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第11話
『第11話』
作:姫を守る騎士団さん
「やはり死んでなかったですね。」
背後から声をかけられる。聞き覚えのある声だ。
とっさに俺は振り返った。
「お久しぶりです。」
ああ、何でこんなことになっているんだっけ・・・。
「なぁ、じぃさんさー。」
そう呼びかけながら隣を見ると、そこには、嬉しそうに、鉄アレイにぐるぐると釣り糸を巻きつけているマエルの姿があった。
「ほんとにこれでいいんすか?」
「案ずるな、わしに間違いは無い。」
釣り糸は、マエルの傍らに置かれた釣竿へと繋がっていた。
「そうかなぁ・・・。」
あんまり後先考えていなさそうなんだけど。盛り上げようと思ったとかいう理由で、魔法をつかっちゃう人だしなぁ。
あの時、すっかり爺さんに乗せられて、意気揚々と町へと乗り込んだものの、結局、大騒ぎになってしまった。
そりゃそうだよ、ずっと行方不明だったマエルが現れたりしたら、俺だって文句の一つも言ってやろうって気になるし・・・、って、元々それが始まりだった。
大陸政府の皆さんも、夜も眠らないで、マエルを探していたそうで、文字通り血眼になって追いかけてたもんな。
ご苦労様です・・・。
で、まぁ、あんまり思い出したくない騒動の末、ほうほうの体で逃げ出したものの、身動きの取れない状態になってしまった。
そこで、次善の策として、マエルの占いによる宣託に従ってみることにしたのだ。
「占いでは、今日ここを最初に通るものこそ、我らの助力となる人物だと出ておる。」
ということで、俺達は、クロノスからテラに繋がる橋のたもとにいる。
つまり爺さんが、さっきから釣竿を用意しているのは、太公望を気取っているんだろうな。
「これでよし。」
爺さんの声とともに、ぶおん!
唸りを上げて振り上げられた釣竿、というか鉄アレイが、俺のすぐそばを通り抜ける。
ざっぱーん!!盛大な水しぶきがあがった。
・・・。
「くおらぁ、じじー危ないだろうが、この※※※※※がぁ!!」
「何じゃとこのこわっぱがぁ、お前なんぞ※※※※※じゃろがぁ!!」
(一部検閲済み、大陸政府)。
今まさに一触即発というそのとき、通り過ぎる人影が。
・・・。
「ああ、今、ここ、人がいたっ。」
「おお、確かに、なんかポーション飲むたびに、わきゃわきゃいっておったの。」
「かすかに、オロナイン軟膏のにおいがしました。」
「ワシはうしろ姿しか見えんかったが、ユニークな髪型じゃったのう。」
「ええ、なんというかすずめの巣のほうがマシ・・・。」
「うむ、そうじゃ・・・、って、そんなことより名前じゃ、確認はできたのか?」
「はい、内緒を送ってみます。」
このサーバーにいないか内緒できない相手です。
「うわぁ、なぜか内緒できません。」
「とにかく追うのじゃ。」
俺達は、急いで橋を渡り、砂漠へと向った・・・が、結局見失ってしまった。
「おそらく、アメイラに向ったのじゃろ。こうなるとお前さんにはどうしようもないのう。」
「あぁ、折角のチャンスだったのに。」
「まぁ仕方ない、すぐにまた次の機会があるじゃろ。」
月の砂漠をとぼとぼと、ピュリカ隋道の入り口に差しかかったそのとき。
ん?かすかに人の声が聞こえる。それも・・・
「爺さん歌だ、歌声が聞こえる。誰か歌ってるんだ。」
「この中からのようじゃの。」
俺達は、声の主を求めて坑道の中へと分け入った。
だーりん、だーりん、すてん、ばいみー♪
あ、この歌は・・・
「すてんばいみー、すてんばいみー♪」
思わず、俺も歌ってしまった。
「おや、どなたかいらっしゃるんですか?」
先ほどの歌声の主が気が付いたようで、向うから話しかけてきた。
「こんにちは、あはは、聞かれちゃいましたね。」
「いやー、やっぱり線路の上を歩く時には、この歌を歌わないとですよ。」
「うんうん、そうですよね。」
「ところで、こんなところで何をされているんですか?」
「ぼくですか?、実は、仲間を探してるんですよ。」
ええっ、うそ、こんなことってあるだろうか。
「本当ですか、俺達も今、仲間を探していたところなんです。」
「それは奇遇ですね、どうですか、よろしかったらご一緒させていただけませんか?」
これは願っても無い申し出だけれど・・・
「俺たち、ちょっとわけありで。」
「わけならぼくにもありますよ。じゃ、ぼくの方を手伝ってもらう代わりに、ぼくもあなたを手伝うというのはどうですか?」
「それならお安い御用ですよ、でもいいんですか?」
「はい、ぼくはそれでかまいません。」
「やったー、それじゃ早速。何を手伝えばいいんですか?」
「えっと、これは、さっきギルメンからもらった古文書なんですけど。」
言いながら、古びた羊皮紙をバックパックから取りだした。
「伝説の勇者と仲間達のその後についてかかれているものなんです。」
「これによれば、伝説の勇者は、見事魔王を倒し、莫大な財宝を手にしたあと・・・」
「ここに仲間を埋めたらしいんです。」
「というわけで、はいこれ。」
そういいながら、さしだされたスコップとつるはしを俺は受け取る。
「あ、言い忘れてました。ぼく、土竜っていいます。これからよろしくお願いしますね。」
そういや、あの映画も、死体を捜しに行く話しだったなぁ。
と、そのときだった、背後から声をかけられたのは。
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