ぴかろんの日常

ぴかろんの日常

都都逸・短歌の部屋 2

(短歌) 6.01 ロージーさん

君を折る最後の藁か ひとひらのただひとひらの紅の重たき (Distance 6より)

初夏の微熱を溶かす青時雨 紅の記憶の消ゆる間もなく (立夏の日の雨)

罰のような陽だまりを見る 既視感と予感を閉じる微熱を抱いて (微熱より)

苦しいも辛いもいつかクセになる 交じる甘さを毒と知りつつ (プラスマイナス…)

果てし無い空を支えて迷い無い 滑(すべ)らの枝に揺れる早緑 (欅イメージ)

夢底に眠る不実の美果甘く 目覚めて苦く空恐ろしき (灼熱より)

夜の底に濃く重き色降り積みて 恋衣染む五月闇かな (痕より)

#初夏(はつなつ) 青時雨(あおしぐれ)  早緑(さみどり) 夢底(ゆめそこ) 恋衣(こいごろも) 五月闇(さつきやみ)


短歌 6・28 ロージーさん

怨嗟の使徒は かろやかにしなやかに 口笛を吹く ステップを踏む (エネミイより)

燃えながら明日に消えゆく日の名残り バーミリオンの静かな叫び (残照より)

昇りつめともに落ちゆく一期会(いちごえ)を 醒めた心の俯瞰する夜 (いいさ…より)

薄闇に紛れて黒き血を吐きぬ 痛みに深く身をまかせつつ (落日より)

精緻なる銀の仮面のかなしさよ 想いも熱も通わせざりき (落日より)


(短歌) 暑中の花 8・05 ロージーさん

寂として遅月を待つ女王花 薄くれないの縛めを解く… (女王花=月下美人)

サルビアの夢の褥に抱く君の 冷たき肌にただ焦燥す (もとまろ『サルビアの花』よりイメージ)

濃く匂う業の深さをもて余す カサブランカの赤い蘂摘む

風止みぬ 白き真昼の灼熱に 切先を研ぐグラヂオラス

罪ふかき人の心の闇でこそ 浄らに透れ 天上の青 (ヘヴンリーブルー 曽野綾子著『天上の青』よりイメージ)

黒ダリアやや俯ける切硝子 媚びぬ娼婦のレエスの翳り

緋ダリアは熟れたディーヴァの濃化粧 絢爛の夏 今滅びゆく

# 寂(じゃく) 遅月(おそづき)  縛め(いましめ) 業(ごう) 蘂(しべ) 
  切先(きっさき) 浄ら(きよら) 切硝子(きりがらす) 濃化粧(こいげしょう)


短歌 フランシス  3.10 ロージーさん

 ゲルマンの魔女が駆け抜く白い道 永遠を信じる僕がいた (白い道より)

 やはらかき天使の笑みのいたましく やがて悪魔の餌となりぬるを (白い道より)

 寄る辺なき花の名あはれフランシス 紅蓮の闇に染まる行く末 (フランシスより)

 冷血の滾(たぎ)りを隠す薄笑みに 音も無く夜は凍て果ててゆく (Cold nightより)

 プライドの瞳は覆え 今しばし 修羅の舞台の幕開くるまで (錯綜より)


短歌 紅蓮の月 (錯綜2より) 3.25 ロージーさん

夜の端(は)を濡らす涙も血の匂い 紅蓮に病める月を見しかな

罪を識る自身に試すリフレイン 罰の極意は たぶん「優しみ」

絶望で鎧う心の隙間から 希望を騙(かた)る毒すべり込む

内攻の鉤爪(つめ)は暗鬼の翼持ち 仮象の夜を低く飛行す

平静の仮面の下に棲む修羅は 美の一線をなを越えざりき



© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: