合理的生活療法(Rational Living Therapy)の創立者アルド・パッシ(Aldo Pucci)は、著書"Feel the Way You Want to Feel...NO MATTER WHAT”の中で、こう書いています。
”もし私が、ひとつだけしか思考エラー(The Common Mental Mistakes)を皆さんにご紹介できないとしたら、
思考エラー「必要」と「欲求」の混乱、を選ぶでしょうね。
これは他の思考エラーよりもずっと重要なんです。”
ということで、新年第一弾の思考エラーのConfusing Needs with Wnatsを概観していきましょう。
11. Confusing Needs with Wants(「必要」と「欲求」の混乱)
皆さん、この思考エラーに注目してください。
合理的生活療法(Rational Living Therapy)では、 絶対的必要 と 欲求 をはっきりと区別しています。
私たちが考える「絶対的必要」は、生命維持に関する必要性を指摘しています。
それは、空気、食物、水、十分な熱、そして時に必要となる薬です。
これ以外のものは全て、「欲求」です。
もし私たちが間違って「単なる欲求」を「絶対的必要」と考えてしまったら、私たちはまるで空気や水が得られないのと同じようなひどい感情を持ってしまうでしょう。
人々が典型的に混同してしまう、本当は「欲求」のはずの絶対的必要の例を挙げてみましょう。
(1) 他人からの愛情
(2) 尊敬
(3) 注目
(4) 自信
(5) 一定レベルの容姿
(6) 目立つ仕事
(7) 箔のある学歴
(8) 皆から好かれること
(9) 物事を自分の思うようにすること
(10) 新車
(11) 他人から丁寧に扱われること
(12) 心の平安
(13) 完全な健康
(14) 優れた業績
(15) 完璧さ
(16) 特別な人間、またはその集団の一人であること
i) 「絶対的必要」宣言は、「不安」や「怒り」の原因
「絶対的必要」宣言は、ときに「不安」や「パニック」を引き起こします。
こんな例だと分りやすいでしょう。もしあなたが小さい部屋に閉じ込められ、5分後には部屋の空気が取り除かれると知っているとしましょう。あなたはパニックになり、そして極度の不安を持つはずです。なぜか?
それはあなたが、空気が生きるために 必要 だと知っているからです。
それと対照的な例も挙げましょう。もしあなたがスーパーに、お気に入りのパンを買いに行ったとします。そのパンは売り切れでありませんでした。あなたはパニックになりますか?なりませんよね。
それはあなたが、そのパンを「欲しい」からです。生命維持のために絶対に必要なのではないからです。
ときに「絶対的必要」宣言は、怒りを生み出します。
例えば、あなたが小さい部屋に居るとします。5分後には部屋の空気が抜かれることが分っています。しかし今回は、この部屋を出ることは簡単にできます。ところが!私があなたが部屋から出ることを邪魔して出れないようにします。あなたはどうなりますか?
どんなにあなたが私のことを好きだったとしても、あなたは私にとても怒りを感じますね。なぜ?
それは私があなたをあるものから遠ざけているからです。。。それは絶対的に必要な空気です!
「絶対的必要」か「欲求」かを見定める方法としてこんな質問をしてみると良いでしょう。
どのくらい私はこれがなくて死なないだろう・生きていけるだろう?
空気や水や食べものに関しては、だいたいのところを私たちは知っています。
じゃあ、新しい車や家は?恋人は?または人々からの尊敬は?
これらは私たちを殺さないことに注意してください。
もし人が自殺を図ったら、 あるもの がその人を殺すのではなくて
その 人自身 がその人を殺すのです。
条件的必要宣言
「愛」は絶対的必要でしょうか?
愛の定義は何でしょう?水や空気と違い、いろいろな定義があることでしょう。
例えば一般的な条件的定義として、以下の条件が言われますよね。「もし人があなたを愛すると、抱きしめ、キスをし、愛しているよと言い、あなたが落ち込んでいるときに励ましてくれる、当等。。。」
これらの条件や要素は「欲求」であって「絶対的必要」ではないですね。つまり、無くても死なないわけです。
しかしあるニュースで、孤児院で赤ちゃんが死亡した、とありました。その原因は「愛の欠如」とされていました。
しかしこれは、身体的接触不足から起きたと考えられます(もし食事等がちゃんと与えられていたとしたら)。
愛があっても、身体が動かくて世話ができなかったら赤ちゃんは死んでしまいます。
全ての人は、空気、水、食物が絶対必要です。
しかし全ての人が、恋愛、愛情、注目が欲しいわけでは無いのです。
自分の「絶対的必要」と「欲求」を上手に区別し、余計な不安、怒り、そしてパニックを心の中に起こさないようにしましょう。それが精神的健康を保つことになるのです。
最期になりましたが、今まで見てきた思考エラーを今日の分を含めおさらいして、お仕舞いにしたいと思います。
(1) All-or-None Thinking:白黒のみの判断
(2) Overgeneralization:過度の一般化
(3) Mental Filter:思考フィルター
(4) Discounting the Positive:長所の減点
(5) Jumping to Conclusions:根拠無き結論
i) Mind Reading:読心 ii) Fortune Telling:運勢占い
(6) Magnification:極端な拡大
(7) Emotional Reasoning:感情的推理
(8) Irrational Labeling:不合理なレッテル貼り
(9) Personalization and Blame:個人化と非難
(10) Irrational "Should" Statements:不合理な「すべき」宣言
(11) Confusing Needs with Wants:絶対的必要と欲求の混同
皆さま、穏やかな毎日を
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