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2004年の読了本(5月)

2004年の読了本

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*5月*
「こうちゃん」須賀敦子(文)酒井駒子(絵)(河出書房新社)(2004.5.1読了)
こうちゃん・・・淋しがり屋で・・・いつも明るく笑っていて・・・とても素直で・・・そんなこうちゃんに会ってみたくなりました。酒井駒子さんの絵、とても好きなんですよ。どことなくシュールでかすれたような感じが・・・そんな駒子さんの描くこうちゃんの絵と須賀さんの独特な詩のような語り。とっても素敵な本です。
「絵描きの植田さん」いしいしんじ(文)植田真(絵)(ポプラ社)(2004.5.2読了)
事故で恋人と聴力を失った画家・植田さんは、湖のほとりの山小屋に暮らす。静かな白い雪が舞い散っているような冬の情景。特にものすごい展開があるわけではないけど、しっかりとした体温を感じる作品だ。植田真さんの絵も何だかぬくもりがあってこの小説にとてもあっていると思う。
「紺極まる」長野まゆみ(大和書房)(2004.5.8読了)
「鳩の栖」収録の「紺碧」「紺一点」に続く紺シリーズ最新作。それに登場する真木が主人公の3つの短編です。「紺極まる」は離婚したばかりの予備校講師の川野がネットで部屋探しした部屋に引越そうとしたら別の住人が。それが真木なのです。そしてまあ条件付きで2人で暮らすことになり・・・ずるずる・・・とはいきませんが。今回真木はとてもダサい。だって黒ブチめがねだし。個人的にはこういう悶々とする十代の甘くも哀しい生活っていうの好きです。BL系なので好き嫌いはあるでしょうけど・・・
「秋の猫」藤堂志津子(集英社)(2004.5.7読了)
男よりも犬や猫。でも彼らが「大切なもの」を教えてくれた。短編集です。
「秋の猫」 ・・・彼の浮気が原因で別れた直後に猫を飼った。ロロはとってもいい子。その後できたミミに振り回される毎日。別れた彼に相談しつつ、ミミに愛情を注ぐ。そしてとうとうかけがえのない子たちになる。っていう男よりも猫が大事ってことか?子どもと同じだもんね~
「幸運の犬」 ・・・離婚を考え、家庭内別居中。イマイチ離婚に踏み切れないのは愛犬のキチ坊のこと。夫には身辺の世話までしてくれる秘書がいる。自分にも火遊びの相手がいる。何も問題のないはずなのに・・・キチ坊との別れに踏ん切りがつかない。そして・・・結局五千万円でキチ坊との別れを決心する。何だかせつないね。
「ドルフィン・ハウス」 ・・・三十をひとつすぎてまた職場をかえることになった。そしてアパートも。ある日、散歩の途中で壁面いっぱいにブルーを基調としたイルカやクジラが描かれたアパートを見つけた。そこの管理人と知り合いになり、ハナという猫の世話をすることに・・・もうじき五十二になる待田というドルフィン・ハウスの管理人との恋の行方は?
「病む犬」 ・・・マシューというロングコートチワワの仔犬を買うまではよかったが、次から次へと病気になり、毎週動物病院通い。そこそこお金もつきてきて・・・そこで出会った二つ年下の津山。最後は結婚してマシューと男の子と幸せに暮らしたっていうオチ(?)だから案外高い出費では なかったかも。
「公園まで」 ・・・家の近くの公園。かけがえのないパートナーのポメラニアンのフウ。やっぱりここでも出会いがある。公園っていうのは出会いの場所なのか?
「指輪をはめたい」伊藤たかみ(文芸春秋)(2004.5.10読了)
転んで頭を打った僕は、結婚相手が誰なのか忘れてしまった。しかも僕には魅力的な3人の彼女がいるから大問題。いったい誰に決めたのか?大人になりきれない29歳・テルの恋愛成長小説。あはは!ラストのオチに笑った・・・そうきたか~まるでファンタジーか?結婚に対して何を求めているのだろうか?大体三人の女性と同時に付き合いに指輪を渡すかの記憶をなくしてしまうなんて。そしてこの物語のキーにもなっているスケート場で出会った中学生のエミ。全ては彼女に操られているかのようだったな。結局、彼にとっての幸せはこれから始まるのだろうけど。
「黒の貴婦人」西澤保彦(幻冬舎)(2004.5.14読了)
タックシリーズ(匠千暁)の短編集です。行きつけの飲み屋でいつも見かける「白の貴婦人」彼女は一体何者?限定の絶品鯖寿司をめぐり不思議な推理で解決する。タカチ(高瀬千帆)に接近したくて自宅パーティーを開いた新入生が女子大生刺殺事件に巻き込まれる「招かざる死者」。タックシリーズっていうかこの短編集ってたくさんの要チェック人物が出てるんだよね。
「王国その2 痛み、失われたものの影、そして魔法」よしもとばなな(新潮社)(2004.5.19読了)
やっと第2部。今回も命のパワーが感じらる1冊となった。不安でいっぱいの毎日を送る雫石。サボテンは枯れちゃうし、祖母は恋人と海外へ行っちゃったままだし(その1より)楓もいないし・・・心がどんどん弱っていく。 そんな雫石の心が光を求めていく。片岡さんとの関係や不倫関係だった真一郎ともいい関係になれそうだし。次が楽しみだな。
「愛することを恐れるべきでない私、愛されていることに気づくべき私」豊川悦司(マガジンハウス)(2004.5.19読了)
「anan」で一部連載されていたらしい。架空の女性にあてたラブレター(E-mail)なんだけど。俳優の顔とは違って、詩人だね。面とは向かっていえないようなセリフがたくさん。すっごく一途に思いを書いてるって感じ。とっても情熱的だね。
「ホワイトグッドバイ」松久淳+田中渉(幻冬舎)(2004.5.22読了)
もう一度、あの場所を訪れたい。その想いは啓示のように男の中に舞い降りた。男は帰ってきた。あの景色をもう一度彼女と見るために。最期のとき、あなたは誰と何を見ますか?「天国の本屋」を書いた著者だったのでてっきり純愛小説?かと思ったら・・・事実、純愛小説らしいんだけど。ユーロポールとか道警とか出てきてなんとなくミステリチック。でも根底は12年前に出会った女性ともう一度あの景色を見たいという切なる想い・・・があるからやっぱり純愛になるのか?最後までこのジャンル分けに?が点滅しながら読んでしまった。北海道の白い景色といい、志保を助けるときといい、ホワイトアウト(某小説)を思い起こさせるのは私だけか?
「魔女の死んだ家」篠田真由美(講談社・ミステリーランド)(2004.5.23読了)
ミステリーランドの第二回配本。何ともこれがミステリーランド?と思えるほど妖しい。あたしの死んだおかあさまは、それは美しい人でした。で始まる。この魔女とも呼ばれていた彼女の死は他殺か?それとも自殺か?その真相と彼女の人物像を紐解いていくわけだけど。イラストがとってもきれいなのよ。妖しい感じともとってもマッチしてて。一気に解き明かされる最後がすごいけど、これはあまり子ども向けではないのかも・・・って思った。
「99才まで生きたあかんぼう」辻仁成(ホーム社)(2004.5.23読了)
0才、泣いて生まれた赤ん坊。そしていろんな経験をし、喜び、悩み、生きることを学んだ赤ん坊。99才の人生の最後までを神様の目で見て綴られています。中々面白い。この99才までに世界でも戦争やテロの繰り返しなんだけど、いつも笑顔を忘れないで生きているところがすごいな。この赤ん坊はいろいろな挫折や経験をしながら一流のシェフになり、ファミリーにも恵まれて一生を終えるんだけど、どれもが人生訓みたいで素晴らしい。実はこの本の挿画も辻さん本人が描いている。中々味があってすごいな~才能があるんだな~
「ジャージの二人」長嶋有(集英社)(2004.5.24読了)
妻とうまくいっていない作家志望の息子とカメラマンの父と別荘に二人で行くことになった。そして別荘での超スローライフが始まる。芥川賞作家というので期待したが、三度も結婚をした父と無職で作家志望の息子の別荘での日常を淡々と描いているだけだった。過激なれしている私には少々物足りなさを感じたが。ただ、装画が大島弓子先生なのはとても嬉しい。小説の中にも先生の名前がしっかり出てくるし。この辺の小技はくすっと笑える感があっていいと思う。表紙の二人の後ろにミロ(純血種のハスキー)がチロッと いるのが可愛い。
「君のいる場所」ジミー(作・絵)宝迫典子(訳)(小学館)(2004.5.30読了)
同じように繰り返される毎日。やきれない。どこへ行けばいいのか?何をすればいいのか?入り口を出て必ず右に曲がる彼と必ず左に曲がる彼女の偶然の出会いからすれ違いの日々、恋の行方・・・会いたいのに季節はどんどんめぐり進んでいく。繊細なイラストと恋する二人のせつなさが心にあふれる大人のためのラブストーリー絵本です。


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