ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

リレー企画 202

千の想い 61  ぴかろん

小さい頃からテジュンは好きな子が出来ると必ず僕に紹介した
僕に会わせると決まってみんな大喜びするんだ
そっくり、そっくりってね
小さい頃からずーっとそうだった…
もう条件反射のように僕に一番に紹介するんだ
恋人を帰した後、僕に感想を聞く
どうだった?どう思う?お前の好みか?手を出すなよ
そしてデートの時、三度に一度は僕を呼び出すんだ
僕が行っても差し支えないデートにね
最初、なんで僕はついていったんだろう…
多分あいつが「お前にも出会いのチャンスが訪れる」とかなんとか言って…
それから暗黙の了解っていうか…やっぱりこれも条件反射なのかな…
誘われる度に生真面目にデートについていった…

僕の目の前で二人はいちゃいちゃする
僕は仕方なく笑っている
つまり、見せ付けられてるってわけだよ…

そうこうするうちに、決まってテジュンは忙しくなるんだ
何で忙しくなるのか、理由は様々だったな
追試があるとかクラブが忙しいとか友人の手伝いを頼まれたとかバイトが大変だとか…
そして恋人は放っておかれるわけだ
あいつは何かに没頭すると恋人の存在を忘れてしまう
今と同じだ
辛くなった恋人は僕のところにやってくる
相談に乗ってほしいってね
僕は彼女達を慰め、励まし、求められるまま抱きしめる
何やってるんだろうって何度もイヤになった
それが続くと彼女達は僕を『恋する瞳』で見つめるんだ
初めのころは嬉しかった
ようやく僕を見てくれたんだって思った
でも違うんだ
彼女達が『恋する瞳』で見つめるのは
僕の中のテジュンなんだ…


ヨンナムさんは一呼吸置いて、また焼酎をグビグビと飲んだ
ねえ、貴方も俺の中に『彼女』を見ていたじゃない…
それには気付かないの?


大学に入って少し経った頃、同じクラスに可愛い子がいた
僕は彼女と話をし、仲良くなった
テジュンには内緒にしておいた
あいつとは学部も違うし『大丈夫だ』と思ってた
ところがだ…
数週間後、彼女はテジュンと寄り添って歩いていた
二人と偶然出くわした時の僕のショック、わかる?
頭がまっ白になってる僕にテジュンは照れくさそうな顔で
「彼女から告白されちゃった」って言ったんだ
僕はなんて答えたっけな…覚えてないや…
二人のデートに誘われても、僕はもう顔を出さなかった。馬鹿馬鹿しくて…
そしてまたお決まりのパターン
テジュンは何かに夢中になって、その子をないがしろにした
彼女はやっぱり僕のところにやってきた。うんざりだった
でも…

「最初にね、貴方だと思って彼に声をかけたの…」
「え?」
「私、貴方が好きだったの」
「…」

僕と間違えて声をかけたのがテジュンで、それから付き合い始めたって言うんだ

「じゃ、君はこういう顔が好みなんだね」

嫌味たっぷりに言ってやった
彼女の大きな瞳から涙が零れた
僕は騙されないぞと思った
彼女は僕から目を逸らさずに抱いてほしいと言った
抱いてって抱きしめるの?お安い御用だよ
僕は彼女を抱きしめた
彼女は泣きながら僕の耳元で言った
貴方が欲しいのと
今思うと安っぽいセリフだよね
でも僕はのぼせ上った
玄人の経験はあったけど、普通の女の子とそういう関係になんてなった事はない
テジュンの恋人だ
テジュンの…
そう思うと余計に熱くなった
言い訳を百個ぐらい用意した
お前が放っておいたから
彼女が寂しそうだったから
僕を求めていたから
でも
本当の理由はやっぱり
『彼女の事が好きだったから』だろうな…

僕は彼女と寝た
テジュンと比べられたくなかった
初めて同然なのにテジュンより劣るのはイヤだった
僕の名を呼ぶ彼女をマニュアル通りに攻め立てた
うまくいってるか?
うまくいけば僕は幸せになれる
そんな事を心の中で唱えながら彼女の荒い息を呑み込んだ
彼女とうねり続け、極みに到達しようとした時、彼女は小さく繰り返した
テジュン…テジュン…

僕の頭はまた真っ白になり
それでも体は止まらなくて
なりゆきに身を任せた

怖ろしいほどの快感と喪失感
なんだ
こいつもやっぱり僕の中にテジュンを求めていたんじゃないか…
僕が好きだったなんて言いながら僕に抱かれてテジュンの名前を呼ぶ
酷いよね…騙されたと思ったよ
彼女、テジュンの名前を呼んだ事、気付いてなかったんだ
終わった後、天使のような顔で僕に微笑みかけた

気付いてなかったって言う事は…それでテジュンの名前を呼んだって事は…テジュン並みにはうまくやれたんだよな…

胸が痛いくせに強がって自分自身を励ました
その晩、彼女をずっと抱きしめてあげていた
僕は虚しくて眠れなかった

みんなそうなんだ
僕を求めるのは僕が彼のコピーだからだ


「ギョンジンも…ラブと初めて寝た時、別の人の名前、呼んだんだ…」
「…」
「酔っ払ってたから…」
「お前の名前か?」
「…」
「へぇ…お前、ギョンジン君と」
「違うよ」
「何が違うの?僕まだ何も言ってないよ」
「…」
「みんなそうなんだ…僕の中のテジュンを求めて…」
「ヨンナムさんだってそうじゃんか。俺の中に彼女を求めて俺にあんな」
「ああそうだよ!」

荒い返事をしてヨンナムさんはまた酒をあおった

「だからわかるだろ?僕の気持ち…。それがどんなに哀しいか…どんなに悔しいか…」
「…」
「僕とお前はおあいこだよな?もう謝んなくていいよな?!お互い『大好きな人のそっくりさん』と抱き合ったんだから。は!」
「…俺は…ヨンナムさんはテジュンのコピーだなんて思ってない…」
「は!前に『そっくりだ』って言ってたじゃない」
「そっくりなだけだ。コピーなんかじゃないよ、全然違うもん。多分…貴方に恋した人たちって本当に貴方が好きだったんだと思うよ」

俺がそうだから…

「ふふふ…ははは。じゃ、なんで離れていくの?キスしたり抱きしめたり抱いたりした途端なんで離れていくの?!」
「…それは…」
「僕に満足しなかったからだ」
「ヨンナムさん…」
「ああ…いやだな…。とにかく僕は…あいつのしでかした事のとばっちりばかり受けてたんだよ」
「…」
「もっと積極的に恋人奪ってやればよかったかな、ふん…」
「…。俺、貴方が彼女を受け止めなかったのは…テジュンに遠慮してるからだと思ってたんだけど…」
「遠慮?ふ…遠慮なんかしない。僕がその人の事を好きで、その人が僕自身を見つめてくれる人だったら絶対に奪ってたよ。でもそんな人、いないもんな…」
「…貴方の思い込みじゃないの?俺、前にも言ったよね。ヨンナムさん『あの時が一番幸せだった』とか言った時。どうして決め付けちゃうの?なんで聞かないの?『ホントに僕が好き?』とか『僕と付き合う気はあるの?』とか…」
「いやだよ!『本とはテジュンの方が好き…』なんていわれるの…絶対イヤだったもん…」
「…そか…そっか…わかったよ…なんで受け止めなかったか…」
「…なにさ…」
「傷つくのが怖かったんだね、貴方…」
「…」
「その…大学生の時の出来事が」
「トラウマだって言うつもりか?あんな事が?大げさだな!」
「だってその後はいくら言い寄られてもテジュンの恋人達に手出ししなかったんだろ?」

ヨンナムさんはニヤッと笑ってまた酒を飲んだ

「キスは手出しした事にはならない?ん?」
「え…」
「キスぐらいはしたよ。デートもした…。懲りない男だな、僕も…。『もしかしたら、今度こそ』って気持ちがどこかにあったのかもしれない…」
「…」
「ほら、お前にだってキスしたじゃん、何度も…それとおんなじっ」

2本目の酒を飲み干してヨンナムさんは次のビンの栓を開けようとした
うまく栓抜きがひっかからなくて、ヨンナムさんは俺に瓶を渡した

「おい、イナ。その『りすっ歯』でコキンと栓抜いてくれ」

俺は瓶を受け取り、テーブルに放り出された栓抜きを拾い、栓抜きで栓を開けた

「ちぇ…つまんねぇ奴」
「絶対ペース早いよ。こないだみたいなのごめんだよ」
「だからっ。お前のペースが遅すぎるんだよ、あいつの事ぐっちゃぐっちゃ喋るからっ!」

怒っているのかそうでないのかわからないような顔をして、ヨンナムさんはまた酒をゴクリと飲み込む
俺も一口飲んでヨンナムさんに言った

「わかんないな。テジュンとヨンナムさんって仲悪いの?」
「…」

ヨンナムさんは焦点がぼやけた瞳を俺に向けて言った

「僕達お互いに一人っ子でさ、同い年じゃない?そっくりだからよく双子に間違えられた…。兄弟同然だよな…友達って言うには親しすぎた」
「…うん…」
「兄弟ってさ、最大の親友であり最大のライバルであるって僕の友達が言ってた。そいつには弟がいて、弟は可愛いんだけどめちゃくちゃムカつくんだって…。テジュンは本当の兄弟じゃないけど、そいつの言う『兄弟の感情』は、まさに僕のテジュンに対する感情と同じだったな…。近親憎悪ってやつ?それだよ…」
「…俺…兄弟がいないからよくわかんねぇな…」
「ぅふん…いるじゃん…いっぱい…いっぱぁぁいいるじゃん、BHCにさぁ…」
「…あれは…仲間だもん…」
「ふふ」
「…ヨンナムさん…BHCの奴等は、皆、顔はそっくりだけど、それぞれ違う人間だよ。違う魅力があると思う。貴方とテジュンも…やっぱり違う人間だ
だから…コピーなんかじゃないよ…貴方は貴方だ…そりゃ、戸惑うけど…でも俺は間違えないよ」
「けどお前、ソクさんとテジュンとを間違えた事あるじゃん」
「…ああ…うん…。でも今は間違えない。テジュンは…テジュンだもん」

貴方は貴方だし…

「ふ…」
「傷つく事が怖い?」
「…」
「怖がってちゃ何にもできないよ、ヨンナムさん」
「…。説教?」
「そうじゃないけど…思い込みで判断するのはやめなよ。俺も思い込んでた…」
「…何を?」
「テジュンに遠慮してると思ってたことさ…」

そうだよ…
なら俺
貴方に『好きだ』って言っても
よかったんじゃないだろうか…
でも…

「…。表面だけ見てても中味はわかんないよな、試してみなくちゃ…」
「うん。ヨンナムさん、今度機会があれば試してみればいい」
「何の機会よ」
「だから」

『テジュンの恋人が貴方に言い寄ってきた時』

思い浮かんだ言葉を慌てて消した

「…トイレ行ってくる」
「ん…行っトイレ…」
「はっ!」

くだらないダジャレを真面目な顔で呟いてヨンナムさんはまた酒をあおっていた
飲みすぎだよね…飲みすぎだ…

俺がもし、貴方に『好きです』って言ったら
貴方、信じてくれるのかな…
テジュン、ヨンナムさんとお前ってどういう仲なのさ
わかんねぇ
お前とヨンナムさんの間の感情ってややこしいな…
お前といると楽なのに、なんでこんなに胸が痛くなるんだろう、ヨンナムさんといると

トイレから出て、廊下で深呼吸した
灯りが漏れる居間の方を見て、俺はそちらに歩き出した


La mia casa_36  妄想省mayoさん

お嬢はテソンが中庭からリビングの俺等に視線を向けたと同時に
タッタッタ..と廊下に立つテソンに駆け寄った..

「「「「いらっしゃい..^^..^^..^^..^^..みゃみゃぁ(>▽<)//...」」」」

浅黒い濃顔の本命さん(だよな..はは...^^;;..)は
俺等が雁首揃えて出迎えたことにひゅ#..っと微かに怯んだ様子を見せたが..
「何だ何だ..突っ立てるつもりか?..入れ..入れ..」と俺が軽く背を叩き..
顔と反比例する濃顔さんの繊細な"うつくしい指"を..
テスがぽちゃぽちゃでにぎにぎし..そのままリビングへ引き入れた..

「…?!..@@?...」
テソンとお嬢は濃顔さんの顔を覗き込む..

「テジュンさん..晩ご飯..食べました?..」
「えっ?..ぁ..あれ?..どうだっけ..食べてないかも..」

…き--ぃゅぅぅ♪~~い#..ぎゅ#きゅ..ぎゅる♪..ぎゅ#..ぎゅ#..ぎゅる♪ぎぃゅぅぅぅ@~~~ぎゅ#....

濃顔さんの腹の♪は顔に比例し..実に濃厚なリズム..そして複雑な音階を奏でた..
闇夜はさささ...とキッチンに立ち..テスはランチョンマットを敷き..カトラリーを並べた..

…どうじょ^^..のーがおしゃま(^o^)//..
お嬢は椅子の座面にタン#..っと乗り..トントン叩く..
濃顔さんの"うつくしい指"でほっぺをツンツン#されたお嬢は

…ゃぁ~ん..みゃみゃおん..ひ~~ん..(e▽e)..
っと両前足を軽く重ねたまま嬉しそうにふるふると肩を前後に揺らした..
濃顔さんに抱き上げて貰うのは憚れたのか..
お嬢はテソンに前足を伸ばし..「くふふ..」と微笑んだテソンにお嬢は抱き上げられた..

椅子に濃顔さんが座り..男3人はいつもの位置に座った
料理を運んできた闇夜が椅子に収まってから
ボトル1/3強残っていたワインのボトルを持ち上げ..濃顔さんに「飲むかい?..」と促した..
掌を上げ..軽く押し出す仕草と共に
「あにょ..」っと..濃顔さんは返事を返し..ぺこりm_m..と頭を下げた..

ミネラルの入ったグラスを手にし..ごくりと喉を潤した濃顔さんは
俺等4人とお嬢の視線を存分に浴びながら
ナイフとフォークを手にし..本日の料理を食べ始めた..

「夜はいつもちぇみさんが作るんですか?..」
「ん~~..決まってないな..テソンが下ごしらえて..俺が仕上げることもある..な?.」
「ぅん..」
「そうですか..いつもこんなに豪華なんですか?..」
「ふぉ?..そいつ..豪華に見えるか..ぷはっ..」
「ソースが..見た目はとても濃厚そうなのに..食べるとそうでもない..ジューシーでとても美味しいと思う..」
「はは..そっか...ん..」
「テジュンさん..^^..」
「何..テソン君..」
「ちぇみのこの料理ね..」
「ぅん..」
「材料は豚..ミルク..ローズマリー..の3つだけ..だよね..ちぇみ..」
「ん..」
「それだけで..この味ですか..ぁ..ブイヨン摂るのには様々な材料使うでしょう?..」
「ホテルにいたテジュンさんらしい質問だね..くふっ..」
「ぁは..^^;;..」
「テジュンさんよ..そいつはブイヨンもバターも使ってないんだなぁ..」
「えっ?..うっそぉ~~..」

疑り深い濃顔さんは皿の上でカチャカチャとナイフとフォークを使い..
何か秘密の素材を探りだそうとしている..

「ぷっ..あやかしい物は入っとらんぞ?..」
「じゃぁ..何か秘密が..」
「ん~~..それは3つの材料のバランスだろうな..それに..ちょい手間はかかる..」
「そうなんですか..また..3つのバランスかぁ..」

ボソリ呟いた濃顔さんは感慨深げにソースを絡めた肉を口に入れた..

…@_@じぃ~~..@_@じぃ~~..
闇夜はテーブルに両肘を付き..組んだ手の上に顎を乗せ..
お嬢は闇夜の両肘の間から顔を覗かせ..
闇夜とお嬢は穴の空くほどのガンリキで濃顔さんを見ている..
テソンは闇夜に振り返った..

「そんなに見てたら..テジュンさん..食べられないよ?..mayo...」
「ぉん..だって..」
「ぅん?..なに?..」
「テジュンさんの顔..こぉ~んなに近くで..きちぃぃ~~んと..まじまじぃぃ~~..って拝ませてもらったことないから..」

「「「ぷはは#...」」」
俺とテス..テソンは思わす吹き出し..テソンは闇夜の背をすりすりと撫でた..
丁寧な咀嚼途中..口腔内のものを喉につまらせたのか否か..濃顔さんは目を白黒させた..
ミネラルをまたごっくんした後..濃顔さんが言った

「僕..へ..変な顔してる?..」
「ぁ..ぃぇ..やっぱりパーツがどれも大きいなぁ..って思って..ふふ..すいまっせんっ..」
「僕..鼻だけはデカイって..それはいつも言われるかなぁ..あははは..」

濃顔さんの言葉に俺等4人は互いに目線を素早く送る..
俺の『ぉぃ!..笑っちゃぁいかんぞ#..』目サインをそれぞれが瞬きで返事をする..
だが..テーブルの下で俺等は互いに震える己の腹を押さえ..笑いに堪えていた..
===
「ねぇねぇ..テジュンさん..ヨンナムさんってさ..」
「何..mayoシ..」
「顔のパーツ..全部デカイよね..」
「へへ..そうだよねぇ..」
「くふっ..一人忘れてるよ..」
「ぷっ..ソクだろ?..」
「あは..そっか..」
「特に鼻がデカイな..MK顔は..」
「「「ほんとほんと..」」」

「あの顔3人に囲まれるとさ..イナシが凄~~くあ~~っさり顔に見えるのよぉ..」
「「「あっはっは..確かに..」」」

先刻..揃って飯を食っている最中の俺等4人の会話であった..
===
「でもぉ..」
「ぉ..ぉ..何だ?..」
「顔の大きさはぁ..ちぇみさんの方がぁ.デカ..ぃ..かなぁ...と..」

俺が冗談にぐぅー★を落とそうとすると濃顔さんは尚も続けた..

「ふひ..テソン君も小さい方じゃぁない..よね..」

「「あっははは#(>▽<)..ふっひっひ(>▽<)..んみゃんみゃ(>▽<)//」」

濃顔さんの発したひと言に..いきなり天井向けて吹き出し..
俺等に背を向けて肩を震わせ笑ったのは闇夜とテス..そしてお嬢だ..
闇夜をテスは俺とテソンにそれぞれぐぅー★を落とされ..
ひーひー言いながら..笑い涙を指で掬いながら俺等に向き直った..

俺等の一連の様子を濃顔さんは何とも言えぬ表情で眺めていた..

濃顔さんがメイン料理とサラダの食べ終えるのを見計らい..
闇夜は5人分の小さなグラスをキッチンから運んできた..
5人揃って苺のシャーベットを食べ終える頃合いに俺の携帯が鳴った..

廊下で電話の相手..申と会話の途中..片方の鼓膜が♪Brave Heartを捉える..
ちょいと首を廻し..目線の端で確認したのはリビングで電話を受けている闇夜だった..
===
「ちょいとすまんな..」
と携帯の発信先を確認したちぇみはテジュンさんに断り..廊下の端へ進んだ..
次いで今度は闇夜の携帯が鳴った..着信先を確認した闇夜は
「ぁぃぅ~~..またかい..」っと顔を顰めて呟き..リビングにソファへ進み..会話を始めた..
2人の動作を目で追っていた濃顔さんはちょっと沈痛な面持ちでテスに言った..

「テス君..」
「はい?..」
「ちぇみさんと..彼女の着信音..同じなの?..」
「ぅん..そぅなの..一緒なの..ぐすん..(;_;)..」
「テス君..(;_;)..」

テスが見せたタレ目を5度下げた哀しみの表情にテジュンさんも(濃い)哀しみの表情で答え..
"うつくしい指"がテスのぽちゃぽちゃを慰めた..

「へへ..4人同じなんだよ?..テジュンさんっ..」
「ぁ..ぉ..そう...なの?..」
「ぅん..(^o^)」
「もぉーー#..」
「へへ..ごめんなさい(*^_^*)..」

電話を切ったちぇみが廊下側から戻り..
「悪いな..ちょい仕事がある..ゆっくりしていってくれ..」
とテジュンさんに短く声を掛け..テスと僕に瞬き頷きで合図を送る..
ボトルに残ったワインを自分と闇夜のグラスに注ぎ..ボトルを空にした後..
テスと軽くタコちぅしたちぇみは自分のグラスを持って部屋へ入って行った..

「仕事って..何?..テス君..パン屋さんの仕事?じゃなさそうだけど..」
「あのね..」
「ぅん..」
「それは秘密..へへ..」
「…??..」

モビールの4匹のクマをつんつん...弾きながらリビングで電話を受けていた闇夜が僕の側に戻ってきた

「電話..誰?..」
「ぉん..しゃっちょぉ~~」
「ぷっ..そっか..」
「ごめん..仕事するね..」
「ぅん..わかった..」

闇夜の両頬にほっぺタッチの後..
闇夜はダイニングテーブルの端にあるPCと自分のグラスを持って僕等の部屋へ入って行った..

「彼女の仕事って..何?..テソン君..」
「ん~~...ありすぎて..これ..って言えませんね..」
「???..」

テジュンさんの濃顔はたくさんの???マークで隠れそうだった..


千の想い 62  ぴかろん

居間に行くとヨンナムさんの姿がない
どこへ行ったのかと探してみた
台所にも部屋にも二階にもいない
俺はもう一度居間に戻ってみた
ヨンナムさんは居間の床に突っ伏して眠っている
テーブルの陰に隠れて見えなかったんだ
全く…
俺はため息をついてそれから一人で笑った

しょうがない人だな…

ヨンナムさんの体を揺すり、こんな所で寝るなよと大きな声を出した
予想通り起きなかった
ああもう…こないだと同じだ

「だからヤなんだよな、ヨンナムさんと二人で飲むの…」

今日は俺が『いい』って言ったんだけど…

俺はヨンナムさんの部屋に行き、布団を敷いてまた居間に戻った
ヨンナムさんを無理矢理起こして肩を貸し、部屋まで連れて行った
ヨンナムさんは俺にしな垂れかかって「もういやだ」だの「馬鹿野郎」だの呟いていた
隣の部屋に連れて行くのに5分もかかるなんて思わなかった
三回もこけそうになったし動きたくないってごねるし
酒に弱いんならあんな風に飲むなよ!
そう思って睨んだところでこんな酔っ払いに効き目はない
ようやく布団まで辿り着き、俺はヨンナムさんが頭をぶつけない様に苦労して寝かせてやった
ヨンナムさんの頭の後ろの腕を抜き、離れようとした時、ヨンナムさんの腕が俺の頭を掴まえた

「泊まってくだろ?」
「…」
「もう…1時過ぎた。泊まれよ」
「…じゃあ…テジュンの部屋で寝る。テジュン帰って来るかもしれないし」
「ふん!つまんねぇの」
「何言ってるのさ酔っ払い。腕、離してよ」
「キスしよう」
「は!何言ってんの!」
「キス…してよ…」

瞳が潤んでいた
寂しそうな顔に見えた
ヨンナムさん、みんな貴方を見つめていたのに
貴方がみんなを見なかったんだよ
みんな貴方を求めていたのに
適当にあしらって、みんなを遠ざけたのは貴方なんだよ
彼女に対してさえも貴方は

「…テジュンの代わりじゃ嫌だったんだもん、僕…」

一筋の涙が溢れた
俺は思わず目を閉じた

誰に向かって言ってるの…
また『彼女』?

吸い込まれそうな瞳を視界から追い出した

「嫌だったんだもん…」
「…離して…。もう寝なよ」
「キス…しよ…」
「…」

俺は目を閉じたまま聞いた

「誰に言ってるの?」
「キスしよ…僕と…」
「酔っ払いとキスなんかしたくない」
「僕はしたい…お前とキス…」
「お前って『誰』?」
「お前は…イナだ…」
「誰の身代わりのイナ?」
「お前は…お前だ…イナ…」

目を開けて俺の下にいる人を睨み付けた
ヨンナムさんは縋りつくような顔をしている
なんでそんな顔で俺を見るの?
紛らわしい人だ

「それで…貴方は今、俺の気持ち、考えてくれてる?」
「かんがえてない」
「は…」
「キスして…イナ…僕に…」
「貴方俺に何を求めてるの?!なんで俺を惑わせるの?!」
「イナ…」

この人は俺の言葉なんか聞いてない
自分の事で精一杯なんだ
可哀想だな
テジュン、やっぱりお前だけだよ、俺の言葉を受け止めてくれるのは…

目を閉じて唇を噛みしめ、その時間が過ぎるのを待った
突如するりと俺の頭からヨンナムさんの手が離れた
眠ったのかと思い目を開けるとヨンナムさんは真っ直ぐ俺を見ていた
ポロポロと涙を流しながら

「…ごめん…またお前に…甘えた…。…お前といると…へんな僕が出てくるみたい…ごめん…」

弱音を吐く唇
俺は堪らず吸い寄せられる
ヨンナムさんの腕がもう一度俺の頭に巻きついた
ヨンナムさんの寂しさが唇から、腕から、流れ込んでくる

貴方がいけないんだ
貴方が背を向けるから…
貴方がみんなを遠ざけるから
貴方が…貴方から逃げているから…
だから
寂しいまんまなんじゃないか…ばか…

触れただけの俺の唇を彼が貪る
応えないでいると唇を離して子供みたいにしゃくりあげる
困った人だ

『僕より優しくて僕よりいい奴で僕より…可愛らしいんだ…あいつ…』

テジュン…お願いだ…俺の心に居て
俺を追いやらないで
俺にはお前が必要だから
それがわかったから
お前を傷つけてしまう俺を許して
俺の傍にいて…テジュン
俺は…俺は…
お前といるとヨンナムさんのことを想い
ヨンナムさんといるとお前のことを想う
そんな不誠実な男だ
それでもいいのか?
それでもそこにいてくれるのか?
今、俺がこの人に応えても
お前は許してくれるのか?
昼間、風のように俺の傍にいてくれた
あの時のお前でいてくれるのか?

頭の中のテジュンが優しく微笑む
俺の震える唇を、しゃくりあげながら捉えるヨンナムさん
もう一度俺を貪り始めた震える舌に
俺は躊躇いながら応えた
頭の中のテジュンが微笑み続けている
砂になって消えればいいのに
俺が望んだからそこにいる
ごめんテジュン
俺、どうしたらいい?

『お前の思うようにしろ』『何してもいい。僕はお前から離れない』『ずっと傍にいる。お前が傷ついたら癒してやる…だから…お前の思うように…』
『お前とヨンナムを…包み込める男になりたい…お互いに思いやって仲良く暮らせるように…心地よく暮らせるようになりたいんだ』

ああ、俺に都合のいい言葉ばかり思い出す…
お前が無理してるの、わかってるのに

『僕に甘えてくれればいいんだ…』

テジュン…テジュン

激しく貪っていた唇を、ヨンナムさんが突き放した
俺はそっと目を開けて彼を見た

「ほらみろ…お前だって僕を見ていないもの…。みんな…テジュンに申し訳なくなるんだ…僕と触れ合うと…」

静かに言ってヨンナムさんは顔を背けた
胸がずきんずきんと痛んだ

テジュン
お前
もしかして昔っからずっと
こんな想いしてきたの?
お前の恋人達はみんな
ヨンナムさんが好きになっちゃって
この人に触れた途端お前を思い出して
…この人の言う通りお前に申し訳なくなって…そして二人から離れて行ったの?
そんな堂々巡りを今までずっと?
ううん…断ち切ろうとしてるんだよね?テジュン
おかしいもの、こんなの…
お前とヨンナムさんは別の人間なんだ
別の人生を歩んでいいはずなんだ
俺、手伝うよ…
お前とヨンナムさんが本当に幸せになれるように…

そうだね…一度混ぜてみようか…あのゼリーみたいにさ…
混ぜこぜのゼリー…美味しかったもんね…
俺を待ってて…
置いて行かないでね、テジュン…

「ごめんね…ヨンナムさん…」
「…」

背けた顔に優しく囁いてみた
すすり泣いているヨンナムさんの頬を撫でた
ヨンナムさんは嫌そうな顔をした

「貴方の言うとおりだ。テジュンに悪いと思った。でも」
「…」
「それは今、貴方を深く想ったからだ…」
「…」
「今までのテジュンの恋人達もきっとそうだよ、ヨンナムさん…。貴方を想えば想うほど、テジュンに申し訳なく感じる」
「…同じ顔だからだろ…」
「そう。なのに違う人だからだよ。…なんでこんな関わり方なの?貴方とテジュンは…」
「…しらない…」
「困っちゃうんだよな、この手の顔ってホントに…」
「…ばかやろう…」

拗ねた横顔はやっぱり可愛い

「ばかはどっちだよ。ふ…。さぁてと。もう寝んねしないと、明日の仕事に差し支えますよ」
「…」
「俺、テジュンの部屋で寝てくるね。おやすみ」
「イナ!」
「ん?」

顔を背けたまんま、ヨンナムさんが俺を呼び止めた

「僕と…寝ない?」

ヨンナムさんの声が震えていた
どきんとした
この人もまた、この堂々巡りの二人の関係を断ち切りたいのだと思った

「寝ない」
「…」
「俺を利用しないで。変えたいなら自分の力で変えろよ、二人の関係をさ」
「…」
「じゃあね。お休み」
「…ばかやろう…」
「どっちがさ、酔っ払い」
「…」
「明日になったら今夜の事、忘れるからね。蒸し返さないでよ、わかった?」
「…」

可愛らしいけど頑固な男
紛らわしくて、子供で…
どうしても惹かれてしまう
俺は立ち上がって廊下に出た
ヨンナムさんの部屋の扉を閉めようとした時
もう一度ヨンナムさんに呼ばれた

「なに?」
「…ありがとう…イナ…」
「…ん…」
「イナ…。僕ってどんな男?」
「貴方は…」

可愛くて頑固で紛らわしくて子供で…

「小さな頃からもう一枚鎧を着てるような気がする…。早く脱げばいいのに…」
「…よろい?…もういちまい?」
「…うん…」
「…脱がせてくれないかな…こないだみたいに」
「…だめだよ…自分で脱がなきゃ…。おやすみ」

扉を閉めて大きなため息をついた
階段を昇ってテジュンの部屋に入り布団を敷いた
シャツとズボンを脱いで俺は布団に潜った
目を瞑るとテジュンの笑顔が浮んだ

『イナ…だから…伝えろよ…あいつに…お前の想いをさ…』

ふふふ…伝えないって言ったろ…

テジュンの匂いを胸一杯に吸い込むと、それまでの感情が全て穏やかになった


千の想い 63  ぴかろん

僕は今日、正直だった
でも一つだけ正直に言えなかった
テジュンに遠慮なんかしていない
それは本当で、チャンスがあればあいつの恋人を奪ってやりたいと思ってた
けど…彼女のことは…
彼女をあいつから奪おうなんてことは思わなかったんだ…

『小さな鎧着てるような気がする』『はやく脱げばいいのに…』

イナ…
イナ…イナ…


うとうととしかけた頃、階下から叫ぶような声がした

イナ…イナ…イナぁ…

ヨンナムさんだ
どうしたんだろう
俺はふらつきながら起き上がり、そこら辺に置いてあったテジュンのTシャツを着た
階段を降りようとすると俺の名前を呼びながら、一番下の段に突っ伏しているヨンナムさんがいた
俺はゆっくりと段を降り、ヨンナムさんの体を起こした

「どうしたの…」
「イナっイナっ…僕…僕…彼女は…あいつから奪う気にならなかったんだっ…ひっくひっく」
「…」
「彼女…テジュンといるとほんとに…ほんとに…幸せそうに笑うんだ…それにテジュンも今までと違う。優しくて温かくて幸せそうで…
だから僕…僕は本当に彼女とテジュンが一緒になって幸せな家庭を築いてくれること…願ってたんだ…」
「…ん…」

一生懸命話すヨンナムさんの背中を擦ってあげた
ヨンナムさんはグスグスと泣きながら俺の肩に顔を埋めた

「し…しんじてくれる?しんじて…くれる?」
「信じるよ…」
「彼女の横にいるのは…テジュンだと…そう思ってたから僕…」
「だからテジュンが彼女から離れた時、真剣に怒ったんだろ…」
「ぅん…」

俺はヨンナムさんの髪にくちづけをした
可愛い人だな、貴方は…

「それを俺に言っておきたかったの?」
「ん…」
「んふふ」
「も…もひとつ…ある…」
「なに?」
「お前の事も…奪おうなんて…思ってなかった…ひくっ…」
「ん…」
「ごめんね…あの時いらない事を言いすぎた…ごめんね…」
「わかってるよ…」

ひっくひっくしゃくり上げながら、ヨンナムさんは顔をくしゃくしゃにして俺の胸に縋りついた
俺はテジュン、お前に甘えて楽になれた
だからかな…
とても穏やかな気持ちでこの人を甘えさせてあげている

ヨンナムさんの髪を軽く顎で擦ってみた
俺は貴方にとってどういう存在なんだろう
また違う貴方を見つけてしまった
これからどうしよう…
この子供みたいな人が本当に幸せになるには
どうしたらいいんだろう…
こんな弱々しい可愛らしさを素直に出せる人
我儘で意地っ張りな部分を隠さずに出せる人
臆す事なく正面切って思いっきり喧嘩できる人
そんな相手を
この人はどうやって見つけるんだろう

「あれ?」

その条件に当てはまる相手って今の俺じゃないかと気づきどきりとした
突然大きな音で心臓が鳴り出した
ヨンナムさんに悟られたくなくてわざとすっとぼけて口に出してみた

「…俺じゃん…」
「…な…なにが?」

まだひっくひっく言いながら赤い目で俺の顔を覗き込むヨンナムさん
睫毛が涙で濡れている

「んー…テジュンは色っぽいと思うけどヨンナムさんは可愛いな」
「…なにが『俺』なの?」

ちぇ…誤魔化せなかった…

「イナ…どしたの?どきどきしてるよ心臓」
「あ…ん…と…」
「なにが『俺』」
「いいじゃん…」
「…」

ヨンナムさんは仲間はずれにされた子供のような顔をした

「そんな顔するなよぉ…んと…だから…えーっと…。もしかしたらヨンナムさんにお似合いの恋人ってぇ…案外俺だったりしてってちっと思っちゃったぁはははは」
「…」
「はは…。ヨンナムさん。笑ってくれないとさぁ…」
「恋人になるひっく…自信はないな…」
「はは…。マジに取らないでよ」

そう言いながら、マジなヨンナムさんの答えにほっとし、同時に気持ちが萎んだ

「僕、テジュンみたいな勇気ない…ボーダー跳び越す自信ない…」
「…ん…そっか…」

普通、そうだよな…
やっぱテジュンは凄いんだよな…
そう考えて気持ちを紛らわせた

「…。あれっでもさっきヨンナムさん、俺に『寝ないか』って誘わなかった?あれって何よ」
「…」
「何よ」

少し意地悪してやりたかった
ヨンナムさんは顔を伏せて俺の胸にしがみついた

「ななな何よ!」
「わかんない!」
「なな…」
「わかんないんだ…お前に傍にいてほしいような気もするし…ひっくひっく…でも…怖いし…恋人なら女性のがいいし…でも…だけど…」
「…」
「わかんないんだ…ごめん…ひっく」

しがみつかないでよ…ドキドキが止まんない…
ヨンナムさんの腕を掴んで一生懸命押し戻した
一つ浅く息を吸って、それからヨンナムさんに言った

「…。じゃ、酒のせいにしよう」
「え?」
「ヨンナムさんは酔っ払ってる。で、俺も実は結構酔ってる。だからさ…」
「明日の朝には忘れ去るの?」
「そうそう」
「ん。そうしよう」
「あり?」
「ん?」
「んふふ。いやぁ意外とあっさり引いたなって思ってさへへへ」
「…しつこくしようか?」
「いいよ。十分しつこいから…」

ニコっと笑ってまたヨンナムさんは俺の胸に倒れこんだ
もう…ほんとにもう…


Il mio vento_僕達の風 妄想省mayoさん

デザートの後のdigestivoにテジュンさんは「一杯だけ..」っとgrappaを選んだ..
ちびっ..っと30オンスのグラスからひと舐め..grappaを口に含むと..
矢継ぎ早に僕とテスに質問を浴びせた..

自分の恋人に想う相手がいて..
…嫉妬心は湧かないのか?
…恋人が想う相手を嫌いになって当然だろう?
…しかも一緒に住んでる..どうして心を鎮められるんだ?
…穏やかに笑えるんだ?

「嫉妬心が湧かないって言えば..嘘になります..」
「だろう?..テソン君」
「でもね..テジュンさぁん..きぃきぃヤキモチやいてもさ..想いが深いと..太刀打ちできないの..」
「だから我慢してるわけ?..」
「我慢じゃないよ..」
「嘘..我慢だよ..テソン君は?..どう?..」
「僕は..悋気を持った時..ちぇみに言っちゃうことが多いかな..
 彼女を責めるな..俺に言え..って言われてる..ちぇみに..」
「そう..」

「僕..mayoシのこと..嫌いになんてなれないから..」
「どうして..」
「僕がちぇみとこんな風になれたの..テソンさんとmayoシの覗きのおかげだもん..」
「覗きねぇ..そんなこともありましたなぁ..僕も覗かれました..ねぇ..テソン君..」
「^^;;...」
「mayoシは僕がちぇみに存分に甘えられる様にしてくれたんだ..
 それに..ちぇみにも..僕に甘えろ..って..そう仕向けてた..ちぇみのこと..一番解ってるから..」
「そう..テソン君は?」
「僕とって..やっぱりちぇみは血のつながり以上の存在かもしれない..
 意外と..身内にいろいろ相談出来ないヒトって..世の中にたくさんいるじゃない?..」
「ぅん..わかるような気がする..それ..」
「ぅん..ちぇみには隠し事できないけど..面倒なへ理屈言わなくても解ってくれる..大事な人だよ..僕にとっても..」
「そっかぁ..」
「傍にいてくれる大事な人..守れない事って.一番哀しいことだし..な..テス」
「ぅん..」
「テソン君が彼女を守る..のは解るけど..テス君が..あのちぇみさんを守る..って..」
「躰が大きい小さいとかぁ..ヒトとしての存在の大きさに関係ないよ.テジュンさぁん..」
「テス君..」
「僕だって..あんな小柄な彼女だけど..守られてる..って感じるのしょっちゅうですよ..」
「テソン君..」
「それに..相手の一番脆い処に.共感出来ないのって..とっても苦しいと思うの..僕..」
「…ぅん..」
「だから僕..いっぱいいっぱいちぇみに甘えた..ちぇみのこと楽にしてあげたかったから..」
「守って守られてかぁ..だよなぁ..」

「テジュンさん..イナさんにちゃんと聞いた?...」
「ぅん..イナは..」
「はい..」
「僕の事を”ちゃんと好きだ..”って言った..僕に自分自身の言葉でキモチを話してくれた..
 僕はイナの心から逃げないって..言った..」
「そうですか..良かった..」

僕とテスは目を合わせ..互いに笑みが零れた..

「でも..テジュンさん..」
「…?..」
「まだ『一番じゃないと..僕は嫌だ#..』って思ってるでしょ..」
「…!!..」
「『僕は..二番手は嫌だ..どうして一番じゃないんだ..』て..」
「…」
「『独り占めしてしまいたい..』そんなテジュンさん..まだ隠棲してるかな..違います?..」
「テソン君..」
「心も躰も全部..欲しいですか?..」
「自分の恋人だったら当然じゃないか..誰にも渡したくないっ…」

テジュンさんは目をくわっ..と一瞬見開き..僕を見据えた..そして..

「…って..そう思うよ..普通は..」

小さく呟くと..大きな面玉が瞼の中でぐいっと蠢き..伏せた視線はテーブルに落ちた..
テーブルに置かれた4本の長い指をテスはぽちゃぽちゃで軽くにぎにぎ@をする..

「すいません..僕もそう思ってたから..
 僕はいざとなると疑ってばかりいた..彼女はちゃんと僕を見て..僕に向かって歩んでるのに..」
「テソン君..」
「そんな僕なのに..傍にいてくれるのは..やっぱり彼女"しか"いないってわかったから..
 順番なんかどうでもいいって思うようになれた..ちぇみが僕に言えない分..テスに随分説教もされた..」
「へへ..(^o^)..」
「そう..」

「テジュンさん..」
「ぅん?」
「テジュンさんが拘るの..相手がヨンナムさんだから..なんですよね..」
「…ぅん..そう..あいつはヤなんだ..」
「従兄弟だから?..似てるから?..」
「ぅん...それもある..」
「テジュンさん..立ち入ったこと聞いてもいいですか?」
「何..テソン君..」
「テジュンさんと..ヨンナムさん..何かあるんですか?」
「ぁ..…」
「すいません..やっぱ..いいです..言わなくて..ごめんなさい..」
「…」

テジュンさんはグラスに残ったgrappaをカポッと飲み干し..
少しだけ..話し始めた..
彼女が出来るとそれが元で従兄弟同士..その間に立つ彼女とでぎくしゃくしちゃうこと..

「ヨンナムに自分の想い..言ってしまえ..って..イナに言って..此処に来たんだ..」
「言ったら楽になるのにな..ってテジュンさん..思ったんじゃないですか?」
「そう..」
「テジュンさんが決めることじゃないのに..」
「そうだよね..テス君..」
「イナさんはぁ..ヨンナムさんに言わないような気がする..ね..テソンさん..」
「ぅん..それに..今不安定にふわふわしてるの..ヨンナムさんかもしれないし..」
「だから不安なんだよ..」
「だったら..ヨンナムさんも一緒に包んであげることできない?」
「…テソン君達みたいに出来ないよ..まだ..心からは..」
「…」

僕はちょっと澱んでしまったテーブルの雰囲気をカラりと変えたかった..
grappaからGewurztraminer Kritt V・T..とdigestivoをちょっと甘口のワインに替えた..
軽めのチーズを添えてテーブルに置いた
テジュンさんは甘口のワインをぐびぐび飲んだ..

「美味しいね..これ..」
「糖度を増したぶどうから造られた96年ものですよ..」
「わぉ..」

「僕は強引なのかなぁ..イナにしつこいっ..って言われる時..あるんだぁ..」
「はぁ..(顔も濃いですからねぇ..)..」
「テソン君もしつこそうだケド..」
「^^;;..僕はぁ..色気もエロ気も皆無ですから..しつこくすると..気味悪いだけですから..」
「ぁ!..テソン君って..むっつり系だ#」
「テジュンさんもそう思うぅ?..へへ..」
「思う思うぅ~テス君~..」

浅黒顔が...バルサミコ顔になってきた..
テジュンさん..酔っぱらいモード..突入???..

「ぁひ..テジュンさんみたいに..Ne~~~っちょりとは..」
「そぉかなぁ..テソン君はぜぇ~たい..むっつり#..」
「^^;;..僕達は..Piったん..Peton..かな..テスたちはBe~~ったり..だよね..」
「へへ..(*^_^*)..」
「"あの"ちぇみさん..どんな風に..甘える?..」
「へへ..ぅん..(^o^)凄ぉぉ~~く可愛いの..そんな顔は僕にしか見せないの..ぁ..はるみちゃんは知ってる..ね?」
「ンッケッケッケ(>▽<)..みゃはぁん(e▽e)..」

「怖い物見たさで見てみたいな..ちぇみさんのその顔..」
一瞬正気に戻ったかに見えたテジュンさんは太い声でボソリと呟いた後..
僕とテスを交互に見つめ..言った

「ちぇみさんと彼女は?..
 君たちに隠れてホントはNuったりこん@...甘えてるとか..してるんじゃないの?..」
「それはないですね..あの2人はむっちゃ【硬派同士】ですから..」
「互いに同志..戦友って言ってるもんね..」
「同志..戦友か..何か..頷けるな..それ..」
「2人で睨み合うと..凄っいよな..テス..」
「ぅん..」
「そんなことあったわけ?..」
「はぁ..つい最近..僕とテス..動けなくなっちゃって..」
「ひいっ#..」
「ちょっとでも僕等動くと..微かでも風が起こるでしょう?敏感に反応するから..あの2人...」
「だから..ホントにじっ#.....としてたの..僕とテソンさん..」
「目眦だけでコロせる..んな感じだった..」
「ふぅっ#..」
「でも僕..もう..怖くなってさ..ベソかいちゃったの..ぐすん(;_;)..止めてって....そんで収まったの..」
「みぃっ#..@@..」

テジュンさんのバルサミコ顔のデカイ目がMAXに見開いた..
見開いたままで空気に触れ..お目々が乾燥したのか..
テジュンさんはその後ぱちぱちぱち..と幾度か瞬きをし..デカイお目々は無事に潤った..

「ぉ..怒らないの?..ちぇみさんは..そんな彼女に..」
「あの2人は絶対的信頼の元で繋がってる..同志..戦友ですから..」
「ぁぅ..そうね..」
「でも色事に関しては2人は必要以上に近づかない..てとこ..あるかな..」
「やっぱりキケン..ってことじゃないの?..ホントにデキちゃったらどうするの..」
「隙あらば..2人がひとつになるってことですか?」
「そう..」
「それはないと思う..どう?テス..」
「ぅん..ひとつになったらどうなるか..充分過ぎるほどわかってるもんね..あの2人..」
「ぅん..きっぱりしてる..そこんとこ..見事なくらい..」
「それに..そのコトに関しては..僕はちぇみから..」
「僕は彼女から..同じ言葉..もらってます..」
「そうなんだ..それはどんな?」
「「それは..言えません..」」
「ぁふ..じゃぁさ..テソン君と..テス君に他に思うヒトが出来たら?..どうする?」

「4人の心の隙間にそんな風が吹かない様に..纏わりつかないように..」
「僕達..互いに支え合ってるトコ..あるよね..テソンさん..」
「ぅん..」
「支えるって..どんな風に..」
「それぞれに出来ることするだけですよ..」
「…??..」
「誰かが辛かったり..苦しかったり..迷ってるとき..強張った躰や心に..
 ほわほわとした風で纏わりつくの..ほわりとした風で心地よく優しく包むの..」
「ぅん..」
「そうして...トン#..そらっ..って背中を押してくれる..こっちだよ.って..手を差しのべてくれる..
 強張ったままの自分の場所から落ちそうになるとふわりと持ち上げてくれる....そんな様々な風を興してくれる..」
「僕にとってちぇみだったり..テソンさんにとってmayoシだったり..反対のときもあるし..」
「みんなで繋がって..風を興すときもあるし..
 俯いたままじゃなく..それぞれが顔を上げて生きて行ける様にね..僕達は風を興すんです..それぞれの役割で..」
「ヤな風が渦巻いたら..エイヤッって..あちこちの窓から外へ逃がしてやるの..」
「ふぅ..そっか..」

「テジュンさん..」
「ん?..なに..テソン君..」
「ヨンナムさんと正面切ってぶつかるだけじゃ..穏やかな風の入る隙間がないと思う..」
「テソン君..」
「イナさんはヨンナムさんテジュンさん..2人の間にいろんな風..興してる..
 でも..テジュンさんがそんなイナさんを全部引き受けるんでしょ?.」
「ぅん..あいつのチカラになってやる..って決めたし..」
「それには..ヨンナムさんも一緒..くっついてくる..ってこと..」
「覚悟がいる..ってこと?」
「そうです..それぞれのヤなところ..見えてくる..勿論自分のヤなとこも..でも..それも受け止めないと..」

「そりがいちばんむじゅかしぃな..」
「テジュンさん..ごさいじ..になってる..」
「^^;;..」
「テソンさん..イナさん最近年齢上がってるよ..」
「あは..じゅうごさい位かな..」
「ん~~..もちっと上がってるかなぁ..へへ..」
「くふっ..そうかなぁ..じゃ..じゅうろくさい..」
「みゃぅみゃみゃ...みゃい..(>▽<)//..」
「へへ..じゅうはっさい..(^o^)」

僕とテス..はるみとがイナッシ年齢上昇説について語っていると..
テジュンさんはくすくす笑いながら..
グラスに残った爽やかな甘みと濃厚な旨みを持つ"クリットゲヴュルツトラミネール"を飲み干した..
テジュンさんが一人で飲んでいるボトルの中身は半分に減っていた..

「…?..」
胸に抱いているはるみが半分開けていたベランダのガラス戸の方へ顔を向けた..
ベランダからはリビングへさわさわと風が靡き..
テジュンさんの頬をするっと撫でた風は僕等の回りを一周し..廊下へ抜け..左右に分かれた..
分かれた風は恐らく..ちぇみ..闇夜のそれぞれを包んだ後..部屋の窓から抜けていくだろう..

ほてった頬を撫でていく微かな風を感じたのか..
テジュンさんは"うつくしい指"で自分の頬を撫で..その後にはるみの頬をその"うつくしい指"で撫でた..
照れたはるみはきゅっ..っと腰を捻り..僕の胸に顔を埋めた..

「ぁ..そだ..」
テスは席を立って..リビングのローチェストから2つの小さな箱を持ってきた..
紙袋に2つの箱を収め..テジュンさんに渡した..

「何?..テス君..」
「ぅん..モビールだよ(^o^)..」
「え?..ぃ..いいのかな..」
「遠慮しないで(^o^)..イナさん..『おれもほしいじょ..もびーる..』って言ってたんだ..
 でもぉ..僕が選んだから..気に入るどうか心配だけどぉ..(^o^)..」
「わがまま言ったんだ..ごさいじがっ#..」
「ぁん..怒っちゃ駄目だよ..テジュンさぁん..」
「はふへほ...はぁい..^o^/...」
「「^^;;..^^;;..」」
「風を感じて^^..テジュンさん..」
「ありがとう..テソン君..テス君..」

テジュンさんの濃顔の微笑み..25年物のバルサミコ並にとろり~~ん,,まったり~~としていた..
グラッパ&ゲヴュルツトラミネールで酔っぱらっちゃったかな..

「あぅ..日付とっくに変わっちゃてたんだ..」

テジュンさんがリビングの時計を見てまたデカイ目を見開いた..
時計を見ると1:00を回っていた..

「泊まっていきます?」っと僕が言うと..

「えっへっへ~~..い~~のぉぉ~??...誰と寝よっうかなぁ..」
テジュンさんは自分のデカイ鼻を"うつくしい指"ですりすりと撫で始める..
そのエロ親父顔の様は..えむと呼ばれるえろじじと同じレベルに見て取れた..

「ちぇみと彼女と..さんどいっちします?..」
「ひひーん..コロサレソウ..コロサレテミヨウカ..」

「いきてかえれりゅとおもってりゅの#.しにたきゃどうじょ..おしゅきになしゃい#
 だぁ~~~だじゃぁしゅまないわよ..あーた#...ふぉふぉふぉ#...」

「@@..ぁ...ぁんどれ..」
「テソンさぁん..」
「^^;;...」

===
俺はPCにリビングから繋がる回線を外し..★☆メールを送信し..PCを閉じた..
廊下に出ると闇夜も部屋から出..バルサミコ状態の濃顔さんに挨拶をしていた..
紙袋を下げたほろ酔い加減のバルサミコさんは..俺に挨拶をした..

「ほひゃはひひゃひたぁ..おいひはっひゃへひゅ..みゃはひてほひーへふぁぁ?..」

お邪魔しました..美味しかったです..また来てもいいですかぁぁ...だろうな..

トン..っと軽く肩に手を置き..俺が頷き瞬き顔で答えた..
「送っていきますか?」というテソンをバルサミコさんは"うつくしい指"で制し..
casaにやって来た時とは違い..顔を上げ..中庭を横切り..外階段の上で一旦立ち止まった
暫し空を見上げたバルサミコさんは外階段を降りていった..

俺はテソンの首根っこの掌を当て..そのまま引き寄せてHUGった

「こいつ..」
「ぁぅ..何..」
「何か..嬉しかったぞ..」
「くふ..ホントのこと..言っただけだもん..」

背中すりすり〃の後..俺はテソンの頬を軽く掌でひったんひったん#..した..
互いに部屋に戻るとき..テソンと俺は後手に軽く手を振った..













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