さくら咲く

さくら咲く

25-27週



『先天性横隔膜ヘルニア』について調べ始めました。

調べていくうちに分かったのは、

3000人に一人に起こる、最も救命困難な胎児の病気ということ。

生存率は50%。

出産後に手術をして横隔膜の上に来ている胃や腸をもとの位置に戻し、

穴を塞ぐ処置をするということ。

そして合併症や後遺症なども人さまざまということでした。

調べていくうちに、自分の子供の置かれている状況が

どんなに厳しいものだということを知り、愕然としました。

私自身は今まで全くの健康体でした。

それなのに自分の子供が3000人に一人の病気になってしまうなんて、

信じられない思いでした。


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インターネットで検索するうちに、

先天性横隔膜ヘルニアの子を妊娠した人達や、その旦那さんや

出産した人達が書き込んでいる掲示板があるのを見つけました。

みんな私達と同じように、病院で告知されたときにはショックを受け、

それでも立ち直って子供のために、前向きに出産に臨にでいました。

そして無事手術を終え、元気になったという話もいくつもありました。

残念ながら亡くなってしまったケースもありました。

手術がうまくいっても10日くらいしか生きられなかった子の例もあり、

なんて気の毒だと思い、涙を流していました。

その掲示板の中で一番可哀相な話でした。

この時、私は他人事のように「可哀相」と思って泣いていました。

まさかこの人より悪いケースが自分に起こるなんて思ってはいませんでした。

3000人に一人の確率に当たっただけでも運が悪いのに、

それ以上の不運は、ありえないと思っていました。

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この掲示板は、その後入院してからも私にとって心の拠り所になりました。

「私だけじゃない。同じように辛い思いをしている人は世の中には沢山いる」

そう思えただけで随分と前向きな気持になれました。

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「胎児治療」

という方法もあることを知りました。

胎児にお腹の上から管を通し、風船を入れて膨らませ、

横隔膜の上に来ていた臓器を下へ押し戻すという処置でした。

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それから私達は胎児治療をしている病院探しに奔走しました。

まず胎児治療を研究しているという慈恵医大へ行ってみました。

初診なので情報や病状を書く用紙を渡され、

書いて提出すると、すぐに診察室に呼ばれてびっくりしました。

部屋にはいると男の先生が二人待っていました。

一通り説明した後に、エコー室へいくと、また更に数人の先生がいました。

そこでの診察結果も横隔膜ヘルニアには変わりありませんでした。

そして、頼みの胎児治療は「うちではやっていません」との回答。

ただ「横隔膜ヘルニアの原因が染色体異常の場合もあります」

と言われました。

その日の帰り道は「染色体異常だったらどうしよう」と、

そのことで頭がいっぱいになりました。

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近くの大きな総合病院である都立大塚病院へ行ってみました。

そこでもやはり胎児治療はやっていませんんでした。

でも、そこの先生に国立成育医療センターならやっていると言われ、

さっそく紹介状を貰い、行って見ました。

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成育医療センターでも数人の先生達がいる中でもエコーでした。

先生達はずっと何やら話していて、医学用語ばかりで

会話の意味は分からなかったけど、

その中で「リバーアップですね」というのは分かりました。

それは肝臓が横隔膜より上に来ているということで、

肝臓までが上がっているのは状態が悪いということを意味していました。

後の診察で言われたことは、

「胎児治療はやっていません。」ということと、

「現在、天性横隔膜ヘルニアの胎児治療を行う病院は日本にはない」

とのことでした。

やっているのはアメリカ、イギリス、ドイツなどのようです。

成育の先生に、アメリカのサンフランシスコ大学を紹介してもらいました。

「行ったとしても、よほど重症でないと、胎児治療はやってもらえないです。

あなたのお子さんの場合、そこまで重症ではないかと思います」

と言われました。

確実に治療してもらえるなら別ですが、

行っても治療してもらえるかハッキリしない状態で、

行く決心はつきませんでした。

費用についても、そんなに特殊な治療であれば、

膨大な金額になることは直ぐに想像つきました。

結局、私達は胎児治療は諦め、

日本で産んで、産後の治療にかけることにしました。


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