
「お?ホンだ。そこまで辿り着きましたか?」
「一応読ませていただこうと思って」
「ふふ…あの監督食らい付いたら離れませんよ…じゃまた」

ジホさんは妙にニコニコしてドアを閉めた。

ソファに腰を下ろしぱらぱらとめくってみる。

砂浜に佇む男のシーンで始まるその話。
愛する人を亡くしその幻に生きている元精神科医ジン。
それが僕に当てたい役らしい。


闇夜のお仕事&お留守番_11  妄想省家政婦mayoさん

PCを開くとはるみはいつもの様に両前足で眼鏡を挟んでよこす...
俺はネット上の iTms (iTunes-music store)で何枚かのアルバムの中の楽曲をセレクトしていた...
iTmsは好きな曲が1曲づつ購入できる...

俺の腿に立ち..デスクに前足を揃えて画面を覗いていたはるみが俺に振り返った...

「ん?....何か聴きたいのがあるか?...お嬢..」
「みゃぉ~ん...」
「ジャンルは..何だ?」

はるみは俺の手のひらに片方の前足で..ゆっくりとRo...となぞった..

「ん...してから?」

はるみはまたゆっくり...T..Re.....と俺の手のひらをなぞった..

「たはは^^;;....ちょっと待て....ったく...怪猫め...」

俺はジャンルをRockで検索する...他のは廃盤が多いな...黒いジャケットの画像を検索した

「これか?」
「みゃ#みゃ# ^o^ 」
「ぷ#..何曲目だ?」

はるみは俺の手を前足で6回軽くぽんぽん叩いた...

「OK...ついでにこっちもだな...」
「みゃん#みゃぁ~~ん#^o^」

はるみのお気に入りは.. Get It On と The Motivator...
俺は2曲をネットから購入し..ダウンロードした..PCのiTunesから曲が流れる...

6. Get It On  9.The Motivator

はるみはGet It Onに合わせ..みゃ#みゃ#みゃみゃんみゃ#と身体を揺らし踊りはじめた....
俺ははるみのダンスを椅子にだらりと座り..椅子の袖に頬杖をついて眺めていた..

俺がはるみが乗っている方の足でリズムを取ってやるとお尻をふりふりする....
♪Get It On~Get It On~♪サビ部分で前足を交互に上げて頭を上下し始めた...

「ぷはは...いいぞぉ~はるみぃー...」
「みゃ#みゃぁ~^o^~」

ぁ~ぁ...ったく...妖猫め...

俺は踊っているはるみが俺の腿から落ちない様にちょっと片手を添えながら...
もう片手の手で,はるみのダンス動画を音声入りでテス・テソン・闇夜の携帯に送った...

「ふんにゃぁぁ.....>o<...」

ひとしきり踊って満足したはるみは俺の腿でおとなしく横になった...

Sadeの[Lovers Rock]のCDをセットしてメールを受信した..
★☆メールで調査の打ち合わせをし...ちょいと甘ったるい会話をしてメールを閉じた...

調書の作成を区切りのいいところで止めた...
中庭のガラス戸を開ける音が聞こえた..

「先輩~~いますぅ?」

ぷっ...ヨンジュンだ...
今回ヨンジュンには1件だけ調査をしてもらった....得意のハッカーで....
はるみは俺の腿からトン#っと降りて廊下に行くとお行儀良く座った...

「お...来たか..」
「先輩....テ...テス..ホントに猫になっちゃた?@_@..」
「ぉ..おいっ!」
「^^;;....」

祭の時...ヨンジュンはテスのことを仔猫と呼んでいた..
俺等はヨンジュンをタヌキと呼んでいた...因みに俺はクマだったか..

「んなことより..ほれっ#これ#...」
「なに?」

俺はヨンジュンに韓式の挨拶の仕草をした...ヨンジュンは最初きょとんっとしたが
両手を顔の前に持ってきて屈んで礼をした....
立ち上がったヨンジュンが抱き上げると..はるみはみゃぁ~っと鳴いた..

「躾...いいですね..」
「ぷっ#....怪猫だ...」
「怪猫?...ほら...やっぱり...テスじゃないの?先輩...」
「ぁのなっ#...」
「あはっ....冗談ですよ#...」
「飯食ったか?」
「ぁ..まだ..」
「じきにテスとテソンが帰ってくる..一緒に飯食ってけ..」
「の..つもり...」
「ぷっ#...ん....」

テス達が帰るまでヨンジュンと資料で打ち合わせをしていると..程なくテスとテソンが帰ってきた...

「ヨンジュンさぁ~ん#」
「やぁ...仔猫ちゃん#」
「えっへっへ~~^_^」


テイクオフ  オリーさん

用件を伝えると携帯を切った。
パンっ!
決まった、久しぶりの耳切り。
指も耳も挟まなかった。
ミンに見せたかった。
電話の相手はソンジュ君。
先日の答えが出たと伝えた。
彼はすぐ会いたいと言ったので、ミューズに出かけることになった。

「ミューズでソンジュ君に会ってから店に行くから。」
書斎で内職をしているミンに声をかけた。
「送ろうか?」
「忙しいだろ。」
「ちょうどきりがいいんだ。先輩とちょっと会うから送るよ。」
「そうか。じゃ頼む。」

ソクさんとスヒョクは朝早くに帰っていった。
ソクさんは、はたから見ても気の毒なくらい落ち込んでいた。
「スヒョク、どうして起こしてくれなかったの?」
「起こしたよ、起きなかったのはそっちだよ。」
「ほんとに起こした?」
「起こした。」
「ほんと?」
「ほんと。」
「嘘つかない?」
「つかない。」
二人は不毛なこの会話を何度も繰り返していた。

僕達はゲストルームでまだお休み中のテプンとチョンマンに声をかけた。
「僕達は出かけてそのまま店に出るから、後は適当に。」
「え?もう朝かよ・・」
「いつまで寝ぼけてるんだ。もう昼近いぞ。」
「どおりで腹が減ったと思った。飯は?」
「自分達で適当にしてくれ。」
「わーったよ。」
「じゃ、店で。」
「あ、スヒョク達は?」
「もう帰った。」
「そっか。じゃもうひと寝入りすっかなあ・・」
「そうそう、昨日のカラオケ代と電気代と水道代は給料から引いておくから。」
「え?何だって?タダじゃねえのかよ!!」
「カラオケ代はともかく、電気代、水道代っていうのは?」
テプンとチョンマンは飛び起きた。
「タダだとお前達、気兼ねするだろ。」
「んな上等なもん、俺がするわけねえだろっ。」
「あの気兼ねはしませんが、感謝はします。」
「そうか。」
「そうだよっ!」
「そうです。」

「で、目は覚めたか。」
「「へ」」
「じゃ、店に遅れるなよ。」
「やられたぁ!くそぉ~!」
テプンは身をベッドの上で身をよじった。
チョンマンはほっと大きなため息をついた。
「湯あたりの二人組に声かけて、適当に帰ってくれよ。」
僕とミンはクスクス笑いながらゲストルームのドアを閉めた。

ミンの車でミューズの前まで送ってもらった。
車の外に出ると今日も暑い夏の一日。
時折吹き抜ける風はかすかな秋の匂いを運んできてはいるが、
まだ夏は確実に腰をおろしている。
「僕の方はすぐ終わるから、終わったら連絡して。迎えに来るよ。」
ミンはそう言い残して車を出した。
残された僕はゆっくりと目の前のビルを見上げた。
この前蜃気楼のように揺れていたビルは、今日は同じ暑さの中で
しっかりと根をはり逆境に耐えているかに見えた。

こちらの条件を伝えると僕はじっと待った。
ソンジュ君はしばらく下を向いて考えていた。
「雇われじゃ嫌だって事?」
「ポジションには拘らない。やるからには好きにしたい。自由に動ける立場にいたい。」
「僕はダミー?」
「君が立てばミューズのバックに君の企業がいることが自然とわかる。それだけで株価は上がるよ。
後から実績を出すのは僕の役目だ。儲かればいい、君はこの前そう言ったね。」
「まいっちゃうなあ。」
「今さら君の肩書きがひとつ増えたからってどうって事はないだろう。」
「知ってるね、社長の仕事ってつまらない事が多いって。」
「ビクトリーでも実務はほとんど僕がやってた。迷惑はかけない。」
「勝算はあるんだろうね。」
「どうかな。」
「もしかして、もう何考えてる?」
「ふふ・・」
「そうなんだね。」
「まだ僕の頭の中だけの企画段階。」
「てへっ。よけいまいっちゃうなあ。」
「嫌ならこの話はなかった事にしてくれていい。僕も忘れよう。」
最後はソンジュ君が折れた。
社長は彼になった。

外に出るとミンはもうそこで待っていた。
「もう終わった?」
「ああ。」
「社長誕生?」
「いや。」
「断わったの?」
「いや。」
「どういうこと?」
「企画室を新しく立ち上げることになった。僕はその室長だ。」
「社長じゃなくて?」
「やるからには自由に動ける方がいい。だからその方が都合がいい。」
「ふうん、そうなの。何か企画あるの?」
「あるよ。まだ言えないけど。」
僕は笑ってハンドルの上のミンの手を握り、
それを合図にミンは静かにアクセルを踏み込んだ。


替え歌 「栄光の架け橋」 ロージーさん

 誰にも見せない泪があった
 胸の奥にしまった泪があった
 決して平らな道ではなかった
 遠回りして辿り着いた道だ
 あの時あきらめかけた夢の途中に今は
 何度も何度もあきらめかけた夢の途中

 いくつもの日々を越えて 
 回り逢った今がある
 だからもう迷わずに進めばいい
 栄光の架橋へと…

 悔しくて眠れなかった夜があった
 恐くて震えていた夜があった
 もう駄目だと全てが嫌になって
 逃げ出そうとした時も
 気がつけばこうしてたくさんの
 仲間とともに歩いていた
 悲しみや苦しみの先に それぞれの光がある
 さあ行こう 振り返らず走り出せばいい
 希望に満ちた空へ…

 誰にも見せない泪があった
 胸の奥にしまった泪があった
 いくつもの日々を越えて
 回り逢った今がある
 だからもう迷わずに進めばいい
 栄光の架橋へと…
 新しいその旅へと
 君の心の夢の架橋へと…


(ゆず 『栄光の架け橋』



闇夜のお仕事&お留守番_12 妄想省家政婦mayoさん

ちぇみが冷えていた洋なしに似たフレーバーの辛口ベティアン・ナチュレを開け...
4人で食卓を囲んだ...

「いいなぁ...家に料理人がいるって......」
「でも夜はいつも軽めだよ....」
「そうなの?猫ちゃん...」
「ぅん...みんなお腹が出ると嫌だからさ#...」
「そういえば...猫ちゃん...最初の頃より締まってきたもんな...」
「へへぇ~^_^...」
「先輩~...頑張ってんですね...若いの相手に...毎..晩....」

ピシッ#

ちぇみが向かいからヨンジュンの頭を叩いた...

「ヨンジュンさん...ちぇみ鍛え方違うから....」
「ぁ..ぁはは...そう....ね....テソン君は?」
「ぅぐっ....ぼ....僕の事はいいからっ...」
「んー....まよぴーと...毎..ば........」

ピシッ#ピシッ#

ちぇみが向かいからヨンジュンの頭をまた...叩いた...

「つー....痛いなぁ...」
「余計なこと言うからだっ#」
「はぁ~い...>_<」
「そういうお前はどうなんだ?」
「どうって...何ですか....」
「シゲとだ#」
「ん~.....大事なお友達....かな...」
「ぷっ#...お前...相変わらずらしいな....」
「はぁ?....」
「昨日...電気街に寄ったら小耳に挟んだぞ?」
「ぁふ...^^;;;....」
「ちぇみぃー...電気街がどうしたの?」
「ん?...こいつな...老若問わず...オンナに声かけまくる..」
「ひゅ~@o@」
「癖は直らなんようだな..ヨンジュン.....ん?」
「違いますよぉー....オンナがほっとかないんです#僕を#」
「ったく....」
「^^;;.......」

ちぇみに睨まれたバツのわるいヨンジュンはベティアン・ナチュレをぐびぐび飲んだ....

「ケホン.....そうそう....シゲが皆にってさ....」

ヨンジュンは持ってきた紙袋からごぞごぞとTシャツを出した..
黒が2枚と白が2枚..

「んっと...黒が先輩達ね...で..白がテソン君とまよぴーの分....
 白はシゲの”刺激”Tシャツ....マジT#...ってやつ...」

「「「ぁ...あはは....」」」

「で...黒いのがシゲがモデルになった**Tシャツ...結構いいよ..これ...」

**一連のマツケンサンバ関連と[花吹雪 不夜恋]のジャケットデザインを手がけた
67531graphics  デザインTシャツ



「忙しいのか?シゲは...」
「そうみたい...CDデビューしたからね...超多忙みたいだね....」
「CDデビューぅぅ?マジが?まじ?」
「先輩~くさいシャレ言わなくていいですからっ....」
「ぉん...>_<....」

「ぁ...そっか....マジ先生...ミュージカル俳優だったっけ...」
「そう....歌も上手い...ちょっと待って...シゲが送ってきたんだ...」

ヨンジュンからCDを渡されテソンがリビングのオーディオにセットした...
              (歌詞はすべて載せません...問題あるので...)


  1.[花吹雪 不夜恋](はなふぶき ふやのこい) 

  ♪あーぃしちゃってね#.....
  ♪あーぃしちゃってね#...こころが大事#よ!...フゥッ!♪


「「「たはは....^^;;^^;;^^;;....」」」
「いやいや...まいったな...」
「でもさ...ノリがいいよね...」
「覚えやすいよ...これ...」
「2曲目はもっとノリノリなんだっけ...」

  2.宝島伝説 ~ワクワク☆愛の伝道師~

  ♪ワクワクワクワク holiday
   ドキドキドキ ハイ#ハイ#ハァーイ~
   その思い出 ほら 笑顔に変わぁーるぅ~~

   ハァイっ!!

  ♪ワクワクワクワク everyday
   ドキドキドキ ハイ#ハイ#ハァーイ~
   今日もラッキー 笑っていよぉーねぇ~~


「「「だはははは....^^;;^^;;^^;;.....」」」

真島茂樹デビューシングル


「何だか..もぅ覚えちゃう感じ..」
「僕2曲目の方が好き...」
「頭ん中に残るな...これ....」
「ハァイっ!!」

「「「「ワクワクワクワク everyday...ドキドキドキドキ ハイ#ハイ#ハァーイ~....」」」」

「ぁ~キリがない....」
「ぅ~ほんとだ...」
「ぁ~...頭から離れないぞ...」
「ハァイっ!!」

「「「「ワクワクワクワク everyday...ドキドキドキドキ ハイ#ハイ#ハァーイ~....」」」」

「ヨンジュン...そのかけ声止めろ....」
「あはは...これぞ愛と踊りの伝道師ってやつ?」

一晩中これでは堪らない...泊まろうか?と言ったヨンジュンを僕たち3人で帰した...


イン・ザ・バスルーム  ぴかろん

ダーリンの待つバスルームへの道が遠く感じられた
なぜ?

なぜラブは今日一日、僕にあんなに甘えてきたんだろう…
いつもつれないのに…
いや、嬉しいのは嬉しいんだ
でも…

ふと不安がよぎる

また…失うんじゃないかという不安が…

こんなに愛した人はいない…
それは不思議な感覚だった
こんな短期間でこんなに虜にされた人はいない…
僕が追いかけていたい…

なのに彼は僕に振り向いてくれた…

慣れていない
愛する人に振り向かれる事に

振り向いてくれた人は必ず
遠くへ旅立ってしまった…

イナにあんな事を言ったくせにその言葉が、まんま僕に返ってきている
どうすればいいのかわからず、一瞬視線を逸らす
そしてつれなくされると安心して彼を追える

僕の方こそ怖がりで子供なんだ…
なのに偉そうに僕はイナに…

バスルームのドアを開ける
バブルで溢れた浴槽に、僕の愛する人がいる
濡れた瞳で僕をみつめ、泡だらけの腕を伸ばして囁く

「なんで服着てんの?」

何か答えようとするのに、声が震えそうで何も言えない

「どしたのさ…早く来てよ…」

バスタブの縁に両腕をかけて、その上に顎を乗せ、妖艶なヴィーナスが僕を招く
僕はあまりの神々しさに、そこから動けずにいる

「もう…世話が焼けるなぁ…」

ヴィーナスは体に雲を纏い、僕の方に近づく
そして僕の着ている服を順に脱がせていく

僕はただ突っ立って、ヴィーナスにされるがまま…
裸にされた僕は、ヴィーナスが誘う雲の中に沈められる

そして僕の前にヴィーナスの背中が降りてくる

「なんでいつものように抱きしめてくんないの?」

背中を向けたまま僕に呟くラブ
僕はまた何も言えずにいた

ラブの手が僕の両腕を捉え、その首に巻きつける

「夏だから襟巻きしないの?」

本当に…どうしたのだろう僕は…

「俺が…嫌いになった?」
「ちが…」
「じゃあ…テジュンが言った事、気にしてる?」

それは…気にならないと言えば嘘になる…
けれどそんな事よりも…
このヴィーナスは現実に僕の腕の中にいるのか、唐突に信じられなくなっている…
僕は…何も言えなくて震えた

いなくならないで
僕から離れていかないで
僕を捨てないで

始まったばかりの僕達なのに、向き合った途端恐ろしさが押し寄せてくる

「ねぇ…黙ってるとわかんない」
「…ぼくは…」

声が震えていた
体も震えていた
頭の中も震えていて、そして涙が溢れ出した

なぜ…
幸せなのに…

「ギョンジン?」

振り返ったラブが僕の顔を見て驚いている

「…。やっぱ、気にしてるんだ…」
「ちがう…そうじゃ…ない…」
「…じゃあ…。怖いの?」

どうして君は感じ取れるの?僕の心を…
僕は君を抱きしめたい
なのに腕に力が入らない…今日という日に限って…

「俺が離れていくとでも思ってるの?」
「ラブ…」
「戻ってきたのに?…こんなに…貴方を求めてるのに?」
「…怖い…消えてしまいそうで…」
「無くならないものなんてないでしょ?」
「…でも…」
「テジュンとの話をしてもいい?」
「…え…」

また不安になる
こんな僕よりやっぱりテジュンさんのほうがいい?

「…言ってもいい?ちゃんと聞いてくれる?」
「…うん…」
「ちゃんと…俺がここにいるって事認めてくれる?」
「…ラブ…」
「俺の心に仕舞いこんだ話だよ…それ、解ってくれる?」
「…うん…」
「じゃあ話すね。しっかり聞いてよね…」
「…うん」



俺はこの何日か、ずっとテジュンとの事を考えていた
今日、イナさんに話したときは、まだはっきりとしてなかった
でも、なんとなく解った事がある…

俺、運命だとか宿命だとか、そういうの苦手だけどね
テジュンとは…多分…惹かれあう何かがあったんだよ…
それは…からだもこころも…

例えば俺が、不完全な円だとする
その欠けている部分が…テジュンだったんだ…

二人で過ごしたあの四日間、最初は俺、テジュンとそんな風になるなんて思ってなかった
もしなったとしても、俺がヤケになって勢いでヤっちまうんだと思ってた

でも、一緒に過ごすうちにね、強烈に惹きつけられるのを感じたんだ…
テジュンもきっと…そうだったと思うよ
だから俺と寝たんだ…

テジュンとの事を宿命だなんて言うと、言い逃れだって思うかもしれない…
でも…あの時の感情は…説明できない…
どうしても欲しかった
どうしても一つになりたかった
そのために俺は、テジュンを説得したよ
支離滅裂だったかもしれない
必死だった…欲しくて…

物凄く感じた…
繋がった瞬間から痺れてた…
帰る日になってようやく、俺はあの人と愛し合ってるってわかった

抱かれた瞬間にね…俺の、俺達のからだ、完璧な円になったんだ…
あの時は解らなかったけど、今はそう思う

何度も抱かれるうちにね…、心も完璧な円になったんだ…
二人で一つの円を作り上げた…

体が離れても何故こんなに引き合うのか解らないぐらい求め合った…
俺にとって、あれはどうしても必要な瞬間だった…
今の俺があるために定められていた瞬間
俺、そう思ってる…
テジュンにとっても…きっとそうだと思う

なのにアンタのとこに戻ってきた
どうしてだろうね…完璧な円になれたのに…
ほら…よく言うじゃない…。夫婦ってのは相性が悪いから魂の修行のために一緒にいるんだって…
俺、聞いたことあるよ
完璧な円を描ける俺達は、一緒にいてもなんの発展もない
だから俺達は終わらせた…

俺達は、居るべき場所に戻る事を、最初から決めてた
テジュンが求めてるのはイナさんで、俺が求めてるのはギョンジンだったから…

あの時の完璧な円を、俺の未熟な心にコピーして仕舞ってある
だから俺の心にはテジュンが住みついてるんだ

せっかくキレイな円を描けたのにさ、その周りにぐちゃぐちゃの、できそこないの円がまたできちゃったの
だって俺は…俺はあんたと一緒に、キレイな円を描きたいんだもん…ゆっくりと…

テジュンは出会うべくして出会った人だと思う
だから一瞬で惹かれて溶け合ったんだと思う

アンタとは…、これからの人生を迷いながらもつれ合いながら、生きていきたいんだ…
屁理屈こねてるかな?俺…




僕はラブの言葉をじっと聞いていた
僕にとっては、妻がそうだったのかもしれない…
妻と出会わなかったら、僕は、今の僕ではなかっただろう…

ラブにとっての宿命の人はテジュンさんだった…
そう考えれば、二人が寝たことも納得がいくな…

納得させられてどうするんだよ…
でも、とっぴな話だけど…そんな事もあるのかもしれない…
僕と妻とがそうだったように…

まだ震える腕でラブを抱きしめた

「怖くなくなった?」
「…少し…」
「もし俺の体が滅びても…アンタの心の中には…俺が生きてる…そうなれるように俺たち、一緒に歩いていこうよ…ね?」
「…考えたくない…そんな事」
「けど人間はいつか…」
「言わないで…解ってるから…」
「…ん…」

ラブの髪に顔を埋めて、生きているラブを感じた
僕の腕の中にいるラブを、僕の心に取り込めるのか?

「俺が帰ってきたとき、アンタは俺を包み込んでくれたよね」
「うん…」
「気持ちよかった…嬉しくてさ…。でも…アンタ、俺を抱え込んで生きていくには弱すぎるよ…」
「…」
「俺は…貴方と…ともに生きていきたいんだ、『守られて』じゃなくて『支えあって』さ…」

ああ…そうか…。こんな弱虫な僕が…ラブを抱えてどうやって道を進む事ができるんだ…
ラブは…ラブは僕と並んで歩いてくれるんだ…
そんな強さをラブは…テジュンさんといた間に手に入れたんだ…

「よく解ったよ…テジュンさんとお前の関係が…」
「イナさんに、理解できるかなぁ…」
「テジュンさんにも話すべきだと思うよ…」
「…そう?」
「そんな事、気づいてないよテジュンさんは…」
「そぉかなぁ…」
「あの人は、ラブの虜になっただけだと思い込んでるよ、きっと…」
「…」
「だからイナは不安になるんだよ…きっとね…」
「アンタが不安になったように?」
「ん」

ラブの髪にキスをする

「いつの間にこんなに賢くなっちゃったの?」
「ば~か…元々賢いんだよ、俺はさ」
「「ふふふ」」
「アンタ、こういう事に関しちゃ、弱々しいモンね!」
「お前だってこないだまで弱かったくせに!」
「俺はテジュンと愛し合って強くなれたもん!」

憎ったらしい!
僕は『テジュンと愛し合った』というフレーズを、もう聞きたくなかった
重々承知しているんだからもう

「その言葉、二度と言わないでよね!」

そう言って、愛しい唇を親指と人差し指でぎゅっとつまんでやったフフン

「ムガ!んん!もうっ!…元気になった?」
「…ん…」
「じゃ、お風呂からでよっか」
「…ん…」
「ね…」
「ん?」
「今夜だけでいいからさ…」
「ん」

俺と一緒にイッてくれない?

ヴィーナスの囁きに、僕はもうイッてしまいそうだった…


びろうどのやみ  ぴかろん

ラブが手招きするその後を、僕はいつもの僕らしくなくついていく
まるで初めて他人と肌を合わせる時のように、僕はおずおずとそのヴィーナスの誘いにのる

シャワーで体を流したあと、バスルームの外に出て唇を貪りあった
濡れたままの体を密着させて、僕達はお互いの存在を確かめ合った
僕の瞳を覗き込む、妖艶でいたずらなヴィーナスは、僕の頬や額や瞼や睫毛に、その柔らかな唇で触れていく
いつもの僕ならじっとしていない…
今夜の僕は…
温かくて柔らかい、ヴィーナスの心を感じたくて
彼の全てを、一つ一つ感じたくて
頭の中を空っぽにしようとしていた…

シーツの間に潜り込み、僕をみつめるその瞳に操られ、僕も彼の隣へと体を寄せる
抱きしめられる僕

父さんが、母さんが僕を抱きしめる
弟が僕を抱きしめる
妻が、チフンが、アナスターシャが…
僕から去っていった人達が僕を抱きしめている…

僕の心の中に、彼らは確かに住んでいる…
確かに生きている、僕の心の中で…

ずっと孤独だと思い込んでいた
ずっと影なのだと決め付けていた
弟は太陽で僕は月
太陽がなければ僕は輝かないと…

僕は月じゃない…
僕は僕という、自分で光を放つ事のできる星だったんだ…

弟を取り戻すために訪れたあのホテルは
僕にとっての宿命なのだろう…
あの場所に僕という人間を解き放つ鍵が隠されていた
そんな風に思えて仕方がない

イナに出会い、BHCの人達に出会い、そしてラブにめぐり会えた
長い間僕を覆っていた殻が破けて、温かく、厳しく見守ってくれる人達のもとに這い出た

弟がいる…
イナがいる…
仲間と呼べる人達がいる…
そしてラブが、僕とともに歩いてくれる…

ラブのくちづけは、僕の髪に落とされた
そこから僕の中に穏やかな色をした光のミストが拡がり、僕の体を少しずつ覚醒させていく
僕の肌の全ての部分に、しっとりと纏わりつく霧
ゆっくり僕の中に染み込んでくる

僕は…
愛されてきたんだ…
父さんにも母さんにも弟にも…

気づかずにいた…与えられていた愛情に…
僕が与えるばっかりで、僕に返ってくる愛なんてないと
そんな風に諦めていた若かった日々を思い出す

孤独で辛くて寂しかったあの時
弟の笑顔を見ることだけが生きがいだったあの頃
自分の夢なんて見ることすら考えてなかった…

妻に出会い、愛し合い、失くした
息子も恋人も、失くした

弟の笑顔だけを望み、それが僕だけに向けられる事を望み
歪んでねじ切れそうだった僕
なにもかも、どうだってよかった日々

淡々と仕事をこなし、疲れきって他人の肉体を求めていた…
乾いたキスと交わりを、快楽のためだけに繰り返した

空しくて寂しかった
弟のせいにして弟を求めた…
弟だけは僕の寂しさを埋めてくれるだろうと
僕は幾度も狂った夢をみていた

イナが僕を引きずり出し、僕は僕の人生の一歩を踏み出した
イナに頼り切って甘えていた…
イナにはテジュンさんがいたのに…

動き出した僕の人生は、急速に回転し続け、僕がしでかしてほったらかしていた事を全て、遠くに追いやってしまった…

また一人になったと感じていた僕のところに、ラブは突然舞い降りてきたんだ…
ああラブ…
ここに来るまでにも僕達は、少しずつ心を沿わせてきたんだね
どう表していいのかわからずに、激しくぶつけたり、優しく引いたり
そんな事をしながら僕達はやっとここまで来たんだよね…

ラブのそばにいると、僕はとても穏やかな気持ちになれたんだ…
出会って、間もなかった頃なのに…
僕はすぐに、君の虜になっていたのかもしれないね…

僕の体中に落とされた君のキス
君を僕に染み込ませるためのキス
少しずつ、君が僕になる…
心地よさに酔いしれている僕を
ラブは口に含んだ…

「一緒にイクんだろ?…そんな事されたら…あ…あラブ…もう…」
「これは別なの!黙っててよ!ムードないんだから!」

少し怒ってそう言ってから、囁くように付け加えた

イナさんとの約束なんだから…


ラブは僕を昂め続け、僕を受け止めた
快楽だけではない愛の篭った行為で、僕の悦びは何倍にも膨れ上がっていた
身を起こしてベッドに凭れるラブをみつめ、僕はラブがしてくれたのと同じ事を彼にした
一度ずつ果ててから、僕達はもう一度シャワーを浴びた

「ねえ…」
「なぁに?」
「これで終わりなの?」

妖艶なヴィーナスが僕の首に腕を巻きつけて問いただす

「…まさか…」

いつものように答える僕…

「ぅふん…くふふ…」
「なんだよ…イヤか?」
「…ぅぅん…そうこなくちゃ…」
「…ラブ…」
「でも…」
「わかってるってば…『一緒にイク』んだろ?」
「そ」
「…かなりの刺激が…必要なんだけどぉ…」
「ばか…」

また濡れたままの体で、シーツの間に滑り込む
僕はヴィーナスに先手を取られないように、彼の首筋にくちづける
僕の唇が動き出すと、彼は甘えた吐息を漏らす
時に嗚咽を、時に呻き声をあげながら、彼は高みに昇っていく

彼は突如、ベッドサイドの灯りを消した

「…なに?」
「…ひとつに…なれるから…」

カーテンのかかった窓から一筋の月の光が漏れている
その光以外は、闇に包まれている
ラブの顔さえよくわからない
僕はこれまでにないぐらい興奮した

見えないのに…僕にはラブの表情がはっきりとわかった
最初は手探りでラブの体を探していたのに
僕はすぐに、どこにラブの何があるのかわかるようになっていた

研ぎ澄まされる感覚と溢れ出す気持ちが
闇のなかに溶け出している

「…好き…」

耳に届く小さな声
震えるほど嬉しくて、僕は彼を抱きしめる

僕に向けられる彼の愛を
僕は素直に感じ取る
僕は僕の愛を
彼に送り続ける

ラブ…
君が僕のそばにいてくれる…
それだけで僕の心は明るく輝く

もう僕には君しかいない…
君とともに…ずっと一緒に歩いていきたい…
ラブ…

闇の中でラブと溶け合う
どうしようもないぐらい愛している
いつもと同じ事をしているのに
いつもとまるで違う感覚…

闇に響く僕達の息と喘ぎ声
闇の中で呼び合う僕達の名
闇に包まれているのに僕には見える
君の瞳がいま、どんな色をしているのか…

小さな呻き声の間隔が早くなり、彼の高まりを知らせる
僕は彼の手を握り、呻いている唇を捉える
彼は僕の手を振りほどき、僕の胸を刺激する
僕は一気に高みへと向かう

僕の漏らした息を感じ、彼は胸の刺激を止める
その手を僕はもう一度握り締め、暗闇の中で彼を見つめる

一筋の月光
その場所へ…
僕達は向かう
彼と僕の叫び声と、彼と僕の名前が
闇の中を飛び交う

彼のからだが撓り、奮え、同時に僕の体が仰け反った…
掠れた声が、僕達に纏わりつく
息を整えながら、彼の胸に顔を埋める
彼は僕の頭を起こし、唇を引き寄せる

唇を激しく求め合い、愛の余韻に浸る…

初めて一つになれた気がした…
そのまま僕は意識を飛ばした…

びろーどのやみPV→http://www.wretch.cc/blog/sakura741005&article_id=2258931
(都合により直リンク、避けますm(__)m)


びろーどのやみ歌詞
↓対比訂正

一人戦え→ひとりで抱え
打ち拉がれる→打ちひしがれる
侵奪がこの街の→辛辣なこの都(まち)の
甘苦いの夢見て→甘い願いを夢見て
掴めていた僕潤す→疲れきった僕…潤す
まとい合う気がした 彷徨者のように→まとい歩き出した 彷徨人(さまよいびと)のように
この身を尽くし守よ→この澪つくし守るよ

文字
Kiss→接吻(キス)
溶けだす→融けだす
君の→キミの
幸せの→シアワセの
抱きながら、抱く→擁きながら、擁く


想定外  ぴかろん

僕らそれぞれのペアは、それぞれの濃厚な夜を過ごした…らしい…
だからだれも朝食の準備をしなかった
いや
できなかった…

材料もほとんどなかったし…ロールパンが5、6個あっただけだったし…作ろうにも作れない
ということも解っていたので僕はイナと惰眠を貪っていた

どんどんどんっおっはよぉぉぉございますっ!どんどんどんっおきてーおきてー

あん?…
朝から異常にハイテンションで突っ走っている男
それは誰あろうエロ怪人ギョンジンである

あんな濃厚(だったんだろう…だったはずだ!僕達だっていつになく濃厚だったんだっ!きひん!らってイナが…きひひひひぃん…)な夜を過ごした翌朝に、こんなハイテンションに動き回れる男は、エロ怪人ギョンジン以外にいるはずがなかろう!

…ああきっと…技の限りを尽くし、またラブを疲れさせ、自分だけ物凄く気力と体力を回復し、そして

どんどんばんばんどんばんばんっどんどんばんばんどんばんばんっどんどばんばどんどばんばどんばんばん♪
ねぇっテジュンさんだったらこの音楽知ってるでしょぉっ?ニホンの民謡ですよねぇっねえっ起きてくださいよ!
もしナニがアレの最中でしたら三分間待ちますからさっさと終わって早く出てきてくださいよっねっ!

これだ…

ちょっとやめなよ!ゆっくり寝かせてあげなよ!
だぁってラブ!早く行かないとさぁ…
だからさぁ…また二人でゆっくり来ればいいじゃんさぁ…
いやだっ!二人は二人。仲間同士は仲間同士で楽しめるはずだ!四人で行きたいっ!
…わがままぁ…
だぁぁってぇぇぇん…弟たちにお土産も買わなくちゃさぁん…
だったら途中でデパートに寄って…
そんなのぉ…せぇっかくここまで来たのにぃぃぃぃぃいいっぶーっ…ん…

んむむ…


ああ…
あんまりうるさいからラブが口を塞いだんだな…
あの色っぽい唇でんむむむぅぅっ

「らぶのことかんがえてるな」

イナが睨んで僕の唇を塞いでいた

「でへっ。いや、ギョンジンとラブのちゅうを想像…んむむっ…」
「しょんなの想像しゅるな!」

ちゅっちゅっ…
はあ…
かわいいン…
んんん…
もう一回イナを味わおうかなぁっと…

「おきよう」
「え?…もう1ラウンドぐらい僕…できるよ」
「おきよう」
「さ、三分で終わるよ」
「いいから!おきよう!」
「…」
「もうこしがへんだ…」
「…イナ…」
「きのうおまえがんばりすぎた」
「いや。まだまだ僕は…」
「おれがもたない…」
「…そうなの?」
「いっとくけどおれは…そんなに…べちゅに…しなくていいもん…」
「ええっ?うそぉん!だって祭の間あんなに…」
「しょれはてじゅがしゅぐおれをおしたおして…」

どんどんどん、ばんばんばん、起きたんでしょ?はやくっはやくううっきてぇっきてぇぇっ
ばかっ変なセリフ言うんじゃないよ!
僕達をここに二人で置いとくと、タイヘンな事になりますよぉぉ

ぼかっ

「「…」」
「ほら…いくじょ」
「まって」

僕は立ち上がろうとするイナの腕を引き、キスをした

「好きだよっ」
「おれもら…」

そしてハイテンションエロ怪人ギョンジンのところへ出て行った

ラブに何発か殴られて泣いている
ざまーみろ

でも僕の顔を見た途端、いやらしい笑顔を浮かべて近づいてきた

「どうでした?三分超えました?それとも三分12ラウンドKOですか?」
「…60分一本勝負だ!反則勝ちした!」
「…反則…。…」
「なんだよ!」
「ははぁん…。誤魔化して57分、ほんとの勝負は三分か…ははぁん…」
「…」
「で…、テジュンさんも…メンテナンス受けたんですか?いひん」
「…メンテナンス?なにそれ…」
「やっだぁ~。昨日貴方が口走ったアレですよぉきひひん」
「…」

なんでこんなにハイテンション?
黙ってりゃかっこいいのに…

僕は答えなかった

「らぶ…。おれ、やったじょ」
「そ?うまくいった?」
「…ん…」
「で?」
「…もういい…。てじゅもしなくていいって」
「そう。よかったね」
「らぶは?」
「ん、イナさんと約束してたから一応…」
「…たいへんだったろぉ?ながくかかったろぉ?」
「そんなことないよ…普通…」
「…れも…。らぶはやっぱり…ごにょごにょ…か?」
「…。ん、まぁ…」
「げーっいやらっ!おれ、しょれできない!」
「ふは。まぁいずれできるようになるよ」
「いやらっ!もうしないもん!」
「ふははは」

ラブとイナの赤裸々な会話に耳を傾けていたギョンジンは、エロ怪人の笑みを浮かべ

「ほぉん、へぇぇぇ、よかったですねぇ、けども…ふぅぅん…そっかぁ…きのどくぅぅぅ」

と言った
うるさい!
僕は別に…いいんだ!ばか!

「あ、落ち込まないで…。こんな事してる場合じゃないんだ!帰る途中であそこに寄りましょうよ!」
「あそこ?」
「ねずみーしー」
「…」
「知ってるでしょ?あの、海のテーマパーク…。ねずみーらんどの姉妹パーク。あっちの方が大人っぽくて色っぽいらしいから…。ねっ行きましょ!」
「でも、今夜帰るつもりでしょ?」
「うん」
「あそこ行ったら、夜の花火とショー見たいじゃない…」
「うん」
「うんって…、見てから帰るの?辛いよそれ…。運転するの僕だよ」
「うん」
「うんって…」
「もういっぱくしてもいいじょ」
「…イナ」
「おれもいきたいねずみーしー」
「…」
「いきたい…いきたぁぁぁぃてじゅうぅぅぅちゅれてってぇぇぇ」

うう
かわいい…

そりゃヨンナムにはなんとでも言える
あいつも『ゆっくりしてこい』って言ってくれたし…
でも

「お前たち、店はどうするのさ…」
「きちゅねに電話しゅる」
「…」
「もうちっと話し合いするって言う」
「嘘つくのか?」
「うそじゃないもん!四人の友好を深めるんらもんっ!」
「…」
「ラブも、いいだろ?」
「俺は…、チーフがオッケー出してくれたら…」
「決まり!」











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