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夢のゴミ箱
第1話 SOUL LOVE
軽い出会いは突然 運命めいたものになる
前から知ってるような これから全てを共にするような
予感を感じていた・・・
2004年。 大学3年の夏。
7月の暑い日、うるさすぎるセミの声の中、俺は前期最後の試験を終えた。
「やっと終わったぁ~~~!!」
解放感に浸っているその時に、一通のメールが届いた・・・
同じ学科の彩からだった。
『今日、絵里子の部屋でたこ焼きパーティーするんだけど来ない?』
彩は1年生からの友達だ。
元気で、少しおっちょこちょいな女の子で、俺は妹のような感覚で接していた。
絵里子は彩の親友で静岡出身の一人暮らし。
地元に彼氏がいて現在は静岡と名古屋の遠距離恋愛だ。
いつも彩と一緒にいるが、俺はほとんど話した事がなかった・・・。
俺は前日のテスト勉強のせいであまり寝ていなかった・・・。
誘いに対してそれほど乗り気ではなかった。
断ろうとも思ったが、俺は「いいよ」と返事をしていた。
今思うと、この返事が俺の運命を変えていった・・・。
待ち合わせ場所のショッピングセンターには彩と絵里子が待っていた。
「お~い!!まさぁ~」
そう叫んだのは彩だった。
「お~す。ねみぃわ~~。2人共、テストは?」
「私たちはとっくに終わったよ♪ ね、絵里子♪」
「うん♪」
彩は同じ学科の貴博(たかひろ)も誘ったらしく、
しばらくは3人で貴博を待つ事にした。
「あ~ごめんごめん。」
遅れて貴博が到着した。
貴博も1年生からの友達で、俺と彩が遊ぶ時は決まって呼び出されていた。
食料品売り場では女の子がどんどんと食材を選び、
男の俺達はだらだらと後ろからついていった。
「も~~!! 早く、早く~~~!! 会計済ませちゃうよぉ?」
振り返りながら彩が言った。
「あ~。わかったわかった。そんなにおっさんを急かすなよぉ。」
と気だるく歩く俺に、
「え~~。おっさんって。はははっ」
と絵里子は笑った。
「いや~、もう俺らおっさんですよ。」
貴博は笑いながらそう答えた。
「はい。じゃあ男の子、荷物持ってね~。たくさん買ったから重いよ~♪」
彩が食材や飲み物でいっぱいになった2つの袋を俺に渡した。
「うわっ!?マジ重いわ・・・。アホみたいにポンポン入れやがって・・・」
「まさ!! 何か言ったぁ??」
「いえ・・・、なにも・・・」
買い物も終わり、車にたくさんの荷物を積んで絵里子の家へ向かった・・・。
絵里子の部屋は綺麗に片付いていて、小さなテーブルの上にはたこ焼き機が置いてあった。
「おいおい、貴博ぉ、女の子の部屋って感じするよなぁ。」
「いや~ホントだよ。メチャクチャ片付いてるわぁ。」
俺達がキョロキョロしていると、
「あんまり見ると汚いのばれちゃうから、そんなに見んといてね。」
と絵里子が照れながら言った。
彩は早く作りたくて仕方がないようで、
「あ~~もう。早く早く~~~!!!」
と俺達を急かしていた。
それからたこ焼きパーティーの準備が始まった。
彩は飲食店でのバイトの事を自慢げに話しながら手慣れた手つきで材料を切っていった。
絵里子はお皿やグラスを用意して、どんどん準備がすすんでいった。
「前期のテストお疲れ様でした~~!! かんぱ~~~い!!!!!」
ビールの注がれたグラスの当たる音が部屋に響き、たこ焼きパーティーが始まった。
学校での事や、最近の事、くだらない話で笑いながら、みんなでたこ焼きを食べた。
「お~~熱い!!けどうまい!!」
熱々のたこ焼きを口に入れながら貴博が言った。
「ちょっと俺、これ育てとるでとってかんよ。」
そう言いながら、表面がカリッとし始めたたこ焼きを必死で転がす俺。
「そんなん、とったもん勝ちだよぉ~」
と彩が横取りをした。
「うわ~!? こいつ犯罪者だよ~~~。」
「はははは!!まさ、意味わかんねぇから。」
「俺がせっかく育てとったのによ・・・」
嘆く俺に
「これあげるからぁ」
と絵里子が皿にとってくれた。
「
お~さっすが~。 彩も絵里子を見習えよ~。」
「ふんっ。いいも~~んだっ。」
と彩はふくれっ面をしていた。
たこ焼きにわらびもちを入れたり、チョコレートを入れたりしながらも楽しく時間は過ぎていった・・・。
「あ~~メチャクチャ眠い~~~!!!」
俺は寝不足の上に酒がまわって、かなりの睡魔が襲ってきた。
「私のベッド使っていいよ」
なにげなく絵里子が言った。
「え!? マジで!? そんなんドキドキするわ~。」
驚きながら、そう答えると、
すかさず貴博が
「うわ~。まさ、うらやましいなぁ・・・。」
と言った。
「ん? じゃあ、貴博くん、一緒に寝ますか?」
「頼むから、一人で寝てくださいっ!!」
「はははっ、あら残念。 じゃあ悪いけど借りるな~・・・」
「うん。どうぞ、どうぞ~~。」
俺は多少、戸惑いながらも、ベッドを借りて少しだけ横になった・・・
起きるとみんなはUNOの最中だった。
負けた貴博は女の子に化粧をされていた・・・
「貴子ちゃんカワイイ~~♪ まさ、付き合ってあげなよ~~♪」
「あ~~お前らと付き合うより、いいかもしれんなぁ。」
「え~~!?なにそれぇ~~!!」
「俺はやだよ? 俺はやだよ?」
「あはははははっ!!!」
そんな時間を過ごしながら、夜中の12時頃花火をする為に近くの公園へ向かった。
今年、初めての花火。
そこにはみんなの笑顔があった。
楽しい時間は過ぎるのも早く、残ったのは燃えカスになった花火と数本の線香花火だけだった。
みんなで線香花火に火を点けた・・・
「線香花火って綺麗だよねぇ。いろいろ形変えてさぁ・・・」
「小さい火花を出しながら落ちるところって儚いよなぁ・・・。」
少しセンチメンタルになりながら、ゴミを片手に公園を後にした・・・。
その帰り道、俺の方へ彩が寄ってきた・・・
「今日はね、まさが来てくれてよかったよ♪ 私ホントに楽しいもん♪」
俺は
「いきなり何言ってんだよぉ。」
と笑ってごまかしていた・・・。
それからカラオケへ行ったが、楽しい時間は過ぎるのも早く、気づけば朝の5時だった。
「いや~~眠いっ!!朝日が眩しいわ。」
目を細めながらそう言うと、
「間違いない!眠い!! なんかこんなに遊んだの久しぶりかもしんない。」
と貴博が言った。
元気が取り柄の彩が
「私もさすがに眠いかも~~~。」
と目をこすると、
絵里子も少し疲れた顔で
「でも楽しかったねぇ。また遊びたいねぇ。」
と笑った。
そして、4人がそれぞれの家路を辿った。
「それじゃあ、また、夏休み、遊べたら遊ぼうね~。」
「お~。また連絡してくれなぁ。」
「そいじゃ、みんなおやすみ~~」
「またね~~。おやすみ~~。」
帰り道を運転中、絵里子からメールが届いた。
『今日はおつかれ~♪ 眠いと思うけど運転気をつけてね♪ それじゃあまた遊ぼうね♪』
そして、家についた俺は、軽くシャワーを浴びて、すぐに眠ってしまった。
この時点では、俺は楽しい日を過ごしたなぁと思っていただけだった・・・。
いや。心のどこかで予感はしてたのかもしれない・・・
まさか、こんな気持ちになるなんて・・・。
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