山田維史の遊卵画廊

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☆自画像日記




1998年6月26日、私は以前から製作していた「新アダムとイヴの誕生」シリーズの中の1点となるはずの『アダム:ヴェサリウスの解剖図に拠る』を起筆した。しかし、いつにないことに数日後に行き詰まってしまったのである。毎日、キャンバスの前に立つのだが、胸のなかにふっきれない何かがあって、ただ一日中、あっちをウロウロ、こっちをウロウロするばかりだった。
 静かに黙想してみると、どうも私はこの作品の中に、自分の顔を描きたいらしいことに気が付いた。こういう思考の流れを他人は奇妙に思うかもしれないが、実際、そういう気持があることに動揺した。私はこれまで自画像にまったく関心がなかったのだ。
 私はいったん『アダム』の製作を中止して、一ヵ月後の7月27日からほぼ毎日、自分の顔と向き合ってみることにした。そして翌年2月25日までに全135点の自画像を描いた。私は、やはり『アダム』に自分の顔を描かなくてはならないのだと思った。再び筆をとりなおして、この作品は3月24日に完成した。題名は『アダム:ヴェサリウスの解剖図に拠る自画像』とした。

 さて、このようにして生まれた『自画像日記』であるが、1点およそ5分から15分で描き、一日に何回か筆をとったこともある。何の準備もない、いわば即興である。いたずら書きのようなものもあれば、ここではお見せできないがセクシャルなものもある。日記だから他人にみせるべきものでもない。じじつこれまで誰にも見せたことがない。135点のなかから118点をここに初めて公開します。

Copyright 2005 Tadami Yamada. All right reserved.


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