死別母子家庭…頑張ります!

死別母子家庭…頑張ります!

一回目の入院。


抗がん剤と放射線の影響で喉が焼けただれ、言葉も出なくなった。
食事もできなくなり、どんどん痩せ細った。
それが治療によるものだとわかっていても癌=痩せるのイメージで心配で仕方無かった。私との会話も筆話になった。
その時のノートは今も残っている。
ちょうど1999年が終わろうとしていた時だったから「ミレニアムノート」と名づけた。病気の原因はノストラダムスの大予言からもじり大魔王のせいにして、何か辛い事があると「魔王め!」って魔王のせいにして。
あの治療の辛さは体験したものにしかわからないだろうが、みている側も辛かった。
前の日までは大盛ご飯を平らげていたのに、次の日、突然何も喉を通らないほど喉が焼け爛れる副作用が現れた。それはそれは痛がった。
普段、絶対に泣かない夫。私が苦しむ夫を見ていられず泣いてしまったとき、夫の目からも一筋涙が流れた。夫と時をともにしたのは14年。夫の涙を見たのは、病院からの電話の日の夜とこの日の二度だけだ。
夫はどんなに辛くても私にあたることはなかった。
でも、実の母には結構あたってた。
物を食べられない夫に玄米粥を持ってきた義母を
「水も喉を通らないのに食えると思うの?」
と、口にもせず不機嫌になり、私の前では陽気に筆話していたのに
途端に不貞寝をし始めた。
義母は寂しそうに差し入れを持って帰ったが、それを見ていた私は複雑な心境だった。
夫は辛いんだ。義母の前での夫が本当の今の夫なんだ。
私の前では無理してるんだ。私が無理させてるんだ。
本当は、世の中、自分の置かれている状況、全てに対して不平不満を言いたいのに、私の前ではかっこ悪い所を見せたくなくて無理しているんだ。無理させてるんだ…
夫は次第に看護師に対しても不平不満を言い出した。
大病院の看護師だから、たくさんの看護師が夫の担当になる。
いろんなタイプがいる。夫と、合う人合わない人。
確かに夫の言い分だけを聞くとそうだよな、あの人感じ悪いな、ああいうとこおかしいなって思ったが、トータルで見るとよくやってくれている。
妻である私に言えないわがままを看護師にぶつけていたのだろう。
一番、怒っていたのは食べようとしない夫に対して励ます看護師に対して。
「とむ。さん、なんで食べないの!無理してでも食べなきゃいけないんだよ!退院できないよ!」
ってきつく言った看護師に対して。
私達だって風邪で喉が痛くなったらつばを飲むのも辛い。
夫はそれの何千倍も痛いのだからあんなに強く言うべきでないなって思う。
看護師は夫の事を思って言ったのだろうけど。

放射線80Gy+抗がん剤。
自分もやってみろ。経験してから物を言えって二人で思った。



© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: