山田維史の遊卵画廊

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☆Tadami Yamada's Part6 児童書その他の挿画


☆Tadami Yamada's Part7 『心霊術入門』その他


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☆Tadami Yamada's Part9 初期雑誌挿画


☆Tadami Yamada's ドラキュラ叢書『ジャンビー』挿画


☆Tadami Yamada's ドラキュラ叢書『幽霊狩人カーナッキ』


Tadami Yamada's monochrome cuts -#1


Tadami Yamada's monochrome cuts -#2


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■Yamada's Article(3)画家ムンクの去勢不安


■Yamada's Article(4)夢幻能と白山信仰


■Yamada's Article (5) 城と牢獄の論理構造


■Yamada's Article(6)ムンク『叫び』の設計と無意識


■Yamada's Article (7) 病める貝の真珠


■Yamada's English Article (8) 能の時空間の現代性


■Yamada's Article (9)『さゝめごと』に現われた十識について


■Yamada's Article(10)狐信仰とそのイコノグラフィー


■Yamada's Article (11) 江戸の「松風」私論


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Feb 26, 2014
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カテゴリ: 日常雑感
 所用で中野へ行った。中野駅周辺は、今からちょうど50年前に私が大学入学のため会津若松から上京して初めて住んだ町だ。東京オリンピックが開催された1964年のことである。2年間住んでいた。
 その後ずっと東京に住みつづけているが、実は、中野を訪れるのは1966年3月に転居して以来初めて。つまり49年ぶりだった。
 予定時間より早く到着したので、昔の面影をたずねて散策してみた。

 当時、中野ブロードウェイは完成したばかり。中野サンプラザが開業するのは10年後のことで、その場所は中野刑務所の高い塀がめぐらされてい、中を窺い知ることはできなかった。
 さて、中野ブロードウェイの最も奥まった左側に間口3間ほどの古本屋があった。ここはゾッキ本も山と積まれていたが、探書家にとっては穴場のような店で、岩波文庫の絶版巻数本が全巻欠けることなくセット売りになっていた。さほど深くない店の奥の帳場に店主の親父さんが、寡黙に坐っていた。まるで本の山に埋もれているようで、背中の後ろには「本物」の古書が並んでいた。貧乏学生の私にはとても手が出る品ではなかった。
 私がフィンランド叙事詩「カレワラ」上下巻を見つけて購入したのは、たしかこの書店だ。のちに国立大分病院院長で医真菌研究の第一人者だった故松崎統博士の知己を得、先生は「カレワラ」をこよなく愛されておられた。一夕、赤坂で御馳走になりながら伺った「カレワラ」のお話に、私がチンプンカンプンにならずに面目をほどこしたという思い出がある。
 この古本屋についてはそれだけでない思い出がある。私が早川書房の「SFマガジン」で、石川喬司氏「夢書房」の挿画を描いたとき、イメージの参考にしたのが、この古本屋の親父さんだった。
 きょう中野ブロードウェイを訪れて、残念ながらというより、初めから期待はしていなかったが、古本屋は影も形もなかった。たぶん現在のAOKIの辺りではなかったかと思う。
 貧乏学生だったのにしょっちゅう通っていたレストラン・サカイもなかった。そして、ブロードウェイ入口の右側にマムシ酒を売っている店もあったのだが・・・。

 めまぐるしく変化する東京の町だけれども、中野駅周辺に限れば、少なくとも町筋はまったく50年前がほぼそのまま残っている。丸井本店の向いのアーケードもそのままだ。丸井の右から入るごく狭い坂道は、昔はコンクリートの道だったが今は煉瓦道になってはいた。両側に隙間なく建て込む間口の狭い各種の店舗は、業種は変っていても佇まいは昔のままだ。
 この坂道を上ると桃園町なのだが、その町名はなくなっていた。私は決して懐旧で言うのではなく、古来の町名は「財産」だ「文化財」だと思うのだが、なぜか頓着することなく各地で町名変更がなされている。新しい町名を全国から集めて並べてご覧なさいな、おそらく似たり寄ったりの「痴呆的名称」の壮観を呈するのではと推測される。

 その昔の桃園町台地の丸井の裏通りに、たしか栄喜堂といったと記憶するベーカリがあった。ここで売られていた掌のくぼめた内側におさまるほどの小型のフランスパン、これが、私が後年パリに行って知ったのだが、間違いなく本場さながらのフランスパンだった。現在日本でノーテンキのようにもてはやされる「モチモチ」なんていう食感など足蹴にするようなガチガチのパン皮。よほど歯が丈夫でないと噛み切れないような固さ。これはバターやミルクや砂糖、卵、そうしたものを一切使用しないで、小麦と塩と酵母だけで作っているからで、フランスパンとはそういうもの。オニオンスープがフランスパンで蓋をするかのように作るのは、固いパンを食べる一つの工夫なのであろう。それはともかく、日本では、たぶんドンクがまだバゲットのブームを創出しない時代だったと思う。当時、栄喜堂ベーカリで私は初めてフランスパンなるものに出逢ったのだった。
 そのベーカリもなかった。もし50年後の現在も存在して,当時のままのフランスパンを作っていたなら、是非買って帰ろうと思ったのだが。

 最後に私は,住んでいた学生アパートのあった所を訪ねた。そのアパートは、外見は普通の住宅で、大家さんの住居だったが、内部は10室のアパートになっていた。学生用の玄関は別にあり、各室に通じるドア・ベルが各人の表札の上部にしつらえてあった。私のところには時々女性が訪ねて来ていたが、どうやら大家さんは気付いていたらしく、あるとき学校から帰宅すると「このあいだ来ていた娘さんが、お留守のあいだに来ていたわよ」と言われた。
 このアパート、大家さんの姓が冠せられたネーミングで瀟洒な建物に変っていたが、たぶん当時の大家さんのお子さんが経営しているにちがいなかった。さすがに訪問はしなかったが、どっと、昔のことが思い出された。
 実はここに住んでいた2年間は、私の最も苦しい時代だった。強度の不眠症とノイローゼで、昼間外出することもできなくなり、終日雨戸を閉ざした真っ暗な部屋で固まっていた。幻覚を見るようになり、自殺衝動に駆られ、路上ですれちがう犬たちが逆毛を立てて私に牙を剥いた。たぶん私は身体中から殺気立った気配を発していたのだろう。そしてまた、私が絵を描くようになるきっかけも、そういうどん底に落ち込んだ心身から、自ら立ち直ろうとした過程に存在した。

 というわけで、所用があってでかけた中野再訪だったが、その後2時間半仕事して、帰宅した時にはいささか疲れていた。家人が夕食に鰻丼を用意してくれ、舌鼓をうちながらようやく活気を取り戻したのだった。








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Last updated  Jun 20, 2016 11:23:30 PM
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Re:50年振りに中野再訪(02/26)  
ちゃれ3  さん
同じ東京におられて、50年ぶりに・・・!

古本屋さんの様子や、
昔の中野の街が 見えるようです。

私も若い頃中野に行ったことがありますが
なんとなくパン屋さんのことは覚えていて
なつかしかったです。 (Feb 27, 2014 01:17:37 PM)

Re[1]:50年振りに中野再訪(02/26)  
AZURE702  さん
ちゃれ3さん
>私も若い頃中野に行ったことがあります

そうですか、中野をご存知ですか。もしかして、中野サンプラザで音楽会でも?
(Feb 28, 2014 12:32:48 AM)

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