L3Size

L3Size

耳鳴り〔自作〕





 いつからだろう。
 ずっと、耳鳴りがするようになった。


 「どうしたの?」
 「何でもないよ」



 特に、こいつと触れているときは。

 段々音が増していく。
 傍にいると増していく。


 好きになるほど、増していく。





 遠い昔は聞こえなかった。
 こいつの声を聞き始めて、聞こえ始めた。
 こいつの音を拾う度、大きくなった。


 となりにいる今は。

 耳が狂いそうになるほど、痛い。



 好きなのに。
 愛しい声が聞こえなくなるほど。
 傍にいられなくなるほど。

 痛い。




 「お兄ちゃん、本当にどうしたの?」


 嗚呼、そうだった。
 自分たちは、兄弟だった。



 「……何でもないよ」




 愛してはいけない。

 この、耳鳴りはきっと。


 自分の心が発する警告音なのだ。





 耳が痛い。
 耳鳴りが酷い。
 心が痛い。

 気持ちが止まらない。





                 《了》






ただ、「耳鳴り」と「自分の中からの警告」を使いたかっただけ(笑)






© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: