★ 「若くない日々」藤堂志津子(幻冬舎)(2007.7.2読了) |
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40~50代の女性たちの物語。この小説に出てくる女性たちはどうも微妙な感じがする。老いに対してのむなしさや他人に対しての関心のなさが表に出て・・・女であることの喜びがないような気がする。もっと生き生きと素敵に年齢を重ねていく人はたくさんいるはず。どうも前向きになれないのは何が原因なんだろうか? |
★ 「船泊まりまで」片山恭一(小学館)(2007.7.3読了) |
叔母夫婦から借りた家に引っ越してきた俊一と冴子夫婦。 最初はどこか冷めていてそれでも普通に暮らしている静かな物語かと思っていた。しかし、話が進むにしたがっていろんなことがわかり、ちょっと衝撃的ともいえる事実があったりして・・・難しい内容である。代理母や精神的に壊れていく様子など、とても他人事とは思えず、もしかしてどこかにこんな家族や夫婦がいるのかもしれないと、ふと怖くなった。 |
★ 「真鶴」川上弘美(文芸春秋)(2007.7.4読了) |
失踪した夫の礼を今だ思いつつも恋人の青茲と付き合う京。礼の日記に「真鶴」という文字を見つけなぜかそこにひかれて「真鶴」に向かう。ついてくるもの・・・これにひかれて何度も真鶴に行く京だが。つくてくるものは何だかわからない。霊的なものなのか?それとも幻想なのか・・・相変わらずといっていいのかわからないが、はっきりとしないふわふわとした幻覚のような話だ。唯一、京の娘の百(もも)16歳はしっかりと現実的なんだけど。個人的な意見だが、夫が失踪していてもキリがついていないのに、恋人をつくり、その恋人は家庭があるなんていう不倫を大々的にするのはどうかと・・・寂しい気持ちも何かにすがりたい気持ちもわかるが・・・おぼれてはいけないと思う。 |
★ 「タペストリーホワイト」大崎善生(文芸春秋)(2007.7.5読了) |
学園闘争が激化した時代。姉の希枝子を殺された洋子は上京し、姉を変えてしまった男を捜し求める。しかし、洋子の愛する恋人までもが姉と同じように殺される。この時代のことはよく知らないがとても恐ろしい、血なまぐさい時代だったんだろうなと思う。なぜ、そんな風に惨殺しなければならないのか・・・愛する人を次々と失った洋子が自分の残された人生を取り戻していく姿は痛々しい。全編キャロル・キングの「タペストリー」というアルバムの曲名で構成され、この曲とともに洋子の人生も進んでいきます。残念ながらほとんど聞いたことがないので曲も浮かびませんが・・・機会があったら聞いてみたいと思います。 |
★ 「まほろ駅前多田便利軒」三浦しをん(文芸春秋)(2007.7.11読了) |
まほろ市の便利屋の多田と高校の同級生の行天。この二人のコンビでいろんな問題が次々と解決されていく・・・便利屋だからね。きな臭い事件もフツーの事柄も何でもありなんだけど。個人的には結構面白かったと思う。多田と行天の微妙なコンビがいい味出したりして。直木賞受賞作なんだよね。図書館でやっと借りれたよ。ほぼ1年以上も待った・・・って感じか?(いや。待ってないけどね。偶然見つけたんだけどね。今頃になって)だから話題性としては今頃こんなん読んでるのか?って感じだけど。 |
★ 「壊れた光、雲の影」片山恭一(文芸春秋)(2007.7.14読了) |
不治の病を宣告されたカメラマンは撮影の旅に出る「壊れた光」廃墟に魅せられたカメラマンの正臣は人生の最後にどんな光を見たのだろうか?一方「雲の影」は女が引きずり続ける死後の世界。息子の死が今も重くのしかかる沙枝。 連れ合いのあまりにも悲しいエゴ。どちらの作品も喪失感というか、死と生の狭間でかろうじて息をしているような状態だったりして。地味な作品かもしれないけど、何か重いメッセージのようなものが隠れているみたいで読後思わず息をついた。 |
★ 「酸素は鏡に映らない」上遠野浩平(講談社:ミステリーランド)(2007.7.18読了) |
久しぶりのミステリーランドです。小学5年生の高坂健輔は偶然行った公園で柊またはオキシジェンと名乗る男と元ヒーローの役者、守雄と出会う。そして「ゴーシュ」の秘宝を探し求めて不思議な冒険をすることに。『無限戦士ゼロサンダー』が何だかいい味だしてるよね。うむ。多分、このミステリーランドだけ読むと?マークがたくさんつくことでしょう。ブギーポップシリーズを全巻読破しなければ・・・っていうか買い揃えなければ・・・ |
★ 「ガーリースタイルブック コーディネート・レッスン」 曲田有子(主婦と生活社)(2007.7.22読了) |
「ガーリー」という響きに惹かれて借りた。もっと乙女チックな感じを想像していたが、紹介しているのはシンプルでナチュラルで大人ちっくな感じのもの。花柄でもシャンデリアでもゴージャス感ではなくて、あくまでも楚々とした感じ、つつましい感じ。こーいうのが大人のガーリーなんだ~へぇ~。 私的にはもっと乙女を前面に出してもよいかな~なんて思ったりして。 |
★ 「スージー・クーパーのロマンティックスタイル MARBLE BOOKS 英国のとびきりかわいい食器たち」飯塚恭子(中央公論新社) (2007.7.23読了) |
「スージー・クーパー」の食器が満載でとっても勉強になります。 昨日読んだ「ガーリー」よりももっとロマンチックでガーリーっぽいかも。 一つ一つのデザインの解説や酒井景都さん流の楽しみ方も読み応え見ごたえたっぷりです。これで人気の秘密がわかりますね。 |
★ 「母のレシピノートから 」伊藤まさこ(講談社)(2007.7.24読了) |
伊藤まさこさんのお母さんの秘蔵レシピを大公開。伊藤まさこさんが小さい頃から食べてきた懐かしい味が満載です。その料理にまつわるエッセイも素敵です。 |
★ 「あなたがパラダイス」平安寿子(朝日新聞社)(2007.7.29読了) |
あぁ、更年期。されど更年期。女性ならば更年期ってやつはいつか必ずといっていいほどやってくるのね。40代、50代の女性が主人公で皆、更年期の症状に悩まされている。でもそれを癒してくれるのはジュリー。ジュリーって誰?って言ってる人・・・きっと多いんだろうな~中年になってもまだ頑張り続けるジュリー。きっとコアなファンがいっぱいいるんだろうな~そんなジュリーファンにだって、悩みや問題はたくさんある。親の介護やこの小説の核ともいえる更年期の悩み、そして離婚やもろもろ・・・私にだってそんな遠くない未来に現実に起こりうるような題材でため息もつきながら、覚悟もしながらも主人公の女性たちにエールを送りながら読みました。話にはあまり関係ないけど、この年代以上にファンが多い、韓流。ヨンハくんのお名前がちらちらと出てきたのはうれしかったな。っていう私も立派にお仲間入りか? |
★ 「美晴さんランナウェイ」山本幸久(集英社)(2007.7.30読了) |
美晴さんはすごい美人。 姪の世宇子の家に同居する叔母の美晴さんは27歳なんだけど、未婚でふらふらとしてて、いつもトラブルを起こす問題児なのだ。そしてこの世宇子の家族はいつも巻き込まれてしまう。身近に美晴さんがいたら相当困るだろうけど。 この家族もちょっと変わってるけどね。世宇子の弟の翔は超常現象に凝ってて、「モー」というそのテの雑誌を必読しているし。世宇子が従兄の自由に淡い恋心を抱くところは可愛いかったりするのだが、その自由の父親は借金まみれで逃げてるし。昭和の香りのする背景にドタバタの喜劇を見ているようで面白かった。 |
★ 「バン・マリーへの手紙 」堀江敏幸(岩波書店)(2007.7.31読了) |
バン・マリーとは何か?読んでわかった。(わからない人は読んでね) 相変わらずの優しいのかのほほんとしているのかわからない語り口調で綴られる文章に時々癒される。読んでいると思わず読み返して付箋を貼りたくなったりするのだが、これは図書館本、やめておく。頭には到底入りそうにないのであきらめ、その場の雰囲気だけにとどめておく。感想といってもかなり内容的に書きにくいので興味があったら読んで「ふむふむ。」とうなずいてほしい。 |