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January 12, 2018
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カテゴリ: 教授の読書日記
今日は「米文学概説」の授業があったのですが、たまたま「失われた世代」の辺りの話になり、作家としてはヘミングウェイを取り上げたわけ。

 で、短篇集『我らの時代に』の中に入っている「医師とその妻」を読んだのですが、今回は少し趣向を変えまして、「プロファイリング」の手法で読んでみよう、ということを心掛けてみたんです。

 つまり、小説のテキストは収集されたデータだと。で、このデータを使って、登場人物の医師がどういう人物か、当ててみようと。

 例えば、この医師は金持ちなのか、金持ちでないのか、と問うてみる。

 データによれば、「山荘」を持っているようだから、ある程度は金持ちらしい。しかし、暖炉にくべる薪にするために、湖に放置されている材木の流木を失敬しようとしているところをみると、お金が有り余っているようには見えない。しかも、その流木集めのために、白人ではなくインディアンの労働者を雇っているところを見ると、それなりにケチなのではないかと。

 では、この医師はいい医師なのか、どうなのか。

 データによれば、インディアンの妻の肺炎を治してやったばかりか、その治療費も猶予してやっているところを見ると、それなりに名医のようでもある。ただ、医学雑誌が封も切らずに山積みになっているところを見ると、あまり勉強熱心とも言えないところもある。新しい知識を得ようという志はあるが、実際に努力するところまでは行かない、まあ、その程度の医師なのだろうと。

 つまり、ごく普通の小市民的医師ですな。

 で、この医師と奥さんの関係はどうなのか。

 データによれば、二人は別の寝室で寝ているようなので、とても円満な状態とはいえそうもない。しかも妻は「クリスチャン・サイエンス」の信者というから、科学的な医学を信用していないことになる。となれば、夫の仕事に対する信頼もさほど期待できそうもないのであって、そういうところからも、この二人が決して熱く結ばれているわけではないと推測できる。

 ・・・ってな調子で、小説内のデータから、プロファイリングの要領で登場人物の性格や、登場人物間の人間関係を推測するという、一種のゲームをやってみたと。

 そういう調子でどんどん学生を指名し、私の問いに答えさせ、その答えの根拠を示させるという感じで読み進めていったら、割と調子よく登場人物たちの性格や人間関係が掴めていったんですな。

 で、この短い短編で、医師とその妻の間に横たわる闇をいかにヘミングウェイが巧みに描いているかを示してみたわけ。

 思うんだけど、ヘミングウェイの読み方・・・つまり学生に読ませる時の読み方という意味ですが・・・としてはこれがベストではないかと。逆にプロファイリングを意識させないと、今時の読解力のない学生には、ヘミングウェイは読めないですよ。

 この話、同業者の間では受けるんじゃないかと思うのですが、どう?





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Last updated  January 12, 2018 01:21:23 AM
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