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ぴかろんの日常
リレー企画 161
Mission オリーさん
「カーネル、いつできるんですか?」
「さあ」
「乗り遅れちゃいますよ」
「それよりあの彼と同じ飛行機なのか」
「直行便はあれしかありませんから」
「確かめてないのか」
「だから!ソウル直行便は一本しかないんです、KE908便!」
「どこか経由するかもしれん」
「んな面倒なことするわけないでしょ!」
「確かめたまえ。席は隣を確保、いいな」
「そこまでする?」
「当たり前だ。任務は常にパーフェクトに遂行すべし」
「これって任務?」
「そうだ。とっとと確認して席を確保だ」
「じゃあカーネルはあっちがいつできるか確認してください」
「それはできない」
「なぜ?」
「キャシーはどんな敵よりも手強い」
僕が荷造りをして下に降りると、イケメンとカーネルが何やらもめていた
「どうしたんです?」
「いや、別に・・」
「奥さんがお前に土産を作ってる」
「え?」
「お前に持たせる土産だっ」
「はあ・・」
キッチンから奥さんが出てきた
「まだリンツァートルテはご馳走してなかったわよね、今作ってるから楽しみにしてて」
「はい?」
「あの人にもご馳走できるわ」
「はあ」
「時間があったらローストビーフも作れたのに残念だわぁ」
例によって歌うような奥さんの声に僕ら3人は顔を見合わせた
おかまいなしに彼女は続けた
「さあさあ、待っている時間がもったいないわ。あなた紅茶を買ってきて」
「紅茶?」
「お土産にたくさん欲しいってミスター・ミンが言ってたのよ、ね?」
「あ、はい」
「さあ急いで!時間がないのよ!」
「ちょっと行ってくる」
「あ、僕も行きます」
「あなたは退院したばかりなんだからじっとしてて」
「は、はあ」
イケメンが割って入った
「あのマダム?」
「何?」
「そのなんとかトルテはいつ焼き上がるんでしょうか」
「リンツァートルテ、オーストリアのお菓子よ」
「それです、それはいつ?」
「もうすぐよ」
「それはよかった」
「今生地を仕込んだから休ませてるの。30分もしたら次の作業に移れるわ」
「生地を休ませる!?」
「生地が重要なポイントなのよ、ホホホ」
「ホホホ・・そうですか。ちなみに飛行機は8時ですから」
「まだ5時前じゃないの。心配ないわ」
「飛行機ですから、バスに乗るのとはちょっと違うんですけど」
「知ってるわよ!そこであなたが役に立つんでしょ」
「僕が?」
「何の為にお上に勤めてるの。飛行機の1本くらいどうとでもなるでしょ」
「それはその・・なりませんです。他国のエアラインですし」
「これは緊急事態よ!彼があの人と一緒に帰れなかったらあなたのせいよ!」
「・・・」
「わかったら、何とかしなさい!」
「マダムもその、生地の方をよろしく・・」
「任せて。6時にはできるわ」
「6時・・ですか」
すごい事になっている
イケメンは頭をかきながら携帯を手に外に出て行った
奥さんはその後姿を見届けてから僕に晴れやかな笑顔を向けた
僕も笑顔で応えた
でも間に合うのだろうか・・そのリンツァートルテ
荷造りをしに部屋に戻った時、正直拍子抜けした
何も変わっていなかったから
彼がいた形跡は何も残っていなかった
僕はぼんやりと部屋の真ん中で突っ立っていた
しばらくして思いついてベッドへ行った
枕に顔をつけて彼の残り香を探した
ほんのかすかに彼の香りが鼻をくすぐった
やっぱりいたんだね、ここに
幻じゃなかった
待ってて、もうすぐ追いつくから
「何でそのなんとかトルテをわざわざ持って帰らなくちゃいけないんだよ」
「リンツァートルテです」
「名前なんかどうでもいい!おかげでこの有様だ」
イケメンがハンドルを握りしめながら怒っている
時計はすでに7時を回っている
僕たちはまだヒースローへの道半ば、渋滞に出くわした
「大丈夫でしょうか」
「さあな・・」
イケメンは拳固を唇にあててイライラしている
僕もとても心配だ
「どうしても間に合わなかったら明日にしろ」
え
「一日くらい遅れたっていいだろ?」
だめ
「おい、いいだろ?」
絶対だめ
「お前、いきなり目を吊り上げるなッ!」
「すみません」
「ったく・・」
渋滞は続いている
「念のため飛行機を待たせる手配をしたまえ」
「「うわぁっ!!」」
いきなり後ろの座席から声がして僕たちは飛びのいた
「何を驚いてるんだ」
「カーネルっ!この車にいつ乗ったんですか」
「気がつかなかったのか。まだまだ甘いのお、くく」
「くく、じゃないですよ。ったく」
「とにかくだ、渋滞を抜けれるよう全力をつくせ。
さらに念のため飛行機を待たせる手配もしておくんだ」
「無理ですよ、そんなの。正当な理由がないじゃないですか」
「理由なんかどうでもいい、とにかく待たせる。任務は常に・・」
「パーフェクトに遂行すべし」
「そうだ。わかってるじゃないか」
イケメンは渋々携帯を取り出した
奥さんは大きなハグを僕にくれた
「いつでも戻ってらっしゃい」
「色々ありがとうございました」
「すぐ会えるわ。実はね、あの人に今度の旅行は韓国ってねだってるの」
奥さんは僕の耳元でいたずらっぽく囁いた
「宿の方は心配しないで、いつでも来てください」
「ありがとう」
「アンドルーさんは?」
「あの人はお別れが嫌いなの、どこかへ隠れちゃったわ」
「そうですか」
「このタルト美味しいわよ。あの人にもあげてね」
「二人で食べます・・僕がたぶんたくさん食べ・・」
「ちょっとあなたっ!蓋は閉めないでっ。焼き立てだから冷めるまで待つの、いいわね?」
奥さんはタルトの入った箱を閉めたイケメンを叱った
僕は最後に奥さんの頬に軽くキスをした
彼女はちょっと赤くなったような気がした
たぶん気のせいだろうけど
そしてお別れの嫌いなアンドルーさんはサーブの後部座席に潜んでいた
携帯を取り出したイケメンは話し始めた
「ポールだ。さっきの件だが、そうコリアンエアーの件・・」
「席は確保した?オーケー。実はまだ問題が・・今渋滞につかまってる」
「ミン・ギョンビンのチェックインを済ませておいてくれ。それで・・」
「ケホンっ・・彼が搭乗するまでは飛行機は飛ばすな」
「なぜ?理由は後で話す。課長にも部長にも秘密。とにかく待たせろ」
「無理?そこを何とかしろ。ミン・ギョンビンが908便に乗れないと多大な支障が出る」
「課長も部長も知らない特殊任務だ。そう極秘だ。部長も知らない任務があるかだと?あるんだ!」
「責任は僕が取る。今SASと組んで超重要超極秘任務に当たってるところだ、頼むぞ」
「いいから言われたとおりにしろっ!」
イケメンは携帯を乱暴に切るとため息をついた
「やればできるじゃないか」
後部座席でカーネルが満足そうに頷いた
「ほんとに飛行機とめたら、僕はクビです」
「近頃、ガードマンやボディガードは儲かるらしいぞ」
「あのねっ!」
「お取り込み中ですが、ちょっと進んでますけど」
「わかってるっ!」
「サイレンと赤ランプはないのか」
「僕は警官じゃありません!」
「あれがあると一発なんだが・・」
「わかりましたよ、路肩行きます、カーネル窓から緊急だって叫んでください」
「まかせとけっ」
カーネルのエマージェンシーの叫び声が、
イケメンの過激な運転で風を切るサーブから乱れ飛んでいった
「ターミナルは何番だ」
「3番」
「ターミナル3へ直行っ!」
「ラジャー!」
空港へ入るまでに二人の息はぴったり合っていた
ターミナルの入り口に乱暴に駐車したサーブに警備員が近づいてきた
「ここは駐車禁止で・・」
「緊急だっ!文句があるならMI6へ!」
「違うっ!苦情は英国陸軍へ!」
二人の勢いに警備員が後ろへ下がった
イケメンはタルトの箱を小脇に挟み僕のトランクを引きずりながら走った
カーネルは僕の左腕をしっかり掴んでその後に続いた
僕は宙を浮く感じで引きづられた
3人で通り抜けようとしたボディチェックでいきなり引っかかった
「MI6だ!銃を持ってる、でも安全だ!うろたえるなっ!」とイケメンがIDをふりかざして叫び
「いいぞ、その調子だっ!」と後ろでカーネルがはやしたてた
「この箱は?」
「これは超重要機密事項だ」
「中身は?」
「機密事項だ、危険物ではないっ!」
「一応確かめませんと・・」
イケメンが箱を開けた
タルトの甘い香りが漂った
「これが機密事項?」
「そうだ、これが英韓両国の友好に重要な役割を果たす」
「タルトが?」
「疑うなら首相に電話してみろ、今日はダウニングにいらっしゃる予定だ」
「い、いえ、それには及びません」
「よしっ、行くぞっ!」
「あ、ここからは搭乗者以外は立ち入り禁止で・・」
「MI6とSASが超重要機密事項だと言っているっ!彼が確かに乗るのを
この目で確認するよう首相直々の命令だ。文句があるか?」
「い、いえ・・」
走りよってきた警備員や航空会社のスタッフが遠巻きに僕らの後をついてきた
「なかなかやるじゃないか。ダウンニングまで使うとは、くく」
「もうヤケクソです。クビになったらボディーガードの口紹介してくださいよ」
そして僕ら3人は最後の搭乗口までやってきた
カーネルはやっと僕の左腕を放した
「気をつけて行けよ」
息を切らしたイケメンは僕にタルトの箱を押し付けた
「ありがとうございました」
僕は二人にお辞儀をした
「ソウルへ来るときはぜひ、僕の所へ泊まってください」
「当然だ。こんなに貸しが大きくなったんだからな」
「キャシーと二人で行こう」
「仁川国際空港でタクシーにRRHまでって言ってもらえればわかりますから。
最上階ですから眺めがすごくいいんです。いつでもOKですから」
「「ラジャー!」」
二人はそろって敬礼した
アテンダントが僕のトランクを引いて早く、とうながした
僕は振り返って叫んだ
「コンシェルジェのトンプソンさんのゲストリストに載せておきますから」
二人は手を振った
僕が乗り込むと後ろですぐ扉が閉められた
「急いで席についてシートベルトを。すぐ離陸します」
僕の前を急ぎ足で歩くアテンダントが振り返って小声で囁いた
「おい、仁川でRRHって言えばOKなのか?」
「コンシェルジェのリストって何?」
「最上階ってのはペントハウスみたいなのかな?」
「さあ・・」
「RRHを調べておけ」
「カーネルが自分で調べりゃいいでしょ」
「わしはリタイアしている」
「ったく、都合の悪い時だけリタイアするんだから。それにしても・・」
「「あいつって何者??」」
通路の右側前方に茶髪にメッシュの入った影が見えた
僕の胸がどくんと大きな音をたてた
ひとり ぴかろん
ヨンナムの下宿から数十歩離れたところでイナは後ろを振り返った
今さっきまで居たその家を眺める
二階の、テジュンがふてくされて寝ているであろう部屋の窓を見、玄関の引き戸の向こうで平静を装っているであろうヨンナムの事を思った
短いため息をつくと、イナはもう一度ヨンナムの家の前に来た
引き戸に背を向けて斜めに両腕を伸ばした
両腕が作る角度は約60度
左手方向にミンチョルのマンション
右手方向にイナのマンション
そしてイナの立っている位置
それぞれを頂点として線を引けばほぼ正三角形になるらしい
イナの顔が向いた先にはBHCがあり、その正三角形の中心に位置する
ふっとまたため息をついて顔と腕を同時に下ろす
首を上下に動かしてイナはヨンナムの家に背を向けて歩き出した
表通りから一つ道を入っただけで、都会の喧騒は隔てられる
だが清々しい空気に混じった排気ガスのにおいと、耳を澄ませていると切れ間なく聞こえる車の騒音が、実は隔たりのない空間である事を知らしめる
朝早くに着替えたスーツ姿で、イナはBHCやマンションと反対の方向に歩き出した
テジュンと過ごそうと思っていた今日が、ぽっかりと空いてしまった
今戻れば一緒に何かできるかもしれない
けれどなんだかそんな気持ちにはなれなかった
何も考えずにどこまでも歩いてみようかな…
知らない場所を歩き回って、そうだな、疲れたら休めばいいし、腹が減ったら飯を食えばいい…
そしてBHCの開店時間に間に合うように…うーん…3時頃にこの小さな冒険を終えて、タクシーでも捕まえて店に出ようか…
はぁ…段取りなんか決めてちゃ冒険とは言えないな…
頭を小さく振って、前に進む
知っている町並みから知らない町並みへと景色が変わる
知らない町並みとは言っても住んでいるのは自分と同じ人間だから、さほど怖くはない
三叉路に来たら、こっちだと思う方向と反対の方に行く
四つ角に来たらとりあえずまっすぐ進む
そう決めて、家々の屋根の上に広がる青空を眺めながらイナは歩いた
うわぁ…
表通りだとビルが一杯で空が狭く感じるけど…民家の屋根の上の空って…広いんだ…
爽やかな空が、爽やかなヨンナムを思い出させる
イナはまた小さく首を振って歩いていく
何度か三叉路を曲がり、四辻を抜けて、全く知らないところに出てきた
そろそろ昼時になる…
そんなに歩いたのか?
ここは一体どこだろう…
ソウル市内であることは間違いない…
市外に出るのは…まずいだろうな…
さてと…そろそろ折り返し地点を決めなきゃな…
信号待ちの間、ポケットに手を突っ込んでイナは考えた
向こうの舗道を幼稚園の子供たちが列を作って歩いている
遠足?それとも散歩?
あとをつけて行ったら不審人物と思われるだろうか…
ミンチョルならきっと、厭味を言いそうだ
園児に間違われなかったかと…
ミンチョルは、ギョンビンに会えたのだろうか…
ギョンジンがひどく心配していたけど、大丈夫だろうか…
信号が青に変わり、横断歩道を渡る
幼稚園児達は、すでにはるか向こうの方まで行ってしまった
イナは園児達と反対の方向を選んだ
公園がいいな…公園に出くわしたらそこで冒険はお仕舞いにしよう…
うっすらと汗ばんできたので、早めに切り上げてマンションでシャワーを浴びようと、イナは計画を変更した
しかし公園はまだ出てこない
次の四辻を真っ直ぐ行かずに左へ曲がってみた
なんだかこちらの方に公園がありそうな気がしていた
イナの勘は鋭い
暫く行くと、立派な公園があった
芝生の広場があって、学生や子供連れの主婦たちがお弁当を広げている
いい天気だ
きっと先ほどの園児たちは、幼稚園からさほど遠くないこの公園に遊びに来ていたのだろう…
イナは公園の敷地に入って行った
喉が渇いていたので、公園内の売店でコーラを買った
何か食べる物はないかと尋ねたが、カップラーメンや菓子パンといったものしかなかった
イナはクリームパンとチョコレートパンを手にとってククっと笑い、買い求めた
芝生の向こうに林がある
かなり背の高い木々が並んでいる
一番芝生に近いその木の陰に座り、イナはコーラと菓子パンで腹ごしらえをした
木の幹にもたれて木を見上げた
サワサワと葉っぱが音を立てている
静かなようで静かではない
どっしりと根を張っているのに結構落ち着きがないんだな…
チョコレートパンに噛り付きながらイナは思った
ぱくぱくと、控え目に6口で2つのパンを食べ終わり、コーラを飲み干した
背後に控える木々が気になった
この中を散歩してから、マンションに戻ろう
イナは立ち上がってゴミをゴミ箱に捨てると林の中に入って行った
都会の中の公園
芝生の広場にいる人々の声が、林の中には聞こえない
木立の下を歩いていると、真昼間なのに薄暗い
管理された木立だというのに、周りから隔絶されているような気になる
これが自然の森だったらどうだろう…
怖ろしくて堪らないだろうな…
暫く歩いていくとぽっかりとまあるい広場があった
木々に囲まれた円形の空間
芝生の広場とほんの数メートルしか離れていないというのに…
その中心に一人で立つと、向こうからは決して気づいてもらえないのではないかと思ってしまう
俺からは見えているのにな…
もし俺がここでぶっ倒れても、あそこにいる人たちは誰も気づかないんだろうな…
そんな事を考えると寂しくて怖くなる
イナはまた頭を横に振って空を見上げた
緑色の、落ち着きのない木々に切り取られた青空
人間が棲んでいる町並みの上にある限りない空と違い
この空には淵がある
どこかで見たような景色に思えた
海かな…
海中から見上げた海面がちょうどこんな風だった…
うーん…違ったか…
「はぁっ…」
イナは一人でクスクス笑ってもう一度空を見上げた
両腕を空に向かって突き上げた
木になったような気分だ
足を踏ん張って上体を少しだけ揺らしたらもっと木に近づくだろう…
イナはゆらゆらと体を揺らした
木って
ヨンナムさんみたいだ…
ふとそう思った
イナは腕を下ろして周りの木々を見つめた
皆空に向かって伸びよう伸びようとしている
その根っこは大地にしっかり埋まっているのに
逃げようとしてるのかな
枝と葉っぱが小さな風も逃さずに連れて行って連れて行ってと囁いているようだ
知らないの?土には養分が一杯あってさ、よそへ行かなくてもその場所で生きていけるのにさ…
いやちがう…
大きくなろうとして枝や葉っぱを広げて、天からの光りをその身いっぱいに受けようとしているんだよな…
根っこと枝と葉っぱは繋がってて、どれもが大切な役割をしている
木が生きていくために
木が成長するために
なのにどうして俺はこいつらが哀しそうに見えるんだろう
空に行きたい
連れて行って
なんでそんな風に聞こえるんだろう
爽やかな空は爽やかなヨンナムを思い起こさせる
落ち着いた姿の清々しい木々は、やはりヨンナムを思い起こさせる
爽やかな美しい空にも様々な問題があり、目に見えない部分が汚れている
落ち着いた姿の清々しい木々も同じで、知らないところで朽ちていたりもする
誰にでも優しくて、限りなく優しい
それは誰にも優しくなくて、限りなくどうでもいいという事になりはしないだろうか
まあるい広場の真ん中でヨンナムを思い、イナは涙した
きっと寂しいはずだ…
ずっと寂しかったはずだ…
だからきっとテジュンは…あそこに住もうと思ったんだ…
あの人はもしかしたら…ただ『生きている』だけなのかもしれない…
ざわざわと木々がざわめいた
イナは周りの木々を見上げた
切り取られたその場所にたった一人で立っていることが怖くなった
イナはしゃがみこんだ
同時に誰にでも優しいヨンナムの、中身が空洞なのかもしれないと思った
そんなのって…
柔らかい抱きしめ方や、優しい微笑みの奥に、何も見ようとしない瞳と、何も感じようとしない心があるのかもしれない…
そんな事を思うと堪らなくなった…
大地に根付いているのに気がつかないの?
空ばかり目指さなくてもいいじゃない…
多分色々な事が一遍に起こりすぎて、イナは少々気弱になっていたのだろう…
芝生のはげかけたその丸い広場にうつ伏せに寝そべって、イナは泣きじゃくっていた
ここで泣いていたって誰も気にとめないだろう…そう思って
映画打合せ あしばんさん
昼前、僕はチョプロデューサーに会った
ミンチョルから話のあった音楽の件を打診するためだ
忙しいと言っていたシン監督も途中から駆けつけてくれたのはありがたい
「ミューズ?…あのミューズ?」
「あのミューズです」
「最近はあまりパッとしないよね」
「私たちも既に構想を練ってるんだけど」
「重々承知しています、可能性という意味で話だけでも聞いていただきたいんですが」
ここまでは予想通りの反応ではあった
しかし僕がひと呼吸おいて元ヴィクトリーのあの男の存在を伝えると
ふたりの目の色はずいぶん違うものになった
「ミューズで…復帰するの?」
「ほんとに?」
「はい」
「今一緒に仕事してるんだよね、あの祭のPDもやったんだったよね」
「はい」
「ふぅん…彼がね…」
「何か企画でもあるのかな」
「会っていただければ彼が直接ご説明すると思います」
「ご期待に応えられるかはわかりませんよ」
「うん、私たちは話題性だけじゃ動かないから」
「わかっています」
「じゃ一度話を聞いてみましょう、ね、監督」
「ええ」
「ありがとうございます、帰国しましたらすぐに連れてきます」
とりあえず渡りはつけた
あとはミンチョルの腕に任せるしかない
「それとおたくのところのジホさんですが、今回あなたとのパイプ役も兼ねてしっかりサポート
してもらうことになってます」
「監督は彼とはどういうお知り合いですか?」
「私彼の”青い鳥”に感じ入ってね、ちょっと未熟さが残るけど新鮮だった
でもその後の彼の作が何ていうか…もっと何かを持ってる人だってずっと気になる存在だった
何だかの試写会で偶然会って話しかけたのが最初かな」
「なるほど」
「彼がBHCさんに関わるって聞いたんであなたのこと探りをいれたんだけど、彼口硬くてさ
なかなか情報くれないんですよ」
「そうそう、彼ってああ見えてすごく繊細で真面目なんだよね」
「決まる前にも散々どんな作品だ、下手な使い方をしてあなたほどの素材を無駄にするなって
そりゃもううるさく言われちゃって」
「そうだったんですか」
「でも彼がそれだけ言うならやはりこれはイケるかもと思ったわけです」
店での彼からは想像しにくいが
時々見せる深く静かな視線に確かにそんな面を感じてはいる
まだよく知らないはずの彼に僕はなぜかいつも暖かい印象をもっているんだ
ドンジュンに”ジホのおっさん”と呼ばれた時の
妙に嬉しそうな顔が思い出される
「彼には演技面のアドバイスでも関わってもらいますので」
「あなたの演技に関しては今度のカメラテストの時にちょっと打ち合わせさせてもらいましょう
演出家やカメラマンとの顔合わせも兼ねます」
話が具体的になっていく
話を聞けば聞くほど大変な場所に入っていくような気がする
「ご心配の日程については大丈夫ですよ、強行スケジュールは組みませんから」
「そ、今回はじっくり行きたいんです、納得いくまでやりたい」
「それでいつも赤字なんですけどね、うははは」
「笑い事じゃないよ監督、今回はがっつり行きますよ!」
明るく笑うふたりとの空気は思いもかけず心地いい
シン監督の4本の映画も観た
興行的にはたいしたことはなかったということだが
どれも人物の心を丹念に追っていて叙事詩の趣がある佳作だった
彼と組んでいる女流カメラマンの美しい映像には定評がある
チョプロデューサーの調査もしてみたが
敏腕でしたたかであるが業界ではちょっと変わり者だそうで
新しいことへの挑戦を選んでしまうタイプ
どこか”賭け”のイメージがあり彼に近づかない者も少なくない
どこだかのパーティで意気投合したというふたりは
ガキの頃からの悪友のように自然な空気をかもし出している
業界ではどうだか知らないが
僕はこの人たちに会う度に、この出会いはなかなかいいものなのかもしれないと思い始めていた
「そう、肝心な報告を忘れちゃいけない、ウナさん側がOKを出してきました
あと脇を固めるキャストはこんな感じです」
「実力派揃いですね」
「相手の男性は今この3人で難航しています、シン監督と意見が分かれちゃってね」
「チョさんはもっと色気が欲しいって言うんだよ」
「この彼なんかいいと思うんだけど若いんだよね…」
「こっちは舞台出身…こっちは新人」
「うーん…みんないい男なんだけどなぁ…何かひとつ…」
くふ…
ドンジュンが見たら「どれもぜんっぜんダメダメじゃんっ」なんて言って強がりそう
「スヒョンさん、この人たちと会ってみましょうか」
「僕が?」
「ふたりのショットでカメラテストしたいな…どうも絵がまとまらない」
「そうだな、相性ってのでも変わるし」
「ふふ…いいですよ」
「よし決まりだ、この日に一緒に組み込もう」
「あと大まかなスケジュールです、ここが顔合わせでここからホン読み…」
「プロモ発表って?」
「また改めてお話しますが今回は記者会見はしません、すべてVTRのみの発表を企画しています」
「メディアをうまく使っていくつもりです」
「なぞの映画ってことです、うははは」
「この辺りはずっとカンヅメってことですか?」
「ってことです」
「冒頭の病的な孤独のシーンは一気にいきましょう」
「まぁ一時的に世間と隔絶されることになりますね」
ああ、最高レベルにふくれたドンジュンの顔が思い浮かぶ…
一点の曇りもなく ぴかろん
「寂しくない?」「不器用だな…」
ふたつの言葉がヨンナムの頭の中を駆け巡っていた
慰めのつもりで抱きしめてやったのに逆に引っ掻かれたような気がする
帰っていった男を、何とか笑顔で送り出したが、引き戸が閉まった途端、ヨンナムは表情を失くした
自分のために淹れたコーヒーを飲み、一息ついて気持ちを切り替える
仕事に出かけよう…
コーヒーを飲み干してカップを洗う
二階で寝ているテジュンに声をかける
「配達に行ってくる
昼飯は外で食べてくるからお前、自分でなんとかしろよ!
出かけるなら戸締りたのむぞ!いいな!」
大きな声で階上に伝えると、ヨンナムは出掛ける用意を始めた
靴を履いた時、どどどどっとテジュンが階段を走り降りてきた
何度言っても乱暴に降りてくるな、こいつ…
そのうち階段の板が割れるぞ…怪我しても僕は知らない…
スニーカーの靴紐を締めながらそう思った
「僕も手伝うよ」
ヨンナムは驚いてテジュンの顔を見上げた
どういう風の吹き回しだろう…
ヨンナムは、いいよ休んでればいいだろ?と断ったが、後から文句を言われちゃかなわないから手伝うと言い張るテジュンに折れた
少し考えて軽く配達できる先に行ってもらう事にした
「BHCに配達したい?」
そう聞くとテジュンは嬉しそうな顔をして頷いた
「…。なるほどね…。そんなに好きか…」
厭味ったらしく言ってやったのにテジュンはニヤニヤしている
なるほど…そんなにあの男が…好き?…
ヨンナムはテジュンに頼む配達先をメモし、午後からでいいからと言い残して仕事に出かけた
テジュンはヨンナムを見送り、午後からなら少し眠ろうと思ってもう一度部屋に戻り、毛布を被った
午前中の配達が終わる頃、ヨンナムはテジュンからの電話を受けた
配達先のメモにBHCを書き忘れてないかという確認の電話だった
ヨンナムは満足そうに笑うと、書き忘れてないよと言って一方的に電話を切った
ははは、誰がテジュンの思い通りにさせてやるか…
ヨンナムは少し愉快な気持ちになった
電話を切ったテジュンは、信じられないというような顔をして、ヨンナムがいつも座っている座布団を蹴飛ばした
前言撤回だイナ!
誰にでも優しいっての…
イナ!あいつは僕には冷たい!
テジュンはもう一度座布団を蹴飛ばし、ヨンナムの首を絞めるかのように座布団の縁を両手で絞め、手を緩めてポスっとパンチを食らわした
僕には…冷たいからな…
ふふふ…とテジュンは小さく笑った
昼ご飯を配達先の食堂で食べた後、ヨンナムはジョギングしている団体をみつけた
週に何度かこの時間帯にその光景を見かけた
ヨンナムはトラックから降りて、その一団に近づき、一緒に走って様子を探った
この一団は、近くの会社の社員たちで、一人が始めた昼休みのジョギングを、皆が真似してこんな風になったというのだ
ヨンナムはこの一団が走るコースを聞き出し、先回りしてミネラルウォーターの試供品を配る事にした
小さなペットボトルをゴール地点であるその場所で一人一人に手渡し、宣伝をする
三十人ほどに渡し終えると、そこら辺にいた、ジョギング団体とは関係ない人々まで集まってきて、手を出した
笑顔で人々に試供品を渡し、順調な宣伝活動を終える
手元に1本、試供品が残った
ヨンナムはその1本を開けて自分の喉を潤した
ああ、やっぱりウチの水は旨い
そう思いながら空を仰ぐ
いい天気だ
今日も僕は元気に過ごしてますよ…
一点の曇りもなく…
曇りも…
ないわけではないか…ふぅ…
それは嘘です
でも…元気に暮らしてますよ…
空に向かって笑顔を向けた
ふぅっと息を吐いて辺りを見回す
営業活動も順調だし、テジュンが手伝ってくれるので時間が少し空いたし…
少し休憩しますか…
と自分に向けて言うと、ヨンナムはここでのお気に入りの場所に行くことにした
誰も行こうとしない場所
いや、忘れ去られたかのように存在するその場所
こちらと繋がっているのに隔たれたような場所
そこにいると安心できるような気がして、ヨンナムは時折この場所で心を休める
見えない扉を開けて、その場所に入ろうとした時、ヨンナムは先客がいることに気がついた
地面に突っ伏して泣いているスーツ姿の男だ
大の大人がなんという有様だろう…
扉を開けるまで気がつかないなんて…
やはりここは隔たれた場所なんだという思いと、自分だけの場所を侵された思いとが入り混じって、ヨンナムは見えない壁の部分で立ち止まった
泣きじゃくっていた男はやがて立ち上がり、てのひらで涙を拭ってその場所から出て行く
ヨンナムは数メートル程距離を置きながらその後をついて行った
歩きながらも涙する男は、左手で頬を拭い、右手の甲に歯を立てて歩いている
子供だ…
ほんとにこの人は…
スーツについた土や草を祓う事もせずに、トボトボと歩いていくその男、イナを、興味深く観察した
イナは時折立ち止まり、はぁっとため息をついて、また拳を噛み、歩く
何を泣くことがあるのだろう…
またテジュンに何か言われたのかな…
そんなに泣くのならテジュンの相手なんか辞めればいいんだ…
ヨンナムは公園を出るまでイナの様子を見つめていた
道路に出て、イナはバス停のベンチにぼんやり座った
帰るんだなと思い、ヨンナムは自分もトラックの方へ進んだ
それにしてもなんでこんなところへ?…どうでもいい事だけど…
ヨンナムはエンジンをかけて公園の近くの店に配達に行った
バス停で気持ちが落ち着くのを待っていたイナは、時計を見てはっとした
あまりぐずぐずはしていられない
バスは何に乗ればいいか解らない
尋ねる人もいないし、タクシーを拾わなくては…
涙を拭いながら立ち上がり、道を流すタクシーを探した
左手をひらひらさせて合図するが、空車のくせに停まってくれない
何台もの車が乗車拒否をしている…
なんだよ!この辺りのタクシーって感じ悪い!
イナは拳を噛んだまま、また一台のタクシーにひらひらと合図した
近くの店に配達をして、さっきの場所に戻ってくると、イナが拳を噛みながらタクシーを拾おうとしているのが見えた
ヨンナムは少し離れたところに車を寄せて、スーツに草だの土だのをつけたまんまの、子供だか大人だかわからないその不思議な男を観察した
観察日記が書けそうだ…
ヨンナムはふふっと鼻で笑ってイナを見ていた
ことごとく乗車拒否に遭っている
そりゃあそうだろう…
泣きはらした顔の、拳を噛んだ汚れた服の男は、どう見たって変だ
ヨンナムは車をそろそろと動かしてイナの前を通り過ぎた
気がついたら乗せてやっても構わない
しかしイナはヨンナムに気づかない
通り過ぎてからヨンナムはチッと舌打ちをした
そして路肩に車を停めてイナの方に近づいていった
タクシーのばか!
それでもサービス業かよ!
イナは右手の親指やら手の甲やらを無意識に噛みながら流れてくるタクシーに合図を送り続けていた
普段ならきっと無理矢理停めて怒鳴りながら乗り込んでやるのに、今日はやっぱり気弱だ
朝にハッタリをきかせすぎたからなのか、その後はぐちゃぐちゃだ…
また一台拒否された
その時誰かが右腕を掴んで引いた
「美味しいの?君の手は」
「…」
さっきまで思っていた人が目の前にいるので、イナは気恥ずかしくなった
「傷になってるよ、強く噛んだの?それとも君の歯が鋭いの?」
自分の拳をまじまじと観察するヨンナムにどぎまぎした
ヨンナムはイナに笑顔を向けて、送ってあげると言った
イナはヨンナムに甘えたくなかったので結構ですと断った
断られると不思議なもので、どうしても送りたくなる
ヨンナムはイナに車に乗るよう、執拗に勧めた
イナもまた、意地になって断り続けた
「どうやって帰るの!店に間に合うの?」
「タクシー…捉まえるから…」
「停まらないじゃない!」
「…」
「わかった。じゃ、歩いて帰ればいいよ。問答してるうちに次の配達先の指定時間になっちゃう…」
「…歩いて…」
ここまで歩いて来たのなら、記憶を辿れば僕の家に着く
それからまた歩いてどこへでも帰ればいいだろ?
ヨンナムは言い放ち、トラックへ向かった
イナはぽかんと口を開け、ヨンナムの方を見つめた
そしてフフッと笑った
ヨンナムはその瞬間を見逃さなかった
なぜ笑う
何を笑うと静かにイナに詰め寄った
イナはフフフと笑いながら首を横に振って誤魔化した
ヨンナムは訝りながらトラックの運転席に乗り込み、車を発進させた
イナはトラックの後姿をフフッと笑って見送り、記憶を辿りながら歩いて帰ろうと思った
運転しながらイライラした気持ちを抑えられず、ヨンナムは無意識に右手の親指の付け根を噛んでいた
その行為に気づき、自分にむかついた
昼間の配達を終えて戻る途中に、またイナを見つけた
まだこんなところを歩いている
ほんとに間に合わなくなるぞ…
ヨンナムはイナの横に車をつけて声をかけた
「乗りなさいよ」
「…いえ…いいです」
「強情だな…仕事に間に合いませんよ」
「え…」
「僕の家からここまで何時間かかったの?」
「…三時間…」
「戻り方知らないんでしょ?」
イナは口を閉じて歩いて行く
ヨンナムはムカついて車から降り、イナを強引に車に押し込んだ
「乗って!強情張って仕事に穴を開けるような人は嫌いだ」
別にヨンナムに嫌われたところで生活に支障はないと心の中でぼやいたものの、ヨンナムが本気で怒り出しそうだったので、
イナは大人しく助手席に座った
で、どこへ送ればいいの!
ああもう完全に怒ってるみたいだ…
けどなんで俺がヨンナムさんに怒られなきゃいけないんだろう…
どこへ送るの!
…
イナはRRHと告げた
ヨンナムは片眉を上げて非難するような顔つきでイナを見つめた
イナは慌てて、いや、店の近くまででいいですと言い直した
ヨンナムは無言で車を走らせた
見覚えのある町並みに着いた
もうこの辺でいいですとイナは言った
ヨンナムは車を停めた
降りようとしたイナの腕を掴んでヨンナムが聞いた
バス停で、僕の事、笑ったでしょ…
は?
僕を見つめて馬鹿にしたように笑っただろ…
は…あ…。馬鹿にしてなんか…
じゃあなぜ笑ったのかと真剣な顔で聞くヨンナムに、イナは一呼吸おいてから答えた
だってヨンナムさん…俺には冷たいから…
ヨンナムはギロリとイナを睨んで腕を離した
そして無言で車を動かした
ほんとに俺には冷たいんだから…
イナはそう思ってまたトラックを見送った
そういうところもあってよかったと、イナはくすくす笑った
La mia casa_26 妄想省家政婦mayoさん
朝飯の後にテスと洗濯を済ませた闇夜はリュルの会社へ出向いた..
テソンは昼前に「今日と明日昼間留守にするから..」と出掛けた
テスはキッチンでステンレスの大きなボールの中身を混ぜて奮闘中
昼過ぎに戻った闇夜は入って来るなりテスのボールを指さし..
「ぁ!!..私も食べるからっ#..」
スーツを着ていた闇夜はバタバタと部屋に入った
キッチンの床にいたはるみはタッタッタ...と闇夜を追いかける..
「ちぇみぃ~ご飯追加~」
「はぃはぃ..」
「ナムルも追加~~」
「はぃはぃ..コチュジャンどんとたっぷり..」
「駄目っ#..僕あんまし辛いの嫌だもん..」
「はぃはぃ..」
「ちぇみぃ..返事は一回#..」
「はぃっ..」
俺はこのたれ目の"カミさん"に忠実である..^^;;..
いつものカーゴパンツ&黒シャツの闇夜がはるみを抱いてキッチンに戻ってきた
「いひひん..旨そぅ...」
「テソンさん特製10種ナムルだもん..美味しいよ..mayoシ..」
「だね..ひひん..」
テスが混ぜ終えた大きなボールに俺が軽く火を通した極上カルビを乗せ..海苔をパラパラ..
「へへぇ~..特製ビビムパブ完成~~..^o^..食べよぉ~~っ」
「「ぉぅ!」」「んみゃ#」
俺等3人はテスがキッチンの床にでんっ#っと置いたボールを囲んで座った..
ボールの中のビビムパブめがけてカチャカチャと各自のスッカラ(スプーン)がせわしなく突っ込まれ
わしわし..もぐもぐ..俺等3人は食べ始めた..
んにゃんにゃ#...っとはるみは俺の腕を叩き..ボールの中の肉だけを指す..
小さい皿に肉を取ってやるとはるみは嬉しそうに食べる..
サシの入った柔らかい極上カルビを解っている実に鼻のきく猫だ..ったく..
闇夜が床に置いた皿からサンチュを取り.ビビムパブを乗せ..肉をのせ..小さく丸めてテスの口に入れた..
してもう1つ..サンチュにビビムパブとた~~っぷりのコチュジャンを乗せ..くるんだ..
『闇夜が食うのか?..』
っと思いながら俺がスッカラに取ったビビムパブを運ぼうと口を開けた瞬間..
テスが闇夜から受け取ったサンチュビビムパブをいきなり俺の口に放り込んだ...
「んぐぐっ..(辛すぎる#..(;_;)..」
「「「(^o^)..(^o^)..(>▽<)〃...」」」
もぐもぐと涙目で口を動かす俺をテスと闇夜..はるみまで一緒になって笑う..
(>_<)..(>_<)..(>o<)..
2人とはるみにぐぅー★を落としたのは言うまでもない..
ビビムパブを堪能した俺等はしばらく冷蔵庫やキッチンの壁に寄りかかっていた..
腹が落ち着いたところで片づけを済ませテーブルに移った
キッチンで茶を淹れてる闇夜にリビングの椅子に座るテスが聞いた..
「mayoシ..テソンさん..何処行ったの?」
「ぅん?..師匠のところだって」
「師匠って?」
「ぉん..調理師学校時代の先生だって..」
「初めて聞くな..行き来してたのか?テソンは..」
「BHCに来て..落ち着いてからまた連絡取ってたみたい」
「僕..聞いてことある..厨房で..」
「そ?」
「ぅん..テソンさん..元々仏料理のシェフになりたかったけど
先生に強く勧められて日本料理に専攻変えたって」
「そぅそぅ..その先生をテソンは師匠って呼んでる..」
玉露を淹れた闇夜がテーブルについた..
「その師匠が学校の先生辞めて..和食の店出すんだって..明日開店とか言ってた...」
「じゃ..手伝いに行ったってわけ?」
「ぅん..夜はBHCがあるから..仕込み手伝うって..」
「その師匠って..どんな感じの人なんだろぅ..聞いた?mayoシ..」
「んっと..日本の..和食の料理人..のざき..」
「ぁ..のざきひろみつ?」
「テス..何でお前んなこと知ってるんだぁ?」
「だって.."きょうの料理"で見たもん..」
「ぁりゃりゃ..そぅ..^^;;..」
「ぷっ..テソンの話では..その人に似てるんだって..」
「訥々して話すけど..温かくて懐深い感じの人なんだよ?その和食の料理人..」
「そっか..」
「ぅん..」
俺等3人は..ずずず...っと茶を飲みながら沈黙した..
テソンはその師匠と呼んでる人物に少しだけ父親像を重ねている..かもしれない..
そして茶を飲んでる俺等は同じ事を考えている..のだろう..
3人が同時に..ふっ..っと小さくため息をついた後..
闇夜がテスに顔を向けた..
「テスシ..」
「何?」
「この間の写真..出力してくれるかな..」
「??..チマチョゴリの時の?」
「ぅん..そぅ..」
「ぃぃょ..何に使ぅ..ぁっ..送るんだね?」
「ぅん..きっと..待ってる..と思うんだ..」
「そだね..ちょっと待ってて..」
テスが部屋へ行こうとするのを制し..俺は部屋からノートPCをリビングに持ってきた..
「へへ..サンキュ..ちぇみぃ~~」
「ん..」
テスはPCを開き..取り込んだ画像ファイルを開いてから..3人+はるみで画面を覗いた...
「テスシ..4人写ってるのがいいかな..」
「はぃょ..」
「あれ?..このちぇみ..顔デカ..目立たない..」
「ちぇみぃ~~..何か技使ったねっ..」
「ん....オートシャッターの時..顔だけな?..ちぃ~~と後ろに引くんだ..」
「「「ぷっひひ....ぁはは...ンッケケケ(>▽<)..」」」
「そっかそっか..ぃぃね..それ..」
「だろ?..ん..」
「mayoシ~テソンさんだけのスナップもあったほうがぃぃょ..ちょっと可笑しい顔とかさ..」
「そ?」
「ぅん..こんな顔もするんだ..って思ってくれるかもょ?..」
「そうだね..」
テスと闇夜は何枚かの画像を選び..光沢のあるA6の用紙に出力した..
「喜んでくれるかな..」
「大丈夫だよ..mayoシ..^_^..ねっ..ちぇみぃ」
「ん..」
その後..闇夜とテスが家政婦モードをこなす間に俺に電話が来た..
店に行くまでには戻ると闇夜に伝え..俺とテスは出掛けた..
Let's cooking びょんきちさん
「私ね、料理テジだけじゃなくって、チャンジュおねえさんやパッカさんにも習ったの」
「なんだよ、パッカのやつ、俺に黙って・・」
「パッカさんとチャンジュおねえさんとテジは仲良しよ。3人でいると親子みたい」
「なんだと、パッカにはテジは渡さないからな」
「なに馬鹿なこと言ってんのよ。パッカさんはテプンの親友じゃない!」
「うん、だけどさ」
「チャンジュおねえさんとパッカさん、どうして籍入れないんだろう?」
「パッカが俺の義兄さんになるなんて、絶対に嫌だからな!」
「テプン!おねえさんにも幸せになってもらいたいでしょ」
「そ、それはそうだけどさ・・」
「私ね、家事とか全然ダメだから、チャンジュおねえさんに教えてもらったんだ」
「チェリム、無理して料理しなくてもいいんだぞ。家事なんかできなくったっていいんだからさ」
「やだよ、そんなの、私は嫌なの。ねえねえこれ見て。この包丁いいでしょ!」
「お前!そんな刃物をちらつかせて、危ないじゃないか!」
「これね、テソンさんにもらったの。私達の結婚お祝いだって!」
「あいつ常識ないなあ。結婚祝いに刃物送るやつがいるかよ・・」
「テソンさんには、お料理のレシピとか、教えてもらったこともあるし」
「ふ~ん」
「あのね、包丁は料理人にとって武士の刀と同じなんだって・・」
「あいつが言いそうなことだ。それより、いつテソンと仲良くなったんだよ」
「BHC行ったことあるじゃん。その時、メアド交換した」
「お前、いつの間に・・」
「あっ、スヒョンさんのメアドも教えてもらってね。編み物教わったの。今、テプンのマフラー編んでる」
「お前さ、勝手にほかの男と会うなよ」
「どうして?みんなテプンの友達じゃん」
「だってよ、お前は女だぞ。あいつらは男だぞ。もしそのあの間違いとかあったら・・」
「やだ、テプンそんな心配してるの?可愛いっ」
「馬鹿野郎!そんなんじゃないよ」
「あっ、お料理中断しちゃったね。早く作らなくっちゃ!」
「俺も手伝うよ。でもずいぶんいっぱい作ったよなあ」
「だって、お料理の本に書いてある分量、みんな4人分なんだもん」
「だったら、半分の分量で作りゃいいだろ?お前そういうところは頭悪いんだな」
「こんなにいっぱい食い切れないし・・今日テジも呼ぼうか!」
「ダメッ!今日は2人きりで過ごすの」
「だってよ。こんなにいっぱい食い切れないし・・」
「テジには、明日持ってってあげようよ」
「うん」
「あとはご近所にお裾分けすればいいじゃない。さっきの火事騒ぎで迷惑かけちゃったしね」
「そうだな」
「テプン、すっごく男らしかったよ。私のこと守ってくれて嬉しかった」
「えっ?」
「謝ってるテプン、かっこよかったよ」
「俺、馬鹿だからさ、謝るのは慣れてるんだよ」
「私はダメ、絶対に謝ったりできないの。本当にダメな人間よね。だからテプンのこと尊敬しちゃった」
「えへへ、そんなことないって・・」
「私って外面はいいけど、家に帰ると何もできない。テジに言われてはじめて気がついたの」
「そっか」
「だってさ、いつも部屋は散らかし放題だし、掃除も洗濯も料理もなんにもできなかったんだもん」
「でも、できるようになったじゃん」
「うん、ちょびっとだけね」
「一緒に料理作ろうか」
「うん」
「その変なゴーグルとか、水泳帽は取れよ。可愛い顔が見えないじゃんか」
「わかった」
ものすごいスピードで大根を切るテプン。
冴え渡る包丁技。あっというまに山盛りになる大根。
その横でチェリムはドレッシングを作る。
醤油、辛唐辛子粉、すりおろにんにく、砂糖、酢、胡麻油、
これらを合わせたボールに千切りの大根を入れて和える。
器に盛り、細切りの青じそと海苔をトッピングしてサラダの出来上がり。
作り過ぎてしまったチヂミのたねの半分はすいとんにしよう。
鶏ガラスープで水餃子風にアレンジ。隠し味は生姜汁。
白髪ネギをこんもり盛ってクコの実を散らす。
テーブルの上がいっぱいなので、チヂミは焼いておくことにした。
ホットプレート全体を使って作った特大チヂミ。
これを、クッキーの型でいろいろな形にくり抜いていく。
ハート型、星型、お魚、お花、動物・・・テジがいたら喜ぶだろうなあ~
「これ可愛いね。明日テジんちに持っててあげようね」
「3人で住めるようになったら、テジのお誕生日パーティーやろう。友達もいっぱい呼んでさ」
「うん、早く一緒に住みたいね!」
「さて、次はジャージャー麺だ!」
しいたけ、ねぎ、たけのこ、生姜はみじん切りに、キュウリは細切りにする。
麺は茹でて冷水にさらしてよく水気を取り、皿にに盛り付けて置く。
弱火で、しょうが、ねぎ、豆板醤をいため、ひき肉を入れて強火でいためる。
しょうゆと甜面醤を加え、鶏ガラスープとコショーで味を整え、水溶き片栗粉を入れる。
麺の上に細切りキュウリと肉味噌を乗せて出来上がり。
「さあ、できたぞ。冷めないうちに早く食おうぜ!」
「うん、やっぱり料理はテプンだね!」
2人は満面の笑顔を浮かべながら食卓についた。
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